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尋ね人

5月27日~28日に開催しましたPA97、MA85の別封のロットに紛れていたカバーです。併催のバザールでのお買い上げ品と思われます。お心当たりの方ご一報下さい。

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渡辺版 川瀬巴水FDC

識者から連絡を貰っていた、標記FDCの偽物ですが、紹介できるデータが揃いました。まさか、こんな物に偽物が有るとは露知らず、だから私も完全にスルーして、今までに何点か売ってしまっているかも知れません。そういう目で見て、2点を比較すれば判ります。偽物も、その存在を知っていさえすれば危険な物では無いし、参考品として手元に置いておけば良いでしょう。真正品は、弊社の97回フロアLot37に出ています。偽物は海外からの出品で預かったのですが、それと判ったので、頼んで譲り受けました。画像の上が本物で、下が偽物です。区別法を記載いたします。

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本物は、カシェの文字が太くて背が低い・カシェの最下部が封の下辺に届き、0.1mmぐらいが裏に掛かっている・カシェは封に直接印刷してある・木版なのでルーペで見てもベタ刷りでドットは見えない。偽物は、カシェの文字が細くて背が高い・カシェの下部に白いスペースが有る・カシェは切抜カシェ=後での貼り付けである・オフセット(平版)?なので、黒部分のドットが鮮明に見える。私が見た範囲では、封筒には顕著な差異は見つかりません。偽物は、白封筒・消印は真正に作ったカシェを貼り付けた物です。出所からして、最近の製造でなく、発行から日を置かずに海外に出しているようです。くわしいルートは判らないのですが、巴水のそれが高く売れるからといって直近に作った物では無いようです。ヤフーで、巴水物がすっ高い値段で落ちるので、それを狙って誰かが作って売っているというのは、情報をアナライズできない御莫迦さんの妄想に過ぎません。複数点数が違うルートから流通の時期を同じくせずに、パラパラとして見つかっており、だいぶ以前に海外に出ていたようです。手元のデータを見ても、切手の貼付位置が違うので、発行の時点で作ったのではないようです。

渡辺版の場合、正規の物では私が扱った物は殆どが海外宛の実逓です。差出人も、渡辺規、前田晃、関雅方、池田稔等のお馴染みの名前が並びます。実逓には偽物は有りません。宛名を書く部分に余白が十分に有るのですが、偽物の方は実逓に供するには窮屈です。渡辺版画店はタッチするわけはないので、誰かが、白封の4管貼りのFDCを台にして、巴水のカシェを模造して貼り付けたという事になるのです。FDCコレクターの基準では、マイナスのスキャンダルですが、偽物に興味が有る物とすれば、大いにソソラレルのです。頑張って集めようと思います。データをお持ちの方のご連絡を待っています。渡辺のそれでは、子供博にもこれに近い偽物が有るのですが、よく似ているという以上の物では有りません。こちらは参考品のレベルです。

準備完了

当ブログで紹介したマテリアルに関して、幾つかの情報が入っています。弊社への出品物としてのお問合せを頂いた、南方占領地・中国五省加刷・朝鮮字・支那字のロットは、危惧していたアメリカNYのフロアオークションでのお買い上げでは有りません。連絡をくれた人はフロアオークションへ出るような人ではなかったのです。住んでるのは西海岸の北部ですし。マテリアルの表面上の言葉ではきっちり一致したのですが、似て非なる物、だいぶレベルに差が有りました。ちょっとした情報源に聞いたのですが、問題の菊と小判の未使用大ブロックは、gone to Japanと確認できています。私の手元には、同じオークションでの落札品はFedEXでとっくに到着、まだ見ぬ珍品も、遠からず通関できるはずです。弊社に来るかどうかは未だ未定です。

来た場合に備えて、鑑定(前段階)の準備を整えました。XRFでの分析です。画像の1点目は菊5厘のL12、2点目は2銭のL12、3点目は3銭茶色L12のオリジナル、4点目が3銭の紫を薬品で抜いて灰色にした物です。1と2は、Pb=鉛の有る無で明瞭に区別が出来ます。多い・少ないの比較でなく、有無なので、紛れる可能性はないでしょう。3と4の脱色で色を完全に変えた物も、元素的には同一です。見栄えが違っても、顔料の元素の構成には影響がないようです。だから、黒の2銭が来たならば、此の手段を使えば、オリジナルのエラーか、薬品か光で色を変えたかの区別も出来ると思います。

