XRFでの分析データでかなり詳しく書けるのですが、より優先度の高い情報が入りました。ヤフオクでの対応の可能性が出てきたのです。現時点で判っている情報を開示しておきます。かなりラフなメールなのですが、そのまま載せておきます。偽物を購入したことへのお見舞金が、実際に払われます。どの条件で実行されるのかは不明ですし、聞いてもヤフオクは返事をしないでしょう。『弊社の規定により適切に対処する・・個別の案件への返事はしない・・』ということでしょう。必要な証明書類が何か、金額制限が有るのか、申請すれば結論を貰えるのか・・等々詳細は不明ですが、兎も角そういうシステムが有る事は事実なので、該当者は申し出て欲しいと思います。現物の返品とかでなく、ヤフオクでの偽物購入に対する【慰謝料】のお支払なので、同じ出品者で続くなら、ヤフオクも利用停止とかの対応を取るでしょう。
もう1件は、ガイドライン違反の申告です。心あたりが有りの有る出品者の行為に対して、ヤフオクへ申告をして欲しいのです。同じ輩へ、複数の、深刻な事案が申告されたなら、ヤフオクですら動かざるを得ないでしょう。取りあえず、今できる事からやって、ヤフオクとメルカリへの件の出品者の出品を止めねばなりません。
この件に対して、公益財団法人や、郵趣家の組織、切手商組合が主体的に動くことは期待できません。意に反して、偽物を購入した方がご自分で動いて貰うしか無いのです。それをやってからもっと別の解決策を考えたいと思います。

事実の立証のポイントはXRF=蛍光X線分析装置だと思います。機械は嘘をつきませんので、裁判長を納得させられるはずです。静岡の人物の鑑定書に付いている計測機器の一覧ですが、彼は、総額2億円の機器を使っていると記しています。強ち大げさでは有りません。もし実際に持っているならばですが。紙の分析は私の分野では有りませんのでここでは触れません。でも、XRFでの元素分析は説得力を持って論ずることが出来るのです。弊社も1台持っていますから。それは彼のリストにある、Skyray Instrument Genuius 5000XRFその物です。今となれば、かなりの旧タイプですが十分目的を達する事が出来るのです。島津や堀場の1000万円クラスでは無いのですが、元素記号Al~Uまでは計れます。切手の元素分析には、これ1台で十分です。彼のように5台は要らないのです。もし揃えれば数千万掛かるし、何らのメリットも無いでしょう。彼のチャートを見てわかるのですが、弊社のそれとは違う機種です。最初は、機械その物を持っているかどうかも疑ったのですが、チャートの日付が最近なので、どれか1台は有るのでしょう。
XRFの導入の流れを書いて置きましょう。放射線が出るので、管理区域が必要です。ただそれば、何とでもなるのです。うるさくは有りません。でも設置の30日以上前に所轄の労働基準監督署に届けを出して、許可番号を貰います。それを業者に渡して設置が完了するのです。導入者は当然ながら素人です。ハードの設置と共に、分析ソフトの調整も業者にお願いするのです。その際対象物を聞かれます。切手の場合は、紙への印刷物なので、必然的にミネラルモードになるのです。大学や研究所等の同じ立場の人に聞いたのですが、皆例外なくミネラルモードでデータを取っています。静岡の人のそれは、金属モードで、銅を主体にした合金を計るのに適した設定です。切手は無理だと思います。これに関しては、後日解説いたします。
彼の書類を見て判るのですが、所轄の労基は島田です。そして許可番号は一つだけなのです。島田労基に某氏の設置状況を聞いたのですが、個人情報なので回答を拒否されました。裁判所の命令が無いと無理なのです。だから、弊社の所轄の大阪・天満の労基に聞いたのです。許可番号取得の条件をです。機械1台に付き一つです。同時に同じ物を複数台入れるのなら、同一番号も有り得るけれど、それ以外なら、5台持つなら番号は5つだと聞きました。だから、某氏が5台持ってることは有り得ないのです。1台所持は可能性が高いのですが、同時に切手を金属モードでやっているように見える事も気になるのです。当初の導入はメーカーからだとしても、サービスマンのアフターサービスを継続して受けて無いように見えるのです。もしかしたら、中古品をヤフオクとかのバッタ屋で買ったか、当初は別の物を計測するための買って、操作に関しての知識欠如に依り、ミネラルモードへの変更が出来ないのかと思うのです。
