和桜4銭 鑑定結果

前々回の記事で、説明不足が有りました。【鑑定書】12頁プラス1枚の最後の物は、該当品を弊社のXRFのミネラルモードで分析した物です。この詳細は説明に時間を要しますので後日詳報致します。今回は、現物を解説いたします。和桜4銭タイプⅡの未使用です。現物は弊社の手元に来ておりますが、勿論指弾している相手が、ヤフオクを起点として売った物です。Web.で画像を見て、偽物と判りますか?この1枚は、ある方がボストーク1巻ほぼ全揃いのコレクションとして、弊社へ出品してくれた物の中に有りました。旧小判~電信切手までは、問題が無く、既に出品物としての扱いは完了しています。手彫がお気の毒だったのです。使用済はOKでしたが、未使用は竜の2枚と、桜の殆どが、かの輩からの短期間でのプライベート取引での購入品でした。私が現物を手にした際にも、真偽に迷う物は無かったのです。殆どの物は、ヤフオクが出所の静岡出品物だと一瞥で知れました。但し1点だけ、瞬間的に迷ったのがこの4銭でした。彼の変な拘り故に桜は全部リガムです。これもそうだし、目打と紙と全体の雰囲気で真正で無いのは判ります。但し手にすれば、の条件が付くのです。チョンボは出来ないので、結構迷ったのは事実です。まさかここまでやれるのかと思ったのです。

我々サイドの鑑定機関が見れば、間違える可能性は有りません。手元に置いて、いくつかの要因を比べれば適切な結論が出せるでしょう。決定的な情報は、プレーティングです。和桜4銭の版数は15版なので、ポジション違いは600です。正に念のために、高野昇郎さんにお願いして当たって貰ったのです。タイプⅡだけでなく、600Pos全部との比較です。勿論一致する物は有りません。だから、郵趣界の鑑定では、偽物で確定、誰も文句は言いません。でも、この主張を今回の相手と民事裁判でやればどうでしょうか。被告の言い分は目に見えています。図案の相違=600Posに該当無しの事実は認めると思います。彼が一致する物を提示できないからですから。でも、この切手ではもう1版(以上)の未発見の版の存在の可能性が有るのでは、と言うでしょう。そんな馬鹿な、有り得ない・・と反論しても、郵趣家でない裁判長の判断がどうなるかが怖いのです。実際に旧来見つかっていなかった、【改桜20銭リ】が2枚見つかった事を例示するでしょう。可能性は10万分の1以下でしょうが、それでもゼロでは有りません。裁判では疑わしきは罰せずの判断が下されるかも知れません。12頁のヘンテコな鑑定書の価値を認めたら、です。その可能性も消し去らねばならないのです。極めて小さい可能性でも、それが絶対に存在しないことを証明するのは難しく、所謂【悪魔の証明】をせねばなりません。でも、やれると思いますよ。それが私のやるべきことだと思っていますから。実は今回提示したチャートだけでも、既に十分に勝負が出来るのです。相手の切手を弊社のXRFで分析した2枚目のチャートです。キーになる元素はTi=チタンです。戦前には商業的に不存在の物が、明治の切手に出ることは有り得ません。10年前には必死に調べて裏付けを取ったのですが、今回は詳細を省きます。『永仁の壺』『佐伯祐三の雪景色』が偽物と証明された根拠が、Tiが検出されたことなのです。裁判になれば何時でも引っ張って来ることは出来るのです。あんなこともやったのだとふと思い出したのです。

相手の心臓部に踏み込むにはもう少し揃えねばならない物が有るのです。結論を出す前に積み上げて行きましょう。今回Upした3枚のチャートですが、最初が【鑑定書】に於いて真正品の根拠とした、先方がこの切手を分析した物です。でもモードは金属でしょう。2枚目が、同じ物を弊社のXRFでミネラルモードでやった分析結果です。3枚目が弊社の在庫品(真正品)のミネラルモードでのデータです。ノーヒントでは理解不能でしょうし、勿論このままの生データでは裁判に証拠としては使えません。判断材料に使えるように、知識を加工せねばなりません。おいおい説明を加えて、十分に勝負できるように解説いたします。絶対的な事実が有ったとしても、第三者を納得させられるように示すには、順序を踏んで反論の可能性を消し去らねば駄目なので、少し時間が要るのです。今までに開示した、相手方の書類を読み込めば相当に突っ込む事が出来るのです。

おチャラケ情報なのですが、前回の12頁の鑑定書の費用は1万円、今回の3頁のそれは3480円です。ご納得の上で手にされているコレクターが少なからずおられることを肝に銘じて動かねばなりません。

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