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会員番号1番さん

3~4年前だったと思います。娘さんからの電話なのですが、会員さんでご逝去の連絡を頂いたのですが、故人がメモで弊社に依頼するようにと書いてあったので、コレクションの処分が可能かどうかを聞かれたのです。勿論ポジティブに返事をしたのですが、量が多いので整理が出来次第連絡する・・で終わっていました。キャリアの長い方で、武蔵の消印とボタのエンタがメインとして収集されていました。印象深かったのが、某老舗オークションが切りの良い回数の開催になった際に会員番号1番として祝辞を書かれていたことです。逆引きして収集キャリア60年以上の方なのです。お名前に記憶が有ったので当初のお電話の雰囲気から、正に落ち着けばお声が掛かると思いつつ何のアクションも起こしていなかったのです。後で判ったのですが、処分を急がないして、それ以上に奥様が売りたくないという雰囲気だったので手付かずのままだったのです。

去年、奥様も亡くなられて、部屋の片づけが必要になって動き始めたのです。改めてご連絡を頂いた時点で、大量のガサ物の始末は終わっていたのです。故人のお住まいが東京に近い武蔵国なので、色んなところで名前を聞く東京で一番元気な買い取り屋さんが一括で持ち返ったとの事でした。でも、話しがちょっと前後するのですが、本当のメインのコレクション、アルバム20冊は残っているのです。故人の遺言のせいかどうかは微妙なのですが、買いに行った人がメインのコレクションを見て、自分には手に負えないので、私に頼むようにと言って残して行ったそうです。名前は良く聞くし、共通の知人を通して私の事も知ってくれているのかなと思うのですが、直接には会った事は無いのです。

お待ちしていたお呼び立てですし、丁度タイミングが合ったので、ご自宅へ出かけて行って、物を確認しました。話の流れからして、買い取りは有り得ません。キャリアの長い方のコレクションのエキスなので、必然的にオークションでやりましょうにしたのです。ざっくりした数字を出そうと思いました。買い取りで無く、あくまで評価ですし、エンタが主体のアルバム20冊なので1時間でやれるのです。未使用・FDC・葉書系は全部先に持って行ってくれていたのでしょう。切手は墨六・MLL・キ半銭入りの手彫が1冊有ったので評価の助けになりました。相続は既に完了していますが、相続人が複数なので資金の流れがハッキリ判るようにして欲しいとのご希望でした。銀行振込みにして税金面の一応のルールを説明して、余程の事が無い限り税金は掛からないことを保証したのです。税務関係で何かあればこちらで対応する事を約束しました。相続人さんのご商売の関係でしょう。オークションの精算の書類一式を税理士さんに渡したらそれなりの数字になっていたので、この分の譲渡益の説明を求められたのです。ストレートに連絡を貰ったのですが、要件がはっきりしているので答えやすいのです。1分で納得してもらえました。こちらの案件では、相続には私はノータッチです。だから聞かれたことにだけ答えました。

書画骨董の単純な譲渡であり、1点で30万以下は生活用資産の売却ゆえに申告不要、超えた物も所得原価を考慮にせずに全額差益と評価しても、50万以下なので、譲渡所得の基礎控除の範囲に収まる故に申告不要だったのです。前日の件と、今回と2日連続しての未知の税理士さんからのお問い合わせは正に確定申告が始まっている事の現れでしょう。私の場合は、慣れているし、法的にも正しい解釈が出来ている自信が有るので、説明をすれば理解してくれる相手と対峙するのは何のストレスも有りません。税理士先生の方が不動産の譲渡とゴッチャにしていて、30万条件と所得原価を矢鱈と厳格に捉えている人が多いので要注意なのですが、税務職員はまさか間違えないと思います。でも、中々に微妙なケースも有るのです。この話はもうちょっと後に廻します。次回は、税務申告、フルメニューのお話です。純確定申告・相続税・譲渡所得・精通者評価価格・・対応に当たった人が、余りにも生真面目な税理士さんなので、マジで疲れたのですが、何時もながらの強~い味方が助けてくれたのです。私は仕事の一環で、相方は友情故にベストの結果を得られたと思います。

