見覚えの有るマテリアルでした。久米島切手の第1コーナー田型です。数十年前にシートを扱ったことが有ったのです。必ずしも現存1点では無いのでしょうが、単なる田型で無い第1角なので調べれば簡単に分かるのです。シートの表裏の写真とを早速突き合わせてみたのです。随分前にシートを出品物として持ち込んでくれたのは大阪在住のご夫婦でした。由緒正しきお家柄で、ご主人は1736年創業の米両替商の末裔、今に至るも代々ご当主がお名前を継がれていて、有能な経営者としてご活動、時流に合うビジネスを手広くやられていました。ご来社当時のメインビジネスは1951年に開業された文具店、上手に時代の変遷に合わせて業態をチェンジされていて、今はインバウンド狙いと猫ちゃん文具で名をはせておられます。奥様は関西人には良く知られている政治家の妹さん、お二人でビジネス外でも日本文化に根差した芸術品を対象にした公益財団法人を設立されて京都で博物館を運営されています。ご主人は既に亡くなられて奥さまが引き続いて館長をされているのです。
随分前のお付き合いなのですが、切手でも良い物をお持ちだったと思います。数年かけて綺麗さっぱりと売り切りました。その中でも最もインパクトが強いのが、【久米島のシート】だったのです。出品物として預かったので、手品は使えず、そのままシートで出すしか無いのです。コレクターでは手が出ません。確か東京の業者さんが最低値で買ってくれたような気がします。その後の動きは聞いていなかったのですが即売で分割されたのでしょう。ご夫婦ともに気さくな方だったので、持ち込まれたときに結構雑談をしたのです。久米島シートがご自慢の逸品でした。随分と前に阪急百貨店に通っていて、催事か、常設の切手の売り場を持っていたトクモトさんの店で買ったと言われてました。現物以外に書類を数点貰ったのです。メモ書きの『証明書』を信じるならば、購入先は催事での森下浩さん、日付は昭和51年4月13日になっています。
折角の超一流の資料なので、弊社のオークションで売る際に世に知らしめて残したいと思ったのです。だから出品物のシートの表裏、森下さんの証明書、シャバリン氏旧蔵と思われる使用済シートのコピー、元逓信従業員沖縄戦記・久米島郵便局之部(再コピー)を作って確か1000円で配布したのです。かなりの人が買ってくれたし、このシートのコピーさえあれば、真偽は簡単に分かるのです。ご希望でしたら、余分に作っているので、一式1000円送料込みでお譲り致します。中々の力作だと思います。今回のヤフオクの出品は、Pos1の耳の折れ具合等で正に現物であることは容易に知れました。ヤフオク出品から更なる意外な情報が得られるのです。物は弊社のオークションで落とした東京のディーラーさんのシートで確定です。でも出品のおまけに私が関わっていない資料が付いていたのです。1945年10月1日発行 久米島切手解説書、立派?な茶色のホルダー入り、作成者は【フランクリン・ミント】です。弊社のセールでのお買い上げは、切手商組合加盟業者さんでF・Mintでは有りません。でも、素人のお金持ちに売るのなら、ネタとすれば良い物でしょう。化粧して付加価値を高める作業をやったのなら、中々に達者な商売だったかなと思います。起点が昭和51年(1976年)の阪急百貨店、終点が今月のヤフオク、その間に弊社のオークションが入ります。48年の時空の中に3回のディールが有ったのです。キーになるディーラーさんはよく知っている相手だし、勿論話も出来るのです。来年2月頭に会うので、その時に聞いて見ようと思います。うちのオークションで買った、久米島シート、フランクリン・ミントに売ったの?数十年経過の商売なので、多分正直に答えてくれると思います。
ヤフオク!の落札値は316,000円、今の相場は単片で15万なら当たり前に売れるでしょう。だから落ち値としては滅茶安だと思います。その理由も分かっています。不思議な現象なのですが、合理的に説明が出来てしまうのです。オークションに於ける心理学です。ヒントはかつお釣りのシートです。テーマとすれば久米島よりも数倍は面白いネタが有るのです。楽しみながら書いて行きましょう。ちょっと焦らして、私しか知らないシート分割話に飛びますよ。大白20銭と25銭のシートをぶった切ったのです。