当然ながら、幾つもの不自然で不都合な事実が現れてきます。彼が鑑定書で絶対的な証明要素として謳っている、精度の高い分析データだとして発行しているチャートは、まやかし物だと簡単に証明できると思います。次回からは、このポイントで具体的に立証を始めます。
前々回の記事で、説明不足が有りました。【鑑定書】12頁プラス1枚の最後の物は、該当品を弊社のXRFのミネラルモードで分析した物です。この詳細は説明に時間を要しますので後日詳報致します。今回は、現物を解説いたします。和桜4銭タイプⅡの未使用です。現物は弊社の手元に来ておりますが、勿論指弾している相手が、ヤフオクを起点として売った物です。Web.で画像を見て、偽物と判りますか?この1枚は、ある方がボストーク1巻ほぼ全揃いのコレクションとして、弊社へ出品してくれた物の中に有りました。旧小判~電信切手までは、問題が無く、既に出品物としての扱いは完了しています。手彫がお気の毒だったのです。使用済はOKでしたが、未使用は竜の2枚と、桜の殆どが、かの輩からの短期間でのプライベート取引での購入品でした。私が現物を手にした際にも、真偽に迷う物は無かったのです。殆どの物は、ヤフオクが出所の静岡出品物だと一瞥で知れました。但し1点だけ、瞬間的に迷ったのがこの4銭でした。彼の変な拘り故に桜は全部リガムです。これもそうだし、目打と紙と全体の雰囲気で真正で無いのは判ります。但し手にすれば、の条件が付くのです。チョンボは出来ないので、結構迷ったのは事実です。まさかここまでやれるのかと思ったのです。
我々サイドの鑑定機関が見れば、間違える可能性は有りません。手元に置いて、いくつかの要因を比べれば適切な結論が出せるでしょう。決定的な情報は、プレーティングです。和桜4銭の版数は15版なので、ポジション違いは600です。正に念のために、高野昇郎さんにお願いして当たって貰ったのです。タイプⅡだけでなく、600Pos全部との比較です。勿論一致する物は有りません。だから、郵趣界の鑑定では、偽物で確定、誰も文句は言いません。でも、この主張を今回の相手と民事裁判でやればどうでしょうか。被告の言い分は目に見えています。図案の相違=600Posに該当無しの事実は認めると思います。彼が一致する物を提示できないからですから。でも、この切手ではもう1版(以上)の未発見の版の存在の可能性が有るのでは、と言うでしょう。そんな馬鹿な、有り得ない・・と反論しても、郵趣家でない裁判長の判断がどうなるかが怖いのです。実際に旧来見つかっていなかった、【改桜20銭リ】が2枚見つかった事を例示するでしょう。可能性は10万分の1以下でしょうが、それでもゼロでは有りません。裁判では疑わしきは罰せずの判断が下されるかも知れません。12頁のヘンテコな鑑定書の価値を認めたら、です。その可能性も消し去らねばならないのです。極めて小さい可能性でも、それが絶対に存在しないことを証明するのは難しく、所謂【悪魔の証明】をせねばなりません。でも、やれると思いますよ。それが私のやるべきことだと思っていますから。実は今回提示したチャートだけでも、既に十分に勝負が出来るのです。相手の切手を弊社のXRFで分析した2枚目のチャートです。キーになる元素はTi=チタンです。戦前には商業的に不存在の物が、明治の切手に出ることは有り得ません。10年前には必死に調べて裏付けを取ったのですが、今回は詳細を省きます。『永仁の壺』『佐伯祐三の雪景色』が偽物と証明された根拠が、Tiが検出されたことなのです。裁判になれば何時でも引っ張って来ることは出来るのです。あんなこともやったのだとふと思い出したのです。
相手の心臓部に踏み込むにはもう少し揃えねばならない物が有るのです。結論を出す前に積み上げて行きましょう。今回Upした3枚のチャートですが、最初が【鑑定書】に於いて真正品の根拠とした、先方がこの切手を分析した物です。でもモードは金属でしょう。2枚目が、同じ物を弊社のXRFでミネラルモードでやった分析結果です。3枚目が弊社の在庫品(真正品)のミネラルモードでのデータです。ノーヒントでは理解不能でしょうし、勿論このままの生データでは裁判に証拠としては使えません。判断材料に使えるように、知識を加工せねばなりません。おいおい説明を加えて、十分に勝負できるように解説いたします。絶対的な事実が有ったとしても、第三者を納得させられるように示すには、順序を踏んで反論の可能性を消し去らねば駄目なので、少し時間が要るのです。今までに開示した、相手方の書類を読み込めば相当に突っ込む事が出来るのです。
