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日本郵便料金大系

前回に書いた、alternate useのカバーをお見せしましょう。前島15銭が適正期の飛燕5銭3枚貼、ゼロ付前島1円が適正期の、2新昭50銭ペア貼と1円貼。厳格に突き詰めた郵便史でなく、トラッドで切手の盲人用4種便使用として見せるのなら十分だと思います。ルックスが良いですから。

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乃木2銭のアルバムは2冊有りました。ゲーベルのブックに入っていたエンタを見て、思わず料金表を調べたのです。日専等の基本のチャートにも載っているけれど、誰も気に掛けず、そんな使用例が有るとは想像が出来なかったカバーです。外信便の盲人用点字印刷物=点字文はUPU規定でも印刷物で通ります。昭和12年4月1日ー20年3月31日なら、1kgまで毎で2銭です。適正切手は乃木2銭。有ると思って探したのでなく、物が目に飛び込んで来たので、まさかと思って調べたのです。文句なしのマテリアルです。

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もう1点は、現行のCTOの山に埋もれていた1枚のメモでした。「現行党必見!! 聴覚障害者用小包」。この人のコレクションの場合、「資料が有れば物が有る」。例外は皆無です。だから探しました。郵頼戻しのカバーの束から葉書が数枚出て来ました。改めて、鳴美の大冊をめくったら、しっかり出ていました。説明はパンフを読めば一目瞭然。でもこのメモの筆者がどなたかは判りません。

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第4種盲人用点字

今回の100冊のコレクションに於いては、基本的に1次昭和以降なので、昭和12年5月10日以前の物は皆無です。場違いな竜48文が1枚だけ有りました。新しいところも、概ねゼロ付までと言って良いでしょう。R字入り以降は5~6年前に弊社のオークションで処分済みです。

昭和12年~27年に拘って、有るべきはずの盲人用点字を調べてみました。ベンチマークは、Star Auction No37、2016年12月4日開催のカタログを参考にしました。料金体系は別表の通りです。

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これにクロスして、切手にフォーカスした適正期間をリストにしたのです。単貼の適正切手・適正期間=料金合致で次シリーズ発行前が今回のコレクションのアイテムのデータの並びです。コレクションは、基本的に1額面ボストーク1冊です。整理の仕方が統一されているので、ターゲットを絞れば、探したいものは簡単に見つかるのです。10冊のアルバムから、第4種点字を狙い撃ちして抜きました。全くストレスフリーに見つかったのです。

①1次昭和5厘 12.11.1-17.3.31  大河原欽吾宛   高松13.2.27     適正

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②1次昭和1銭 17.4.1-17.12.31  佐藤淳宛     熱海17.11.27     適正

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③2次昭和1銭 18.1.1-20.3.31  西村三吉宛    伊豆長岡19.9.7    適正

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④2次昭和3銭 20.4.1-20.8月頃  村谷昌弘宛    箱根湯本20.8.14   盾3銭発行前なら適正・多分大丈夫でしょう。

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⑤3次昭和3銭 20.8月頃-21.7.24  幣原喜重郎宛 失明軍人発 鬼石21.3.5 適正 点字書状+読み下し文付き

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⑥3次昭和5銭 21.7.25-22.3.31  村谷昌弘宛   阿倍野21.10.23    適正

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⑦1新昭15銭  22.4.1-23.6.30  尾関君宛    長野23.6.29     適正

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⑧2新昭50銭  23.7.1-24.3.30  村谷昌弘宛   西陣23.12.19     適正

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⑨無透80銭   26.5.21-26.10.31  大河原欽吾宛  局不明26.8.20    何とも言い難し・惜しい!!!

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⑩無透1円    26.11.1-27.8.10 大河原欽吾宛  小石川28.11.20    後期使用 パーフェクトならず

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郵趣用語でalternate useというのが有るのです。代用使用です。点字便では、2昭3銭が適正の時の2昭1銭3枚貼、2新昭50銭が適正の時の、3次昭和50銭貼といったケースです。やむを得ないケースも多いのですが、一流のコレクションを目指す場合は、これすら排除すべく努力するのです。カバーとしてのルックス、消印可読に拘って、明らかにバージョンアップを図られていました。コレクターとしての真摯さ見て取れるのです。お金で買える物だけで満足してはこの並びにはなりません。点字便の場合は、コレスポンデンス=同一の宛名便と中身付きが好ましいのですが、このポイントでも条件は満たされています。切手の後使いや、複数貼りを排除した完璧な適正使用例に拘られていたのでしょう。⑩の無透1円だけは残念ながら次のシリーズの発行後になりました。あとの物は貶しようが有りません。。買わない理由が見つからないマテリアルです。オークショニアとしては最高に贅沢な仕事をさせて貰っています。ここからはみ出た物は、勿論たくさんあるし、単貼りでない1種多数貼などは、捻り方次第で珍品に出世するでしょう。次回は、もっと衝撃的な物を見せましょう。2点共、料金表には出ているのですが、無い物と思われていたものなのです。乃木バカくん、元気になってくれるかな。

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懐かしく思えるマテリアル群です。何時か見たことが有り、ぼやっと頭に残っています。自分が扱った物と、物が動いた時の姦しい騒動を思い起こすのです。今となれば、物の素性をとやかく言う人はいないでしょう。みんないい物だと思います。これが一か所に有るという事に感動しています。今回の紹介品は見覚えが有る物ばかりです。これ以外にも、見慣れぬもので、多分、同類と思しきものがやたらと目に付いているのです。色んな個所に散っているので、とても全部は見切れません。エッセイ・プルーフ・アーカイブ・・、まさか単なる写真だと思って、見落したり捨てることは無いと思います。メモと資料が結構セットになっていますから。

