最後のパートに入ります。郵便条例での第1種3銭料金は、32年4月1日から33年9月30日までです。必然的に物の数も限られてしまいます。手元に残っている物は全て管内宛です。21条の受け取り拒否の直配達が【在庫は17点】です。
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京都郵便電信局管内発着なので、極めて安定した貼り合わせです。6銭分を貼って、京都未納消、21条前半の付箋付、拒否されて3銭分を加貼り、京都未納消しで、21条後半の拒否の付箋貼りです。貼り合わせですが、額面は複数ですが、何れも菊切手を1枚以上貼っています。要するに京都局に配給された菊切手がどの額面かということになるのです。4銭と1銭が基本で、3銭茶も少しあります。2銭は全く見ずに、U小判2銭がずっと使われています。17点の内のトピックですが、今出川宛が数点、付箋を21条後半とすべきところを22条とした物と最後の付箋漏れが1点有りました。ヒューマンエラーなので大きい影響は有りません。
21条の受け取り拒否での「試配達」が【在庫は3点】有りました。
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管内宛の試配達は会計勘定的には論理矛盾です。本当にそうかと調べたのですが、何れも21条前半の付箋無し、全てが五条局の徴税注意の付箋付、貼り合わせは新小判8銭+菊1銭、消印は京都未納の1印消しなので、確実に試配達だと判ります。支局宛がミソかも知れません。
22条が【在庫は5点】でした。何れも直配達です。
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21条前半の付箋を貼って、6銭貼り、京都未納消、最後の付箋が22条になっていて、未納税6銭徴収せよ=最初の6銭でOKが3通、最後の付箋が21条の後半の物を流用、「納税ヲ拒ミテ」を墨で消して、郵便税9銭を6銭に訂正、条文は21条のままにした物が2通でした。二十一を二十二に1本足せば良いのですが、余計なことはやりません。
じっくり読みなおせば幾つか訂正や書き洩らしが有ると思います。それは追々やりましょう。取りあえずは、是にて完。
今回の記事を書くにあたっては、片山氏と古家氏の論文上の仮説(宿題)が大いに参考になりました。那須エンタの山をアナライズするまでは、解明できていない大きいポイントが2点有りました。一つは筆×の意味です。これは既に書き終えたと思います。基本のルールとしては、会計上の処理の問題で、止む無き損金処理を示しています。現象で言えば、管外宛の郵便物の配達不能での欠損です。受け取り拒否は複数ある要因の内の1つです。大多数では有るのですが、全部では有りません。もう一つは、試配達と直配達が区別できるかです。徴収注意の付箋の有無と未納印の局名の有無、未納印の印色と字体、貼付切手の貼り方等で、タイムラグが判るケースが有るのですが、今回のマテリアルでは、京都郵便電信局管内分は100%明快になりました。管外も1点を除いて判明しました。直配達の場合は、「21条前半の付箋」を必ず貼るのです。郵税の請求・納付時の請求書兼領収書です。)試配達は貼りません。無いことを証明の根拠に使うのは若干弱いのですが、総合的に判断すれば大丈夫です。殆ど紛れは起きないと思います。丸一時代になってからは、更に明瞭になっています。付箋への条文の明示は那須浄説さんの知恵のおかげでしょうか。
一つのチャートを書いておきましょう。これを頭に入れて物を見れば、簡単に分類できるのです。
2銭時代 21条 直配達 2×2+2=6銭、21条 試配達 0+2×3=6銭、22条 直配達 2×2+0=4銭、22条 試配達 0+2×2=4銭
3銭時代 21条 直配達 3×2+3=9銭、21条 試配達 0+3×3=9銭、22条 直配達 3×2+0=6銭、試配達は現品無しですが、0+3