月別アーカイブ: 11月 2007

2007年11月22日(木)

『特別送達』
待っていた種別の郵便がやっと到着しました。「特別送達」で某簡易裁判所差出しで受取人は私です。管轄名を見るだけで封を切らずとも、要件は瞬時に知れました。先日来当コラムでも取り上げている、オークション誌発行後の出品の取消要求とそれに対応して除名にした相手方からの、損害賠償他の訴訟の書類です。電話での話の中で「訴えてやる!」の罵詈雑言も有りましたし、それ以外のルートからの情報でも、相手の、人となりや過去の所業も分かってました。こちらは基本的には受身なので相手の行動を待つ立場です。現実問題として私を相手方(被告)とした公的な書類が来ても、良くぞやってくれました、指定された期日=来年1月9日には必ず出向くので、絶対に訴訟の取り下げだけはやって欲しくないというのが偽りの無い感想です。
裁判という場での議論になりますので、ここに書いていることも当然証拠として使われます。それゆえ、軽率な情報を出せないのですが、概略だけ説明しておきます。事実関係の認識は相手が訴状に書いた通りで、概ね間違ってはおりません。出品者引きにして除名にしたことによる損害賠償が10万円、その後のブログでの「侮辱行為」への「慰謝料」が10万円という請求です。根拠として、オークションへの出品物の所有権が、落札者確定までは出品者にあり、売る・売らないも含めて全てが包括的に出品者に属するというのが主張です。このことは、当然ながら根本的に間違っています。私の主張は、出品者の所有権の内、財産権に属する部分はオークションに於いても出品者への支払いが終了するまでは出品者に属することには同意します。ただ、オークションのメカニズムでは、オークションの規定に則って競売されて、落札値が決定し、規定の手数料を差し引いた金額を受け取れ、不落札の場合は預けたままで返品を受ける権利に限定されるのです。競りに出して、オークションの業務に掛かった時点で、売買に関する裁量権=誰に幾らで売るかの決定権はオークショ二アのみに移ります。出品者はこの作業に如何なる意味でもコミット出来ません。幾ら出品者が嫌いな相手でも、最低値以上なら一番札の人に売るのです。出品者の権利制限が掛かるタイミングが有るのです。弊社の場合は、明確に期日を切っており、掲載原稿を出品者に送り、受け取ったであろう期間を経過後を異議申し立てがない限り、起点にしています。実務的には、より相手方に有利になるように、オークション誌が印刷に掛かるまでは参加者には情報が開示されないという事実を持って、一般的には競売からの取り下げも無碍には拒否しません。
ただ、経費の発生という弊社の経済的な要因でなく、オークションに参加する善意の第三者に悪しき影響が及ぶタイミングでは出品取消は認めておりません。カタログ上に掲載されており、それを見てビッドした人がいた場合、そのロットが取り消しになっておれば他のロットへの応札行為に違いが出る場合が有るのです。取消の情報を参加者に普く告知する手段はないのです。善意の第三者は何の罪も無いのに不利益を被ることになるのです。この事実は、オークショ二アとして容認出来ません。オークション誌発行後の出品物は、唯一最も高いビッドをした人が、ルールに定められた方式で買う権利が有るのです。そのメカニズムの実現のみにオークショ二アは行動します。
今は無くなった名古屋のオークションハウスへの有力な出品者が私に言ったことが有りました。オークションに出品者したロットに対しては、自分=出品者は値段を知る権利がある、だから一番札が幾らかを聞いて、その値段で売るか売らないかを決めているという趣旨でした。所有権云々を根拠にしての主張でしたが、私はその考えを採りません。オークションへのビッドの数字は出品者は何ら聞く権利は有りません。それを許すのは一番札そのままで、売っていいか否かを出品者に委ねることで、最早オークションとは呼べないものなのです。それが直接の原因かどうかは知りませんが、その要求を当然の権利として主張した出品者は、別の不誠実な行為が露見し、今や業界の表には出て来れず、舞台になった組織は法の名で消滅しました。
今回の相手方の主張は、ストレートにはこの意味での要求ではないのですが、出品物への自己の所有権の確保というポイントではオークションのルールに悖っているのです。私の日々の仕事はオークショ二アですが、それ以外にオークションアナリストとしての分析と、オークション・システム・オーガナイザーとして行動することがライフワークだと意識しているのです。日専やブログでの主張は、ある意味、言いっぱなしですが、望まぬきっかけで有ったにせよ、公式の場で、この世界の構成員以外の価値観を持ち、恐らくは業界に通じてないであろう法曹者に、私のオークションのシステム論が通用するかを正式に確認してみたいのです。
本件に対する私の採るべき態度には何の迷いも有りません。先方の出方に拘わらず、私は代理人を使わず自らが対応します。法的な定めにより、保管が義務付けられている7年間の書類は完璧に有りますし、コアな資料はそれ以前のものも復活可能です。相手方の訴状に対する答弁書のみならず反訴の書類のフレームも瞬時に書いております。ただ、上がるべき土俵が裁判所なので、ことを起こす以前にそれを開示は出来ません。オークション雀の皆様には興味津々の「大事件」では有りますが、私の気持ちとしては、初公判の日が待ち遠しくてたまりません。先方の今までの為した同様の行為に対する相手程は、甘くは無いことを覚悟してもらって、出る処に出ての話しにしたいと思います。
上記の事情ゆえに、この件の追加の情報開示は暫く封印になりますことご了承賜りたく存じます。

