ブログ アーカイブ

2006年2月24日(金)

「リガムの続報」
2月3日付け当欄コラム、ヤフーオークションへの岡山県・ID、c_・・・のリガムと思しき大量の出品物に関しての情報の中間報告を致します。
私の呼びかけに応じて4名様から送られた14点を、受け取った日付により2回に別けて日本郵趣連合の鑑定委員会に提示し、本日までに結論を受けました。
私が疑問を感じたものだけを鑑定依頼に出し、どう見てもオリジナルなものは鑑定料の無駄払いを避ける意味で提示はしておりません。正式に手続きを取った物のうち13点が「リガム」、1点は「リパーフ」の結論に成っており、これは私の判断とも一致しております。100%の確率で、後日何物かの悪意の手が加えられております。
和桜・洋桜・鳥・改桜・菊・田沢高額・字入り・戦前記念と脈絡無く軒並み「リガム」の判断でした。改めて該当の出品者の過去の出品物の残された画像と、手元に来た現物を付き合わせると、画像で見て、白い、ムラがある、紙が反っていると見えるものは軒並み「リガム」されております。技術的には然程習熟されてはおらず、材質の違いや、厚すぎる糊引きなどで容易に分かるものから、和紙桜などの結果的に元の糊の上に薄い糊を被せただけで、一見判断に迷い、手のひらに載せた際の紙の反りで分かる結果的に「出来の良い=本来はする意味のない」ものまで種々に渡っております。
標本から分かる傾向は、11月以降から2月にかかる、出品時期が遅くなる物ほど、又値段が高いものほどダメなものの確率が高まってます。この時期のものは、画像で見て、疑問を感じる状態の物は全て、リガムと思われた方が良いでしょう。シミを抜いて綺麗なNGにして糊を引いたものから、出品して売る際に「NH 極美」の記号にするためにお化粧をした物まで有り、目打に関しても単線で打たれている、桜・旧小判などで余りにもクリーンな物等は十分に疑ってかかる必要が有ると思われます。この人物の出品物は、表面は極めて状態が良く、ウエルセンター・見たとこ極めてフレッシュな物のみです。それ自体が本来は有り得ないし、物によっては糊の記号のNHなど何の意味も無い程の状態の物が多いことが甚だ惜しまれます。
10年近く前に、手彫~菊あたりの消印とカバーで有り得ない珍品が、最上の状態で続々出現した、特定の人物が関っていた、今は法的手続きにより消滅した、メールオークション誌を見た時の驚きを、デジャブー的に思い起こしてしまいました。住所と名前は分かっておりますが、現時点では責を負うべき人物の属性特定には至っておりません。
現在、第3弾のグループを鑑定に出しておりますが、同様の結果になると推測出来ます。既に結論を得たものは、当社から落札者の方に返送し、出品者との間で返金交渉が行なわれております。既に、一部の方は結論が出ており、落札代金・送料・鑑定費用等、全ての支払い金額が返金されており、これに関してののトラブルの発生は聞いておりません。また、返品の際も、鑑定書のコピーを送り、返金が為され、その後に現物返品の流れで、出品者も了承し実行されております。
何分にも姿を見ない、郵便だけでの遣り取りゆえに、無期限にこの扱いが継続されるかは保証の限りでは有りませんが、現状としては然るべき鑑定書が発行されたなら、出品者は非を認めて、代金と付随する費用の返金に応じているということです。事が起こった後の現在の状況を考えれば、良い結果が出ていると言えるでしょう。
ただ、現在私が連絡を受けた方は、6名のみです。ご自分で何らかの行動を起こされているなら結構なのですが、今の情報を得ても、行動を起こす勇気がなく迷っている方も多いと思われます。「リガム」でも、授業料と思うとか、綺麗で売る気もないのでトラブルが嫌、IDで固有の情報が漏れるのが拙いとかの理由で躊躇されている方も諦める必要は有りません。気に入った品物なら、リガムの判断が出れば、値引きの交渉も出来るでしょうし、私にしろ、必要以上に個別の情報を晒す必要も有りません。鑑定料は、ダメなものは先方の請求しその負担が望めますし、現物を見せてくれれば、かなりの確率で私が判断して問題の無いものは、鑑定料の無駄遣いも防ぎます。
私から、個別の該当者に、メールで呼びかけることはしませんが、心当たりがある方は是非連絡して下さい。今のペースでは、鑑定に出して、約10日で結論を貰ってます。その後の遣り取りも概ねスムースに動いてます。ヤフーなんかで「素人さん」が高いものを買うからだ、と揶揄するつもりも有りませんし、殊更にこんな事が起きるので、トラディショナルの紙メディアのオークションを利用しなさいと主張する気も有りませんが、この様なごく一部の不心得者の不行跡により、将来有望になったかもしれない、ウブい人たちが嫌気を差して、収集から手を引いてしまうことを憂うのです。
まずご連絡か、該当の出品者からの落札物を弊社宛にお送り下さい。ご希望に沿うようにお手伝いいたします。

