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朝鮮字入菊8銭121/2 未使用

9月3日終了のヤフオクで懐かしい物を見つけました。物は名鑑に載っている周知の物なのですが、わたくし的には幾つもの書けるネタが有のです。記憶に淀みはなく、1978年(日本切手名鑑菊の出版時)と2006年(郵趣の広告時)に自然に遡ることが出来るのです。朝鮮字菊8銭12半の未使用・糊落ち・最低値30万・出品者の地域が兵庫県で全てが繋がったのです。ご丁寧に、名鑑に出ている物をご本人が出品したとの記載も有り、確度の高い推測が確信に転じました。知る人ぞ知る、忽然と消えていた【姫路の高校生】の出品なのです。最短の期間で数えても、45年は経過しています。夢のような掘出しをした紅顔の少年君も還暦を過ぎていると思います。おしゃべり好きな姫路の人たちに何度も彼の消息を訪ねたのですが、杳として消えて、その後の消息は不明でした。郵趣界とは何の接点もない所で時を刻んでいたのでしょう。日本切手名鑑・菊の出品協力者名簿のお名前を見ても一人だけ浮いてくる人が彼なのです。

物とすれば、一般の人にすれば、糊落ちは大きいマイナス要因なのですが、私にとってはポジティブに踏める要素になるのです。最低値の30万はいい値段なので、売れてもギリギリ、糊落ちの意味が分かる人がいるかがどうかが気になっていたのです。それは杞憂でした。ビッドはお二人、長時間を掛けて、競りに競っての566,000でした。落札者は何方かは判りませんが、565,000円のアンダービッダーはヤフオクのデータで簡単に分かりました。次に同じような物が出てもお持ちでないなら頑張ってくれると思います。今回の出品者、1週間前にも朝字5厘12半の丸一仁川⑨を最低値18万で出して、入札者1で売っています。昔の相場かなと思うのですが、中々に達者な方ですよ。この方の掘出し話は私なら楽しく書けるのですが、それは後に廻しましょう。懐かしい思い出が一杯有る事を思い出したのです。

朝鮮字菊の12半の未使用のデータを纏めて置きましょう。2006年の郵趣に『立太子礼皇室贈呈用沿革志』=朝鮮字菊1銭・8銭・15銭・20銭・1円が12半の記事を書いた時に、センサスを載せたのです。17年経って、ほんの少しは増えているのですが、大筋は変わっていないと思います。でも、当時は11種完集がお一人だったのが、今は『沿革志』のページを頑張って落とし切ってくれた人が2人目の栄誉を得たのです。まずはイントロとしてこの記事を載せましょう。

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準備完了と積み残し

只今、8月のオークションの下見の準備が完了しました。今から下見して頂けます。オークション誌の発送は予定通り、27日木曜日です。今回は128回フロアが238号と239号、印刷所の無線綴じのページ制限ゆえに土・日で分冊です。111回メールは通常の240号、112回メールは241号で小判切手他の単片の消印特集号です。4冊をすべて表紙付きのオールカラーでやって、コストの方は従来の6割引きで出来るのです。写真版のバックの黒地は後半に入稿した物は改善できていると思います。

オークション誌の編集のやり方にもよるのですが、兎も角ご出品物が溢れています。最低値と記事が一任の場合が多く、その場合はロッティングのやり方よっては、手彫の偽物の大傷以外は何でも売ることが出来るのです。大量な物を相当に雑な状態で預かっても、弊社の編集のやり方で、お金に変えることは可能です。でも、私の能力と使える時間には限りが有るのです。今は完全に限界を超えてしまっています。折りに触れ、必ずしも想定のセールに掲載できるとは限らない旨を書いているのですが、殆どの人は理解してくれません。今回の場合は、頭数では30名位が積み残しになっています。ダンボール数十箱は潰しようが有るのですが、レタパ・プラス10袋とか、バインダー無しのリーフだけで箱一杯の方が時間が掛かるのです。長年の収集品ですから疎かには出来ません。単品で出せば1000ロット単位になるのです。この方達は、分割掲載でご納得でしょうが、1回完結の方が難儀なのです。今回のセールに掲載されると思いこまれていますし、金銭的にも当てにされている場合も有るでしょう。それが分かっているから、山積みの積み残しを見るのは強烈なストレスを感じます。

今回の入稿が終わって、1週間で10数名分は片付けましたが、大口はこれからが本番です。JAPEXセールは2000ロットなので、苦労せずに出来るでしょう。でも何もやらなければどれだけ滞貨が積み上がるか恐怖です。幾つか手を打ちます。JAPEXセールは、フロアだけでなくメールもやります。積み残しの分もそうですが、JAPEXのプロアご期待で出て来て、そこに載せられない物を載せるのです。【12月のセールは、フロア・メール共に新規のご出品は受け付けません。】積み残しと、大口の分割掲載品、再出品でそのままになっている物を片付けたいのです。新規出品がゼロでも、楽勝で1回のセールは賄えると思います。

今後は、掲載ロットのレベルを厳格に絞りたいと思います。今回だけ・・みたいに、甘やかせて載せると売れてしまって、同じ物がドンドンと続いてしまうのです。基本的にオークションで流通すべきで無い物は排除したいと思います。単価で言えば@3000円が最低線です。外国切手は中国以外は遺品を除いてお断りです。ロット物的な物を私が編集して値付けをすれば当然ながら売れるのですが、大変な手間がかかるし集中力が要るのです。その気になれば、何百ロットでももっと良い物が出せるのですが私自信はやりません。ちょっと甘やかし過ぎたかなと反省しています。普通の記念の未使用もNGです。ヤフオクで売って下さいよ。前回の事ですが、リスト付きで20数点出品された方がいたのです。精算が終わって怒りのお電話です。精算数が1点足らない・・。調べたら簡単に分かりました。国宝80銭小型シートの未使用を、単品で出さずに24円と組んで出したのです。80銭の普通の未使用は500円でも無理でしょう。ただご自分の控えのリストの数と精算を綿密に調べてのお怒りのクレームなのです。今後はここらは遠慮なく全品返品と致しましょう。今回の出品物で吃驚ネタが有りました。絵葉書の3枚おろしです。リーフに貼ってあったのです。切手貼りの白地、裏面の絵の部分、カラーコピーで無く現物を剥がして貼って有るのです。3枚におろして、表と裏の肉はあるのですが、真ん中の骨が残って無いのです。ご自分のコレクションで眺めるのは結構ですが、これをオークションの出品物にするのは駄目でしょう。骨抜きなので、糊で貼ってもお頭付きには戻らないのです。