おチャラケ情報なのですが、前回の12頁の鑑定書の費用は1万円、今回の3頁のそれは3480円です。ご納得の上で手にされているコレクターが少なからずおられることを肝に銘じて動かねばなりません。


流石山崎君です。着眼点、発想力、行動力は大したものです。敬意を表して3頁の記事を掲載させて頂きます。実は、この記事のゲラは、本を出す前に読んで欲しいと言われて、昨年末に頂いていたのですが、その時はすんなりOKを出したのです。事実の周知が何よりも肝要だと思ったからです。でも、年が明けて事情が急変したのです。山崎君の能力は大したものですが、最後の詰めが甘いのです。3頁の記事の最終盤に結論が書いていますが、余りにも悪事を為した輩を善人として評価しています。【鑑定書が有れば返金する・・・。係争の意志が無い事を明らかにしていました。】の部分です。それが本当なら、或る意味解決です。でもそれは夢の中、相手は甘くないし確信犯です。読者や他の被害者が誤解する可能性も有るのです。気づいて、訂正を申し入れたのですが、間に合いませんでした。たんぶるぽすとのこの記事をベースに、郵趣3月号にも追いかけ記事が出ます。この分のゲラも頂いたので、絶対に返品・返金は無いからと改めて貰いました。
つい今しがた、記事に書かれた『諏訪さん』から電話を貰いました。購入先は、島田市の女性名で、牧之原では有りません。和桜6銭チが、3~4万、洋桜30銭ブッチが39万でのお買い上げだったそうです。鑑定は墨六は水原財団に、30銭ブッチは切手商組合に依頼しました。この2点なら、我々サイドの判断なら、誰がやっても結論は同じです。当然のように鑑定書付で返品したのですが、別項目で書いたのと同じ結果になりました。紙1枚の鑑定書は証拠として認められない。だから返金は出来ない。日本で最高の鑑定機関を紹介する・・。そこの判断で偽物なら返金に応じるです。勿論、牧之原のあの人に頼めです。牧之原と島田は、ご近所でしょう。同一人なのか、縁者なのか判りませんが、役割を使い分けているのでしょう。
次回からは、私が最重要視している、XRFをテーマに論じます。何せ先方は、検査機器に2億円も掛けているそうなので、まさか間違ったデータを出してない筈なのですが。
昨年の11月6日、JAPEXセールを終えて帰阪したらメッセージが残っていました。思わぬ人からの物で、鑑定の送り先の問い合せでした。ヤフオクで変な物を買ったので、鑑定に出したいとの事でした。久しぶりに盛り上がって2時間位は話しました。勿論、私は仕事をしながらなのですが。実践的な法律論の話で波長が合うのです。テーマは、件の人物のヤフオク出品です。私は2015年頃からデータを見つけていたのです。切手よりも皇朝銭のディーラーで、もっと言えばXRF=蛍光X線分析器での元素分析ができ、鑑定をやっていると、かなりの分量の情報を出して宣伝していました。当方では無料サービスでやりますが、或る意味ご同業なので気になっていたのですが接点は有りません。最初から住所氏名をオープンにしていたので、記憶に残っているのです。ビジネス上の屋号は共通ですが、ヤフオクIDは変えているか複数持っているかなのですが、いつしか特徴の有る、出来の悪い手彫の偽物を盛んに売っていたので目立って来ていたのです。この時点では買う方が悪いレベルなので、眉を顰めはしてもさして気にもしていませんでした。でも、昨今はちょっと酷くて危険な状況になって来ているのです。
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次のシーンに移ります。落札時の取引ナビでの遣り取りで、鑑定で偽物になれば、鑑定料と送料を含めて返金するとの返事を貰っているのです。だから、落札者はレターパックで返したのです。カタログ値500万の和桜2銭イの方です。数日して、メールで返事が来たのです。『必要用件を充たしていない』から返金は出来ないと言うのです。国際的に認められている鑑定機関の鑑定書を突き返して来たのです。勿論何度もメールで遣り取りを重ねました。結論を取りまとめるなら、全日本郵趣連合、水原フィラテリー財団、切手商組合の鑑定書は、ペーパー1枚に結論しか書いていない、だから書類不備なので返金不可、現物を着払いのゆうパックで返してきたそうです。同時に、ご希望なら信用できる、返金可能な鑑定機関を紹介すると言うのです。面白いし、大いに煽って聞いて貰ったのです。返事が来ました。静岡県牧之原市・・・よく見て来た住所です。まさに、予想通りだし、おいおい・・でしょう。
