2012年8月4日(土)
『中国は要注意』
前回の更新から、丁度2ヶ月開いてしまいました。PA72・MA62は予定通りのスケジュールで終了、締め切り後の約2週間での精算は、世界最速だと思います。
不落札品の即売で、200ロットが売れ、金額は186万円+伸び、最終の落札率は70.49%でした。受け付け期間は2週間ほどとってはおりますが、Webに速報をUpして、次の日の朝9時までの同着期間で、80%以上が決まります。この期間内のお申込は先着順でなく、何とか1点は分配で優遇しますから、是非ご利用下さい。
今日までで、PA73・MA63の準備は完了、8日のオークション誌の納入、9日の発送になります。Webのダウンロードでの下見開始は、7日火曜日からです。7日(火)~11日(土)は平常どおりの営業で、12日(日)~17日(金)は夏季休暇になります。
今回は、ちょっと出品ロットは少ないのですが、密度は濃く、MA63の方も含めて、面白いセールになると思います。前回のセールが終わった後、スポットの大きい仕事が複数件入ったため、平常業務が押してしまいました。日本切手は何とかなるのですが、100サイズの箱で100個以上の外国切手のコレクションとディーラーのストックを早急に捌く必要がでて来たのです。面白い仕事なので楽しんでやっています。
コレクションは、極めてハイレベルで、鳩(バーゼル)が飛び、宣教師(ハワイ)がいて、ブラックスワン(西オーストラリア)とビーバー(カナダ)が群れを成し、木版の△(CGH)で1リーフが埋まっていました。CGHとUSA、GBはかなりの物だと思います。同じ出所の旧中国と旧韓国は大分前に預っていて、弊社のオークションで売り立て、オーバー10ミリオン円の成果でしたし、韓・中ともにタイミングもピッタリで売れたのですが、それ以外のパートは、有ることは知っていても、積極的に動いていいものか、躊躇していたのです。評価しての買い入れは、外国切手の場合は市場性が薄く、売り手も買い手も情報が無い為、数字を出せないのです。縁あって下見して、レベルの高さが分かったので、海外のオークションハウスへ出品して売ることで話をまとめました。物が手元に来て初めて、見えてくる要素があるのです。私の今までの経験で、どの国でもお勧めのオークションハウスがありますから、国を地域で別けて、各国共にナンバーワンクラスに拘らず、私との付き合いの度合いから、無理が利く相手を選びました。
アメリカ・イギリス・ドイツ・フランス・スイス・オランダ・スウェーデン・カナダに振りました。結果が出るのは秋から冬ですが、金額よりも扱われ方に興味があるのです。高いものは単品で出し、それ以外はロットで、売り切りの値段で安くしてのリクエストを出しました。欧米のオークションの市場の場合、出品者の意向に拘わらず、ロット組みを大きくされて、アルバム1冊1ロット売りはよくあります。日本のように、1000円単位まで区分して、事細かな単品売りは望むべくも有りません。希望を出しても、せめて@200ドル位は要求されるでしょう。ロットを売るのがスタイルのオークションハウスに、単品を売らせるのは不可能です。まあ、日頃の相手の編集方針を考慮にいれての選択だし、メインのアメリカは、付き合いのあるエージェントに仲介・紹介を頼みましたから、然るべく仕事をしてくれるでしょう。
自分のオークションは、手の内に入っているので当たり前の如く動くケースでも、海外のオークションハウスでは予想外の事態が起こります。如何に弊社が顧客に優しいか、改めて認識した次第です。送料はFedeXが想像以上に高くつきます。EMSの5倍ぐらいでしょうか。10万ドル+の出品なら、交渉次第でFedeXの、着払いの相手持ちもOKだし、書類扱いで送って、先方のロイズの保険で20万ドルまで担保出来るのですが、それはあくまで出品物に価値が有ればです。EMSの保険付は安いし、安心だし、送る方は楽ですが相手国の法律で、税金が掛かるケースがあるのです。原産国を相手国にすれば、WTOの条約を批准している国ならば、関税定率法の規定で、内国消費税は免税になると思っていたのですが、フランスとオランダはNGでした。VAT番号漏れとか、何かの原因があるかもしれませんが、前もって聞いておかねばなりません。
