発端は、今年1月の報道でした。ヤフオクでの切手の模造品が取引され、それが【郵摸】で摘発されたというニュースでした。予想外でしたが、嬉しいニュースでした。被摘発者の代表に富山の男性という情報が有りました。恐らくはヤフオクでの素っ頓狂な偽物を反復、継続して出品している、ID tsumekome・・・さんだと思います。摘発者は警視庁・保安課でTVや新聞でその一部を見ることが出来ました。まさか、【郵摸】での摘発とは正直期待していませんでした。【郵摸】は違反者を摘発をするのが目的の法律だと思っていなかったのです。マスコミに出た画像は、なる程と納得できる物でした。でも1点気になる物が有りました。「東芝ゼロ円」です。ヤフオクに出品されたときから気づいていたのですが、tsumekome氏の出品物はそれの現物でなく、ごく最近作った、光学機器を用いたリプリントだと思います。ビードロの摸刻、現行切手への悪戯と同じく、【郵摸】でアウトの物で間違いないと思います。その根拠は既に詳しく書いています。でも、ちょっと気になったのが、「東芝ゼロ円」のオリジナルを誤解しないかという事でした。この時点で、横浜の古物商が、馬鹿げたやり方で本物をヤフオクに出しまくっていましたから。【郵摸】の条文と現物の性質を慎重に読めば、これは【郵摸】に該当しないのは明らかです。作られたのが昭和41年で、【郵摸】施行が47年12月なので、法は遡及できません。また、【郵摸】に基づく物では無いのですが、作成時に郵政大臣の許可を得ています。どう見ても合法なのです。全郵普の90年スーベニア―と同じです。そして、【郵摸】で摘発できるのは、違法物を扱った場合に限ります。かなり対象が限定されているのです。

郵趣に関してはド素人の横浜の古物商、「東芝ゼロ円」は貰ったか、廃紙を拾ったのかしたのでしょう。千載一遇のチャンスだと舞い上がったのだと思います。実際に良い値段で売れました。下邑さんの印紙のカタログには20万の評価で出ています。かつてこれがマーケットに最初に出た時に動いた値段がそれでした。その後オークションに散らほら出て、10万位で落ちていました。縁あって私の手元にある程度の量が来た時は、5万位が相場だったと思います。ゼロ円も二本バーも、私が扱った時点で、絶対的に合法物だという確認を取って売っています。

5月の報道で吃驚です。マスコミにでかでかと「東芝ゼロ円」が出ていました。【郵摸】で摘発されたのが53歳、横浜の古物商、ヤフオクで1000万以上を荒稼ぎ、そしてお気の毒にこの人の出品物を買って、転売した人たちも芋ずる摘発です。「東芝ゼロ円」が【郵摸】に該当しないことは確信が有りました。超一級の裏付け資料が有ったからです。だから、警視庁・保安課に電話した上で資料を手紙で送りました。無視されるかなと思ったのですが、電話で返事を貰いました。保安課の広報担当の方でした。ご機嫌の口調で私の問いに答えてくれたのです。1月の件では、富山の男性が、5月の件では横浜の古物商がターゲット、「東芝ゼロ円」を【郵摸】違反で摘発したと明言していました。当然ながら私は聞いたのです。リプリントは【郵摸】に触れるけど、オリジナルは合法でしょう。法の施行と物の製造は日付が逆なので遡及は無理でしょう。オリジナルをリプリントと勘違いしていませんか。富山は立件できるけど、横浜は無理ですよ。明瞭な答えが返ってきたのです。リプリントもオリジナルも両方ともに【郵摸】で立件できる。オリジナルに関しても、【東芝】のみが、自動取り揃え押印機のテストに使う場合に於いてのみ合法であり、それ以外は全て違法だと言うのです。警視庁の保安課の刑事が夜も寝ずに捜査して、書類を地検に送っている。当然ながら起訴されて有罪になるに違いないという主張でした。そしてこの法的解釈は、警視庁でなく、郵政省郵便課に書面で送って、顧問弁護士の確認の上で書面で返事を貰ったので自信があるという事なのです。

【郵摸】の法文を読んでも、この法律に於いて合法な物を、特定の属性を持つもの以外がその目的に反して販売した場合に処罰するとは書いていないのです。警視庁の解釈は法理論として滅茶苦茶です。マリファナなら、医薬品として使うなら合法、それ以外は違法だと薬事法?に書いてあると思います。「東芝ゼロ円」を扱った横浜の古物商が法に問われるのなら、【郵摸】でなく、ネコババ=占有離脱物横領か、所得税法違反位だと思うのです。窃盗・横領・背任は実際問題無理でしょう。幸いにも電話で話が出来ているので、論点を絞れているのです。「東芝ゼロ円」の東芝以外の第三者の販売が【郵摸】に抵触するか否かを法的に判断したいのです。警視庁にこれ以上問い合わせるのは無意味です。【総務省郵便課】が書面で【郵摸】に触れるという返事をした故に摘発したのだからです。この件を聞くべき相手は、総務省・情報流通行政局・郵政行政部・郵便課です。だから。7月1日にレターパックで書面を送り、翌日に到着したことは確認済みです。でも、今日の時点で返事は来てません。【郵摸】は、公訴時効が3年、必要弁護人事件では有りません。地検の判断はまだまだ先だと思いますが、どう考えても検事は起訴は出来ないと思います。一般的な数字なのですが、書類送検されての起訴率は38%に過ぎないのです。起訴された場合の有罪率はほぼ100%ですが、検察事務官が法律をチェックして、財務省印刷局に問い合わせれば物の性質が分かります。上司は100%有罪の確証が無いと決裁を通しません。横浜の古物商には余り同情を感じないのですが、同時に摘発された、40歳代の女性の事が気になるのです。ほんの数点のゼロ円をヤフオクで落として、小遣い稼ぎ?に転売したら、警察から呼び出され、家族や勤め先に知られたらどうなったのかな。ヤフオクのへんてこな物でボロモウケの輩を懲らしめるというチクリの投書が発端かも知れません。そのこと自体は善なる行為でしょうが、無実の罪で法の場に引っ張り出された人の気持ちを思えば、放置はできないのです。ヤフオクでの【東芝ゼロ円】シャットアウトは、【郵摸】が根拠では有りません。マスクの転売禁止と同じでしょう。ヘンテコなラベルを売っての大儲けが怪しからんという判断なら、それは理解できなくも無いのです。でも、手彫のおもちゃを流通も同時に止める事の方が大事でしょうが。

総務省・郵便課には、まず電話して名乗った上で、警視庁・保安課から紹介された旨を知らせて書面を送っているのですが、3週間経過しても何らの反応も無いのです。かつての郵政省の時代なら我が事としての対応がされたかも知れませんが、郵便切手は民間私企業の証紙です。郵便課は監督官庁であっても、お役所のステータスとしても随分と下部に位置する立場でしょう。これ以上返事を待っても仕様が無いと思います。幸い、総務省にはコンプライアンスの部署が有るのです。そこに通報して返事を待ちましょう。芋ずるの一番下で、無実の罪で、とばっちりで摘発されて警察のお世話になった人、もしそのことが原因で人生が変わってしまったなら、アメリカなら大変でしょう。数億円の損害賠償の訴訟の対象になりかねない事案だと思うのです。総務省監察室の返事を貰え次第ここで公表いたします。