月別アーカイブ: 2月 2007

2007年2月10日(土)

「桜10円・180線」

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必要に迫られた用件が有って、当ビルB2に日本一密集している金券屋さんの切手の割引のレートを調べて来ました。あくまで直近の相場ですが、額面が80円のシートの場合で、通常切手は買い94%・売り97%、記念は買いが
90%で総額無制限で動いてます。彼らが、7月1日からの、切手別納の納付制限を知らないはずは無いのですが、
少なくとも現状では以前と何の変化も見出せません。金券屋は、刹那のその場限り、待ち時間ゼロでの現金決済
の商売なので、7月が近づけばどうなるかは分かりません。ただ、郵便切手は郵便法(S23)に基づいて、郵便による
配送サービスを受けるにあたっての前払いの証紙であり、ポイントを絞れば現金と同様の効力を有するはずです。
今回の通達の「広告郵便・区分郵便」における支払い手段制限は、総務省約款が根拠になってます。現時点では
どなたも法的に説明を求めるという動きはないのですが、10月の民営化後に、郵便切手の法的な効力を損なうような動きが出てくれば、郵便法なりUPU規定なりを真剣に読み解いて何らかの行動を起こさねばならないかも知れません。
ただ、現実の動きとしては、末端の利用者が、切手なら97%・葉書は47・5円でかなり買っていくから十分に商売になるよ、という金券屋さんの見立てが今の流通レートとしては正解なのでしょう。7月になって、今は切手納付の別納で、金券屋経由の発送代行業者が収めている広告郵便・区分郵便のボリュームが実際どの位有って、そのボリュームと額割れ市場のバランスがとうなっているかというのは、誰も分からないはずなのです。去年に最初に通達の話を聞いた瞬間から、今までずっと私の感覚では、そんなにパニックになる必要はないのではないかと思ってます。法を根拠に争うつもりもないのですが、郵便サービスが有って、それに対して支払う義務が100有り、それを97で買えるというのが、額割れ流通の最終的なメカニズムです。在庫過多という意味以外には、リスクは存在しませんから、3歩の利鞘が需給関係で5歩取れるになることは有っても、ニッチビジネスとしては生き残ると思うのです。
さて、ここからが本題です。随分達者な人がいたのです。、事情を知ってか知らずかはさて置いて、7月から別納が廃止になるので、今の内に早く売れとのビラを然るべき場所で撒いたのだそうです。早速反応が有って、送られてきたのが現行の1次円単位~2次円単位の低額シートです。売主も、買主も見よう見真似で日専みたら、目打形式で値段が付きそうなのがあったのです。その相場の問い合わせが電話で掛かってきました。もしかしたらという、ある人のコレクションが浮いてます。本来の持ち主は時間を掛けて局メグで買ってます。物凄く薄い根拠だけど、物が出た地域=最果ての地に心当たりが有りました。
宅急便なら一日だし、額割れかプレミアが付くかの作業なら10分あれば出来るのです。でも、物が来て、瞬間目を奪われて、きっちり納得仕事に仕上げるまでに、フルに真面目に働いて2日間掛かりました。
目玉は次回6月2日のフロアに出します。殆どは局で買ったコンディション、全体に状態が非常に良いし複数の物もある。だから、売れすぎない程度の値段を付けて、郵趣ウィークリー(2月15日発行)とタイミングを計って、HPの即売と、相手指定のピンポイントでのオファーも出来るかも。
オークションでの目玉を1点だけお見せしましょうか。「桜10円・逆櫛180線」、正式には紫180線45°・紅250線45°。かつて有る人が、うなぎとお茶とミカンの県のディーラーから、即売でシートを5000円で抜いて、鼻高々、会う人みんなに自慢してました。銘10(シートも)実際に少ないものなのでしょうが、180線と250線なら、面積にすれば、きっちり2倍の差が出ます。潰れたスクリーンの230/250は読めないけど、180線は極論すれば肉眼でも、紫の強さが分かるのです。単片の日専評価は5000円ですが、見つけてもバラでは売れるとも思わないし、使用済の逆櫛でも調べる気にもなりませんでした。でも、現実にシートが手許に来て、しげしげ見れば、やっぱり迫力が有るのです。元の持ち主は随分前に収集を止めてます。でも、しっかりと小さいメモが入っていて、#を斜めに傾けて、紫を大きく・紅を小さく書いてます。この人の時代では、柵と横波が現行目打として認知された頃なのです。180線という定量表現は無かったのですが、バラエティーとしての区別はされてます。ライブで集めてる人にとっては、有るか無いかが問題で、売って幾らとか、珍品か否かの相対比較は無意味です。
今回の出品にはおしどり5円の逆櫛180線、逆二連2 PVAなども出しました。こちらは引きでは潰されない物ですが、桜10円の逆櫛なら、扱う人によっては800円~2000円で飛ばされた可能性も有るのです。私にすれば、原価が幾らで、誰が幾ら儲かったということには余り興味は有りません。超薄い伝聞情報に山を掛けて、多分有る筈と読んだ物が現実に目の前に来て、完全に自分の差配で扱えるのが嬉しいのです。勿論大元の出所をご遺族に連絡して確認する気もありません。お話はつづく・・・で、どういう結末になりますか。