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もし、夢がかなったなら、刷り色のエラーとしては、スウェーデンの3スキリングバンコの色エラー以来のホットなニュースになるでしょう。1899年の新シリーズの菊切手、2銭・4銭・10銭がまず発行、2銭は最低額でこのシリーズのNo1、だから小判からの流れでの黒印刷というストーリーはどうでしょうか。該当の物は裏のリ付で、初期印刷の雰囲気です。エラーで有っても、46枚ブロックなので、独占はいけません。私が扱うならば、David Feldmanを使います。モナリザの2点目(本物の触れ込み)で商売しかかっている彼ならば、良いアイデアを出してくれるかも。3スキリングバンコは彼がきっちり売りましたから。20年程前の「改桜20銭リ」の時も、一瞬この手が頭をよぎったのです。100年超えての新種です。Davidなら2億かな?でも、日本はローカルカントリーだから、まずはギボンズに載せてから・・。ただあの時は、必須要件のRoyal Philatelic Soceietyの鑑定が「意見なし」に逃げてしまったので諦めました。仕掛けて物事を動かすにはタイミングが大事です。頭が切れてないとやれません。今回の菊の黒2銭なら、やってみせられると思います。Davidのオークションのアソシエイト=弁護士事務所で言えば、居候弁ですが、使える人間を知っています。彼と組んで私がやった仕事では、故川井清敏さんのイタリアンステーツのナポリ、別の人の紹介でブラックスワンのコレクションも彼経由でプライベートのディールで動かしているはずです。ここらは、自分では踏めないし、日本人の感覚では現金化は無理、日本市場を離れの人脈で商売するしか有りません。割と最近の話ですが、ロンドンの100歳近いお爺さん、ロン・ケーシーのロシアの船内印のコレクションも、彼から私にオファーが有ったのです。オークションで扱わない?ロシアの葉書の年号二字の船内印は、この逆ルートでケーシー爺さんに売りました。でも、ロシアのコレクションは日本で売るのは無理なので、一言でノーと言いました。結局、当初の思惑通りに、David Feldmanでネイムドセールの1冊で売り立てられました。結果は興味がないので判りません。漏れ聞く話では、ケーシー爺さんは家族仲が宜しくなく、オークションの売り上げは、2人の息子に一切やるな、どこかに寄付しろの遺言だったとか。

それはさておき、菊の2銭の珍品は、気持ちが燃えているうちに、直接の当事者でなく、オブザーバーとして動いてみたいと思います。他の人よりも海外のキーパーソンとの付き合いが有りますから。1~2週間中には物に接せられると期待しています。

FedEX

待ち人からの連絡は来ず、だから夢は未だ継続中、現(うつつ)の世界に戻る前に出来るだけ、獏の世界にいたいのです。千載一遇のチャンスですから、暇ネタを少し書きましょう。該当のロットは、フロアで落ちたのは確認済み、私が2銭をゼロ円で入れた上がハンマープライスなので、変なビッダーはただ一人しかいないのです。あのオークションで、あの類を買えるのは、私を除けば3人です。達者なアメリカ人が一人、日本人が2人、エージェントからのレポートが、場で落ちたという事で、日本人の一人は消えます。ボストンのアメリカ人が落したなら、則ご注進で、同時にアドバンスト・ペイメントの無心が有るのです。税金の支払いに追われているとの話なので、2銭の色とかでコレクションに残すはずもなく、買った物は則お金に変えるのです。新小判と菊の未使用の大ブロックをアメリカのオークションのフロアで落とす人ならば、出品するのは弊社になるでしょう。E-Bay・ヤフーはないはずです。