オークショニアは親切なので、何とか物を生かして換金化を目指すし、それも難しくは有りません。でも、余りに甘えられても私の能力では得られる結果に限度が有るのです。今後は割り切って、どんどん返品いたします。親切のし過ぎは歪を生むのです。特段の便宜は図りません。店渡しでは片付かないし、精算時の同送も事務処理が面倒です。例外なく即座に郵送で返します。個々に理由は書きません。オークションで継続・反復して売るべきではない物を遠慮なく排除してしまいます。ゴミをお金に変えて出品者を喜ばせても、それで生じる軋轢が半端では無いのです。即実行に入ります。

無くなった・・・。

ここ1年位で、海外との取引に関しての金銭の遣り取りの手段が劇的に変化して来ています。基本的には国際的なマネロン対策なのでしょうが、我々も多くのシーンで巻き込まれてしまっているのです。既に大分時間が経っていますが、トラベラーズチェックは過去の遺物です。最早国内で扱っているところは無いでしょう。既発行分は法的には永遠に有効なので、貰った場合は何とか現金化は可能なのですが、相当に苦労します。VISAとAMEX、トーマス・クックはリファウンドセンターが手伝ってくれるのですが、最終的にはアメリカの銀行からの送金になるのでストレスのかかる手続きをせねばなりません。銀行での国際送金も、Demand Draft=送金小切手は何処もやっていません。T/T送金でSwiftやBicsコードが必須です。ただこれは、ネットで情報が取れるので対応は可能です。仕向け(送金)、被仕向け(受け取り)も面倒になりました。国際的な要求に金融庁が動いたのでしょうが、1年に1度、想定される取引相手の一覧表をヒアリングシートとして出さねばならないのです。1万ドルか100万円を超えれば、詳細なエビデンスが必要です。オークションの場合は、お買い上げのインボイス、オークション誌のコピー、発送物の差出時の証明書類を出すのですが、銀行さんが、これほどの完璧なエビデンスは見たことがないと吃驚していました。条件が整っていればやれるのですが、スポットのディールでは相当に苦労すると思います。

私の場合は、1995年にアメリカのWells Fargo銀行で、チェックを切れる口座を開いたのです。アメリカに行かずに開設したので、この時も本人確認が必要で、証明してもらうためにアメリカ領事館を訪ねました。簡単にできる筈だったのですが、震災直後の為、自国民以外の依頼には一切応じられないとして拒否されました。代案として通告されたのが、Nortary Public=公証人に依る証明です。日本の公証人役場に行って、私が私であることを公証人に証明してもらい、更に公証人がその立場にいる事を、外務省に行って確認してもらうのです。実際にその通りにやりました。アメリカの社会保険番号抜きでやるのでこの手続きが要ったのです。こうやって開いた口座は、利息は付きませんが、アメリカ等との取引で随分重宝したのです。ドルでの受け取りとドルでの支払いがスプレッドなしで完結出来るのです。でもこの環境も1年前に潰されました。アメリカの銀行のレギュレーションで、非居住者の社会保険番号無しでの口座の保持が出来なくなったのです。マネロン対策の一環でしょう。数週間のノッティスでクローズドの通告なので大いに慌てました。たまたま数万ドルの残が有ったので、アメリカの取引先5人に頼んで先付のチェックを切ったのです。

国内からの国際送金も不便になりました。ゆうちょダイレクトが事業用目的の送金に使えなくなりました。私の場合は、会社も、個人もいっさいNGです。だから何とかFX系の送金で凌いでいますが、それも普通にやれるのは100万円までなのです。超えれば銀行に出向いて手続きします。その銀行も外為の取り扱いは大幅に縮小、証明書類を揃えて、本店や営業本部に行かねばなりません。スポットの飛び込みではどこでも無理だと思います。代替手段で使えるのが、ペイパルとクレジットカードでしょうか。金額が大きくなればペイパルは無理かと思います。今回のFeldmanセールでもクレジットカード払いの方が少なからずいると思います。これにもトラブルの種が潜んでいるのです。誰も悪くは無いのですが、知っていないとイライラする事になるのです。

AI?での判断かと思いますが、海外との通信販売での取引をクレジットカードで払おうとすると、金額にもよるのですが、かなりの確率でストップが掛かります。詐欺を疑っての措置なのです。特に、今回のセールの場合、海外取引での実績がゼロの人は引っ掛かる確率が高いと思います。支払い枠オーバーに依る拒否でなく、詐欺の可能性が否定できないという理由でのストップです。全てをチェックしていませんが、決済不完了の連絡は何処からも来ないと思います。Feldmanの場合もWebの専用の窓から入るので、ユーザーさんの認識は支払い完了、落札品が早く着かないかなと待ち焦がれるのです。待てど暮らせど音沙汰無しなのです。イライラだけが募ります。対応策を教えましょう。Feldmanの場合は、発送時にFedEXのトラッキング番号を連絡して来ます。カードの手続きをして1週間たってこの連絡が無い場合は、撥ねられていることを疑いましょう。対応策はただ一つ、カード会社に連絡して、決済がストップされているけれど、自分の取引で間違いないことを告げるのです。簡単に確認を取ってくれます。でもそれ以上の再送金とかには動いてくれません。やってくれるのは、カード会社は1時間後を目途に、この相手に対しての支払い口座を1週間限定で開いてくれるのです。但し、次は貴方がやらねばなりません。もう一度、Feldmanのサイトから、再送金するのです。元の取引は拒否で完結しています。だから二重引き落としにはなりません。このケースに於いては、Web.の手続きのみで完了出来るのでFeldmanにも連絡は要らないのです。多分、数日後に発送の連絡が有る筈です。流れが分かっていれば、そんなものという事で納得できるのですが、慣れていない人にはちょっと酷かも知れません。海外のオークションハウスの取引とはこういう物だと理解してのご利用が必要なのですよ。日本のオークションでビッドするのとはわけが違うのです。

 

Authorized Economic Operater

海外のオークション等で購入した物を輸入する場合のルールを書いて置きましょう。切手の場合のHSコード(Harmonized Commodity Description  and  Coding   System)は全世界で共通です。日本切手の場合、郵便切手としての効力を有する物は印刷物の一部として、49:07であり、関税も、消費税も掛かりません。この点での税関での定義は、郵便法の手彫と5厘を除く旧小判、追放切手以外という概念とは異なっていて、ゼロ無になってからの未使用切手が該当します。因みに、追放切手には記念や国立公園が含まれていない事から判るように、GHQが通達を出した当時の、軍國主義や国威発揚狙いの普通切手のみを対象にしており、当然ながら他の法律での有効性には全くリンクしないのです。新小判と菊の1円は、今でも郵便には使えますが、税関の分類では、効力を有しない郵便切手として、使用済や外国切手と同じく97:04になります。郵便法を根拠にして、税関と争ってはいけません。