530-8694 大阪中央郵便局私書箱807号
ジャパン・スタンプ商会     へ然るべき記録便にてお送り下さい。

2006年2月3日(金)

 「リガムの返品」
各方面からのお問い合わせを頂きながら、直接には関係がないし、殊更出しゃばりたい主義でもないので傍観していた件ですが、物証をもって経験するに至りました。終ったことばかりでなく、現実に事態が進行する中で動かざるを得なくなりました。
きっかけは、次号の出品物として送られて来た、「菊1円 未使用 NH」。一瞥しての判断に何の躊躇も有りません。「下手なリガム」、有り得ない純白な糊が平滑に引かれている。現物を手にすれば、菊のコレクターなら、誰でも同意見でしょう。121/2の時期まで年代が下がれば、ツルリンの糊も有るでしょう。でも、12で初期色では、黄味を帯びたクラック糊でないと可笑しいのです。
昨今話題のというか、気になるデータが有りました。去年の秋から出ている、「ヤフーの岡山県、IDはc・・・」の出品です。全てがNHで極美、ついでに使用済までNHの、中々のクオリティーでの出品者への評価の中で見た覚えが有ったのです。ためしに叩けば、正にドンピシャ、「こんなもの買うなよ君」が何故か、お買い上げの現物でした。このブツがリガムで有るのは100%確かです。なら、同一の出品者の別の物はどうでしょうか。
何分にも、現物を見ていないし、画像でのシェードを過信すると、勘違いも有り得ます。でも、私の経験則で判断すれば、一連の出品物にも、大きい疑問符が付くのです。手彫の数十万円クラスが一杯出ています。そして、その全てがNH・極美品、最低値はカタログ値の1掛けで、落札値はフル型前後。銘柄と状態が触れ込み通りなら、この値段でも良いのです。でも、買ってる人は、本当にウブくて擦れてない、ネットが中心での活動の、切手収集のキャリアの長くない人ばかりです。我が社のフロアに来る人や、切手展に出す人、記事を書く人は、1人を除いていないのです。もっとも、殆どの人が、私の「ヤフーの出品」の良きお客さんでも有るのですが。
物をクールに判断すれば、私でなくとも、オークションに慣れてる人は手を出しません。松田印刷和紙の高額でNH・ウエルセンター・色フレッシュは、100枚に1も無いのです。それがズラリと並ぶなら、違和感が勝ってしまって現実を受け入れるのを躊躇してしまいます。画像で見て、普通より淡い目が多いのは、出品者の書く、画像を撮った際の光線の加減というよりも、アルカリ溶剤による色褪せの方が自然です。ならば、糊は必然的に「リガム」です。
「リガム」の判断は、難しく有りません。最重要のポイントは、手彫・旧小判なら、同じ材質の糊が無いので騙しきることは出来ません。その後にしろ、ピッタリ一致は難しいし、この切手のこの目打になら、こんな糊、時代によればクラック=糊ひびが無いとおかしい、とかも有るのです。目打上の滲みとか、製造工程を無視しての再作業なので紙に反りが生じます。手のひらに載せて、蒲鉾状態に丸々のは好ましいものでは有りません。それに何よりも本物と並べれば、簡単に違いが見えてくるのです。慣れてる人が見るならば、ゼロ秒で判断可能でしょう。
「・・・買うなよ君」は行動力に秀でてます。私が、ダメだよのメールを送ったので、早速動いてくれました。彼以外にも、同じような印象を受けた人がいて、それなりにアクションを起こしてます。問題の出品者の住所・名前・電話番号も分かってます。そして、今現在出品中の品物に対して、「本物でないとの鑑定がされた場合は、落札代金、送料、鑑定費用、その他すべてをお返しいたします。」の意思表示。さらに、私の手元に来た菊1円=過去の出品物に対しても、同じ趣旨で書かれてます。これは、もうシロクロを付けるべきでしょう。

