当ブログで紹介したマテリアルに関して、幾つかの情報が入っています。弊社への出品物としてのお問合せを頂いた、南方占領地・中国五省加刷・朝鮮字・支那字のロットは、危惧していたアメリカNYのフロアオークションでのお買い上げでは有りません。連絡をくれた人はフロアオークションへ出るような人ではなかったのです。住んでるのは西海岸の北部ですし。マテリアルの表面上の言葉ではきっちり一致したのですが、似て非なる物、だいぶレベルに差が有りました。ちょっとした情報源に聞いたのですが、問題の菊と小判の未使用大ブロックは、gone to Japanと確認できています。私の手元には、同じオークションでの落札品はFedEXでとっくに到着、まだ見ぬ珍品も、遠からず通関できるはずです。弊社に来るかどうかは未だ未定です。
来た場合に備えて、鑑定(前段階)の準備を整えました。XRFでの分析です。画像の1点目は菊5厘のL12、2点目は2銭のL12、3点目は3銭茶色L12のオリジナル、4点目が3銭の紫を薬品で抜いて灰色にした物です。1と2は、Pb=鉛の有る無で明瞭に区別が出来ます。多い・少ないの比較でなく、有無なので、紛れる可能性はないでしょう。3と4の脱色で色を完全に変えた物も、元素的には同一です。見栄えが違っても、顔料の元素の構成には影響がないようです。だから、黒の2銭が来たならば、此の手段を使えば、オリジナルのエラーか、薬品か光で色を変えたかの区別も出来ると思います。
もし、夢がかなったなら、刷り色のエラーとしては、スウェーデンの3スキリングバンコの色エラー以来のホットなニュースになるでしょう。1899年の新シリーズの菊切手、2銭・4銭・10銭がまず発行、2銭は最低額でこのシリーズのNo1、だから小判からの流れでの黒印刷というストーリーはどうでしょうか。該当の物は裏のリ付で、初期印刷の雰囲気です。エラーで有っても、46枚ブロックなので、独占はいけません。私が扱うならば、David Feldmanを使います。モナリザの2点目(本物の触れ込み)で商売しかかっている彼ならば、良いアイデアを出してくれるかも。3スキリングバンコは彼がきっちり売りましたから。20年程前の「改桜20銭リ」の時も、一瞬この手が頭をよぎったのです。100年超えての新種です。Davidなら2億かな?でも、日本はローカルカントリーだから、まずはギボンズに載せてから・・。ただあの時は、必須要件のRoyal Philatelic Soceietyの鑑定が「意見なし」に逃げてしまったので諦めました。仕掛けて物事を動かすにはタイミングが大事です。頭が切れてないとやれません。今回の菊の黒2銭なら、やってみせられると思います。Davidのオークションのアソシエイト=弁護士事務所で言えば、居候弁ですが、使える人間を知っています。彼と組んで私がやった仕事では、故川井清敏さんのイタリアンステーツのナポリ、別の人の紹介でブラックスワンのコレクションも彼経由でプライベートのディールで動かしているはずです。ここらは、自分では踏めないし、日本人の感覚では現金化は無理、日本市場を離れの人脈で商売するしか有りません。割と最近の話ですが、ロンドンの100歳近いお爺さん、ロン・ケーシーのロシアの船内印のコレクションも、彼から私にオファーが有ったのです。オークションで扱わない?ロシアの葉書の年号二字の船内印は、この逆ルートでケーシー爺さんに売りました。でも、ロシアのコレクションは日本で売るのは無理なので、一言でノーと言いました。結局、当初の思惑通りに、David Feldmanでネイムドセールの1冊で売り立てられました。結果は興味がないので判りません。漏れ聞く話では、ケーシー爺さんは家族仲が宜しくなく、オークションの売り上げは、2人の息子に一切やるな、どこかに寄付しろの遺言だったとか。
それはさておき、菊の2銭の珍品は、気持ちが燃えているうちに、直接の当事者でなく、オブザーバーとして動いてみたいと思います。他の人よりも海外のキーパーソンとの付き合いが有りますから。1~2週間中には物に接せられると期待しています。