Feldmanセールは、出品物が手彫だけなのでHSコードでは97:04です。関税はゼロで、一般論として消費税10%が賦課されます。但し、関税定率法14条10号(関連して同施行令)により、本邦より輸出された物で、形状を変えずに再輸入された物は、消費税も無条件で免税になります。法文を読めば、輸出許可証とかが必要みたいに書いてあるのですが、税関さんが見てわかる物は日本製だと認めてくれます。だから、今回のセールでは関税も消費税も発生しない筈です。でも、現実はそうではない事を強く危惧しますし、何も措置を講じなければ、今回のビッドが初めての、海外取引に不慣れな日本のコレクターの大多数が消費税10%を課せられる可能性が強いのです。

スタンぺディアさんから送られて来た日本語版のビッドシートを見てください。Shipping instructions (発送指示)に、□FedEX  □Registered mail  国際書留  のチョイス欄が有るのですが、これは2つの手段の何れかをクライアントが任意で選べるという意味では無いのです。本文ぺージの12頁に英語で、13ページに日本語で書かれている通りに、【すべてのロットは、スイスのDavid FeldmanからFedEXで発送されます。】が優先されるのです。国際郵便での発送は、FedEXが使えない私書箱の場合に限られて、要望を出しても無視されてしまいます。

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国際郵便の場合の通関は、各地の税関の外郵出張所が担当です。ここは話しが出来るし、融通も利くのです。万一、税関が判断を間違えて課税扱いになっても、支払っていない限り修正できるのです。物は受け取り拒否し、同時に通関済み証明書の番号を貰います。電話で説明して、然るべき書類を送るか、開封しての日本製の現認を要求すれば必ずやってくれて、2日後に免税通関での配達になります。話を聞いてくれるのです。でも、今回は無関係なのですが、満州・琉球・南方占領地は日本切手にはなりません。字入りは、国際展での佐藤浩一基準では外国切手ですが、税関に於いても日本切手で通ります。金額の過少申告もNGですし、全てに於いて嘘をついてはいけませんが、会話ができるので外郵通関は結論にも納得できるのです。

望まぬ場合でもFedEXが使われるので、対応策が必要です。法的なルールは完全に共通なのですが、現実では大きい差が出てしまいます。Feldmanは国際オークション会社です。対象は全世界の郵便切手なので、HSコードは97:04ですが、デコ(Declare)の品目は【Stamps】、オリジン(原産国)は無記入で書類を作ると思います。個々に手間暇かけての対応はやりません。大量に作業するので、きめ細かく原産国を書いたりはしないのです。2013年6月27日が境目でした。この日にFedEXがAEOの資格を取ったのです。特定保税運送者の内の認定通関業者になりました。因みに、JPの通関部門はこの資格を持っていません。或る意味、税関の通関業務を代理で行うのです。FedEXと話すと、今でも、矢鱈と【税関さんに聞いて見る、税関さんが言っている】の言葉が出るのですが、これは騙りです。税関抜きで通関作業が出来る資格を持ってしまったのです。税関の名前を使って自らの業務を正当化しているのです。だから、今回のセールで、FedEXで来た物の通関には強い懸念を抱いています。FelmanのデコはStamps、オリジンは無記入、AEOのFedEXは、関税はゼロで通しますが、貨物を開封せずに日本製の可能性を想定せずに、外国切手扱いで通関して、消費税10%を賦課してくる可能性が大いに有るのです。JP=外郵通関は、異議申し立てが出来るのですが、FedEXは出された結論が最終かつ唯一の物です。何処にもクレームを付けられません。日本切手の再輸入だから、無条件免税でしょうと言っても、修正の手段が無いのです。受取人が泣くか、スイスのFedEXが賠償するかのどちらかですが、後者はミスを認めません。元はと言えば、Feldmanのデコが問題なのです。品目は【Japanese Postage Stamps】、原産国【JAPAN】の記載が必須なのです。申告書にこの記載が有って、日本製品を見落して消費税10%課税すれば、これは日本のFedEXの通関士のミスなので争う事が出来ると思います。

私がやったバトルを書いて置きましょう。アメリカのディーラーからの額割れでした。数万ドル有ったと思います。ボリュームはかなりの物ですが、シッパーさんのデコは【Stamps】で金額は書いていたものの、原産国を書いてなかったのです。大きい荷物なので普通は開封するでしょう。見れば一目瞭然で未使用の日本切手だと分かります。でも、FedEXは、書類だけで数十万の消費税を掛けて来たのです。事前連絡一切なしでです。当然怒るし、抗議します。古い物や、混ざった物なら兎も角、完璧な額割れ数百万に対して、調べもせずに書類だけで外国切手扱いで、消費税数十万を支払えと来たのです。これが、FedEXのAEOの現実です。日本のFedEXは通関の不備を認めません。全てシッパーさんの書類不備のせいにしたのです。幸いにも私の場合は、消費税本則課税業者です。確定申告で仕入れ税額控除が出来るので、払っても行って来いになるのです。だから、この時は目を瞑って我慢しました。同時に再発防止策を要求したのです。オークション誌とかの無税通関はスルーでOK、金額にかかわらず、関税・消費税の可能性がある物は、全ての物に対しての事前通告を要求したのです。事務所宛、自宅宛、会社宛、個人宛の全てです。この条件は先方からの申し入れなので、実際その通りになっています。おかげで、結構際どいバトルになるのです。当然ながら、【税関が・・】の無茶な要求が茶飯事です。オークションでの落札物は問題ありません。エビデンスがしっかりしているので紛れは有りません。突然にやってくる出品物が困るのです。デコも切手でなく、PaperとかDocumentsで小さい数字での申告です。出品物なので、物は手元に来ておらず、価値も分かりません。でも、FedEXは詳細なインボイスを要求して来ます。税関の名前を騙ってなのですが。品目と金額、発行年・・。メールのやり取りをして、何とか辻褄を合わせるし、日本切手なので無条件免税だよが頭に有るのです。直近で癪な事が有りました。JSCAの番号だけは判ったので、想像力を働かせてリストを書いたのです。でも、1点だけが文字情報では書けない物が有りました。情報は葉書に貼られた5厘切手・三角のTSINGTAU消、物を見ずにディスクライブと評価をするのです。新小5厘の△TSINGTAU/CHINAのCTOと読みました。評価は2万円、竜から制定、霧島小型などは問題なく通ったのですが、これ1点は、「税関が調査して」日本切手と認めないとの結論になったのです。2000円の消費税は構わないのですが、税関さんはこんなことをやるはずが無いのは、税関職員の知人に聞いて分かっています。FedEXのAEO、変な資格を与えたものだと思います。でも、私の場合は、金銭的な損はないので遊んでいる感が強いのですが、普通のコレクターがこの扱いをされれば辛いでしょう。

