月別アーカイブ: 7月 2015

本物でした。

ようやく、8月のオークション誌が入稿出来ました。引き続き、JAPEXセールと12月のPA/MAの編集にかかります。懸案のXRFの分析も随分進歩しています。文献の精読は終えたので、後は自分のテーマに必要なごく一部の要素を纏めれば良いのです。これからは現物に当たってのデータ採りなので、少なくても1000単位、実際は1万点ぐらいは調べます。基礎となるポイントを幾つか押さえれば、その後の分析の説得力が増すのです。この件は、回を改めて説明いたします。

しばらく前に、興味深い一群のマテリアルの分析依頼を受けました。「但馬国の初期消印」20数点でした。何点かは、ダメを承知で資料集めのために買っている。何れは、地元の郵便印の本を出すので、真偽の確定をしておきたいというご要望でした。XRFでの分析は、特定の一人が作った、極めて精緻なカバーや単片に限って、偽物の判断はできるのです。追々説明しますが、世の中に商業物質として存在しえない時代の元素が、その人物がマーケットに出した郵趣マテリアルから検出されれば、それは当時の正規な使用でなく、後年の偽物又は変造品に違いないという判断になるのです。その元素はTi=チタンであり、何時から正規の郵便印に使われたかを、月単位まで突きとめようとしているのです。印刷インキとの絡みや地域性でもう少し調査が必要です。でも、1920年以前には世界のどこにも無かったことは、あらゆる文献で等しく触れられています。確定している事実です。だから、現状でも竜から菊の時代にチタンが出れば、そのマテリアルはアウトです。この判断データはもっと後年まで使えます。ただし、Tiが出なければ、すべて真正になるかは確定できません。U小判2銭の後期12の、那覇ボタは偽印ですが、Tiは出ないのです。それを作った時代のインキに、Tiが入ってなかったからなのです。元より、私は最終の結論としての真偽の判定に関わるつもりは有りません。分析結果をチャートで提供するので、それを元にして、判断してくださいがスタンスなのです。この条件での分析をしたのですが、今回の一連のご依頼品からは、1点もTiは出ませんでした。

①は2010年1月の日本フィラテリックセンターのフロアオークションの出品物です。洋桜2銭チ貼 但馬大屋市場発、但馬竹田宛、消印は抹消印だけで、□但馬大屋町土田屋吉兵衛、出も受けも、実在の名前なのは、現所有者も確認済みです。但し、マーケットに売りに出た場所と、ルックスからして、本物の丁稚便に、本物の切手を貼って、偽消を押したとの疑念を持ったのです。局の沿革を言えば、大屋市場も土田(はんだと読む)も、7年12月16日の開局です。別の単片②の表示も、□但州土吉大屋だし、大屋市場か土田のどちらかで押した消印と考えても矛盾はないのです。出品者が誰なのかも分かりません。カバーとしては、情報が不十分なので、鑑定に出しても、意見は貰えても真実の保証は得られません。所有者の「照れ」でしょうか、駄目の証明が欲しいのニュアンスだったのですが、分析結果は「良し」になりました。このカバーの場合、Tiが出ないので、偽物とは断定できないという表現でなく、ポジティブに考えて良いと思います。その上に、立派な傍証が有ったのです。「フィラ関西・2010年5月号」③、高野昇郎氏の「最近のオークション誌から」です。2000年11月のKen Bakerさんのオークションに、2銭ホの単片に同じ(と思われる)消印の物が出ているというレポートです。この単片は上半分ですが、もう一点の単片と、同じ思想での作りになっています。偽物師がこの全てのデータを押さえて、偽カバーを作ったとは思えません。Ti無しが確認できれば、説得力も大いに増すのです。2004年・2008年に同じルートで入手された、但馬の初期のカバー類④⑤も、黒印からはTiが出ず、朱印からはHgが出ているので、XRF分析としては、全く問題は有りませんでした。地元印の場合は、偽を作る場合も、辻褄合わせの材料を見つけるのが容易ではないのでしょう。買う人がしっかり知識を持ち、データも押さえているのを偽物師も知っているのでしょう。

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ニセモノはだ~れ?

