渡辺版 川瀬巴水FDC
識者から連絡を貰っていた、標記FDCの偽物ですが、紹介できるデータが揃いました。まさか、こんな物に偽物が有るとは露知らず、だから私も完全にスルーして、今までに何点か売ってしまっているかも知れません。そういう目で見て、2点を比較すれば判ります。偽物も、その存在を知っていさえすれば危険な物では無いし、参考品として手元に置いておけば良いでしょう。真正品は、弊社の97回フロアLot37に出ています。偽物は海外からの出品で預かったのですが、それと判ったので、頼んで譲り受けました。画像の上が本物で、下が偽物です。区別法を記載いたします。
本物は、カシェの文字が太くて背が低い・カシェの最下部が封の下辺に届き、0.1mmぐらいが裏に掛かっている・カシェは封に直接印刷してある・木版なのでルーペで見てもベタ刷りでドットは見えない。偽物は、カシェの文字が細くて背が高い・カシェの下部に白いスペースが有る・カシェは切抜カシェ=後での貼り付けである・オフセット(平版)?なので、黒部分のドットが鮮明に見える。私が見た範囲では、封筒には顕著な差異は見つかりません。偽物は、白封筒・消印は真正に作ったカシェを貼り付けた物です。出所からして、最近の製造でなく、発行から日を置かずに海外に出しているようです。くわしいルートは判らないのですが、巴水のそれが高く売れるからといって直近に作った物では無いようです。ヤフーで、巴水物がすっ高い値段で落ちるので、それを狙って誰かが作って売っているというのは、情報をアナライズできない御莫迦さんの妄想に過ぎません。複数点数が違うルートから流通の時期を同じくせずに、パラパラとして見つかっており、だいぶ以前に海外に出ていたようです。手元のデータを見ても、切手の貼付位置が違うので、発行の時点で作ったのではないようです。
渡辺版の場合、正規の物では私が扱った物は殆どが海外宛の実逓です。差出人も、渡辺規、前田晃、関雅方、池田稔等のお馴染みの名前が並びます。実逓には偽物は有りません。宛名を書く部分に余白が十分に有るのですが、偽物の方は実逓に供するには窮屈です。渡辺版画店はタッチするわけはないので、誰かが、白封の4管貼りのFDCを台にして、巴水のカシェを模造して貼り付けたという事になるのです。FDCコレクターの基準では、マイナスのスキャンダルですが、偽物に興味が有る物とすれば、大いにソソラレルのです。頑張って集めようと思います。データをお持ちの方のご連絡を待っています。渡辺のそれでは、子供博にもこれに近い偽物が有るのですが、よく似ているという以上の物では有りません。こちらは参考品のレベルです。