自己責任で出来ることを教えましょう。Feldmanは絶対に前送はしてこないので、請求書が来るのです。送金の連絡の際に、デコのリクエストを書くのです。【JAPANESE stamps only】原産国【JAPAN】です。これを忘れればFeldmanに、FedEXがミスって消費税が掛けたのなら、FedEXに責任の追及ができると思います。本来ならば『共催』のスタンペディアさんが、支払いを国内で受けて、一括で落札物を貰って、国内から発送する位の事をやるべきだと思うのですが、ここの場合は際どい実体験をしていないので、この種の事案に対応する発想力をお持ちだと思えないのが残念です。Feldmanクラスのオークションハウスなら、ロイズと組んで、FedEXの輸送に限定して1件当たり30万ドル限度の保険を掛けることはやっていると思うので、安心して免税で受け取れると思います。ビッダーさんも輸送中の事故と通関に関して完全にストレスフリーでやれたはずなのです。簡単に出来る事だけに、評価もされるし感謝もされたでしょうに残念です。

支払いに関しても、ちょっとややこしい事が起きる恐れが有るのです。クレジットカード払いでです。これは次回に書きましょう。ビジネスに於いて世の中から消え去った物が矢鱈と多いし、そのスピードも日増しに勢いを増しているのです。付いて行くのに苦労しています。

 

東西南北・東南西北

和桜20銭縞のお話を続けます。Lot30170の再接ペアには、私が密接に絡んでいますし、当初のディールでは私しか知らないネタが一杯有るのです。アイホン君の記事のHerbert Goldsmithの名前は、日本人で知っているのは私とキタゾノ君だけでしょう。アイホン君の記事の詳細は、私が嘗てどこかに書いた物を引っ張って来ていますが、大急ぎのやっつけ仕事の為、事実関係が錯綜しており正しくないことが一杯なのです。登場人物の固有名詞は合っていますが、登場シーンと数字が出鱈目なのです。【東西南北】と書くべきところを【東南西北】と書いてしまっています。今回のセールの結果には影響は無いのでしょうが、書籍に開示された情報が、国際切手展の作品に子引き、孫引きされて、私の名前が間違って引用されるのは気分が悪いので、ここで修正しておきます。正誤表でなく、ゼロから決定版を書いて行きましょう。老婆心ながら、この切手だけでなく他の物の詳細に関しても、アイホン君はよく勉強をしているのですが、情報の処理に関しては、大昔から物凄くルーズなので、引用する場合には慎重さが必要なのです。このセールのデータは、確定版でなく一つの参考の情報だと思って扱って欲しいのです。一例をあげれば、止むを得ないケースなのですが、1銭ブッチの田型は存在が5になっていますが、去年私がバラ4枚にして潰しましたし、その前にもユキオスタンプさんが同じ事をやっています。もう1点もオンセール状態です。どんな物でも、世に知られずに形を変えて動いても誰もトレース出来ないと思います。私が知っていることだけでも、まともに正誤表を出すならば、500文逆刷の別冊以上のボリュームになってしまうでしょう。

本筋に戻りますが、20銭縞のペアが我々の元に来たのは、下側切手=Pos32が最初でした。ユキ・(カネコ)・長谷川さんのサンフィラUSAが東京に来た時に、山崎君にプライベートで売られました。私が持っている情報の、1989年で間違いは無いと思いますが、値段は300万位だったと聞きました。この頃の彼女が扱ったもので、ちょっと不似合いかなと思えるものが結構有ったのです。今回のセールの和桜20銭イ 墨点 白抜十字の後消しは、鯉江君が安く(言葉を変えれば、適価で)買っています。残念ながら私にはプライベートのお声が掛からなかったのですが、この時のオークションでは良い物を落しました。旧小判3銭木綿紙11N 未使用です。場に行った時に、秋元信二郎さんと話をして、要るでしょう?降りましょうか?と聞いたのですが、『紙が違うだろう、要らない』のご返事だったので、遠慮なく最低値の一声上で買いました。安いけれど、1000ドル位の評価なので、元の持ち主は少なくとも目打は判るコレクターだったのです。木綿紙は公式には未発表ですが雰囲気は良かったので、飛び込んで買ったのですが、売る時には連合の鑑定書を取りました。プライベートで売って、物が表に出た時点で、田畑君が貴重な情報を見つけたのです。【ウッドワード】の本に出ている現物だったのです。一気に格が上がりましたし、関連しての情報の捜索が出来るようになったのです。

このヒントを貰えれば、私の出番になるのです。ユキさんが手にした珠玉のお宝の素性が割れたのです。20銭縞のN1B1 東京も20銭イの墨点・後消しも3銭木綿紙11Nも大元の出所は同じでしょう、トレーシー・ウッドワードだと思います。彼からカナダの著名なコレクター、ブラッドショウに流れて、次いでカナダ在住の日系の弁護士、エドモンド・バンノ氏のご遺族からユキさんに来た物だと思います。バンノ弁護士は代は変わっていますが、今も同じ職に就かれているはずです。因みに、エドモンド氏は、番野一臣さんの実の叔父(或は伯父)さんです。番野さんに聞いたら、カナダに泊まりに行ったけど、切手の話は出なかったと言ってました。私が88,000ドルで買ったというのは、100%ガセネタです。また山崎君が16,611,000円でJAPEXで売ったというのも間違いです。他の物と混同していると思います。過去は兎も角として、私が関われたもので、取引値で1000万を軽~く超えるのは【秋田調】の2枚だけだと思います。

私にすれば、山崎君が安く買ったPos32の存在が記憶に有ったので、もう一枚のPos24に反応出来たのです。ペアにしての大儲け、二人での山分けを夢見ました。Hamburg  Kleine Reichenstrasse 1-ⅤのSchwanke & Shonセール、赤い表紙のA5版で隔月程度のペースでやっていた、小さいオークションハウスです。200回記念セールで表紙に20銭縞が出ていました。フロアセールは1991年で間違いないと思います。カタログを見て、消印とPosを確認して、ペアになることが分かりました。国内で調整したか、何も無しでやったかは覚えていないのですがそれは些事でしょう。ユーロ導入前なので、参考値は5万マルク=400万位だった気がします。山崎君にペアにしようぜ、の連絡をしたのかな。ここのセールのフロアには何度か出たことが有って、競りの流れは分かっています。小学校の教室みたいな風情で、長テーブルと木の椅子です。コールはドイツ語、ファーストコールは、エスティメイトでスタートして、ノービッドならビッダーが声を出してリクエスト、1割引き位ならOKだと分かっていたのです。20銭縞のメールはノービッドと読んでいました。だから45000マルクのコールを掛けようと最前列に座って、ドイツ語を反芻していたのです。予想通りの50000スタートで、値切りの発句をしようとしたら、場で手が挙がったのです。若いドイツ人、一体誰だ?状態でした。コレクターだとは思いません。エージェントか、スポットの代理人なのかな、数声読んで落札、許容範囲に収まりました。終わった後にアンダービッダー(最後まで競って降りた)のお兄さんに声掛けしたのですが返事なしで逃げられました。ドイツの若い子というと、ブレーメンの高校生=アンドレ・ローランの友達がいるのですが、見知った彼とは別人でした。