大分時間が空いたのですが、このタイミングで書いて置きましょう。竜500文逆刷のお話です。一部の出版物で、あたかもDavid Feldman氏が、一代でゼロから世界最大のオークションハウスを築いたかのような論調を見受けるのですが、それは違うかなと思うのです。1947年アイルランド生まれのコレクターで1967年に切手のオークションを開催しています。何時からジュネーブの自社ビルでフロアセールをやるようになったかは覚えていないのですが、わたくし的に印象深いのは1987-1990年頃の、Habsburug-Feldmanとしての活動でした。切手も扱っていたし、東京も含めて世界中でオークションを開催していたのですが、取扱品目は美術品・宝石・時計が多かったのです。相方の名前で判るように、マリー・アントワネットのハプスブルグ家の末裔さんと組んでのビジネスだったのだと思います。私にすれば、それ以前のスイスの立派なカタログでの切手のオークションハウスのイメージが有ったので、切手のオークションは廃業で、サザビー・クリスティー路線に行くのか、残念だなみたいな受け止め方をしたのです。でもこの業態でのビジネスは、名前もセール自体も短期間で消滅し、ハプスブルグの名と郵趣の繋がりは泡沫の夢のように消えました。Feldman氏は2枚目のモナリザ=『アイルワースのモナリザ』で良く名前が出るのですが、アイルランド切手に関する著作以上に、美術研究家として知られています。切手のオークショニアというには異質の能力をお持ちなのです。
長年の交渉を経て、金井宏之氏のモーリシャスのコレクションを買い取って、自らのオークションで売ったのですが、超目玉のカバーの買い手が、モーリシャス国そのものだったのにはたまげました。普通のオークションハウスのような、場での成り行き任せの偶然狙いでなく、必然のビジネスモデルで絵を描いていたのでしょう。外形はオークションのスタイルだけれど、コレクションを買う前からエンドユーザーとは話は付いていたのでしょう。彼は負ける勝負はしませんから。こぼれ話が有るのです。売り手が金井さんなので、値段以外の付帯条件を幾つも付けていたと思います。詳細はさて置き、面白かったのが、デニスンヒンジをねだった事、取引に入る以前の雑談でのタイミングだったのでしょうが、すぐさま50袋入りのカートンが届いて吃驚したと聞きました。彼にすればお安い御用だし腕の見せ所だったのでしょう。
Feldman氏は、或るテーマでは自他共に認める世界一の切手のコレクターです。対象はエメラルド色の切手です。宝石商としての思い入れが有るのかどうかは判りませんが、オフカバーは勿論ですが、オンカバーでも純粋な一色貼りで素晴らしいコレクションを作っています。だから、このテーマでは、コレクターとしては500文の逆刷が垂涎の的だったのです。今回のセールのカタログの逆刷1点の特別仕立てのオークション誌に面白い記述が有りました。1974年に石川良並氏が、7500万円で買ったとの記載です。私には初耳だったのですが、アイホン君がどこかで仕入れてきたネタなのでしょう。ちょっと時を経て、本邦でこのアイテムに絡んだ方たちには幾つもの人生でのドラマが起きていて、その結果として、タイミング的にはタカハシスタンプさんがお持ちだった時の事なのです。2011年の日本での国際展の会場で、Feldman氏がマジで買いにかかったのです。持ち主との付き合いの度合い方して、『あれ幾ら?』は無いのです。だから国際派郵趣人に仲介を頼んだのですが、残念ながらこの人では日本のディーラーとギリギリの線で取引するには荷が重すぎました。だから売り手の本音を聞ける別の人に投げたのです。帰って来た答えは1億円なら売ってやる、売り手は相手が本気だとは思わなかったのかも知れません。よく聞く戯言ですが、日本の宝が海外に出ていくのはけしからん、と言うのが有るのですが、それは経済の論理とすれば何の説得力も無い妄想です。ビジネスは情でなく金で動いて良いのです。2011年はタイミングが合わなかったのでしょうが、2013年に山田裕司氏が手にしたのは確かでしょう。お値段は石川さんの買われた値段とどっこいなので、少しお安いとも言えるのですが、私の評価ではよくぞ買いましたねだし、ご本人も頑張り過ぎたかなと言ってました。山田氏はコレクターとしては2021年に大願成就、本気か冗談かは分からないのですが、私レベルの者に対してさえ、それなりの値段なら手彫を一括で売りたいと声をかけてくれていました。コレクションを崩すのが、勿体ないとか、惜しいとかでなく、今の日本のコレクターのお財布事情で判断して、ビジネスとして持ち主を納得させるオファーが出来ないので、日本人は誰もまともには取り合っていなかったのです。