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2次昭和27銭靖国神社 適正使用

20年2月2日~3月31日の第1種7銭、書留・速達が各20銭時代の使用例です。文句なしの適正使用が5点揃いました。裏に書かれている、お値段を論じるのは野暮、オークショニアとすれば並べ順を考えるのです。他の額面も基本的にこんな感じで揃っています。眺めていても飽きが来ないコレクションです。

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10点の灰勅目打ち有りエンタ

今回のコレクション、全体で段ボール29箱です。それ程のボリュームでは無いのです。文献や雑品が9箱、これは粗方分類できました。文献は、要る物だけが残っていたのです。黒いボストークアルバムが、ぼぼ200冊、丁度半分が超現行のCTOです。リーフにギッシリ貼りなので、額面で幾らになるのでしょうか。業者が作った物や、消印グループ製もかなりあるのですが、ご本人の郵頼品も半端でないぐらい有りました。花貝文化財以降の普通切手は勿論ですが、干支・グリーティング・シール・年賀がやたらと多いのです。特定のテーマへの拘りの強さが見て取れます。本体部分もほぼ100冊、シートファイル含めてですが。ざっと見ても、コレクターの執念というか、狙ったテーマへの拘りが半端では有りません。

昭和切手のシートは、北海道の前原松夫さんから、昭和57年に大きいロットを買われています。明細も残っています。戦後では塔30銭はかなりのレベルです。昭和切手を台にした暫定沖縄は、伊吹コレクションが目立ちました。南方は、プラーベートのオファーで買った、ミロ・デビット・ロウエルのカバーが光っています。全般的に、エンタで目を引いたのが、盲人用点字、有るかな?で探した物は、皆有ったし、目を疑った物も入っています。戦前の外信便・中身付きです。郵便料金表には出ていますが、収集テーマとしては、一般的には無視されています。無いと考えて当たり前だったのです。これは多分、発表をされていないと思います。少なくとも私は知りませんでしたから。未使用の製造面では、能面50円、思わずワンフレの作品を作りたくなりました。エンタでは、靖国27銭と勅額10銭、その一端をお見せしましょう。特に灰勅に関しては、オフカバーの使用済と、未使用での製造面のバラエティーも充実しています。関連資料が見やすい形でくっついているので、分類の助けになるのです。じっくり勉強しながらオークションの出品記事に生かしたいと思います。灰勅のエンタ10点、重品はゼロなのです。

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無目打エラー 2次新昭和

2次新昭和とすれば、多分、これが考えられるベストでしょう。螺鈿の2種は、お値段もそうですが、お買いになったプロセスが中々に面白いのです。書くとちょっと差しさわりが有るのですが。45銭も良い物ですが、残っている数からして、昭和48年の3月の150万はご立派です。

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捕鯨の田型の使用済は、何度か出品して、やっと収まった物。単片の私製目打も達者なディーラーさんが見つけたものです。オークショニアレポートに書くか止めるかは、終わった瞬間に考えましょう。

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逆抜櫛型

何れも、カタログの評価を超えたマテリアルです。乃木の平台のそれは、現存1点のシートを分割したもので、勿論最大ブロックです。大冊の昭和切手専門カタログの評価は上下田型揃いで150万円になっています。評価者は、乃木バカ先生でしょうか。今回の物は12枚ブロックなので、単純計算で3倍、銘付のプレミアムをオンすれば500万かな?誰が買ってくれるのでしょうか。

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数字の1.5円の逆櫛(横抜)も最大ブロックでしょう。日本普通切手専門カタログでは、大人しい値段ですが、とてもその数字では収まりません。理想のルックスのマテリアルです。

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能面50円は、上記カタログでは、「306vaの逆抜櫛型目打は銘付田型が1点確認」になっていて➉銘田型で20万円の評価です。でもこれはちょっとお気の毒、3点存在の右書き印刷局⑦は、偶然にも、縁有って結構私が関わっていて、現状では最終所有者に収めているのですが、大雑把な評価では綺麗な田型で300万円です。こちらは、テレビの鑑定に奥様がご出演、評価もほぼその数字だったと思います。この放映の際に、切手部門のプロデューサーさんは、右書の印刷局を出すか、「逆櫛印刷局」を出すかを迷ったと聞きました。鑑定者=疾風さんの値付けを逆読みして、取引実績が明瞭な物にしたそうです。私の好みとしては、このマテリアルは是非とも同じオークションで2点並べて売りたいのです。

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他にも色々仕掛けられるので、オークショニアは楽しい時を過ごせそうです。まだ全く絵を書いてはいませんが。

悩ましき100面シート

この程、出品物として超一流のコレクションを一括で預かりました。1次昭和~1次円単位で、本体のボストークアルバムが約100冊です。フロアオークションレベルの物でも、1冊で100ロット、目勘定で1万アイテムを全てオークションで売却します。一応3年間位を考えています。知られていた名品は勿論ですが、何これ、物も有りました。80銭の盲人用点字・宛先最高・・でも切手大傷は、発表されていないのでは?

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オークションでの売り立ては順不同ですが、記録に残すことに意味が有る物を、ここにピックアップして行きましょう。今回の2点に引き続き、逆抜け櫛型・無目打エラー・銘版が2つ・アーカイブ・みほん・盲人用点字・農産物種子・塔30銭・勅額10銭・27銭適正貼等々です。全ての分野が御強いわけでは無いのですが、ここに書いた10のテーマでは、見事に揃っていたのです。弊社のオークション誌も、8月のセールからオールカラーに致します。フロア2冊・メール1冊の体制です。編集も楽になるし、出品物の並びもきれいに仕上げられると思います。今日から8月のセールの編集に入ります。