岡山市のイニシャルMさんとしましょうか、ヤフーのIDがc・・・さんが、自分で「リガム」を作ったか、知って売ったか知らずに、NHと信じて出品したかは分かりません。又、「リガムが多い?」という、私の経験上からの危惧が当たっているかは分かりません。でも、手元に来た菊1円は、プライドに賭けて「リガム」と言い切れますし、画像でも印象の悪すぎるものが多いのです。出品者の返答を額面どおり信じるなら、「鑑定」に出して、結果を得て、返金=実費の弁償で良いでしょう。私は、かなり数を見てますが、それは実務上の経験だけで、オークショニアとして、仲介者として流通に携わっても、鑑定者として書類上に署名する立場にはおりません。
鑑定は、「日本郵趣連合」の鑑定委員会に提示して、鑑定書を発行して貰い、その結果に従うことでいいのでは。幸い、「リガム」の判定は、書類を調べるのでなく、現物を当たって、○か×で即断出来るのです。多分時間も掛かりません。提示して10日位で、判断は貰えるように頼みましょう。また、費用は、「リガム」なら@5000円+送料実費です。鑑定の有効性の云々でなく、今起きている現象をどう処理すれば良いかを考えます。
該当の出品者からヤフーで昨年秋以来落札された未使用切手で、糊が「リガム=オリジナルでなく後で引いたもの」の疑問をお持ちなら、現品を落札時のデータ(日付・値段)と共に、弊社

530-8694 大阪中央郵便局私書箱807号
ジャパン・スタンプ商会           へ記録便にて送って下さい。

弊社が、取りまとめて、日本郵趣連合の鑑定委員会へ鑑定書の発行を依頼します。機械的に依頼しても構いませんが、私が見て、問題ないものと保証できるものは、そのままお返しします。該当の人の出品物を一渡り見ましたが、「リガム」以外の要因では問題ないと思えます。良い物に対して、特別の費用を負担する必要は有りません。可及的速やかに、鑑定結果は貰えるようにお願いしますが、費用@5000+送料は依頼人様が立て替えて後日結果が出た後に、連合にお支払い下さい。
「リガム」の結果が出た後は、当事者同士で返品・返金の交渉をしていただくことになります。弊社は仲介いたしませんが、客観的事実を得るための鑑定結果を受ける手助けと、もしどこかの段階で悪意が介在し、それにより被害を受けている人がいるならば、知りえた情報を公開して、世間的に注意を喚起いたします。
今回の手続きは、弊社としては有効期限は設けませんが、相手方のWeb.上のメッセージをどこまで信頼していい物か判断に迷います。遅いより、早い方がいいのは確かです。該当する立場におられるなら即行動を起こして下さい。送って貰ったものは、その結果も含めて当欄にて報告することをお含み置き下さい。個人名は、IDにより、結果的に知れる場合を除き、開示いたしません。

リガムというのは、稀なものでは有りません。でも、殊更恐れる必要もないのです。現物を数多く触れば、自然と見えて来るはずです。只、ボストークの2巻が終って、1巻に遡る人が、「切手」そのものを集めるのでなく、状態を、それもローマ字2字の「NH」を相場の数倍も出して買うというのは賢いやり方では有りません。もう直ぐ発送の我が社の次回のオークションにも、綺麗な未使用が並んでます。ひとかどの人のコレクションで、かなりお金も掛けてます。でも、「リガム」が2点入ってました。これは勿論、オークションの記事にも書くし、評価もそれ相応にするのです。紙のオークションならばそれなりにチェックも入るし、下見段階でのクレームも有るでしょう。でも、ヤフーなら、形態はオークションでも、実体は相対取引、知らなければそのままで、知っても、相手の態度によっては、フォーローもないことも有りえます。十分に心して上手に利用して下さい。