ビッグビジネスのディールは昨年の12月末、所有者の地元のホテルで行われました。当事者以外の立会人として、今回もまた、前述の国際的ブローカーさんがその場にいました。契約書を交わして、内金を払って、物を持ち返って、年明けに残金をドルで銀行振り込みの条件です。勿論、約定は問題なく履行されました。Taxポイントは契約日なので、2022年度の取引であり、今年の3月15日に譲渡所得として税務申告がされています。売主の手彫切手の収集期間は約10年です。短期間だし目立つ大物が多いので、売り買いともに記憶が鮮明で、かなりの部分は記録も残っているのです。買った相手もごく限られています。だから、購入原価は完全にFixです。そして大物の買値を足し算すれば、売値を軽く越すのです。譲渡所得とすれば、差損になるので、本来は税務申告は不要ですが、グロスの額が大きいので、念のためにお尋ねが来る前に書類を揃えて手続きをしたのです。賢明だと思います。スイスのオークションへ出品したのは、新たな所有者になったは、かの国のディーラーです。幾らオークションで高くなっても、前所有者には何らの影響も有りません。因みに、このレベルのディールなら、仲介者にはコミッションが支払われます。買い手が払うのは、一般的に言って5%、売り手はお気持ち程度が相場です。勿論、貰った人は雑所得での申告が必要だと思います。私に関しては、譲渡所得の申告の協力のご依頼が動機なのですが、かなり早い時期に連絡を貰っていたのです。『手彫を売った』『何それ?誰に?まさか日本人?』『スイスのFeldman』『他の人に話しても良いの?』『全部をオークションで売るのだって・・・売れる自信があるそうだぞ・・・』
逆刷が目玉です。瞬時に読めました。コレクションの取引価格は原価を少し割っているのですが、売り手に有利なディールに思えたのです。日本ではとても商売は成り立ちません。手彫切手のオークションビジネスとしては買っても理屈に合わないのです。でも、逆刷は100%売れると確信出来ました。登場人物を並べれば簡単に解けるパズルだったのです。一流のコレクターが渇望していた物を手に入れたのです。しかも差配しているオークション会社も持っている。ビジネスマンとしては最高の手の振るい方が有るのです。今までの取引実績、日本切手のステータス、コレクションに残す物と商売的に売りたい物、クールにアナライズすれば、逆刷のウエイトは買ったコレクションの3分の1位かなと見たのです。逆算すれば、2億円と踏めれば十分にお釣りが出るのです。だから、セールのカタログを見る以前の評価として、逆刷だけは2~3億円で売れるだろうと何人かに話していました。Feldmanが間違ってもノーヘッジで売り切り前提のオークションにはしないし、テクニックを弄して、競った形にして落すだろうだろうと読んだのです。6月3日のセール、Lot30070 ハンマープライスは440万ユーロです。邦貨で8億超になりました。へんてこな情報が幾つも有るのですが、落札者は、世界一のエメラルド切手のコレクターでしょう。オークション自体での金銭の移動は、実質的に発生はしていないと思います。念願のビッグコレクションを手に入れ、自社のオークションに出品した人とは、別人格のコレクターがお買い上げなのでしょう。これが公式発表なのですが、ギネス級のビッグディールが1枚の日本切手で成立したとは誰も信じて無いと思います。だって、作、演出、主演がDavid Feldmanなのですから。
視点を変えて、トータルでセールの結果をアナライズして見ます。逆刷を除けば、出品者であるFeldman SA以外のバイヤーが実際に買ったと思います。空売りでなく、実取引でしょう。和桜20銭政府印刷ペアが16万ユーロ、和桜20銭イ 白抜き十字風の後消印が18万ユーロ、改桜1銭チ第4角 未使用が5.5万ユーロ、玉六ヨ 朱消しが12万ユーロ、色んな意味で私が見知っている物が多いのですが、日本の感覚の3~4倍だと思います。私がプライベートで売った物は、当然ながら瑕疵が無い良い物なので、私の売値よりも伸びて当然なのですが、ちょっと癪だったのが、改桜20銭リが安かったこと。9.5万ユーロなので、御気の毒に足が出ている値段なのです。山田さんに絶対に買いなさいと勧めたのが、30282の玉六ヨと、これに対になる30240の洋紙墨六ヨの使用済なのです。山田さんのリーフでは、勿論2枚が並んでいましたよ。同じポジションだからこその値打ちなのですから。玉六は、悪くは無いけれど、今やNo1では有りません。だからこちらは安く評価して、墨六を100万に踏んで買って貰ったのです。世界に一組しかない同一ポジションだからコレクションに使えるのです。誰の仕事かは不明なのですが、墨六をバラシて出しているので、480ユーロで落ちました。この程度の仕事しか出来ない連中に扱われるのは余りにも不憫です。
