2012年11月17日(土)
『創始75年FDC』
戦後直ぐ、昭和20年代前半のFDCには世間的に未解明というか、体系立てでは研究されていない部分が数多くあるのです。戦後最初の記念切手のこの創始75年は、4種貼った解説書に特印押しは、ゴミの如く残ってますが、使える状態のFDCはかなり少ないのです。普通に見られるのは縦型の白封筒に4種貼、特印東京21.12.12、不鮮明でシミが出ているものが多いのです。FDCカタログの情報では、白封以外にはSPAN=学生郵便切手会=①、志ん万=旅の趣味会・蒐集時代社=②、のみの掲載です。J・P・S=③は日本郵趣協会のそれではないのですが、これは項を改めて書きます。
面白いのが白封の④・⑤、どこかで見覚えがあるでしょう。昨年のJAPEXの戦後記念の特別オークションセールで出品された、創始75年S/Sの使用済が、ドンピシャなのです。あの品物は色んな本に出ているし、数年前のJAPEXの特別展示にも出ていました。所有者は超高名なコレクター、謳い文句は、「唯一の初版の使用済」、でも、展示で見た人は誰もが・・私も自称小型シートの専門家と、自称記念切手の専門家と並んで見ましたが、異口同音に、「初版じゃね~よな、色がダメだよな」で一致、だから人を介してお持ちの方にそれとなく伝えたものの、「大丈夫ですよ」の返事だったとか。
もう一つのポイントが、欧文印のTOKIO・NIPPONが本物か否かという点、これは真っ二つに分かれました。悪い派は、見たことが無い異形な印影、色黒々で鮮やか過ぎるという点、良い派は、印圧が有る、記念切手の初日・しかも戦後最初のエポックメーキングな出来事への特注品ということ。この印が、正にこの日しかないのか、別の日にも使われているのかは未解明ですが、④・⑤のFDCには嫌らしさは有りません。間違いなく真正の消印でしょう。
オークションでの記載は、小型シートが再版という表現は使われてはいないものの、少なくとも、初版としては売られていません。唯一かどうかは知りませんが、この小型シートに欧文印が押された物は希少なのでしょう。随分立派な値段で落ちていました。私が画像の物=⑤を売るとして、剥がして3種連刷のカットにする方が高いと思うのですが、流石にそれは出来ません。FDCとして、その内に出品いたしましょう。
異形の消印が、切手の初日に使われたケースがあると考えた場合、幾つか同様の例があるのです。明治銀婚・日清戦勝のFDCの丸一印、印色は鳶色でなく漆黒、字体も材質もちょっと違う、局は大局、今回のFDCの大家とは全くの別ルートから来た物で、二級品を使った、戦前偽FDCとは繋がらない、それ以外の戦後の物でもちょっと違うな、FDCだからかな、みたいなカバーを複数点温めています。こちらはもう少し精査してから、時が来ればお見せ出来るでしょう。立派な鑑定書付の物もありますから。