16000万の配偶者控除

昨年の4月に亡くなられた方のご遺族からの突然のお電話でした。相続税の申告に入っていて、著名な葬儀屋さんから紹介された税理士さんにお願いしていて、切手のコレクションの話をしたら、専門家に評価を依頼するように言われたとの事でした。お名前に覚えが有って、ここ数年に亘って毎回数十万円レベルで未使用切手を弊社のメールオークションとバザールで買ってくれていた人でした。リタイアした後に切手屋でもやるつもりみたいな買いっぷりでした。制定と年賀富士山小型シート、雁と見返りが5シート以上有りました。ご自分の買いたい値段が決まっていて、それ以下ならダブっても平気で買ってくれていたのでしょう。見事な位の未使用切手のストックが残っていたのです。この品揃えでは金額は大きくても、オークションでは高く売るのは無理なのです。往復の手数料が重いのです。即金で買える数字を出したら、速攻でOKになりました。もしかしたら、TVにCMを出している買い取り屋さんも来ていたような雰囲気でした。この人たちには負ける筈は有りません。

相続のデッドラインに少し余裕が有ったので、アドバイスしたのです。税理士さんは切手を含めての相続を勧めています。被相続財産としの評価を望まれています。相続人は奥様と娘さんです。プライベートの資産状況は聞けませんが、あくまで一般論として配偶者控除を使って、奥様が相続するように話しました。配偶者控除で1.6億円又は50%まで無税になるからです。でも、遺産分割協議書は既に出来上がっていて、相続は100%娘さんになっていたのです。剰え不動産は登記まで完了です。聞けば、要介護認定を受けていて、法的な行為は出来ないということでした。私が話したところ問題は無さそうだし、相続に於いての係争の恐れも無く、署名・捺印さえできれば問題なく配偶者控除利用で税金が抑えられると見えたのにです。不動産の方は外野は口出しできませんが、せめて切手は奥様の口座に払いたかったのですが叶いませんでした。こちらとしては何方に払っても損得には影響しないのですが、出来るだけ手取りが多く残る様にお手伝いしたいのです。このケースでは基礎控除が4200万、配偶者控除不使用なのでプラスは有りません。不動産と金融資産で無税の基礎控除の数字は超えるので、切手の分に関しても否応なしに一定率の相続税が発生してしまいます。娘さん曰く、自分は一切嘘が付けない性格なので、税理士さんが言うとおりにやりたいとの事でした。だから、コレクションをピックアップする直前に、下見で評価した約定金額を銀行口座に振込んで、売買契約書を2部、収入印紙貼付で作り、思い出の為にご自宅に残したい物の精通者評価価格一覧表を添えて、これで申告して下さいにしたのです。

完全に終わったつもりだったのですが、2日前に電話を貰いました。税理士さんが故人の切手の売買での差益の申告が必要だと言って来ているとのことでした。通帳の数字を見れば、それなりに大きい数字なので、念の為のお問い合わせだと思います。ルールを娘さんに説明して、税理士さんに繋いで貰うのが筋でしょうが、説明能力に危惧を感じたのです。だから私が説明するからと言ってこちらに電話を貰いました。ポイントを絞らないといけません。今更、配偶者控除云々は言いません。お問い合わせの趣旨を聞きました。相続ですか、譲渡ですかです。譲渡での差益の申告との返事なので、ここらはソラで回答が出来るのです。真面目にレクチャーしましたよ。切手コレクションの売却は譲渡所得だけれど、不動産とは異なります。書画骨董と同じです。一点又は一組で30万円以下の物は生活用資産と見なされて、一切が申告対象外です。今回のケースでは、購入時の弊社のオークションのカタログからして1点で30万円超の物はなく、普通の未使用切手なので値上がりもしていません。だからトータルで大きい金額になっていても、譲渡所得の申告は不要です。この説明で先方も納得してくれました。本来なら、所得原価と必要経費を差し引いたり、損益通算したり、年間の譲渡所得の基礎控除50万を使うとかもするのですが、この人の場合は、30万条項一発で解決できたのです。税務署が聞いて来れば、私が対応致します。

でも、どう考えても、切手だけでなく、不動産の相続で配偶者控除を一切使わない理由が見えてこないのです。お元気そうだったし、普通に話せたし、署名・捺印は問題なく出来たのにです。葬儀屋さん紹介の税理士さんで無く、初っ端から私に声を掛けてくれれば幾らでもお手伝いできたかなと思うのです。