このセールでは、日本からのビッドは大物に関しては殆ど用無しだったと思います。でも、個々のハンマープライスも、トータルのリアライズも立派な結果になりました。日本人は無論の事、日本切手のコレクター以外の大口のニューカマ―さんがいたのでしょう。或る意味、打ち出の小槌をオークショニアに預けて、世界中の珍品を漁っている似非コレクターだと思います。この札が1枚有れば、理屈をつけてユニークですよ、珍品ですよで勧めれば喰いついてくれるのでしょう。こういうビジネスはFeldmanの得意ちゅうの得意ですから。ゴルフで言えば、LIVゴルフ、サッカーならばサウジ・プロ・リーグ、金銭感覚が違う世界の出来事だと思えます。
6月のセールで、とっくに投下資本を回収できたFeldman、手元に来ている12月のセールの参考値は随分とお優しいと思います。元が取れたので、感謝を込めての還元セールかも知れません。今回の値段なら、エステメイトの下の方で始まるなら、日本の人でも買えるかなと思いますが、私はギャラリーに徹したいと思います。昨今の状況からは曾ての面影は見出すことが出来ないからなのです。JAPEXで山田さんと大分お話が出来たのですが、セールの結果、特にお値段に関しては無関心だとお見受けしました。楽しんだのでご納得、損得で無い濃密な時を過ごされたのでしょう。収集家の鏡だと思います。私でも少しはお手伝いできたのかな。Feldmanセールの結果を見れば、Stampediaさんを通してスイスで出品して売りたい人が一杯いると思います。でも私はお勧めいたしません。切手のビジネスは甘くは無いのです。夢は所詮幻で終わってしまうのですから。
予想通りの動きでした。朝鮮字菊15銭の12.5の未使用、糊落ちが出て来ました。立太子礼皇室贈呈用沿革志剥がしと見て間違いないと思います。又聞き情報の筈ですが、出品者は姫路の高校生君、手にしたのは日フィラのメールオークションのAの部、出品者は市田右左博士で間違いでは無いと思います。8銭と15銭は同じタイミングだと確信していたのですが、まさにドンピシャ、良い読み筋だったと思います。意外だったのが、続いて1円の12.5の糊落ちが出てきたこと。ヤフオクでNow on saleです。何人かに取材して判った事ですが、主役は65歳ぐらい、お仕事をリタイアされたタイミングなのかも知れません。小柄で痩せ型で黒縁メガネの少年で、関西のジュニア切手展に菊で出品していたそうです。大工大に進学した位のタイミングで、綺麗さっぱりこの世界との縁が切れたのでしょうか。私の周りにいる人で彼と接点が有りそうな人全部に声を掛けたのですが、直接の密度の薄い付き合いが有ったのは一人だけでした。
残念なのは、同じ立ち位置に居て、菊のコレクターとすれば知識とセンスで同レベルだった人物に確かめる事が出来ない事なのです。情報をくれた人は、正に甲乙つけ難かったと言ってました。当時は京都にいた丹下甲一です。年回りで同じぐらいなので姫路の彼とは接点が有ったのかも知れませんが、私は生前の丹下君とその話題を話した覚えが無いのです。
一連のヤフオク出品が、何故か全部が朝鮮字の12.5です。8銭がNG 566,000、15銭がNG 703,000、3銭田型 糊付で98,500、1円NGが有るということは、20銭NGも有るのかな?1銭は無いとして置きましょう。名鑑に載せた8銭と15銭のヤフオク出品で面白いネタを拾いました。糊落ちは私から見れば、マイナスでは無いのです。沿革志剥がしの確信が持てるのでむしろプラスと見ています。でも、書籍の図版のアレンジをした、田辺猛さんが悪戯をやってます。悪意が無いのは判るのですが、裏に鉛筆で12.5のメモを書いたのです。物を貸した高校生君にすれば戻って来て、気が付いて、大ショックだったかと思います。案外そのことが、彼が郵趣界から遠ざかった要因だったりして。今はまさかこんな事は無いでしょうが、当時は同じ様な事が一杯やられていたのかな。
