月別アーカイブ: 6月 2006

2006年6月30日(金)

「東宮ご婚儀不発行」 

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ロット470が4種完 プラス1・5銭(キズ)、3銭(美品)のおまけ付。
NHでPost Office Fresh とのこと。写真で見る限り綺麗そう、この切手の場合、関東大震災での不発行、南洋庁配給分を取り戻しての皇室に贈呈、というストーリー性もあいまっての昔からの人気品。でもそれは結果であって、16面シート、着色紙、単線目打という、同時代の他の記念切手とは異質の顔を持っているのです。
ここ20年ぐらいは、切手のカタログ値は殆ど上がってませんが、この切手は例外、いつしか組合の評価では4種で330万になってます。催事や店頭でも、それなりに需要が有るらしく、達者な小売屋さんなら、極美の状態で300万で売った、みたいなお話も良く聞きます。ただ、状態を厳しく見れば、単線目打のハンデが有って、完全なウエルセンター、目打が乱れずに揃っているものは滅多に有りません。それに、グロスの金額で300万はなかなか出しにくいことと裏腹で、状態が良くなくっても、低額2種でも、絵葉書に貼った特印押しでも、オークションに出せば、まず不落札にはなりません。ひねり物ではないので、頭のMAXの値段は決まってますが、その数字からの逆算の商売が出来るのです。甘い評価では勝てません。それに、誰より状態に厳しい人が見たならば、お気に召す物もまた、滅多にないのです。
6月の、わが社のフロアに4種完、VF Kruegarの小さいギャランティーマーク付、本当に綺麗な状態のものが出てました。「売ってください」だし、この切手の場合、鑑定印はマイナスで、堅い数字で120万の最低値にしてました。安くても複数の業者のビッドが150~160でしたし、200万以上のコレクターからの札が3件有って落札値が230万、当然2番値は220万なのでした。何れも手数料15%が必要です。だから、香港のものも、セットで250万なら、2番札の人に確実に売れるのです。この値段が上限で、おまけの低額2枚が儲けになるみたいな評価でしょう。でも、見てもらった物を売るか売らないかの商売ではないし、今度の場合もTylerの鑑定サイン・鉛筆書きは売る場合にはマイナスに作用してしまいます。
このクラスの場合、見てない人がギリギリまで飛び込むビッドは出来ません。目一杯の売値もプロなら同じような評価です。物は一つしか無いのだから、行った人で調整して、お互いが経費でも出したいネ、の話になるのです。本来ならなる話、実際スタートは十分想定の範囲内、でも何故か場で現地の中国人?が付いて来て、一声の刻みが5000ドル、本当にMAXのHK$140000が落ち値です。手数料込みで250万+、ギリギリの目一杯、世の中広いと言うべきか、絵を描いても楽には儲けさせては貰えません。でも、終わってしまえばやるだけやれば買える・買えないは結果なのでこの切手への思い入れは値段以外には何も有りません。惚れられる「カバー」の場合はそういう訳にはいかないのですが・・・。

2006年6月27日(火)

《JOHN BULL レポート》
6月24-25日に開催された香港でのセールの報告を、場に出たディーラーの視点で数回に渡って書いてみます。第1回は 「和桜20銭政府印刷・縞紙」  

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Lot 419 参考値 HK$300,000~400,000、N1B1/K越前敦賀7・11・25 がそのデータです。序ながらロンドン・ハーマーにて1939年6月26-28日のA・M・Tracy-Woodwardセールのロット355の現物です。おまけの情報を書くならば、Pos1で印面右下にB型の政府印刷特有の目立つピンホールが打たれてます。勘違いする人は、これを「小穴=二級品」として毛嫌いするのですが、その人は手彫を集めてはいけません。製造面のバラエティーとして認識できれば、1種1枚のパターンの人でも気にならなくなるはずです。ボストークの図入りアルバムにも、政府印刷としてのスペースが有るので、抜けてるが気になる人が問い合わせてくれることを期待して、在庫に持っていても良い物です。カタログ値の2500万は高いけど、物の筋は悪くは有りません。