出品者は会場の最後部に座っていた、ドイツ系のイギリス人、Herbert Goldsmithでした。1984年にイギリスのオークションで掘出して抱えていたと聞きました。20銭縞を掘り出したもう一人のイギリス人(亡命墺太利人)のR & S Schapiraは、猜疑心が服を着ている風情で、付き合い方が滅茶苦茶難しかったのですが最後の最後に大きいビジネスをやりました。G・S氏の方は、ロンドンのBishopsgate のCity of London Philatelic Auctionへの有力な出品者としての間接的な接点しか有りませんでした。ここはマンスリーでやっていて、古~い全世界のアルバムを国別にバラシて売るのがメインでした。アルバムのブランドで狙う価値が有るのは、IdealかLincoln、多分この2社の場合、19世紀で終わっているメーカーかと思います。だから内容に魅力が有るのです。海外のオークションで日本切手の彫り出しが期待できるのはこの老舗の2社で有り、ライトハウスにスコット、ギボンズ、ダーボなら殆ど面白味は有りません。ロンドンに4大オークション=ロブソンロー・ギボンズ・ハーマー・フィリップスが有った時は、ここで大きいコレクションを買って、City of Londonでバラの小ロットで売るのがビジネスモデルとして成立していたのです。ロンドンを訪れた日本人の郵趣家をキタゾノ君が良く案内してあげていましたよ。必ず日本の初な物が出るので、スポットの旅行者でもイギリスのオークションでの掘出しの源流を体験できたのです。多くの人が楽しめたオークションハウスでした。普段は殆どが写真無での、場で見てよ・・のスタンスの編集なのですが、年に2回例外が有るのです。Goldsmithは手彫が結構判ります。4大オークション他で買った手彫の良品を、1年に2回、City of  London に出していました。この時だけ写真版2ページに手彫の光輝く物が並ぶのです。このオークションでは掃きだめに鶴なので、彼の手彫を見た瞬間はギョッとしたし、大いに燃えたのです。City・・はとうの昔に無くなっていますし、Schwankeも何時しかオークション誌を送って来なくなりました。Schwankeの20銭縞ですが、Goldsmithはこの2社に深くかかわっていたのです。親戚か何かだと思います。だから200回の記念セールの目玉に出品してあげたのでしょう。もう30年も経ったのかと反芻すれば不思議な気分になるのです。時代はすっかり変わりましたから。

1991年の国際展に4社合同オークションが有ったのです。編集は私が全部やりました。再接ペアは目玉として3000万で出しました。私と山崎君の買い値からして、ちょっと欲張りなのですが、お祭りの目玉なので、話題になれば良いのです。それなりに反応も有ったのですが、残念ながら不落札になりました。旧に復してペアが2枚の単片に分かれたのです。私の物は白井二実さんが買ってくれて、山崎君の方は一度売って、戻って来て、又別の人に売ったと聞きました。取引の値段は野暮なので書きません。時を経て。何時しか合体して、面妖な場所に現れました。テレビの『何でも鑑定団』のやらせ出演と、売る気の無い『ヤフオク』出品です。更に時を経て、ペアとしての安住の地を信州に見つけたと、ある意味安堵していたのですが、又も目途の無い旅に出て行きました。Feldmanの画像よりも現物は綺麗だと思います。でも、118年も泣き別れだったのでペアというには色の違いが微妙です。4社合同オークションでの私の書いた記事を載せて置きましょう。アイホン君のそれよりもセンスは良いと思います。オークションの記事には華美な修飾語は要らないというのが私のポリシーです。30年前も、今も全く変化はしていません。

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他の大物も含めて、今回のビッグなセール、私としても大いに楽しみたいと思っています。セールの予想は書けませんが、終わった後に結果を見て、裏話を書いてもいい物かどうか思案している物も少なくないのです。David Feldmanとスタンぺディアさんの【共催】のセールですが、ちょっと言葉の使い方がどうかと思うのです。東京での現物の下見が無理なのは分かります。でも、海外のオークションへのビッドが初めての人の参加を誘引するのが主眼でしょう。ならば、その人たちのストレスと不安を除去するのが【共催】社の義務だと思います。今のままなら、単なるプロモ―ション協力に過ぎないと思うのです。同封されたビッドシートでメールビッドをどうぞ、後の取引はご自分がやって下さいなら、オークションを標榜していて、取引の機会は提供しても責任は一切取らない、ヤフオクの場所貸しビジネスと同じでしょう。このままだと、海外取引に通じてない人が何人も泣くことになると危惧しています。だから私が出来る範囲で助け舟を出しましょう。キーワードは、HSコードとAEO、通関に絡む公式用語のイニシャルです。この件も含めて、直近の『ビジュアル日専』産業・動植物国宝編に、郵趣に絡む法律案件を書いています。郵便法の憲法17条違反、郵摸の東芝ゼロ円の不起訴、郵便法での切手の使用制限・・他です。特にFedEXのAEOの解説はもろに今回のスイスのオークションの最後の締めで大いに役に立つと思います。次回に詳報いたします。私の長年の経験で何が起きるかが見えているし、それを防ぐことも出来るのです。無駄な税金は払う必要は無いのです。

 

21+1ー1=21

20銭縞の一覧表を最新の情報に置き換えて分析して見たのです。博物館物に関しては、書けるネタは皆無です。物は抜群に良い物でしょうが、ワクワクする息吹を最早発する事は無いのです。私自身が接する事が出来た、イギリス在住の3人が皆英国系のオークションハウスで掘出しをしています。④ゴールドスミス、⑥シャピラ、⑦ゴールドスミス、㉒某ディーラー。何れもがギボンズとロブソンロー系(一部はスイスで開催)のJAPANのロットからの掘出しです。昔のイギリスには古~いアルバムが馬鹿ほど有って、毎月のように多くのオークションハウスに、国毎に千切られて出品されていたのです。古き良き時代の大英帝国には幸が埋まっていたのです。20銭縞が判る連中なら、手彫の真偽も分かるし、竜の版別も出来るでしょう。面白いように掘出しできたと思います。キタゾノ君がロンドンに行く前に於いてはですが。➉は私で、オランダでの10頁程のリーフでした。旧韓の梨花と鷹の未使用のセットで元が取れました。本当に巧まぬ偶然なのですが、これらは時を経て色んなパターンでその全てを私が扱う事になったのです。もうこの辺で打ち止めで良いのかなと思っています。プラーベートでまともな相手から買って、それなりの利ザヤをオンしてのプラーベートディールは、余程の幸運に恵まれていないと出来ないし、冴えてないと無理なのです。今は自信が有りません。

