月別アーカイブ: 11月 2013

2013年11月30日(土)

『訃報2件とフジテレビ』

踵を接して、アメリカから、2件の訃報が届きました。共に、ISJPの有力メンバーです。

9月21日 Mr.Charles A.L.Swenson まだ、若かったはず。                                            11月2日 Mr.Mike E. Ruggiero 享年85歳。

Swenson は、消印のコレクターで、日本のオークションでも、一時、一生懸命買って、データの集積に努めていました。彼のワークは未完のままでしょう。数ヶ月前に、弊社のオークションに出品したいとの連絡を貰っていたのですが、そのまま立ち消え、もしかしたら、直近のドイツのゲルトナーに出た、菊切手の消印のコレクションが彼の物かも知れません。正直、訃報にはびっくりしました。

Ruggieroは、元CIA職員で、多分一人暮らし、高齢者のケアホームからの情報でした。ISJPの鑑定を数十年間に渡って、中心的に世話をしていました。日本語は流暢ではないのですが、知識はアメリカではナンバーワン、彼のコレクションが、どこに出てくるかが気になります。香港がベスト、NYでも何とかなる、フロリダはきついのです。カンマンのHarmer NY、コルズィンのスイスとイギリスのRobson Lowe、スポールディングの香港のDynasty・・、何れも私はフロアに出たのですが、想像以上の内容で、場での競り合いも強烈でした。彼のコレクションなら、同じ様な面白いセールになるでしょう。アメリカ人のコレクターのそれは、テーブルの下でなく、表で売られることが多いのです。彼は有名ですし。

ところが、私にとっては、アメリカ人のコレクションとは、非常に相性が悪く、結構引き合いは有るのですが、出品という形では、一度も日の目を見ていません。NYの若きヤッピーの、エラーと切手帳のコレクションは、取りに来いと言われて、行く手配したら、離婚して、財産分与の対象になり、ニューヨーク州のライセンスを持ったオークションハウスでの売却が必須の条件で、Shiff と Siegel に取られました。発送手法で、郵便をリクエストすれば、FedEXでないと嫌とか、日本の湿気が怖いので、梅雨が明ければ送ると言いながら、10年は経ってしまったものとか、どのケースでも、行けば取れたのですが、手数料商売のオークションハウスとしては、直ぐにはアメリカへはいけません。今回の希望とすれば、香港でのセールで、ごり押しして、無茶なアポを取れば、下見とセールで、2泊3日の深夜便での往復が出来る日程でやって欲しいのです。その内情報は聞こえて来るでしょう。オープン情報なので、スルーはないと思います。

 

11月24日の弊社のJAPEXセール、メールビッドが少ないので、少し危惧していたのですが、予想を超えるフロア参加者で、大いに盛り上がりました。 フロアの札数で160番、落札率は、最終の数字では83%位になりそうです。 フロアの光景が、「超潜入リアルスコープ」12月14日午後7時~のゴールデンタイムに、8チャンネルのフジ・関テレで放映されます。テーマは「郵便」で、その中の「切手」、その一面としての「オークション」の切り口です。昨日も、オークション誌の表紙のマテリアルの説明を求められ、30分は電話で話しましたから、それなりの時間で放送してくれるでしょう。私は、直のインタビューの対象でなく、主役は高く買った人、みたいな編集になりそうです。当然ながら、やらせも、仕込みも全く無しのガチンコなので、是非見て下さい。私も内容は知りません。

2013年11月19日(月)

  『日本のお宝切手を発見』

 日本に於いては、秋の郵趣シーズンはこれからが佳境に入りますが、 欧米のオークション・秋のシーズンは、注目していたセールは、ほぼ終わったやに思えます。

 昨今は、私自身が時間がとれずに、海外仕入れに余り熱心ではなかったのですが、 久しぶりに数週間楽しんだセールが有ったので、そのレポートを書きましょう。

 A4サイズの分厚いオークション誌は、送られてこなかったのですが、JapanのパートはPDFでの情報をしっかり貰っていました。曰く「お宝発見オークション」。

 触れ込みでもそそられるし、主催のオークションハウスの副社長が、元日本の大手商社の社員で、日本語はぺらぺら、日本の郵便史のコレクターなので、内外にしっかりした人脈も持っています。だから、誰もが知らないマイナーなオークションハウスに、大量の日本切手の初出しが出た!掘り出しで儲かるぞ!にはならないのです。