もう一つ予言をして置きましょう。20銭と1銭のNGの12.5が続いて出て来るかどうかは判りません。でも、今ライブで出ている1円のNG、最低値が15万ですが、その結果の予言です。恐らくは売れるでしょうが、15~20万に収まると思うのです。1円の日専の評価は35万で、他の希少額面の25万イーチよりも高いのですが、落ちる値段はその数字には比例しない筈です。それなりの人は持っていますから。朝鮮字の12.5に関しては、存在比率も、誰が持っているかも結構判っているつもりです。もし私の読みが合っていれば、別のディールでの、私しか知らないお話を書きましょう。David Feldman繋がりで、[エメラルドの怪しき煌めき]がテーマなのです。
姫路の連中から発せられたネタを信じるならば、朝鮮字菊15銭の12半=名鑑に載っている現物も同じ高校生が同じ時に掘り出した物だそうです。当然こちらも糊無でしょう。この条件を充たせる可能性は一つしかありません。【立太子礼皇室贈呈用沿革志】の剥がしでしょう。1銭・20銭。1円の12半も恐らくは同じタイミングで剥がされたはずですが、所詮は糊落ちなので邪険に扱われてしまったのかな。かの高校生君が買ったのは、名鑑菊が発刊された1978年より数年前の事、狩場は「日本フィラテリックセンター」のメールオークションのAの部だったのです。誠に残念な事ながら、私はタッチの差で出入りしておらず、稀有な掘出しの機会には間に合いませんでした。西岡辰二さんの、味の有る手書きのオークション誌です。8銭も15銭も目打は書いていませんでした。私が下見して見つけたかどうかは神のみぞ知るとしか言えません。現在、私と同じ立ち位置に居る、コレクターとして現役の連中達も、恐らくは好機に接する事は出来ていなかったと思います。でも、見つけた高校生は目打の希少性を知っていた筈なので、それはお見事だと思います。私が覚えているという事は、もしかしたら、姫路か、関西の郵趣雑誌にインパクトの強い記事が出ているのかも知れません。
『Aの部』というのがポイントなのですよ。私が出入りするようになってからも、毎回200点ほど、竜48文が頭で、電信や旧韓が尻尾の出品が機械的に続いていたのです。ゴミ交じりでなく、ピュア―な魅力的な商品の羅列でした。それなりの金額で売れる物が多かったのです。毎回同じスタイルの手製のブックにハウイドマウントを並べて貼って、そこに切手を突っ込んでの出品スタイルでした。最低値は━、出所は海外、全てが新鮮な物で、売ることを前提にした、稀代のプロのご出品なので実に面白かったのです。私がビッドし始めてからは、下見無しの人のビッドでは絶対に落ちなかったはずです。朝鮮字の12半には間に合わなかったのですが、随分と長期間に亘って楽しませて貰いました。でも手彫は買えなかったと思います。旧小判も掘出しは有りませんが、菊以降はお宝の宝庫だったのです。私と水口正春がどれだけぶつかった事でしょうか。このオークションには都市伝説が有ったのです。幻で無いファクトです。
ビッドに際しての値段調整のルールです。大原則は入れたままで調整なしで落とされます。怪しからんけれど、決め事なので文句を言えないのです。でもメールオークションなので、その気になれば何でもやれるのです。関西弁で言えば、【ヤ・タ・ケ・タ】、ビッドに於いてですが、知識が有って、金も使える、指導者としてそれなりの立場にいる人が、傍若無人な振舞をやっていたのです。出品物でお眼鏡にかなって、どうしても欲しい物が有れば、下見期間中に持って帰ってしまうのです。絶対に自分が落すから、それで良いだろうというスタンスです。下見できない人の場合は、この悪行に気がつかないし、どっちみち負けるので影響を受けないのですが、関西の連中は怒ります。手嶋さんが竜のプレーテイングの為に、往復速達でのご自宅下見は納得できるのですが、珍品独占の為の物自体のフライングのお持ち帰りは駄目でしょう。だから、私が悪戯したのです。[あの人]が目隠しの為に持って帰ったということは、下見不要の良い物だと確信が持てるのです。嫌味で相場以上の値段を放り込んだのです。相手は幾ら高くても買うつもりなのでしょう。だったら私の値段以上で買ってくださいよ、です。直ぐに泣きが入りましたよ。だから、自然の流れで暗黙のルールが出来たのです。お持ち帰りでの目隠しは駄目ですよ。値段調整のルールは、オークショニアの専権事項なので、調整なしでもやむを得ません。でも、人によって扱いが違うのは不味いのでは。