8月のオークションの入稿日が迫って来ました。ネタはたくさんあるのですが、本気で書けば4000文字コースです。今は時間が取れませんので短めで何度か軽めでやり過ごします。

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ニセモノはだ~れ?
正解は、KAGOSHIMA君でした。お買い上げ額は80,000円、時を経て、最近別のオークションに出て来ました。善意でのディールなので誰も責められません。作った人物を除けばですが。2次流通が始まっています。
久しぶりに、チャートをお見せしましょう。K・Caは印刷用紙の元素なので除いて考えます。それ以外の元素も、灰色の印刷インキをかなり読んでます。でも、Tiは、消印に起因して、この時も正規の郵便印には使用されていないと思われます。だからこれはダメ。ほかの物は分析の機会を得ていませんから、コメント出来ません。全部がダメではないのでしょうが。罪な話です。

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四者四様

XRF による分析ですが、対象とする試料によっては、強力な威力を発揮します。恐らくは、人の目で必死に見ても分からない物さえも、機械が提示する冷徹な数字で、確定できてしまうケースもあるはずです。ただ、それが可能だからと言って、私は人様の懐に手を突っ込んで、黑い物を抉り出す気は毛頭ありません。真偽の判定が必要なマテリアルをお持ちの方で、私が開示した情報に接した方でも、大雑把に言って、四種の反応が有るのです。①は積極的に、事実を知りたい、結果は受け入れるし、公の益の為なら、その事実を開示しても構わない人。②は事実の検証には協力する、但し、嫌な思いは忘れたいので、結果はオープンにしないで欲しい人。勿論、それはご希望通りにしています。だから、20点+のNGマテリアルを押さえても、ほぼ半数しか表ざたに出来ません。この制限が有っても、説得力の有る論文を書けると思います。数の多さには然したる意味は有りません。様は、事実を提示して、第3者を説得できるかですから。ここまでの人の場合は、該当のマテリアルは、黙ってそのまま持っているか、参考資料ということで私に永久に貸与してくれるかのどちらかです。ずっと一人で収集して来て、今の状況をご存じなければ動きようはないでしょうが、今後も別のメディアを含めて更なる情報を出しますから、遠からず世間的にも周知の事実になるはずです。それでも、③知らないふりをしているのか、あわよくば、売り逃げを狙っているか知りませんが、何の反応もない人が、人数的には最も多いのが残念です。更には、④完全にお一人で収集をやっていて、世間の情報にも一切接する機会をお持ちでない方も結構おられます。その収集マナーは物凄く寂しいでしょうに。

MSA・ヤフー・日フィラと、外形的にはオープンなマーケットで売られたものが多いので、何れも資料はかなり残っていますし、人の記憶にもインプットされています。このルート以外の物でも、今改めて見つめれば、筆跡とか、消印の滲みとかで、顔つきに特徴の有る物は、今後は表で売り物にすることは出来ないでしょう。知っていて売るのは論外ですが、100%善意であっても、最終の所有者が切手展に出せば審査員のチェックが入るし、遺品としてオークションへ出品する場合でも、今度は数多くの人の目を完全にスルーは出来ないでしょう。私のポリシーは、まず情報を公開して、その上で何をやるべきか考えましょうなので、自分が得た事実は、前提条件として、直接当事者のキャップが被さっていない限り、独り占めする気は有りません。分析機械も、無料で提供しますし、アポさえ取ってくれれば、立ち会って、その場での解析も可能です。こちらでは日程的な都合以外の条件は付けませんから、必要と思われる方はお申し越し下さい。前回の同一額面異種貼の不統一カバーの1年後のセールでした。日本フィラテリックセンターの第67回フロアセールのLot1958 2次昭和27銭単貼速達です。昭和20年には不釣り合いな綺麗で上等な封筒に、達筆の墨筆書き、冷静に見れば、この字体、どこかで見たような気もするのですが、それは思い過ごしの因縁です。最低値は6万円、20~30万でフロアで落ちました。2人で競ってましたから、まずまず相場ぐらいでしょう。結論に進みます。封筒の部分の消印と、切手上の消印からTiが出ました。速達の朱印からはHgが出ませんでした。昭和12年以降に酸化チタンが実用化された可能性は否定できませんが、今までの実績から見て、昭和20年の郵便印にはTiは入ってないと思います。結論としてこのカバーは、真正でないと判断せざるを得ないのです。墨筆の宛名文字と中身の手紙からは、Tiは出ていません。この部分の真偽は分かりません。このロットにはフロアの競りの時点でエクステンションのリクエストが掛かってました。このオークションの場合、鑑定は自動的に日本郵趣連合に回ります。2014年2月8日の「真正」のペーパーが付いています。関係者と問わず語りで話をしたのですが、差出人も受取人も、実在の人物であることは確認出来ているそうです。それは最重要のファクターでは無いのですが、逆にこの消印だけをフォーカスして、真偽の判断を求められても、可否を決するのは困難でしょう。特にダメを断定する根拠が無いのです。この位の印影なら簡単に作れる輩を相手にせねばいけないのです。もし、運よく、上甲子園局のデータが有ったとしても、比べても、寸分違わぬ同じ物という結論になるでしょう。単片上の未発表の消印なら、資料不足で「意見なし」も有りですが、カバーの場合、判断材料は十分なので、この逃げも打てません。突き詰めれば、消印一つの真偽のみで全体像を語らねばならない鑑定は、極め付けの達者な悪意を前提にはしていないのです。だから、現時点では私の機械の出番も有るでしょう。あくまでも、結論に導くための参考資料の一つとしてですが。