2007年11月13日(火)

『まずはプレ総括』
日専2008戦後編に書いたコラム、「オークショ二アからのメッセージ」の舞台装置として企画演出した、JAPEX2007特別オークションが終了しました。未確定な要素を基にした記事を、確定した事実で検証したみたいと思います。 ただ、フロアでの競りとその後処理は終えてますが、現在不落札品の残品売りとクレーム返品受付期間中です。17日(土)午前9時で確定しますので、その後に回数を取って総括いたします。11月4日のフロア終了時での数字は、WD2点を除いて、出品点数1918・落札点数1565・落札金額50,054,400円=手数料除く(内フロアでの落札が659ロット・金額30,254,650円)・落札率81.60%になっています。何せ初めての東京でにフロアであり、基礎データが無かったのですが、不落札の即売で通例5%+の伸びが見込まれ、厳選ロットのフロアセールなので殆ど返品も無いでしょう。数字的には想定のMAXの成績でした。特に今回はメールビッドの出足が悪く、登録のビッド数は520件、何時もの5000ロット+のフロア・メール併催に比べて300件は少なくなってます。平常からメールセールのみに拘っての応札の方も100人以上はいますし、フロアへの出席が確定の方のビッドも控えめでその分、フロアでの競りに集中したようです。欠番なしの札数151は今までの記録ですし、スタート値のリストが230部出てますし、代行札での出席数マイナスと、見学のみで未登録を足し引きすれば150+が覘いてくれたかなの雰囲気です。95%は会員さんなのですが、弊社のフロアへは初めての方が多く、大阪では常識のマナーが守られず、ちょっとした行き違いが有ったと聞いています。弊社のロット数なら、最後までお待たせしての引渡し・清算は、待ち時間が長くなりすぎ、また一気に集中されてもパニックになります。それゆえ、途中でのピックアップも出来るシステムなのですが、数秒も待てず、お客は自分ひとりというマナーの方がいたのです。一人で引っかかると、次々玉突き、数珠繋ぎになり団子になってしまいます。事務的なミスが起きても、一瞬後ろで待ってくれれば、必ず解決するのですが、その余裕の無い方が想像以上に出てしまったのは残念なことでした。
メールで入れて、フロアに勝ったものもその場では受け取りは無理ですし、落札品の無い方の団扇を、落札品を受け取るが如く出されても物が存在しない為、探すスタッフがパニックになってしまうのです。次回は、子供でも、猿でも分かるような交通整理の標識を立てようかと言ってます。
実は、今やっている51回フロア・44回メールセールに於いても、同じような事象が発生してしまいました。私は勿論、一般の大多数の方には常識で分かるはずの出品者としてのマナー違反の要求です。保険商品や金融商品の取り扱いの目論見書なら、細かい字でありとあらゆる起こりうるケースを想定しての売るサイドでの説明をしています。訴訟になっても勝てるというか、売る側に責めが及ばないようにガードを堅くするのです。ただ、我が社のオークションの場合、当然ながら、社会通念上の常識が保たれてることを前提としての運営です。ポイントとなる要項は書きますが、何が起きても100%のリスクヘッジが出来るようには雁字搦めにはしてません。
具体的には、オークション誌発送後=意味としては印刷所に入稿して校了になれば同じ、に出品者からの出品の取り下げの要求が来たのです。1~2点なら、何とか丸く治めるテクニックも有るのですが、10点ともなると傷を負わずには処理が出来ないのです。弊社の場合は、出品記事が付いていても、全て一任で有っても、載せる前に掲載原稿を送ってます。私が書いた値段や記事に問題が有るか、やむを得ずに売れない場合はこの時点で申し出てくれれば淡々と処理が出来るのです。本来なら書面による出品者の同意を取れば良いのですが、トラブルは殆どなく現状ではギリギリまで記事を書いて即入稿なので、問題が起きそうな人の物を先に仕上げて問い合せておけば、常連さんや手の内に入ってる人の場合は原稿のチェックさえもしてないでしょうから何らの問題も起きないのです。
今回のケース、本に載るのが確定してからの10点程の取り下げ要求がなぜ拙いかを説明いたします。私やスタッフが無駄に時間を費やしたとか、無意味の印刷費の負担は些事なのです。問題は、オークション誌を見た会員さんが、取り下げられたゴーストのロットに真面目に入札した場合、予算の都合で他のロットへの入札が出来なくなる可能性が出てくるのです。損害賠償という程の関連性は薄いのですが、ルールを定めて、厳しくその遵守を呼びかけるオークショ二アとしては容認できない暴挙なのですよ。理由を聞いても、お前に何か言う必要はないわい!で済まされる行為では有りません。
結論としては、説得してルールを理解できる常識をお持ちでない方と判断しましたので、申し出が有ったロットに加えて、該当者の今回の出品物を全てセールから取り下げました。10点の申し入れを受けて、引き、残りをそのまま売りたてるという選択肢は、継続して非常識な要求が続く可能性を含んでおり、信頼関係を構築できない以上極めてリスキーですし、会員さんとしての一切のお付き合いは出来ないのです。当然ながら入札でもルールを遵守しない可能性も排除できないため今後一切の取り引きは致しません。除名ということです。オークションというシーンではこの程度のトラブルは一杯有るのです。でも、その処理には迷うことなく即決断して実行しています。多分、どなたもが支持してくれると思いますから。