昨年末に亡くなられていて、直ぐご連絡を頂いていた方でした。ご本人からも諄いほど頼まれていたし、ご遺族とも面識が有りました。物は勿論知っています。処分の手段はオークションが唯一の選択肢だったのです。後はタイミングだけなのですが、コロナで頓挫していました。JAPEXセールへのデッドラインが迫ってきたタイミングで再度のご連絡を貰いました。文献を含めれば結構なボリュームなのですが、コレクションの本体はボストーク2冊だけ、見事にはみ出た物は処分済みだったのです。能面50円の右書きは少し前にプライベートのディールをお手伝いしたのですが、最後の最後まで持っておくと言われた1点が見当たりません。桜10円の銘10の未発表の目打ち形式です。正規では無いのですが、逆向き目打ちのエラーなら有りうるしその特徴も出ています。現物が出てくれば、評価を世に問いたい物なのです。
本体のコレクションは、産業と透かし無、これは完璧に残っていました。生前最後に拘られていたのが、産業図案時代の【速達・急速便】、じっくり勉強してJAPEXセールに並べます。コレクションは随分と見せられたり、聞かされたりしたものが多かったのですが、改めて見つけた物が2点有りました。良い物です。
産業穂高16円、女工15円貼航空便香港宛 基本16円+第一地帯宛の15円増料金です。雉や立山なら派手さで目立つのですが、希少性ではこちらの方が遙かに上でしょう。見事な適正貼です。検閲テープの剥がれは、私は気にしません。もう1通の方が更に珍しいかも知れません。一見して分かりにくいし、実際にご本人も「日専」の料金表を手繰って見つからない、何だろうと言っていた物なのです。旧日専には出ていないのですが、他の文献には出ています。そして普通切手専門カタログVol3にも掲載されました。印刷物等の100グラムまで航空便南アフリカ宛です。第五地帯宛の10倍重量で、基本が50円迄毎5円の10円・増料金が41円x10で420円です。瞬時で判らなくても当然でしょう。
このカバーは行き先を遺言状?に記されていました。手書きなのでご遺族では読めなかったのですが、私は瞬時に分かりました。420円貼の南ア宛のカバーは●●●さんに差し上げてください。良い選択だと思います。ご遺志に従って、本日発送いたしましょう。対象がどなたかは私はしゃべるつもりは有りません。