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次にお見せできるのは、有馬・切手博物館の所蔵品です。事実の公表の許可を頂いているので、包み隠すことなく書いていきます。今までの特別展示で、毎回話題に上っていたカバーの検証です。手元にあるMSAのオークション誌と、金井宏之コレクション集を対比して、4通のカバーの検証のオファーをしました。3通は、MSAの出品物、1点は、将来、別のカバーを調べるための比較データとして必須になるアイテムです。MSAの3通は、金井氏がご健在で、日本郵趣連合鑑定委員長在任の時の落札品なので、コレクションに入っているのは、鑑定書付と同意味です。179回 1996年5月18日締め切り。①Lot1126 竜500文貼 福山検査済 落札値220万、②Lot1127 竜半銭2枚貼 山形・和徳消 落札値65万、183回 1997年5月12日締め切り。③Lot2012 竜200文・2銭貼 西京検査済 落札値130万。姿からして、②半銭の山形は問題ないと思ったのですが、出所と時期ゆえに、分析に掛けました。抹消印2種からと、筆書き部分からはTiは見つからず、朱印からHgが出ました。問題ないと思います。①500文の福山です。福山検査済の封筒部、切手部、東京郵便役所印、十一月二日印、「未発表」タイプの郵便御用備後福山印からは、全てTiが出ました。墨筆からは出てません。封筒自体は真正か、白封筒の後書きかは、このケースでは不明です。消印は、全て偽物と思えます。念のためということで、福山の豊田陽則氏にお願いして、福山検査済のカバーと切手を3点見せて頂きました。何れも、当然ながらTiは出ていません。③200文・2銭です。西京検査済を世界で一番見ている人と雑談で話したことが有りました。正面切って聞いても、ストレートのご意見は聞けません。まあ、問わず語りの雑談でしたが、あれは駄目だよのニュアンスでした。西京の特有の針穴や、那覇ボタでも面白い話も有るのですが、こんがらがるので止めておきましょう。②ですが、西京検査済の封筒部分、200文上の消印部分、麹町郵便仮役所の消印部分から、Tiが見つかりました。干支印の東京郵便役所、墨筆からは、Tiは見つかっていません。朱印の西京郵便役所、午後便、朱筆書きからは、Hgが確認できました。この結果をアナライズして纏めれば、真正の使用済カバー=明治5年8月使用=西京・東京間400文料金の筆書き部分と、西京の証示印、東京郵便役所の中継印を生かして、切手2種を後貼りして、偽物の西京検査済で抹消、着印の麹町も偽印ということになります。出来はいいですよ。この人物の作品の特徴ですが、黒印の印油の滲みが有る物が多く、それが一つの指標になっているのです。このケースは微妙です。出来栄えからして見抜くのは無理でしょう。今から思えば、出来の良くない、500文の福山に、海外のコレクターからの依頼で私もビッドしていました。200万なので多分2番札でしょう。勿論エクステンションは掛けていません。まさか、カバーで偽物を作れるとは思っても見ませんでした。この機械と出会うまではですが。

fukuyama yamagata saikyou

『スタンプショウ=ヒロシマ ’15 ドラフト 余韻の即売

スタンプショウ広島2015 「ドラフト」余韻の即売
先着順に即売します。
金額には消費税を含んでいます。送料サービスです。
メールにて在庫確認の上、お申込下さい。