市田さんの時代には、今回の切手の存在情報が、白黒の不鮮明なオークション誌の写真のみ故に、的確な解明がなされてなかったのでしょう。PHのタイプは不明になってました。改めて眺めると、下部の料額面の掠れは松田20銭のPos1とも共通です。原版の加減なので、何のマイナス点も付きません。オークションの記事もしっかり書いているし、このマテリアルを買わない理由はないのです。唯一つ、値段だけが問題になるのですが。
後日、別項で触れますが、出席した日本人は正確に6人、この内の4人は完全に「買う」ことを前提に来てました。勿論値段が最重要のファクターでは有るのですが、売るか買うかを別にすれば、700~800万円という数字が極めて自然な形で出て来てました。突然の米国西海岸からわざわざご出席の方はコレクター、最初に買ったのが「沿革志」、次に買うのが「20銭の縞」には唖然としましたが、他人に尊敬して貰うのでなく、自己満足の欲求を充たすものとしては、決して悪い買い物では有りません。ただ、この人の場合、今回の強烈な刺激をも上手に昇華出来る理解力の有る方とお見受けしましたが、変に自分の価値観に閉じこもらずに、クールにマーケットの事情を読みこなしながら、珍品の1点物以外に「集めて揃える」楽しみに入ってきてくれれば、手彫の市場も賑やかになるでしょう。まずは、文献からスタートしてくれれば良いので、初っ端から、我々と際どい値段勝負をしての「20銭縞」を落とし切ったりするのでは後が辛くなってしまいます。オーソドックスには、鳥9種の綺麗な未使用とか、和紙6銭のカナが見える状態で「大阪使用はずし」とか、洋紙1銭・2銭の消印別のカナ揃い、みたいな目的を決めて、増やす楽しみから入られたら良いでしょう。
業者筋は、超上客の強~い特注の札を預っていなければ、手を高々と挙げて、自己顕示欲を主張したりはいたしません。クールに数字をビジネス的なメリットに置き換えて、高見の見物に入るのです。このマテリアルの場合は、誰もが同じ評価で臨みます。即金で、高くても売れる明瞭な当ては有りません。持たせたい相手や、買うべき人の顔は結構見えるのですが、懐具合が問題で、そこの面倒まで見なければなりません。何のデータを調べずとも、「縞」の存在数は17~18枚までは空で出て来ます。この切手は再接ペアが3組、2枚の同時使用が1組、あとは単片での確認です。ペアだから高くはならないのですが、今回の物は、マ23号の濃い色、唯一の不統一の秋田調に次ぐ、フレッチャーの同じ消印と同レベルのステータスでしょう。ただ、今の相場で商売で売る値段を考えるなら、1000万はチト、キツイの判断をしてしまいます。行ったメンバーの間で誰が買いそう?当て有るの?の話題が出て、優柔不断君や、理屈ばっかり捏ねる、ヤイコシイ輩はあっち側に押しやって、それでも4~5人の名前は残ってました。本命・対抗の印は兎も角、「横浜の昭和」と「名古屋の昭和」はバーターの条件で、勝手に売り払ってましたけど。
値段次第、露骨に言えば、7で買って8で売るなら成り得る商売ですし、このブツの場合は、即買値がオープンなので、相手次第で8ギリギリなら5%のエージェント的な儲けでも良かったのです。行った人の意思としては、①「高くは買いたくない」、②「不落札にはしたくない」、③「確定的な客がいないので、リスクを被って買うならば安くないと拙い」の優先順位で臨んでます。プライド故の目一杯の数字を出して、そのギリギリで背負わされるとキツイ物が有るのです。言ってしまえば800万+で降りるつもりで覚悟を決めてましたけど。
数字だけで表現するならば、前段の危惧は杞憂に終りました。99%エスティメイトの枠より下、メールが入って無ければ、HK$20万がデッパです。手数料込みの¥800万ならば、44~45万なので、2万ドルのインクリメントを長時間楽しめるはずでした。オークショニアはステラおばさん、本日のハイライトとコールして、前の電光掲示板はエラーがかかって数字が出ない、でも、慎重に何度聞いても、ファイブハンドレッド・サウザンド・香港ドラーのコールなのでした。トゥーやスリーのハンドレッドではないのです。ファイブは数字の5なので、18を掛ければ900万、後ろの連れにも確認しましたが、誰が聞いても同じ数字で変化なし。逆に言えば、迷わずに断念できるし、オープンになって、困るリアライズでは有りません。gone to mail bidderですが、日本からか、海外からか、或いはオークショニアのリザーブなのかは分かりません。500,000という切りの良い数字でケリですが、一刻み下の480,000が居たかどうかも分からない。でも、手を挙げれば52万のひと声で落ちていたような気がます。その根拠は、他のロットの競り具合でそう思えてしまったのです。このロット以外は、全て相手が見えましたから。ここらの話は又次回。

