今回の100冊のコレクションに於いては、基本的に1次昭和以降なので、昭和12年5月10日以前の物は皆無です。場違いな竜48文が1枚だけ有りました。新しいところも、概ねゼロ付までと言って良いでしょう。R字入り以降は5~6年前に弊社のオークションで処分済みです。
昭和12年~27年に拘って、有るべきはずの盲人用点字を調べてみました。ベンチマークは、Star Auction No37、2016年12月4日開催のカタログを参考にしました。料金体系は別表の通りです。
これにクロスして、切手にフォーカスした適正期間をリストにしたのです。単貼の適正切手・適正期間=料金合致で次シリーズ発行前が今回のコレクションのアイテムのデータの並びです。コレクションは、基本的に1額面ボストーク1冊です。整理の仕方が統一されているので、ターゲットを絞れば、探したいものは簡単に見つかるのです。10冊のアルバムから、第4種点字を狙い撃ちして抜きました。全くストレスフリーに見つかったのです。
①1次昭和5厘 12.11.1-17.3.31 大河原欽吾宛 高松13.2.27 適正
②1次昭和1銭 17.4.1-17.12.31 佐藤淳宛 熱海17.11.27 適正
③2次昭和1銭 18.1.1-20.3.31 西村三吉宛 伊豆長岡19.9.7 適正
④2次昭和3銭 20.4.1-20.8月頃 村谷昌弘宛 箱根湯本20.8.14 盾3銭発行前なら適正・多分大丈夫でしょう。
⑤3次昭和3銭 20.8月頃-21.7.24 幣原喜重郎宛 失明軍人発 鬼石21.3.5 適正 点字書状+読み下し文付き
⑥3次昭和5銭 21.7.25-22.3.31 村谷昌弘宛 阿倍野21.10.23 適正
⑦1新昭15銭 22.4.1-23.6.30 尾関君宛 長野23.6.29 適正
⑧2新昭50銭 23.7.1-24.3.30 村谷昌弘宛 西陣23.12.19 適正
⑨無透80銭 26.5.21-26.10.31 大河原欽吾宛 局不明26.8.20 何とも言い難し・惜しい!!!
⑩無透1円 26.11.1-27.8.10 大河原欽吾宛 小石川28.11.20 後期使用 パーフェクトならず
郵趣用語でalternate useというのが有るのです。代用使用です。点字便では、2昭3銭が適正の時の2昭1銭3枚貼、2新昭50銭が適正の時の、3次昭和50銭貼といったケースです。やむを得ないケースも多いのですが、一流のコレクションを目指す場合は、これすら排除すべく努力するのです。カバーとしてのルックス、消印可読に拘って、明らかにバージョンアップを図られていました。コレクターとしての真摯さ見て取れるのです。お金で買える物だけで満足してはこの並びにはなりません。点字便の場合は、コレスポンデンス=同一の宛名便と中身付きが好ましいのですが、このポイントでも条件は満たされています。切手の後使いや、複数貼りを排除した完璧な適正使用例に拘られていたのでしょう。⑩の無透1円だけは残念ながら次のシリーズの発行後になりました。あとの物は貶しようが有りません。。買わない理由が見つからないマテリアルです。オークショニアとしては最高に贅沢な仕事をさせて貰っています。ここからはみ出た物は、勿論たくさんあるし、単貼りでない1種多数貼などは、捻り方次第で珍品に出世するでしょう。次回は、もっと衝撃的な物を見せましょう。2点共、料金表には出ているのですが、無い物と思われていたものなのです。乃木バカくん、元気になってくれるかな。