この切手では、ディールでは縁が無かった物に対しても、それなりに関連情報を聞かされていましたが、1点だけブラックボックスに入っていた物が有りました。⑬のKG羽後久保田 3割消しです。タカハシスタンプに出たことだけは、トレースできたのですが、売れたかどうかも、落札者に関しても杳として分かりませんでした。ところが今回の記事を書こうとして、薄っすらとした情報を思い出しました。反芻すれば、当たりだと思えて来たのです。

数年前に秋田の会員さんから電話を貰いました。不幸な事件に関りがあるかもしれないエンタが、マーケットに出回っている。知っていることが有れば教えて欲しい・・です。秋田市内でお独り住まいの男性が、自宅兼事業所で亡くなられ、金目の物が盗まれて警察沙汰になっている・・。地元印の収集家としても名が通っていて、この人の物と思しきエンタが弊社に出品されているというご趣旨でした。調べましたが、ご出品のルートからは繋がりの可能性は見出せず、多分勘違いだろうで終わったのです。その際に話題になったのが20銭縞の久保田消しです。故人がお持ちで、JPS秋田支部の切手展に展示されたというお話でした。この時は、私は何らの情報を持っておらず、まさか?松田印刷では?みたいな受け止め方をしたのです。

でも、祖父江ノートの図版を見て、認識が変わりました。切手自体の状態は判りません。消印は⓷ですが、総合的な情報で、KG羽後久保田と判断して間違い有りません。でも手彫のコレクターはコレクションに入れたくは無いでしょう。値段にも依りますが、地元印のコレクターなら大珍品、ご自慢の逸品の地位に置けるものなのです。故人は、羽後の消印の大家です。弊社のオークションでも、私が覚えている位の強気のビッドをしてくれていました。いつしか縁が切れ、音沙汰も無くなりましたが、こんな哀しい事情が有ったとは始めて知ったのです。私のアンテナにかからなかった、20銭縞のKG久保田、この方のコレクションの目玉になっていたような気がします。羽後の消印コレクションは、少なくとも私の手の届く所には出て来ていないと思います。切手のアルバムは、金にならないと思われて、泥棒さんにも見向きもされなかったのでしょうか。祖父江ノートの最後の㉒を増やせたのは昨年でした。同時に私の記憶のデータベースからは⑬が消えたのです。これが表題の計算式の理由です。

祖父江ノートを再検証

David Feldmanからは、豪華装丁で、500文逆刷の別冊も含めて2冊、ほぼ同じタイミングで、スタンペディアオークションからも、同一内容の手彫のオークション誌が届きました。こちらはホンチャンのカタログと同じPDFを元にして、プリントパックでの印刷でしょう。無線綴じのページ制限が164なので、必然的に2分冊になのです。ディスクライバーはアイホン君なので、突っ込みどころ満載のカタログです。じっくりと楽しませてもらいましょう。このセールに関しては私はノータッチなのですが、前所有者が超現役のコレクターなので当然ながらお付き合いも有りますし、このセールのマテリアルに関して知り過ぎていることも多いのです。書けるネタは一杯有るのですが、慎重に筆を進めて行きましょう。このセールのエスティメイトの設定は、大物に関しては前所有者の買い値のメモを参考にして、現所有者が決めたのかなと思います。一般の物のロッティングは記事も含めて、アイホン君の世界観でやりたい放題でやっているのでしょう。彼の場合、エンタのルートとレートは誰よりも分かるのですが、トラッドの切手そのものでは、売買という意味での修羅場を踏んでいないので大甘だと思います。だからオークションとすれば面白いのですが。

オークション誌の記事と言う視点では、読んでいてウザく感じてしまう所が多いのです。余計な事を書きすぎですし、目に付くのが、現存何点という記載です。国際切手展へのコレクションの記載として推奨されているらしいのですが、私は極めて否定的です。極一部の例外を除いては、日本切手では定量で数を示す程の情報網は整備されていないのです。だから現存数など分かる訳が無いのです。一生懸命、文献を漁っても、完璧にトレースできるものでは有りません。今回のカタログでも、書き十の未使用5枚、使用済1ダースは酷い表現です。山田祐司コレクションの記載を引っ張って来ていますが、割と普通に数えても、未使用は11枚、使用済は少なくとも30枚、恐らくは50枚以上は有るでしょう。存在数の単純計算でも15銭ロの2版分=80Pos分の1なので推して知るべしなのですよ。和紙墨六の未使用のカナ毎の枚数は、山崎氏のデータを使っていますが、比較的最近に、私一人が扱った物でデータから漏れているのは、レアシラビックのカナ混合で6~7枚は増えてしまいます。現存何枚とはこの程度の物なのです。それに定量の存在数は値段には全くリンクいたしません。定量の存在数の少なさよりも、該当品のルックスの方が値段への影響力は絶大なのです。高い切手のオフセンターは、リーフに貼った見栄えが悪く、第3者が貶す格好のネタになるのです。値段が下がるのでなく、集める対象から排斥されるのです。

本題に移ります。和桜20銭縞なのです。今回のコレクションもそうですが、最近の切手展の作品で必ず引用される数字が、存在21枚です。珍品としての枚数としての多寡を云々するのは野暮ですが、皆さんどこで情報を得ているのかなが気になったのです。局別の数字も誰もが同じタッチで書かれていると思います。しっかりした元ネタが有るのでしょう。推測ですが、私も少し協力した、祖父江義信さんの一覧表かなと思います。画像付きで、データが余すことなくリストアップされています。作製当時とすれば特に所有者名は完璧だったのですが、ここに来て結構動いている物が多いのです。総数21枚、その内博物館物が5枚なので、マーケットに有るのは16枚です。この切手には私は昔から何故か縁が有って、矢鱈と扱っているのです。掘出しが1枚、オークションでもろに落札した物が1枚、実質的にプライベートディールが7枚、もう1枚も次のJAPEXセールに出品することが確定しています。私如きが一人で市場或る物の過半数超の10枚も扱えるのですから、存在数21枚は眉に唾して数えねばなりません。ここではオリジナルの祖父江ノートを元にして、私が持っている最新のデータを書いて置きましょう。データは書籍等に発表されている物は、所有者名を書きますが、画像は種々事情を鑑み、ノーガードで引用する事は出来ません。番号は祖父江番号で、★は私がディーラーとして扱った物で、一部はコメントを付けました。