10日に、関空のFedEXから電話が有りました。心当たりは、かのオークションの別ロット、タイミング的にドンピシャです。FedEXは、数年前にAEOの資格を所得、簡便に通関が出来るはずですが、あにはからんや、矢鱈と厳しく言って来ます。今回の場合は、HS税番で97・04、日本製品の再輸入免税の関税定率法14-10で揉める要素は有りません。でも、FedEXは免税手続きを嫌がります。私の場合は、消費税本則課税業者なので、消費税は払って問題有りません。確定申告で差し引きで、取り戻すことが出来るのです。でも、本来支払う必要のない物を払って、後で還付をやれば、税務調査の時の説明で苦労するのです。弊社への調査は、オフショアの海外取引と、矢鱈と細かい消費税案件が多いのです。国際関係の消費税では無税・免税・非課税、国内では非課税と不課税を把握してないと駄目なのです。JPの大阪国際と川崎東なら、通関士さんの名前を聞けば、容易に話が通ります。免税要件は、「日本製」の証明に収斂するので、切手に於いて、何が日本製かを決めています。結論とすれば、日本切手カタログに掲載されている物で、基本的にOKです。ところが、FedEXや他のクーリエの場合、一から説明が必要です。琉球と満州、南方は、議論すれば日本切手では通りません。それに、ごく一部が外国切手の場合、案分してよ、は駄目なのです。だから、大人の考えで、1枚でも日本切手・印紙以外が入っていることが分かったなら、そのロットは、意図的に税付きのリクエストをするのです。乙仲にも、税関にも、税務署にも説明が出来るのです。私とすれば確定申告で取り戻すだけ、主張して、喧嘩して、果ては相談官を巻き込んでというのは、今はやらないようにしています。

今回の私の落札品は、100%日本切手です。そしてオークション誌とスキャンの画像で、全内容が分かっています。10日に連絡を貰って、即日40数ページのスキャンを送って、説明を5行ほど書きました。11日の朝一には、物が手元に届いていました。流石はFedEXです。つい今しがた、在米の日本人からメールを貰いました。数日前にオークションで落とした物を出品物として送った。内容は、占領中国と南方占領地・・・。私があのオークションで、8500ドルで入れて、9000ドルになった物と、言葉上では同じです。もしかして、彼がNYの場に出ていた?まさか!あまりにも出来過ぎの他人の空似でしょう。もしそうならば、「菊2銭黒印刷」が有ったか、無かったか、はたまた落としたか、数日中には結果が知れると思います。夢が続くのか、悪夢が目覚めるのか、あと数日の勝負でしょう。

 

追加の情報

先日のブログに対して、複数の方からメールをいただきました。現在進行形で、結論は出ていません。兎も角、物を直接目にできれば、恐らくは決着は付くと思います。同じオークションで私が落札した、電信切手の未使用を含むロットは、今日の段階で、FedEXで関空に着いています。小判と菊の未使用も、日本人の落札なら、ほぼ同じ動きのはず。落とした人からは音沙汰有りません。でも、むしろ夢を見ている間の方が書けるネタが有るのです。オークションのWeb.サイトで取れる情報をお見せいたしましょう。6点の大ブロック、さあ誰が幾らで飛び込んだでしょうか。ハンマープライスは安いのです。私が2銭をゼロと評価した数字の一声上ですから。

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ホットな情報

驚天動地な情報をお届けいたします。4月28日に開催された、アメリカの著名オークションハウスのセールで、それとは書かれずに、日本切手で世紀の珍品が出品されていました。日本語で説明致します。未使用の大きいブロック、状態はNHで美品。そして内容が、U小判1銭82枚ブロック(下部無)、新小判5厘96枚ブロック(銘版部分欠け)、新小判4銭上部39枚ブロック、菊5厘96枚ブロック(銘版部分欠け)、菊1銭96枚ブロック(銘版部分欠け)、最後が菊2銭46枚ブロック(銘版部分欠け)です。Web.で完全に画像が見られます。小判も菊も、低額で何れもシートが少ないながらも存在する額面です。何で銘版を切ったのかという、残念ロットに見えたのです。でも、吃驚ネタが有りました。

