最も在庫の多い分野です。基本的な取り扱いは、引き受け部署で捨印を押して、配達部署に回し、倍額4銭を貼って未納で消印、拒否されて戻って来て2銭を追加で貼って、那須浄説さんに戻すのが正しい取り扱いの流れです。条例及び、取り扱いの規定遵守で紛れる要素は無いはずです。でも、結構面白い例が見つかりました。◎時代の付箋には、条例名の記載は全くないのですが、今回のカテゴリーには全て明示されています。在庫品の該当期間は22年10月23日~32年2月22日になりました。数が70数点有りますので時期を2区分いたします。未納(不足も)に局名が入らない27年2月20日までと、21日以降です。
未納・国名無しの内、京都郵便電信局管内便は【在庫35点】です。
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これ1点だけが旧小判4銭貼で、他は新小判4銭を貼、後の貼足しはU小判2銭です。五条・今出川宛は【在庫5点】です。
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本局内も支局宛も、全てのアイテムで、当初に21条前半の「此郵便物未納税二付郵便条例二十一条二依リ郵便税四銭集配人二渡サルベシ 京都郵便電信局」の付箋貼りで4銭切手を貼っています。最終段階で、21条後半の「付箋之通納税ヲ拒ミタル二付返却ス郵便条例第二一条二依リ郵便税六銭集配人二渡サルベシ 京都郵便電信局」で完結です。マイナーバラエティーですが、本来は局名入りで有るべき、27年3月1日と3月23日に、局名無しが使われているのが唯一のトピックです。
局名入りの在庫データは27年5月16日以降です。本局宛が【在庫24点】
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五条・今出川宛が【在庫6点です】。会計勘定としては、本局内も支局宛も、未納郵便物の扱いとすれば、条例21条の前半部で受取人が受け取れば倍額の4銭、拒否されれば3倍の6銭、拒否でない不在還付なら22条で倍額の4銭を局が受け取るので、当初の配達時に倍額の4銭を貼っておけば、還付不能を除けばとりっぱぐれは無いのです。だから事務処理はこの流れでやられます。後に出て来る、管外宛での損金の恐れは有りません。直配達であり、当然ながら普通はこの扱いをしています。
でも、違う扱いの例が見つかったのです。「試配達」です。
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五条・今出川宛が【在庫5点】、本局宛が【在庫1点】です。前述の、21条前半の「4銭渡サルベシ」付箋を貼っていません。その代わりに、徴税注意に類する付箋が有るのです。クールに考えれば、管内便では支局宛も含めて、会計的には試配達は不要です。未納の処理をせずに、受け取るか否かをわざわざ聞きに行っているのでひと手間余計にかかっているのです。五条と今出川は支局なのでまだしも判りますが、七条は本局その物の管轄です。なぜ試配達なのか、理由は判明いたしません。直配達と試配達、もっと区別が判りにくいのかと思っていたのですが、誰でも明瞭に分かります。直配達はしっかりと2種類の付箋を貼って、その意味も付箋に書いてくれていますから。試配達パターンは色々ですが、今回のグループの場合、直配達ならば、最初に21条前半が根拠の付箋を貼ってくれているので、それがない物が試配達だと思ってカバーを見れば良いのです。間違う心配は無いと思います。有る事による証明でなく、無いことが客観的に立証してくれています。
今回は、地味なバラエティーですが、次回以降は更に色んなパターンが出て来ます。22条・管外宛・試配達・3銭料金、想定の形式に収まらない使用例も幾つも有るのです。でも、強調したいのは当時の京都郵便電信局、きっちりと仕事をしています。多くの試料を分析できたからこそ分かった知識なのですが、那須さん対策を見事に取ったと見られるのです。