今回の出品以前にもちょっとしたトラブルが有りました。弊社をはじめ、日本のオークションでは起こりえないのですが、落札者の未払いの場合の扱いです。私の考えでは、手数料を払って仕事を依頼するならば、ハンマーが叩かれれば、正当理由の返品以外は出品者には何の責もなく、期日が来れば手数料を引いて、精算されるばずです。代金回収はオークショニアの最重要の仕事です。ところがアメリカのオークションハウスの場合、未払いなら、売買不成立で出品者に戻すという規定が有るのです。このケースが発生すれば容赦は有りません。規定に有るでしょうという言い草で、平気で返してきますから。精算も60日~75日後です。弊社の考えでは、返品受け付け期間が終われば早急に精算すべし、15日で入らない人は60日でも払わない、だから15日で払ってしまって、後のことは別個に考えましょうというスタンスです。私がそれでやるので、他の日本のオークションハウスもそれに近いやりかたをするでしょう。
あくまで今だけの特殊事情だと思うのですが、中国人が絡むオークションは悲惨です。又聞きですが、香港で一番の、現時点でなら、恐らくは世界でも一番の売り上げを誇る、1回のセールで10億円以上のハンマーを叩きだす会社が、26人のビッダーを出入り禁止にしたそうです。中国本土在住者が25人、香港在住者が1人、スッ高い値段で、主にメールでしょうが・・落として、連絡すれどもそのまま音沙汰無しだそうです。ケースバイケースでバリエーションが有るのでしょうが、オークショニアはたまりません。香港在住者は訴えられているそうです。弊社も安全圏では有りません。中国系3人と揉めています。
本土在住・香港在住・日本にいるブローカー各1です。香港人は前述と同一人、5000万程の未払いがあるそうです。幸い弊社は、発送ストップして、その後に入金がありクリアできました。以後の取引はいたしません。本土の人はコレクターで、満州・南方を相場の10倍で入れてきます。勿論引き下げの調整はするのですが、それでも落ちる値段は競られるので、相場よりかなり高いのです。発送ストップしても数百万は直ぐに溜まります。去年のJAPEXで中国関係を大分出しました。野放しにすれば数千万円のクレージービッドが入ります。この状態での立替精算はかないません。だからビッドするなら、フルのデポジットを入れろの要求を出しました。その後音沙汰有りません。日本にいる変な名前のブローカーは、前回のFDCを大分買いました。最低値の10倍で上から下まで入れて来ました。初期のFDC,日本郵趣協会あては、製作数が限られて、本土で極めて評価が高いのです。切手加貼りの日本宛が最高です。だから、メールビッドも8人が全ロットを入れてきました。場での競りも有って、きっちり現地の最高値の相場で落ちるのです。10倍で入れてきても、落札率は20%ぐらい、それでも落ちた値段は目一杯の数字です。限界ギリギリまで競られるし、それは恐らく想定外だったのでしょう。信用できない変な名前のブローカーには前送りは致しません。半金は送って来ましたが、状態でお馬鹿なクレームを付けて、残りを支払いません。でもこの動きは前もって読めているので、事後の処理も想定済み、何とか被害を最小限に留めることができるでしょう。出品者には何の責任もなく、オークショニアはストレスを与えてはいけませんから、そしらぬ顔で処理をするのです。
アメリカのオークションハウスの規定でも、今の中国人のビッドマナーと金額は想定していないと思います。旧中国のコレクター、水原明窓さんや、ベッケマン、呉楽園、アンディー・ホルツのお客などなら支払いで揉める恐れは有りません。でも、今の新中国のビッダーはコレクターでなく、投機商品のブローカーなので、オークションのルールでは予想も出来ない動きをしてしまいます。心して掛からねばなりません。