時節柄の問い合わせ

時期が時期だからなのですが、直近で税務申告へのお問い合わせが、出品者サイドの税理士さんから続いて来ています。相続した切手コレクションの売却と、その後に売った場合の譲渡所得についてです。弊社のスタンスとして、遺品のご出品受付に際しては、コレクションの処分で終わらず、税務申告への対応までを業務の一環としてやるので、相続とその後の譲渡に関して税務申告が必要ならば私に連絡する様にお願いしています。今までの実務経験で判っているのですが、郵便切手コレクションの売却に際しては、基本的には税務申告は不要なのです。買って、売って、特例を目一杯使って、それで差益が出てこそ申告が必要なのですが、そんな幸運な方は極めて限られます。現役のコレクターはそのメカニズムをご存じなので心配はいらないのですが、ご自分がお金を払っていない相続に関しては、所得原価がゼロで、譲渡所得に於いて自動的に認められる5%を引いた物に課税されるという思い込みが有るのです。この場合の原価は、被相続人さんが買った金額を用いるのです。昨今よりも高い時に買われている事が多いのです。でもこのルールは、納税義務者ご本人だけでなく、切手コレクションの売却を扱ったことの無い税理士さんもよく間違えているのです。無駄な税金は払ってはいけないし、頭の片隅にルールをインプットしさえすればその愚を避けることは出来るのです。昨年後半に扱った3件では、私が書類を作って、税理士さんに申告時にやるべきこととやる必要が無い事を区分けして説明したので、丸く収まっていると思います。因みに、利益が出ていないから税務申告不要というのは、一般のコレクターの場合であって、業者さんや、セミプロでも【業として】売買されている場合は前提条件が異なりますし、計算式が違います。【業として】の定義は、総合判断で為されます。お金を借りている、人を使っている、場所を借りている、広告を出している等々の要因を元にして決するのですが、今回はその人たちは対象外として論じます。3件共に、相続を因として弊社が仕事をやったのですが、かなりのボリュームの額になりましたし、何れも支払いは銀行口座振り込みなので必然的に確定申告の際に、税理士さんの目に留まったので弊社へのお尋ねになりました。中々にドラマチックだし、バラエティー豊富な案件なので、詳しく論じて行きたいと思います。切手コレクションの処分に於いては、真っ正直にやって、法的にも何ら問題なく、特にオークションを利用する事が如何に有益なのかを説明したいと思います。税務署にバレルから、オークションに出さずに一括で買い取りますという甘言を信じてはいけません。時間をかけて詳しく書いて行きましょう。

2次流通

震源地を静岡とする案件は、それなりに動いています。年末年始でペンディングになっていた事案が二つ完結しました。この件以外にも私が知っていることは沢山有るのですが、状況を見つめながらの情報開示になります。件の人物のヤフオク出品も極めて動きが緩慢になっています。だからと言って懸案解決とはならないのですが、少し風景が変わって来ています。同時に、かねてから危惧していた事態も顕著化して来ました。無知ゆえの、悪意なき【2次流通】です。弊社への出品だけでも少なくとも5名から来ています。メールでのお問い合わせレベルで、速攻で蹴った物も有るのですが、普段の出品物に混じって、変な物が来ているのです。画像だけなら欲目に絆されて迷うケースも有るのですが、現物を手に取ればまさかミスはしないでしょう。細部を見なくても、色と紙のインプレションが真正の物とは異なります。私の仕事に関してはストレスを感じることは有りません。

でも、ヤフオクで善意の落札者に渡った物の2次流通が御気の毒なのです。情報通の方が調べてくれたデータでも、直接・間接混合で複数のIDで、明らかに出所が同一の物が1000点以上ある事が判っています。村送りや高級の手彫など10万円超の物のオンパレードなのです。総額は軽く数千万単位になっています。昨年末の物をちょっと引っ張って来て置きましょう。善良なコレクターが知らずにお持ちの物もお気の毒ですが、購入者の手を離れての独り歩きも始まっているのです。

Yahoo!オークション – 1円〜 日本切手 竜銭切手 半銭/壹銭/五銭 計6点 印有無 ヒンジ跡有無 y94-3354605【Y商品】

Yahoo!オークション – 1円〜 日本切手 未使用 竜文切手 五百文/二百文/百文/四十八文 計5点 ヒンジ無 y94-3321493【Y商品】

Webで見れば、色に惚れてしまうかも知れません。疑って慎重に見れば間違えないのですが、当初はそれなりの値段で買っているのでしょう。出品者の、【福ちゃん】は大手のリユースの買い取り屋さんです。資本的には、バイセルテクノロジーに買収されたそうですが、相変わらず随分とメディアに膨大な広告を打っています。広告費と人件費を賄える利鞘が稼げているという事は、特に切手に於いていかに安く買っているか想像出来てしまいます。このあたりのアナライズも時間を見つけて書いて見ようと思います。