2006年6月1日(木)

「壁の華」 

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オークションの方は順調で、ビッドも何時もと同じ位のペースで来ています。幾つもトピックも有りますがセールがスタートしたあとは結果が出るまでは解説は控えます。細かな料金体系など、識者が教えてくれましたが今更余計なコメントは出せません。買える人は当然ご存知として置きましょう。知識でなく、値段が問題な目玉的なものも、ある種のドラマを演じながら、然るべき相手に収まるでしょう。冷静な値踏みでなく、最後の数声は「執念」勝負になりますから、是非とも、後悔無きようにフロアにお越し願いたいのです。
併設・融合開催の大阪駅前第三ビルバザールも今回で10回目になりました。この度は、此れほどまでに重なるかと言うほどに、他所の催事と重なってしまい、ブースの数は少なめです。ただ、その条件でも幾つもやれることが有るのです。「ルーム6」の空きスペース、公序良俗に反しないことならば、一切制限は付けません。「売り・買い・交換・駄弁り・休憩・物置き場」何でもご自由に使って下さい。8月・11月はブチヌキ設定ですし、今回欠席の方からも、多くのお申し込みを頂いています。「フリースペース」は今回限りの例外です。

弊社のブースもスペースが取れるので幾つか企画をしています。「ルーム5」では、テーブル2本で「外国切手@10均一」椅子に座ってゆっくりどうぞ。「アルバム・ストックブック・シートファイルの掴み取り」にもテーブル2本使います。大きいダンボールに種類で分類しています。、1袋が@500円、手で持てる限り、2袋でも3袋でも構いません。こちらは初日の朝一勝負でしょう。「記念切手額面販売」は毎回種類を増やしてます。OPPに入れて、シリーズと額面で見やすくしてるので人気商品になってます。
《スタンプショウヒロシマ2006》に投入した新商品も、勿論並べます。「オークションルーム11-12」の後ろの壁に、カバーのカラーコピーを200点+貼りました。全て@10000円以上のもので、オークションのカラーページに使える物を、最低値程度の値付けにしています。小判切手のボストーク4冊と共に、ヒロシマ帰りですが、まだまだ使える物も有るはずです。それ以外のバインダーの@物もきっちりメンテを入れてます。

「ルーム5」でも「壁」と「テーブル」で物も知識も売ってます。「ミステリー」のテーブルの後ろの壁を飾るのが、構成メンバー+αが真面目に作ったコレクション、リーフに値段を付ければ売り物になると言うレベルのオチャラケ物では有りません。フレームの設定は出来ませんが、JPSのビニールパネルを使った「ミニ切手展」。気まぐれ発想から、出品者へ声を掛けて、即実現まで約10日、出品者の名前を見れば「壁の華」と切って捨てるには勿体無い「本格的な作品」が並びます。尚、展示時間は、初日のパニックが収まった後の午後1時頃から6時前と二日目の10時から5時頃といたします。「ミステリー」の売り物は、得意分野の重品と知識です。継続メンバーも経験を積んで売れる物を売れる値段で並べてます。今回は新規の面子も登場しますし覗いて見て損は有りません。気が向けば何時でも構成メンバーに入れます。
知識の売り物も既に2件来ています。「とど仮面」中世古誠著の第三弾、「重量便使用例収集ー1-」、手彫・小判切手時代は2500円、「名古屋コレクターズクラブ幹事・イシシロ」さん経由で、「全日展’06出展作品 日本記号入り切手《菊》 後藤スキ雄名蒐別冊作品集5」3000円です。ご希望なら、送料実費で取り次ぎます。

弊社のオークション誌と当コラムに載せた、「見てない束物・スーパーパック」バザールの先行販売品・お一人1点限りが随分売れました。
(1)1次昭和A 型価29・5万 → 15000 制作36個 残8個、(8)現行 59個又は60個 合わせて 制作65個 →残6個。
その他も(2)1次昭和B、(5)産業・無透、(6)ゼロ無塔航空 も少なくなりました。最終的にはバザール・その後の即売で売り切るつもりですので、今だけの特別価格をお見逃し無くお求め下さい。