2006年1月28日(土)

 「新小判1円他貼りアメリカ宛カバー」
誰かが載せるかなと思って待ってましたが、動きが無いのでここで紹介いたしましょう。
PST(太平洋標準時)で1月21日の夜締切りのE-bayに立派なカバーが出品されてました。
新小1円、旧毛20銭3枚、10銭、2銭合計1円72銭貼りのアメリカ宛の重量便です。
料金は基本の20グラムまでが10銭、超過は20グラムまでごと6銭なので28倍でピッタリ合ってます。ポイントは新小1円のカバーとしてのステータス、櫛型印は珍しいけれど、 後期使用、これをプラスと見るかその逆かは好みが分かれてしまうでしょう。でも、新小のカバー揃いを目指すなら、他にないし、これはこれで十分利用価値は有ると思います。
落札額はU.S.$2712.03で、AGAINST(2番札=下支え) by 「いつもの人」で西の国のコレクターに落ちました。手彫だけでなく、小判のカバーと、欧文印の単片はそこそこ集めているのです。だから買った事は不思議でも有りません。それだけならば、良くあるパターンで、数字の評価ならこのカバーはちょっと安くて良い買い物かな?でケリなのです。でも、ちょっと後日談が有りました。
メールが来て、E-bayでこんなものを買ったけど、日本のコレクターから、あのカバーの消印はこの時代に使われて無いタイプの物、だから「Forgery?」と言われたけど、お前の意見を聞かせてくれ、という内容です。画像で見る限り、印色が少し赤みが入っているかなと思うけど、B欄左部の歪みは気にならないというよりも、むしろゴム特有の特徴だし、料金も宛名も全ての要素に何の問題も見当たりません。結論としては当然ながらOKの返事を送りました。アドバイザーの「栗鼠」くんも全く同意見でしょう。
クレームを付けた人も悪意では無いのでしょう。県名と名前が判っているので会員名簿を調べたら、しっかり載ってました。でも、親切心というには余計なお世話だし、海外の見知らぬE-bayビッダーにする忠告としては無責任のそしりを免れないのでは。それにこのカバーへ入札した人は、落札者以外に名前が残っただけで9人いて、1人を除いて日本人、全員が評価は3桁、私的には当然IDと名前(大部分は顔も)が一致する達者なお馴染みさんばかりなのです。あの連中がE-bayのFaked Cover に引っかかると、それは「人が犬を噛む」ニュースで面白いのですが、そんな奇跡的な現象は狙って出来ることではないのです。

2006年1月6日(金)

