2011年5月27日(金)
『デジャブー』
最後のテーマに入る前に、追加で分かったことを書いておきます。1次昭和の「活版みほん」のタイプ2種は、発行日ベースでは、S14.9.21と14.10.16の間にタイプ「18」からタイプ「9」に切り替わり、安定度も高いと思っていました。2次昭和の東郷5銭の17.4.1以降になると、1額面での複数タイプも高い確率で出現してきますが、1次昭和に限定すれば、1額面1種類のみの存在を否定するデータは見ていません。ただ、同じ時期の「国立公園」で気になるデータがありました。S14.9.21-17.4.1の期間に、大雪山・霧島・台湾の計16種が出ています。これが全て1昭後期の、タイプ「9」なら問題は無いのですが、山本さんのデータでは、次高20銭が「18」になっています。他の3種は要チェックです。そして、私の手持ち品でも、霧島20銭・大屯2銭が「18」なのです。国立公園は発行政策上、かなりの期間で、前もって事前準備されたと解釈すれば、旧タイプの後年使用も有り得ます。大量の作成ではないので、この時期なら1額面1タイプが自然です。ただ、山本さんのデータと、私のそれを合わせれば、同一の台切手で、「18」「9」が存在してしまいます。同一シートに混在か、異タイプ複数シートが存在かは確認出来ていないのですが、上記の16種類と、小型シート、それに7銭より後の発行の1次昭和でも異種存在の可能性が否定できなくなりました。我々のデータも、極めて限られており、標本数はお互いに1~2点のレベルなのです。お持ちの方は異種の存在の可能性を前提にして見直して下さい。
数ヶ月前の「JPS菊田沢部会報」に山口充さんが書いていた、支那字大白・高額5円10円の「みほん」が台湾使用だという論文には、結論的に全面的に同意できるし、ある人から、その記事の存在を聞かされた瞬間に、読まずに、あ、あれは「台湾」といいました。私の認識では、ブツの支那字加刷は明らかに「偽」、切手と「みほん」本物、でも、記事の詳細を見ない段階で、該当のマテリアルは「台湾みほん」と思ったのです。根拠のないデジャブーかなと思ったのですが、識者に聞けば、村田さんや成田さんが大昔に記事を書かれているとのこと、それが頭の片隅に有って、そのまま納得していたのでしょう。今の知識なら、発行告示の周知用みほんと、後年の比較照鑑のそれの、全く目的の違う物が存在する事実も、色んなシリーズで自然に受け容れられてます。発行当初の台切手限定とか、字体の比較での真偽の判定とは、次元の違う思想のマテリアルです。記録のある公式品の姿では無く、それがあっても、解説抜きなら疑われるし、元からそれを使えるレベルの人はほんの一握り、それ以上にマテリアルの玉の数が少なすぎます。オークションに登場したのは、2回ぐらいだったと思います。ここらは、売り手の都合でのセールストークがどうこう言う前に、自己判断で評価できる人がオークションのシーンに出たならば、まず見落とすことはないのです。結構良い値段で売れているはずなのです。ここらの記事を書いて、必要と思しき人へマテリアルが出たときに教えても、かなりの確率で、その行為が私の営業上の利益を目的とした行為だと受け取る人もいるのです。その反応を示されるなら、その人への以後の情報提供の可能性は一切消滅してしまいます。郵趣の知識というよりも感性が合わない人とのプライベートの取引は非常に無駄なエネルギーを使います。
前置きが非常に長いのですが、このテーマを書くに当たっての強い動機になった記事がありました。日専を読み解く「震災切手」魚木五夫著、28ページの、■その他の加刷です。
震災切手には・・中略・・横文字のゴム印による、“SPECIMEN”とか、その他の外国語表現の加刷などが、もっともらしい説明と共に、売られたこともありました。しかしこれらは、いずれも公的な性格のものという証拠が無く、特別に意味を考える必要はありません。・・略・・ゴム印もまた、だれでも気軽に作ることができます。確実な裏付け資料の無い物に、余計な投資をしないのが、賢明かと思います。
物凄い表現力の文章ですが、時間をかけて反論いたしましょう。30年位の間のお話になるのですが、筋の通った説明が書けると思います。
ワードは、SPECIMEN・ULTRAMAR・COLONIAS・ESPECIMEN・AMOSTRA、キーになる資料を、かつて、最も生かせるであろう人=古家美和さんにあげていて、ちょっとしたきっかけで、頼んだら見事に見つけ出してくれました。つづく・・・