かつお釣り異聞

昨日の小話は、昨年12月23日の【かつお釣り】のお話に続きます。珍品をこよなく愛して、弊社のオークションでもギョッとすような買い方をしてくれていた人なのです。一例を挙げれば、沿革志3冊、婚儀の不発行を色々と、青島の田型、村送りのシート、序でに並べれば、ヤフオクに出ていた大判に対してのコメントを求められました。今回のセールのラストロットをどうすべきかのお尋ねでした。自分も鑑定書付の10Bを持っているので、銘10に大枚をはたいて買って将来性がどうかというお尋ねだったのです。真面目に返事する前にクリアしておきたい情報に目を奪われたのです。【かつお釣り】の無目打【銘10】には、立派な組織の鑑定書が付いているリプリントが有るのです。【透かしが有る】ので100%偽物だと断言できます。無目打も目打有りも、物の出所からして【透かし有り】の本物は存在し得ない筈です。弊社に2度出品物として違う人から送られて来たのですが、勿論説明してご遠慮願ったのです。数世代前の権威者が罪な鑑定をした物だと思います。これを買ったのなら辛い話しになるのです。聞いてきた人に10Bの位置を聞きました。偽物云々の話はせずにです。即正確な返事をくれました。時系列で曇りのないディールを説明してくれたのです。第2コーナーの10Bでした。この情報だけで十分です。本物だと判ります。

買ったのは10年程前のヤフオクだそうです。郵趣サービス社のシート分割の即売で、第2コーナーが160万で売りに出て、それを買った人が150万でヤフオクに出したのだそうです。この値付けなら、恐らくはご購入者本人の出品でしょう。少し上でビッドしたけれど、最低値で落札できたそうです。当時の銘10の即売値は250万です。第1と第4コーナーの10Bは多分160万での即売だったかと思います。因みに単片の13.5万の即売はご希望者多数で抽選扱い、外れたよというお話を複数から聞いています。シートの写真と切手の博物館=天野安治氏の署名入りの鑑定書のコピーはもしかすれば全購入者に付けたのかも知れません。

お問い合わせに対する返事は、物は全く問題無し、第2角10Bをお持ちなら、ランクアップしての銘10までは独占しなくて良いでしょうにしたのです。勧めれば買ってくれたかも知れませんが、要るか要らないなら勧めたくない物です。弊社のセールでは終了直前に場に現れた人の存在が気になっていました。その人が渇望されている物は今回は出ていないと思ったのです。メールでもフロアでも、ご希望の物は絶対に逃しません。そして単なる見学もしないでしょう。最後の最後までの残ってくれていたので、何を狙っているのかが気になっていたのです。ラストロットの直前には分かっていたのです。成程ね・・。一度素晴らしいコレクションを弊社で売ってしまって、突然、1種類の切手に絞っての再登場、それも買う物が亡くなって来たので、感性に有った珍品にチャレンジなのでしょう。190万のハンマーはまだまだ余裕だとお見受けいたしました。次は何処へ向かうか大いに興味がソソラレます。多分、読み通りには動いてはくれないでしょうが、今後も大いに注目したい方の再登場でした。それにもう一つの情報が・・。第1コーナーの10Bも売り物として弊社の手元に来ているのです。こちらは比較的最近に別のオークションで260万+手数料で売れた物です。意図せぬ偶然なのですが、何故か物が物を呼んでくるのです。

フロアセールの直前に1通のメールが来ていました。ご出品のお問い合わせです。①明治初期の外国郵便 40点位、②カールルイスFDC・カバー・絵葉書 100点位、③坂東収容所切手葉書等の俘虜郵便 50点、④川瀬巴水全点含む、渡辺版中心のFDC、出品物として受け付けますかという内容です。この並びなら大好きだし、幾らでも捻って売る自信が有るのです。差し詰め四葉のクローバー、今までの私のキャリアで面白い経験を一杯して来たテーマなのです。多分、誰にも話していないはずです・・・この機会に数回に分けて書いて見たいと思います。