2007年2月9日(金)

「柘植寿治作Ⅱ」

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柘植さんは、大正時代に海軍が力を注いで開発した写真植字の文字を書いた人で、日本写真印刷株式会社の技術者でした。切手の「日本郵便」の文字も書いたことがあると言っていました。オフセットと凹版印刷の専門で、戦後の切手展の小型シートの模造も作っていますが、これは出来が良すぎて、今となっては区別できないかもしれません。横透かしや加刷の偽物も作っています。ご本人は、腕自慢のつもりで作ったので、偽物師と呼ばれることは、不本意のはずです。昭和切手のプルーフと言われているものも柘植さんのところからでたものが多く、本当のところは故人となられているのでわかりません。昭和切手の図案審査委員会の資料も(昔鳴美で復刻)柘植さんのところにあったものです。
上記の情報をいただきました。タイミング良く、手許に来ている出品物の中に該当の「横透し小型シート」が3点有りました。次号に出品いたします。私が貰った情報では、市川市在住ですが、一般的には「名古屋の柘植さん」の方が通りが良いかもしれません。画像の左側が本物、右側が「柘植の横透し」です。切手展の作品としては使い方が難しいのですが、収集品としては昔から人気があるものです。

2007年2月6日(火)

「柘植寿治作」

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本物も勿論そうだけど、偽物・模刻も出来が良くて、インパクトが強くて有名なのが、江戸の侠客、新門辰五郎の竜200文ペア・500文ペア貼りのエンタイヤ。結構オークションでも見かけます。相場は1万円位でしょう。
1年ちょっと前に、多分お身内の方なのでしょうが、市川市在住の柘植寿治作の模刻という表題で、カラーコピーをくれたのです。新門・・・は名古屋の柘植・・・が作った?みたいな記事を読んだ印象があったのですが、今回の送って貰った資料で、素性がはっきりしたのです。
それ以上に、目から鱗なのは、マージンたっぷりの竜文4種、ご丁寧に無地と縞まで作っている。時々見るし、1組は何故か、私の偽物のコレクションにも入ってます。和田ではないけど、ちょっと素性が知れてなかったものでした。それ以外のカバー2種や消印を押してる、小型シートは紙も違うので、間違える心配はないでしょうが、竜文の単片は素晴らしく出来が良いのです。現物を手に出来れば、紙と刷りと図案のディテールで調べれば分かるのですが、ネットオークションのロットに混ぜられたら、まず区別は無理なのです。実際は、未使用は、本物よりもこちらが遥かに珍しいし、私のキャリアでも1~2回しか触ってません。だから、48文と100文の3文字検査済の頭消し・東京検査済の同じ印象のものに注意すれば良いでしょう。今回は、文章よりも、ゆっくり画像をご覧下さい。