菊2銭が「黒印刷」なのです。目打は単銭12、これが、1点で出品されて、Web.で見て色が黒なら、ネットでの悪意なき色変化と思うでしょう。ところが今回の物は、6額面で1ロット、U小判1銭は緑色、4銭はオリーブ茶、菊1銭は茶色、そして残りの3種の新小5厘と菊5厘、更に2銭が「黒1色」なのです。Web.上のエラーで、菊の2銭の緑が黒に変わったとは考えにくいのです。ならば、日本切手の製造面のバラエティーとすれば、別の切手の印刷インキが使われたという初登場の大珍品になるのです。海外のケースでも、滅多にあることでは有りません。日本に限って言えば、乃木2銭の朱色の単線12=俗説では、東郷7銭の朱色での誤印刷が近いでしょうか。ステーショナリーの封緘葉書には、理解可能な誤印刷が有るのです。新議事堂5銭の色は紫ですが、その前の4銭時代の色が赤、この赤を5銭のそれに使ったのです。未使用しかないのですが、弊社のオークションとプラーベートで数回扱って、結構いい値段で売れました。出所がちょっとややこしくて、絶対にこれだけしかない・・という触れ込みだったのに、あとからどんどん出て来て、多分完封の一つは残っているはずです。物の素性が良いのですが、持ち主のマナーが気に入らないので、手元に来た10枚程だけをマーケットに出して終わり、にしていました。漏れ聞くところで、此のバラエティー、今年秋に出る日専のステーショナリーのパートに採用されるらしいのです。お話は面白いのですが、今となれば10日の菊、あんまり感動はしませんし、儲け話には興味はないし、欲ボケちゃんの為に、頑張って動く気にもなりません。

でも、菊2銭の「黒印刷」は、大いにソソラレルのです。オンタイムで情報を持っていて、勿論ビッドも出来たのですが、天使のささやきが有ったのです。変に邪魔をすることもないじゃないか、もっとやることが有るだろう・・・。2銭が誤刷のエラーの可能性と、何らかの間違いが原因でそう見える可能性、どちらが大きいかは誰も分かりません。それに菊2銭を抜いて評価してのビッドの数字は出せるのです。普通はそれで落ちるはず。2銭をいくらで踏んでオンするかは別次元で考えるということです。誰かが見つけていて本物と思えば、@5万円、46Bなら230万は入れるはず、それ以下の数字は無意味です。今回の条件なら、誰もが、知っているのは自分だけと思うので、事前の談合や調整は有り得ません。中途半端に入れれば負けるし、建設的な意味は何にも無いのです。誰も、知らなければ、菊2銭ゼロ円の評価で落ちるはず、一人が見つけて飛び込めば、私が出す数字は幾らで入れても、2番札=アンダービッドにしかならないのです。

私が落せば、躊躇なくぶった切り、菊のコレクターが買ったなら、独りで永遠に独占です。結果はWeb.での速報ですぐに知れました。物が届くまで、誰か一人は、ワクワク・ドキドキでしょう。今の私の関心は、物を見たいという事。自分なりに真偽の判断にタッチしたい気が有るのです。菊の2銭の「黒印刷」が、5厘又は1/2銭の刷色エラーなら、多分調べられると思います。XRFで元素を分析すれば、該当の試料が、5厘の顔料に一致するか、2銭=緑のグループに含まれるかの結果は出るでしょう。菊の色変化で有名な物が有るのです。3銭茶紫が、灰色に変わった物、使用済にしかないのですが、これはエラーでなく、アルカリ溶剤によるアニリン系顔料の脱色です。幾らでも作れるし、今回の未使用NH・美品の2銭には該当しないのです。別件ですが、XRFでの分析で、目に見えて成果が出て来ている物も有るのです。遠からず、手彫の和桜の分類と、議事堂5円の印刷所のバラエティーで決定的な論文が出るはずです。相当な量の試料を調べ、時間も掛けて分析が済んでいるのです。菊2銭の黒印刷は、入手から戸籍付まで、当事者としてでなく、オブザーバーとしての参加になりました。私の読みが当たっている可能性は、51%はあると思うのです。連休明けには、もうちょっと画像をお見せできるでしょう。それまでに、誰かからのメールも届いているでしょう。