変なルールが始まったのです。辰二翁がこっそり教えてくれました。数字だけで何も書いてない場合は、そのままの数字で受け付ける。[・・・まで]と書いてある物は2番値の上まで引き下げる。・・・・実際にその通りになったのです。メールオークションなので、締めの直前に店に行って、1番札を聞いた上で、誰かの札を撥ねて取ってしまうというやり方は私はやりません。あくまで自分の評価に自信が有るので、目一杯に入れて、出来れば安く落としてくれれば有難いという感覚なので、[・・・まで]の調整は有り難かったのです。私が教えたかどうかは兎も角として、数人の達者な人たちはその恩恵に与れたはずなのです。このルールは、西岡親子時代の日フィラの、しかもメールオークションに限定して有効でした。今の金坂忠彦さんのオークションとは何らのつながりも無いことを明記しておきます。勘違いがお得意の思い込みの強い人も、適格に判断されることを望みます。名前が繋がっていても、ビジネスの精神は全く別次元なのですから、私が書いた事に関して、金坂さんにコメントを求めるのはご法度です。
話題を本筋に戻します。「Aの部」の出品者の素性です。問わず語りに自然に耳に入って来るのです。辰二翁が気楽に話してくれたと思います。[市田左右一]氏です。逆引きで完璧に繋がるのです。新鮮な、ソソラレルマテリアルが毎月200点、手彫と小判はキッチリとした分類なので掘出しはノーチャンス、翻って菊以降は珍品・希品満載のド素人さん出品で、下見無しの値段調整無しの人では勝負にならないでしょう。常に何回分かを預けていたと思います。でも、その発端が何だったのかが気になったのです。辰二さんも、ご子息の龍男さんも聞けば教えてくれたと思いますが、時の流れにとけてしまってチャンスを逃してしまったのです。夢の中のお話として私の推測を書いてしまいましょう。
このオークションに[水口の三文字検査済]のエンタが出たのです。日付が3月3日と読めたのです。日本の郵便制度でのエンタとして最初期です。市田さんの頭に血が上りました。何が何でも欲しいのです。そのお気持ちは良く分かります。正に自分が持ってこその名品です。他の人では絶対に使いこなせません。だから西岡辰二翁にオファーを出したのです。何としても欲しい、幾らでも良い。・・・望むなら、オークションの出品物で便宜を図ろうか、どちらもが生きている間は、毎回200点出してやる・・・。これも100%私の推測ですが、強ちガセでは無いと思うのです。でも、本当の事を確かめて無くて、今も後悔しきりです。誰か聞いている人はいないかな。
私は市田さんとは完全にすれ違いです。言葉を交わしたことが有りません。でも、雑誌の記事で強烈な思い出が有るのです。市田さんが書いた物で無く、登場人物として描かれた記事なのです。具体的な号数は書けないのですが、金井スタンプの「スタンプレーダー」の広田芳久さんの投稿でした。ヨーロッパの国際切手展のレポートです。まだ、海外旅行が不自由だった時だったと思います。最初の外遊だったかどうかは分からないのですが、広田さんはワクワク、ドキドキで会場に乗り込んだのでしょう。幾らでも掘出しができた時ですから。初日の朝一にブースに行って、有力なディラーさんに、JAPANが無いかと聞いたのです。帰ってきた言葉は、一杯有ったけど、ついさっき彼に全部売ってしまった。指差した先に居たのが、正規の開場前に、関係者扱いで入場できていた、かのDr.S.ICHIDAその人だったという記事なのです。恐らくは、広田さんの投稿がそのまま載ったと思います。スタンプレーダーの発行人は橘さんです。編集権者=発行者が橘さんなら、言いにくそうに広田さんに手加減をお願いされたと思います。でも、当時の編集は渋谷敏一さんがされていた時かと思うのです。目を瞑って、検閲を掛けずの掲載でしょう。だからこそ、没にならずに世に出たトッピックだったのかな思います。国際展での関係者、特にそれなりのディーラー達の事前の取引は、文化として成立しているので目くじらを立てる事では無いのですが、善良なコレクターにすれば見過ごすことが出来なかったのでしょう。それにしても、我ながら変な事をよく覚えている物ですが。
高校生君は、菊のコレクターでした。関西のジュニア展的なところに作品も出していたと聞きました。センスは良いと思いますし、キッチリ値段も踏めています。直近のヤフオクの出品は、1週間に1点です。朝鮮字菊の12半から出しているのでしょう。5厘の使用済、8銭の未使用、3銭の未使用、次は15銭になるのかな?それ以上に気になるのが、最初に12半をコンプリされた人のコレクション、8銭と15銭の12半が、糊落ちかどうかかが知りたいのです。何度も触れるチャンスが有ったのですが、まだ確かめていないのです。それに、肝心のそのコレクションが現時点でご自宅で行方不明になっているのです。出てくれば真っ先に調べて見るつもりなのですが。