「日本海航路船内印」
新春の第1回目のネタは、予想外の「再会」から。
1月12日開催のCHERRYSTONE PHILATELIC AUCTIONEERS に出てました。Lot 2312・2313、年号2字のGAISENNMARUとKOTSUMARU写真と記事は画像を見て下さい。
殆どのの方がご存知でしょうが、この2点、昨年9月3日に東京で開催された、フロアセールの現物で、それぞれが65万円と45万円、+15%の手数料で落札されていたものです。
フロアでビッドした人は、数字を預かった「代行」で、当然ながら今回のアメリカへの出品とは何の関わりも有りません。それに、この類の「JAPAN」を、日本のフロアで落として、アメリカに出品して、往復の手数料を支払って更に商売的に儲け切る、というビジネスモデルは無理でしょう。では何が起きたのでしょうか。
東京のフロアでのビッドの依頼はイギリスから為されてます。それ以前の幾つかのデータから、所有を希望したのは、ロシア船内印のコレクションで国際展での大金賞の受賞暦の有る、90歳に近いご老人、処分の勧めが有っても、これしか楽しみが無い的に、売りもせずに買う一方と、現地でも話題に上る方でした。代行は、共通の知人が間に入って為されてます。あの時は本当に、年号2字船内印が一杯出て、値段さえ問わなければ、選び放題で買えたのです。当時の私の情報で、買えてオメデトウ、でも入手出来た喜びの余り、即遠くへ旅立って、物は親しいイギリスのオークションへ?みたいなことを書いたのですが、まさかそれが当たったのでは無いでしょう。
日本のセールが9月で、夏のバカンス明けに動いたとしても、オークション誌の発行のタイミングを勘案すれば、正に即行でなければ間に合いません。
転売前提での入手でも、遺品の売り立てでも無いとすれば、可能性は絞られます。代行者は、数字にのみ支配され、その通りに動いただけなので何の責任も無いでしょうし、売ったオークショニアも何らのタッチもしてないはず。本来の依頼者の「ロシアのお爺さん」と好意のみで「マイ・フレンド」の希望を叶えてあげた、仲介者のどちらかに何かが起きてしまったのでしょう。
CHERRY・・・の場合、参考値=最低値なので、日本からのビッドは望み薄、でも今までもロシアの葉書に朝鮮の△SHIPで予想を上回る落札も有ったので、日本人の知らないマーケットが有るのかもしてません。外野としてちょっとは気になるセールです。

Lot 2312・2313(164KB) 

2005年11月19日(土)

「バザール情報」 丸秘編
お馴染みになりつつある{ミステリー???}、2日共に参加、ブースNo 20~23をご案内いたします。

「Aさん」 JAPEXで衝撃デビュー、コレクションも新しいところから古い方へと遡ってます。オークションでの買いっぷりと展示していた作品の内容に、確固たる整合性があり、これからこの人と競合する分野の人は脅威でしょう。売るほうも活発ですが、大阪は初登場、小手調べに@100~の記念、@均一の通常消印物、古いものから新しい未使用に高級品も持参します。ゆっくり座って見て貰える、午後からは外国の貼り込み帳も出すそうです。

「Bさん」 大阪へ来て以来、公務多忙で大人し気味、きっちりした値付けは端から無理なので、適当に@500・
@1000均一物のみになってます。記念が強いた、弱いかは自分でも判りません。

「Cさん」 このメンバーの中では、唯一の真とも組。前回に続いての出店です。時間も出来たし、売れそうなものも判りました。ストックブックにぎっしりと、@200・300・500・1000を詰めてます。状態が良い物が多いので、見つけて迷う事は少ないでしょう。物は勿論使用済、好きなエンタイヤも持ってくるつもりです。

「Dさん」 専門分野の琉球の未済、捻った使用例など、本に載せられるクラスの物も持ってます。
買いも売りも気風の良さが取り柄ですから。ご希望により、著書へのサインもいたします。

「Eさん」 何故かご機嫌なこの頃です。是非にと望まれれば「読み解かない」といけないし、嬉しいオファーのメールも結構もらっているのです。給料を丸ごと注ぎ込んで買い捲っていた物も、大分整理がつきました。
しっかりした分類で、お値段は良心的にしているでしょう。

「Fさん」 物は持って来ても売れませんので、今回は知識をメインと致します。必死に今、原稿書きに奮闘中。
30ページに収まるのか60ページになるかは、やってみないと判らない。体重の方は最早増える余地なし、でも知識の発露には切りがないのです。標題は「重量便使用例収集ー3-」 (田沢・富士鹿・風景)。値段は熟慮いたします。因みにー1-は手彫・小判、-2-菊ですが、こちらはまだ出てません。でも、今世紀中に出るかどうかが微妙な本よりは早くでるでしょう。多分来年前半に・・・。

「Gさん」 外国帰りの新鮮な物に、30年前から持っていて、今や要らない物を格安に提供いたします。
黒台紙に@均一で入れてます。掘り出し物が結構あるという話が聞こえてくるのが多い「ナンダッテ」。

「Hさん」 毎土曜日には朝一で現れるのに、何故か今日は来てません。だから何を売るのか判りません。
いつもの要領の良さと厚かましさで、きっちり収支が合うようなビジネスをやるでしょう。量より質が狙いです。