①②ペア N1B1東京7.6.13 有馬切手文化博物館

③    N1B1東京 不鮮明 三井文庫

④⑤再接ペア N1B1東京7.6.13 今回の出品物 書けるネタが一杯有り過ぎるので、別項目で書きます。④★

⑥    N1B1/K越前敦賀7.11.28 Pos33ピンホールあり シャピラが掘り出しで、ナタ二エル ★

⑦    N1B1/K越前敦賀7.11.10 ゴールドスミスが掘り出しで、関西のコレクターを経て、祖父江義信 ★

⑧    N1B1/K越前敦賀7.11.8 カロル2世→林喜一郎→日本フィラテリックセンターに出品

⑨    N1B1/K越前敦賀7.11.25 Pos1ピンホール無し 元ウッドワード 香港John Bullに出て、セールで不落札を後にプライベートで購入 某コレクター所有 ★

➉    N1B1/K越前敦賀7.11.6 Pos3 ⑪と同時使用の下側 オランダのVan Dietenで私が日・韓の古いリーフの中で落札 タカハシスタンプ ★

⑪    N1B1/K越前敦賀7.11.6 Pos11 ➉と同時使用の上側 山本謹一

⑫    N1B1/K越前敦賀7.11.8 スミソニアン博物館

⑬    KG羽後久保田 タカハシオークションで売られた物。唯一行方が定かでなかった物だが、今回の調査で判明。秋田の地元印コレクターが所有も、没後所在不明

⑭    KG羽後久保田 ウエーバリー→村川恒夫

⑮    マ23号 手彫切手専門カタログの表紙に採録 某コレクター ★

⑯    マ23号 元市田左右一 本年のJAPEXセールに出品 ★

⑰    マ1号  福原一信→太田克己

⑱⑲縦ペア キ1号 三井文庫

⑳    秋田調 某コレクター(関東地区)★

㉑    秋田調 アメリカ業者がE-Bay入手 鈴木鉄一 ★

㉒    N1B1/K越前敦賀7.11.9 昨年イギリスのオークションのロットから出現した新発見の物 某コレクター ★

祖父江データの21枚に、㉒が加わって、⑬が消えました。だから暫くは、知られている枚数は21として良いでしょう。後で一寸コメントを書いて置きましょう。

国際物流 事故多発

チョット深刻な事案が連続して発生しています。

信じられないのが、FedEXの紛失です。アメリカのブローカーさんからの出品物が、完全に行方不明になりました。ボストンで集荷完了の情報が出て、配達予定日が表示されて、そのままで、一切動きなし、今までには経験したことの無い現象です。先方から、物を送った事と、トラッキング番号を貰っていたのですが、まさかと思ってコールセンターに連絡したら、アメリカを出た証拠が見つからないとの事。しかも日本のFedEXの事故の取り扱いが最悪、荷姿と内容物の画像を送れ‼!だと。発送済みの連絡を貰ったから、検索を掛けて事故の事実が判明したけれど、それをやっていなければ事故が起きた事すら分からないはず。この件に関しては、私が出来ることは一つしか有りません。シッパーさんに状況を連絡して、アメリカで調べて貰うだけ、それなりに良い物を送って来ていた人だけに、事故の賠償を受けられるかどうかが気がかりです。職業は、事務弁護士なので、適格に動くと思うのですが、FedEXの場合、保険がどうなっているかは不明です。2週間経過も動きが見えないのです。輸送にかかる値段はケタ違いに高いのですが、配達までのスピードと情報開示の正確さゆえに信用できるキャリアだったのですが、一気に崩れ落ちてしまいました。日本のFedEXの責任ではないのですが、後処理が上手くないのです。確実にアメリカでの紛失なので、見通しは暗いと思います。

3月末の書損5円のタイムリミットに向けて、海外の取引先に周知していたのです。額割れを早く送れ、月を超えると安くなるぞ!! 結構な金額の物が届きました。でも、イギリスからの1件が未着でした。2か月近く経っても届かないのです。Royal Mailの書留・小包なので、JPのサイトでも番号での検索が出来るのです。引き受けは3月7日、そのまま動きなし。イギリスから出ていないことの確認は取れています。シッパーさんに調査依頼の届けを出して貰ったのですが、音沙汰ナシ。ところが、5月に入って突然に配達されたのです。私書箱で受け取ったのですが、判は不要、繰り返し確かめたのですが、普通便として船便で来ていたのです。結果オーライなのですが、書留ラベルが剥がれていたのでしょうか。悪意の輩なら、不着事故での賠償要求も出来るのです。私も、差出人もそれはやりませんが、起きてはいけない事故なのです。2カ月間のイライラはお互いにかなりの物だったのです。

去年の12月のオークション誌で未着事故が有りました。イスラエル宛です。コロナの影響は未だに残っていて、普通の航空便は出せません。唯一EMSは【配達予定日数5日】の情報がJPのサイトに出ています。3750円は結構良い値段ですが、間に合うのならやむを得ないと思ったのです。でも、届いていないのです。単に遅延かと思ったのです。JPのHPの情報は全く信用できませんから。でも、完全な未着の事故なのです。少なくとも、受け取っている証拠は有りません。でも、ここらが微妙なのですよ。国際郵便約款での規約に、【EMSとしての扱い云々】の表現が有るのです。平時なら、判取りは必須です。でも、コロナの非常時という事で、非接触・非対面での配達も認められているのです。こちらは、不着事故としての、料金返還の請求を出していますが、色よい返事は来ていません。それ以上に、当方と受取人の双方で、未着の事実の証明を出せみたいな要求をして来ています。何でも、コロナのせいで逃げ切れると思っているのでしょう。