1 紅枠 半銭 イ 未使用 極小シミ 18万
2 紅枠 1銭 ロ 竹ヶ鼻検査済 30万
5 八日市検査済 1万
6 改桜1銭 ホ 2枚貼り 不足税 3.5万
7 ”封皮”長形2銭 イ KB2 加賀美川 6万
8 ”切手”角形2銭 ホ KB1 新潟 3.5万
9 和桜 半銭貼 イヘ1号 2.5万
10 新在家 売約済み
11 黄2銭貼 税不足 2万
12 東京ボタ 鏡字 8.5万
14 イヌ6号 売約済み
15 広島検査 5万
16 ナ18号 3万
17 ノ25号+上前板鼻宿 5万
19 洋桜2銭 ツ 早嶋 不統一 10万
20 洋桜2銭 子 吹屋検査 10万
21 改桜6銭 子 公用書留 6万
24 3種便 朝鮮仁川 空欄 5万
25 信濃御嶽山 2万
27 仏 船内印 2.5万
30 年2字 NIIGATA 6万
31 TACOMA PAQUEBOT 売約済み
36 朝鮮字入 10銭 SEOUL 30万
38 関東都督府絵葉 支菊1円貼 2万
39 菊5銭、大白5銭貼 売約済み
40 楕円紫満鉄印 5万
41 旧毛6銭 NAGASAKI 2万
43 印紙貼 書留 見なし通用 売約済み
45 台湾総督府 逓信局貯金台紙 4万
46 支毛20銭貼 4万
47 新毛7銭貼 FDC 4万
49 1次富士鹿4銭貼 YOKOHAMA 売約済み
50 1次富士鹿8銭貼 YOKOHAMA 売約済み
52 風景6銭貼 売約済み
56 海軍省副官 穿孔 売約済み
58 米宛 航空便 YOKOHAMA 売約済み
60 白抜 サ 2.5万
61 小判連合往復葉書 返信片 2.5万
63 薄墨連合往復 HANKOW 3万
64 支字桜連合 TSINGTAU 検閲 6万
67 菊軍事 櫛型 連奉間 3万
69 日露俘虜郵便 封上少裂 4万
70 ウラジオ 軍事郵便物 1.5万
71 チェコ切手貼 封緘紙貼 2万
73 教育勅語4銭貼 比島正刷混貼 売約済み
75 バタアン・コレヒ2完貼 名古屋宛 3万
79 3昭 50銭他貼 OSAKA 1.5万
80 秀山堂他貼 米宛 1.2万
81 1新昭他貼 TOKYO 売約済み
82 1新昭1円淡 田型貼 4万
84 2新昭2円ペア貼 OSAKA 1.5万
85 豪宛 OSAKAHIGASHI 1.2万
87 TOKYO CPO2? 1.5万
88 TOKYO CPO3 1.5万
89 126円貼 英宛航空便 1.5万
92 印刷物 航空便 米宛 2万
93 印刷物 航空便 米宛 2万
94 538円貼 航空書留 米宛 2.5万
95 機関車500円2枚貼 3万
97 平等院30円貼 1.2万
101 青風神90円貼 書留速達 2万
102 発光7円貼 機械年賀 5万
103 絵はがき 米宛 サイズオーバー 1.2万
104 旧ふじ貼 1万
106 松20円貼 FPO宛 売約済み
107 芦ノ湖 18銭貼 航空便 福岡宛 売約済み
108 KARUIZAWA 1.5万
109 0付立山75円貼 エアフラ便 4万
112 0無塔25円貼 受取人払い 速達 1.5万
115 大仏80円貼 機械 TOKYO 4万
116 日韓併合 資料とハガキ 3万
117 1回国勢 神宮鎮座 貼 米宛 2万
118 2回国勢 貼 独宛 1.5万
120 教育勅語2銭他貼 書留 独宛 1.5万
128 日本平24円他貼 航空便 米宛 2万
136 備中国 不統一 4点 売約済み
137 白抜 七日市駅 売約済み
138 紀伊国 不統一 3万
140 記番類似 大第壱号 8万
142 金沢ボタ 鏡字 2万
145 鹿児島ボタ 3万
146 那覇ボタ 売約済み
147 盛岡ボタ 1.5万
148 シニ8号 3万
149 富山ボタ 1.5万
151 金沢子ボタ 3万
152 佐賀ボタ 3万
154 白紙11L 3万
155 長野ボタ 3万
156 岐阜ボタ 3万
157 墨点・みほん 1万
160 佐賀ボタ 3万
161 奈良ボタ 4万
163 新小5厘 初日 2万
164 八重山島 2万
167 ANPING 売約済み
168 菊50銭 丸二 時刻入り 2万
171 目打ちズレ 1万
172 支毛25銭 A欄三ツ星 1万
179 初日印 2点 1万
180 イワテ 胆沢 2万
181 連続柵型 2万
182 1000円s/s みほん 8万
183 完 銘付 3万
184 ヤルート 海軍軍用郵便所 3万
185 創始10銭 版番号 5万
187 木津川分室 切手とハガキ 1万
188 機械 + 標語 1万
189 大きい定変 売約済み
191 縦書ローラー 岡山 1.5万
192 群青 右にズレ 1万
193 標語逆植 全国発売前 1.5万
195 左書き 復活Z型 2万
196 欧文三日月 売約済み
197 ヒョウゴ西宮北口 売約済み
199 欧文機械 TOKYO 2万
200 穿孔 山一 1万