旧小判 薄紙の系譜

本日、第118回フロアオークション誌【日本国際切手展記念セール、8月29日開催(メールビッド8月26日締切)】を発送いたしました。同時に大阪の事務所での下見も可能になっております。今回は目玉品が沢山集まりました。物が良い物だという前提が有っての事ですが、意識的に編集したのでテーマで見易く並んでいることが多いのです。どの分野でも注目品を含んでおり、大いに楽しんで頂けると思います。旧小判は超一流のコレクションのPart1を出しました。誰もがご存じの珍品は無論ですが、前所有者のお気に入りの物が目白押しです。骨格とすれば、1997年のサンフランシスコ国際切手展に出品されたコレクションが主体です。その後に入手された珠玉の別枠のエキストラの追加分も有るのですが、アルバムへの書き込みは桑港展の物を其のままの状態で預かりましたので、編集に際しても基本的にはその分類を尊重しています。

1点だけ勝負したいものが有りました。Lot2287 6銭無地の未使用です。リーフ上の展示箇所は、エスパルトよりも上で、無地としての位置づけです。初期色で無斑点の縦紙なので、無地と書いて何の問題も有りません。でも、かなり薄いのです。平滑で無斑点、色は蒼白と表現できると思います。同じ紙が50銭に有れば躊躇なく【薄紙】と書くのです。クールにデータを数字で並べて見たいと思います。厚さはマイクロメーターで計測したμ表示です。今回の場合に限ってですが、贅沢な検証が出来るのです。機械計測での比較の数字が命なので、条件が均一でないと駄目なのです。完全未使用で、オリジナルガムの部分を2か所+測りました。そのデータを並べます。

額面   発行日    厚み(µ=ミクロン)  Lot番号

1銭黒  1876.5.17     55.50         2252

2銭狸   〃        54.50         2259

4銭   1876.6.23     55.00         2272

5銭    〃        59.50         2284

10銭  1877.6.29      56.75         2220

6銭    〃        64.60           2287

3銭  1879.6.30     62.33         2322

50銭   〃         62.50            2335

20210729

発行日を基準に取れば、前後半で4種ずつ2組に分かれます。厚さで分ければ、前半5種と後半3種で2組です。さあ、この6銭、どういう位置づけになるのでしょうか。60μ未満ならば良かったのですが微妙な数値です。【欲目の薄紙】結構気に入っている表現です。眼で見てわかる特徴もそうですが、こうやって並べると単独では見えない部分も見えて来るのです。薄紙は短期間のみで使われています。目打9Sは有りません。出現期は11年~12年ですが、短期集中でのスポットの使用とは限りません。3銭・50銭は主力に近い使われ方ですが、1銭黒~10銭は主流では有りません。さあ、6銭はどうでしょうか。見つかっていなかったから、頭ごなしに否定はできないと思います。同じような例が、45銭の白紙の13(複数存在)と50銭の薄紙の13目打にも有るのです。表紙に使っての最低値5万円、評価は???