オークション誌は兎も角、海外への物の送付が極めて窮屈になって来ています。相手国のレギュレーションで、すっ高い税金が掛かる場合が有るのです。それを外すための手段も無くは無いのですが、オークショニアは絶対にリスクを被りません。EMSのフルの金額での保険付きの発送が原則です。それが嫌なら、先方に代案を出すべくリクエストします。保険無しの書留でも構いませんが、事故のリスクは先方に負担してもらいます。一般的にはこれで良いのですが、イスラエルが難儀なのです。税関が極めて優秀で、見落とししてくれないのです。【モサド】が入っていますから。日本人では私と同年代、いやかなり上の人しか知らないでしょうが、1960年5月に衝撃的な事件が起きました。ナチスのアドルフ・アイヒマンが、潜伏中のアルゼンチンで拉致されて、イスラエルに連れて来られて翌年処刑されたのです。それをやったのがモサドです。私は小学生の低学年だったのですが、何故かその記憶が刷り込まれているのです。起きた事実を時系列に整理しているというよりも、遡っての後講釈だと思うのですが、モサドと聞くと、反応してしまいます。だからイスラエルの人はもっとだと思います。落札品の日本渡しとか、国際展に行く人への事付けとかいろいろやったのですが、気疲れが強いのです。好意でやるのですが、事故が起きた場合に責任が取れないのです。20%+の税金を払って貰うしかないのかな。EMSでオークションが送れないので、今回はFedEXを使いました。15000円+の負担です。無事に着いて、それ以上にビッドが来れば良いのですが・・・。

物流以外にも、国際取引で環境が激変しています。トラベラーチェックは過去の遺物だし、Demand Draft=送金小切手も無くなりました。私がアメリカに持っていた、パーソナルチェックの口座も、米国非居住者故に閉鎖されました。半年ぐらい前からは、仕向け送金でも被仕向けの受け取りでも、100万円か1万ドル以上の場合、マネロン対策で厳格なエビデンスがいるのです。オークションでの取引なら、100%通るのですが、出向く手間と、個々のディールが1回ごとに完結できることが前提です。なあ~なあでは通らなくなっています。

当たり前と言えば当たり前なのですが、オークション自体の運営も、ちょっと考えて行かねばいけないでしょう。甘えは何時までも続かないと思います。

日仏コンビが35通

既にご案内の通りなのですが、Robert Siegelの MAGNOLIA コレクションのカタログが届きました。表題はJapanese Foreign Mail and Post Officeなのですが、Stephan Chazen氏のフランス横浜局コレクションがメイン、デグロンカバーが主体で日仏コンビが35通並んでいます。彼はアメリカの独立系の石油会社でシェールオイル大手の著名企業、オクシデンタ・ペトロリアムのCEOでした。北海油田での大事故とか、直近ではウオーレン・バフェット氏のバークシャー・ハザウエイが、株を15%所得した事がニュースになっています。

20230314

当時は意識してなかったのですが、弊社でも結構買っていただいていたのです。当初はエージェントの名前での取引だったのですが、何時しかお支払や発送はご本人宛になっていました。金額は大きいのですが、先方が保険会社と特約を結んでいるので、FedEXの着払い、輸送保険付き、お支払いは、即刻での振込みなのでストレス・フリーの取引が出来ていました。思い出深いのが、旧中国大龍3銭と旧小5銭のコンビネーションのハワイ宛、手数料込みで1000万円を超えました。海外からのテレフォンビッドが2人で競って、値段を切ってビッドを依頼していたChazen氏が負けました。極めて貴重な敗北だったと思います。このエンタは、ハワイ宛の料金が抜群に面白いのですが、ふと思いついて記事にして、片山七三雄氏と山崎文雄氏が解明してくれました。落札者はフランスの中国人のDr.で、お父上とは長い付き合いをしていたのです。品物は香港のオークショニアのジェフリー・シュナイダー渡しをリクエストされたので、丁度しょっちゅう行っている頃だったの、持参して、問題は無くビジネスを完了できたのです。今にして思えば、結構ハードなディールをやっていたのです。

今回のセールは、彼のコレクションの極一部です。何せ、デグロンがゴミのように並んでいます。でも多分、アメリカ局の方がグレードは上だと思います。私が扱った物でも、HAKODADIや、神奈川領事館、ニューヘーブン→生野のコンビネーションが有りますから。Siegelなので、如何様や、空売りは無いと思います。これだけ並んでいれば、参考値に惚れて、ちょっかいを出したくなる人もいるでしょう。実際、絶好のバーゲン・ハンティングかも知れません。でも、私は手を出しません。落としても、デグロンを100万+で買える人の顔が思い浮かばないのです。

達者なブローカーさんも十分、物のチョイスをして下さい。ひねりの要素が有る物を一見安く落とせても、いざ売るとなるとしんどいかも知れません。目を瞑っての、最低値一任で弊社に送って来られても、私は料理できる自信が無いのです。この並びを見せられれば、物に対する敬意が消滅して冷静な評価が下せないのです。知り過ぎるとビジネスが出来ません。

このカタログに広告が出ている、香港の文華拍売有限公社=AVAオークションですが、ついこの間までは、初耳でした。落札結果を見ても、中国ものが突拍子もない値段で落ちています。Chazen氏自身の関係者の会社かなと思っていたら、中国人が教えてくれました。お前がよく知っている香港人がやってるぞ・・。D・・、W・・、いや、言われれば心当たりが有るような、無いような、何年か前のJAPEXで会ったのは確かなのですが、その後のビジネスの印象は有りません。それに、今の香港は何がどうなってるか分かりません。ここ数年は行きもしないし、ビッドも全くやっていないのです。Chazen氏の弊社でのお買い上げは、ほんの数千万円、でも、期待していた物には不思議な程に食いついてくれたのです。今となれば、もっと真面目に商売すれば、他の同業者位のお付き合いも出来た人だったかなと思うのです。所詮は、弊社が扱う純日本物では彼の好みからはズレていると勝手に思い込んでいたのです。

Siegelがポット出の香港のオークションハウスに広告スペースを提供する位なので、さぞや凄い金額のビジネスが隠れているのでしょう。軽く見ても数十億円、いや一桁上かも知れません。デグロンカバーの数を見て、私の認識が如何に甘いかを改めて認識した次第です。

出品物到着

つい今しがた、手彫切手9点の出品物がレターパック+で届きました。各メディアに広告を出している中国系のディーラーさんからです。

竜100文1版Pos13 未・100文腕落ちが未と済・200文腕落ち済・200文2版無地 未・500文2版無地 未・洋桜6銭ワとヨ 未・書き十 済、最初の1枚は本物ですが、他はどこかでよく見るような物で、送り先を間違えたのでしょう。まさか、高買いはしていないと思いますが、突然かけて来た電話の雰囲気では、【お宝ゲット】としてハイテンションの風情でした。

230306_01

5分後にお返ししましたよ。

5月のオークションの編集を進めています。面白い物が1点有りました。竜200文1版の初期印刷、地名入り検査済の局名欠け、必死になってプレーティングをしたのですが、1ミリ刻みに写真を辿ってもピッタリ来ないのです。まさかと思って2版で調べたのですが、勿論合いません。1時間は掛けたと思います。1版のプレーティングのミスでは有りません。

結論は、極精巧な偽物、上に書いた8点とはレベルが違います。オークションに出しますので、是非ご一覧下さい。