 終わった後の情報では、場に出た(或いはテレホンビッド)の参加者の名前は判りました。少なくともドイツ人が4、イスラエル、アメリカが1、手彫のコレクターは2人いて、この状況でセールに参加すれば、値段は構わずに、落し切ります。目玉の1点物も、こ綺麗な単片が入ったロットも、私は完璧に負けました。他の数人は、ここで買って、E-Bayか、弊社へ出品しての鞘抜き狙いです。彼らが、下見できて、私が画像の情報だけのビッドというハンデ戦で、いつも結構いい数字になってしまうのです。日本からのビッドでは、掘り出し物は難しいと思います。

 オークションの終了後に発表された、ハイライトを少し紹介いたします。全敗でしたが。

4572 竜500文ペア 多分、静岡検査済の下半分 51万円、私は確認できてないのですが、2版だったのかな。完全に2人で場で競ったのでしょう。

4591 和桜20銭4枚、U小判2銭3枚貼カバー 長崎ボタ消の国内便、134万、これは国際展LGのコレクターでないと使えないし、落とした人的には、嬉しいでしょうが、拍子抜けの値段かな。日本のマーケットでは、遊びで買うには100万が限度です。

4593 洋紙30銭ブッチ 単片 イソ17号⑩、参考値は200ユーロ、記事にも洋紙と書いてあるし、見落とす可能性はゼロです。きっちりと74万。

4625 電信切手未使用、多分糊つき、10完セット(4銭角欠け・1円片銘)+10銭完全銘版、このロットは、海外のブローカーの転売前提では踏みにくく、負けるとすれば、日本のコレクターが相手だと思っていました。だから、負けるはずが無い数字で入れました。10完セットを45万、10銭ペアを20万、気持ちプラスの目一杯のビッドをしたのですが、負けました。相手の素性が判りません。74万です。

10458 束=紙付、今まで、海外のオークションで、この種の物が出て、 初い物だと読んでビッドすれば、負けたことはなかったのです。今回は、一声負け、でも完敗でしょう。 参考値300ユーロに、8000ユーロで入れて、8500ユーロ=136万円、PDFの画像でかなりの情報が分りました。旧小判が少し=郵便消、U小判~新小判50銭・1円までが沢山、縦書が多そうなので、非郵便、菊は極少数、明治銀婚2種、東宮婚儀まで。紙付で紐付なので、ブロックは沢山あるでしょう。消印は国内消、ステータスは完全にウブ!、だから、束の数を目で読んで、@の数字の掛ければビッドのMAXが出ます。 送って貰った画像が、このロットの全てであることは、確認できました。三角形のサイコロの山、慎重に数えて、150位と見えました。同じ条件を貰ったとして、他の人のビッドを読むのですが、まさか、旧小判以外の束に、@1万円はないだろう・・。実際、入れた値段の5分の1位で落ちる、かと思っていたのです。

 改めて、このロットの画像を見て、初めて気づきました。画像が2枚有ったのです。サイコロの山の写真以外に、木箱にきっちり納められたそれが、横列が12・縦が10・高さは3なのか、5なのか・・・。最初から知っていれば、幾らでビッドをしたかを考えることは致しません。見ていない、ギャンブルロットには300万円とか500万の数字は入れないと思います。束の場合も、数は一応の根拠にはしますが、見てない場合は、飛び込みにくいのです。遊べる金額のグロスには限りがありますから。手彫の高級品とかとは意味が違います。落とした人が、ノンリミットで買って、たまたま大儲けしても、それはその時、神が舞い降りただけのこと。本来は、捨て値で買ってこその、束なのです。

 副社長君に、大成功のセールへの、お祝いのメールを送っておきました。終わった後の処理が、思いのほか大変とか。いつも思うことですが、海外のオークションでの落札値を分析すれば、日本のセールの方が、安く買えるのが一杯あるのです。でも、ビッグなコレクターは、人と競って、手を挙げてこそ、高く買えるし、転売狙いのブローカーは、日本のマーケットの実情に疎いから、平気で強いビッドをするのです。日本のオークションは健全であることを、改めて実感したセールでした。