2011年12月27日(火)

『最終更新』

本年最後の更新なので、溜まっている垢を大掃除してしまいましょう。余り気分良い話ではないのですが、何時までも甘い顔で放置しては片付きません。年明け早々にでも一定の結論を得ねばなりません。

未払い金のお話です。JAPEXセールでも、特集的にやった、中国関係での大口の未払いが一件有るのです。情報通の中国人から耳打ちがあって、あいつには要注意と言われていた、夫婦連れの香港人、日本でも何度か姿を見たし、香港のオークションでは良く会う痩せたお兄ちゃんです。ビッド自体は、フロアで落としてそのまま帰国、請求書を書留で送って、やっとメールで返事が来て、来年1月15日に大阪へ来て、支払ってピックアップするとのこと。でも当日は日曜日だということを知ってか知らずかは不明です。直ぐ送金するようにと連絡をいれましたが、当然何の反応もなし。猿を13万、愛・科学を20万で落としているし、その時に即本国に走ってしまえば、5分は儲けられても今の相場では足が出る、元からあのセールでの新旧中国ともに目一杯の値段なので、引き取っても転売での鞘抜きは無理でしょう。約束を果たしたくても、本国のオークションハウスにも数千万の借金が有るとのこと。期日を切って、弊社が買取で後処理をするしかないでしょう。出品者には、弊社は約定の期日までに当然支払い済み、海外のオークションハウスでは、支払い不能の場合、落札をキャンセルして再出品するみたいな規定もあるのですが、日本のルールではそれはダメ、オークショニアが何もなかった如くに義務として100%の責任を果たします。出品者には何の責任も落ち度もありません。

別の中国人でも長期に滞っているケースがあるのです。旧中国・満州・南方の使用例のコレクター、相場の5倍~10倍でビッドして来ます。満州の小型一徳一心葉書は、満州郵票会発も含めて、@100万円で常にビッドが来ていました。落札は強気の2番札の一刻み上なので31万位です。この時は在大阪の元中国残留のお爺さんを窓口にしてのビッドでした。でもこの爺さんが弊社のバザールで万引きして現行犯で逮捕、半年は拘束されていたはずです。盗んだ物は他のオークションに相当な金額の出品をしていて、現行犯以外のものも立件されて起訴・・国選弁護士が入って、弊社とは、民事はそれなりの金額で和解しましたが、刑事事件の方は結果の連絡を貰っていません。一般の刑事事件の場合、検事からの被害者への報告はないのです。この件は本国の大金持ちには責任は有りません。代理人が消えた後は、本来の収集家が必死に電話して来て、メールでビッド、落札率は100%です。支払いがスムーズならば最高ですが、払いは1年遅れが日常です。物は前送しないのでリスクは押さえられるのですが、JAPEXセール前は迷いました。取り敢えずは、他の海外の上顧客に対するのと同じ様に、100何ページの中国のパートのカラーコピーを送りました。同時に、ビッドするなら、前の借金をクリアして、次のビッドのデポジットを全額入れよ。黙っていれば、競りに競って、総額1000万レベルの落札の可能性が有ったのです。その後の連絡は全くなし、この人物とも縁を切らねばなりません。無意味に待つのはストレスが溜まります。

中国系だけでなく、日本にも、ちょっとどうかという輩がかなりいるのです。コレクターの分割払い・ボーナス払いでも、問題なく受け付けます。約束を果たしてくれることが前提ですが。オークショニアとしては、その位の余裕は必要ですから。でも、私のビジネスの経験上、過去の何年かに弁護士から3件の自己破産の連絡を受けました。何れも業者です。それ以外に、コレクターで売り掛け残がある状態での連絡不能、自己破産か夜逃げのケースも片手では足りません。これらのケースは償却で損金処理するしかないのです。

横浜国際展で、ドイツのオークションハウスのオーナーが、ある人物への請求書を持ってやってきました。第2回のオークションで落札、前送したら支払いなし、円換算で200万ぐらい未払い残の有る日本の業者がいて、今回もブースを出すはずなので、直接会っての集金狙いに来たのです。件の業者は、それを察知したのか敵前逃亡で、ブースはキャンセルになっていました。この人物は弊社にも常に多額の赤残が有って、出品物で相殺のつもりかもしれないけど、彼が付けている小売りの値札の1掛で出品しても売れません。高いから売れない、安ければ売れるでなく、要するに誰もが要らないものを商品として後生大事に持っているのでしょう。品物を出してくるということは、日本人の感覚なら、多少の誠意ということになるかも知らないけど、ドイツのオークションハウスが現地で裁判を起こして、確定判決を得て、強制執行の委任を掛ければ、逃れる術はないのです。海外での裁判なら、訴えられた時点で負けてしまいます。ドイツからの仰々しい封筒の到着に怯える日々は楽しくはないでしょうに。

かの人物のお友達かどうかは知りませんが、プロとして信じられない行為を為した輩がいます。数年前の弊社のオークションで竜のカバーを落札、その時はコレクションのつもりかも知らないけれど、未払いの状態で、他のオークションに出品、精算が終わっても弊社への支払いが有りません。当然、何度も請求するし、その都度お詫びのメールと、支払い予定の日程表は来るのですが、最初の1~2度しか実行されません。今年は、地震でお客が影響を受け、月に数百万の減収、また顧客の高齢化に伴い、会員数の減少が著しいという言訳です。そのくせ、弊社が今年オークション・買い取りで扱った、数件の著名コレクターのご遺族には、必ず、「作品集を出しましょう」・・(その後は自分が売ってあげますよ)のオファーを掛けているのです。実際にこのパターンも、弊社とは無関係のコレクターで成就しているようですが、ひとごとながら、お支払いは?・・と危惧してしまいます。弊社としての売掛金の回収に関する与えられる猶予期限は切れています。年明けにも法的な行動を起こします。刑法の詐欺・・だから、警察・・というのは実現性は有りません。でも民事の代金回収の訴訟は、起こさないほうが愚かなので、きっちり責任をとって貰いましょう。

年末恒例の不思議話を書きましょう。『福丸の市の竜』、京都の骨董・道具の市でも、殆ど紙物は出ないのです。商売ベースでの取引品目としてはエンタは過去の遺物です。でも、どういう訳か、福丸には、大将・将軍が一人いて、士官や武官が付いていない、雑兵をお供に連れた売り物が時々出るのです。有り得ない現象なのです。既にネタは割れていて、誰も怖がって買いません。仕込んだ竜と見るのです。最近3回連続で、このパターンが有りました。「竜48文単貼横浜宛 東京検査済」、「菊4銭貼絵葉書 年2字GAISEN-MARU」、「勅額10銭無目打4枚貼 速達」。おちょくり屋さんがちょこっと、お付き合いして、何れも同じ人物がお買い上げ。市で出た、初出しの珍品カバー、第珍品としてオークションの目玉になるのでしょうか。どこかで見かければ、目に唾して精査しないといけないでしょう。度胸があり、感性が求めるのなら、飛び込んで買うのもいいのかも。

今回のお話は、何れも、勘違いや幻ならハッピーなのですが、冗談で放置できる時間は過ぎたので、敢て問題提起する次第です。