「Iさん」 毎回、売り買いを楽しんでいて、だから何時しか面子に組み込まれてしまうのです。要らない物は幾らでも良いので捨て値売り、楽しみをモットーに商売いたします。大阪万博グッズなら、どんな物でも欲しいのです。

「Jさん」 当然の如く、トリはこの人。既に準備万端です。知識は折り紙つきですが、シャイで口下手なので外に出てはしゃべれない。意を決してJAPEXに作品を出すと、730先生と2個イチで一緒くたになって「いくちゃん」に負けてしまったのです。でも、その理由は判っていて、JAPEXのワンフレの審査員レベルでは、自分の知識に追いつかない。微妙に挟んで、並んでた作品を見れば一目瞭然でしょう。展示作品で点を貰うのは判らせるために、相手のレベルにまで落とさないといけません。でも、それは無理なので、端から判っていることを前提に論を展開するのです。今回の売り物は<JAPEX’05>ワンフレーム・クラス 銀賞受賞作品「通信院と逓信院」 20部限定で@1000です。なんとまあ、凄いテーマで有って、「銀賞」納得、でも文献としてなら着眼点は良いのです。前回持参で完売した、「モリコー式機会印」のバージョンアップ版も多分持って来てると思います。

以上情報は、セールの前日まではきっちり準備して、自宅に帰らずホテル泊、翌朝早く公務に出発の、黒い服着た・悪魔の使いからの直前情報です。

重量便使用例集-3- (1.34MB)  

通信院と逓信院 (1.13MB) 

2005年11月1日(火)

出品物カラー版は、オークション誌では、モノクロで掲載している、単片・田型のパートのカラー掲載です。
本来のカラーページは48ページですし、モノクロページのカバーのパートも別に有るのです。
6000点+も有れば、いろいろと仕掛けも出来るし、偶然の集合体も現れるのです。

本が出るまでの空き時間に少し遊んで貰いましょうか。テーマは2つ、「ラストロット」と「速達」です。

4395「プラハの乃木」の稲刈りシート 日曜日の5時40分がその時間、6時の丸ビル発の伊丹行きの空港バス、乗り込む彼の顔に笑顔が有るや無しや、うちひしがれし倦怠感のみなるや?

 4395(521KB)

4394 2新昭50銭6B 広島小郡29・11・3鉄道郵便 珍印だけど、切手としては遅使い、台次第で良い値段になったのでしょうが。

 4394(203KB)

4393 1新昭15銭横透右耳付8B 櫛(強消し・無理読み)麹町四谷見付23・5・13東京都
座布団引いてお待ちかねの人に声を掛けておきました。

 4393(221KB)

4112 「これは速達」 和桜10銭、松田1銭、中間2銭貼東京宛「別便」 名古屋検+2月18日名古屋
郵便取扱所→葵酉2月20日 東京郵便役所 M6年の距離別時代の第1種の3銭です。残りは10銭、 書留でなく、別段急便・別仕立てなら封筒には切手を貼りません。でかでかと筆書きの「別便」、この料金を解明して下さい。制度としては「別配達」の超地域限定フォアランナー、しかも、行きと帰りで料金が倍にもなるのです。カナダとパキスタンの航空第3地帯その他59円と同じように、日専には載りません。でも、次の手彫切手専門カタログには載るでしょう。このカバーを図版に使えるか否かは分かりませんが。

 4112(850KB)

2934 「これぞ速達」 1次風景10銭貼京城市内便速達 櫛京城本町三10.12.31
数年前に某オークションに葉書の朝鮮速達が出てました。料金として貼っていたのが7銭だけ、本来は8銭のはず、だjから、1枚脱落と読んでしまって、飛び込める人が少なかったとか。料金表や速達の文献には出てないけれど、朝鮮の市内速達は7銭で合ってると、「南洋」の豪華本の著者が教えてくれました。根拠の資料が有るのだそうです。だから今なら安心して買えるでしょう。あのあと、何が売れるのと聞いてくれる、あらゆる人に声を掛けて、箱一杯の朝鮮物の中から、やっと見つかった1点です。料金は当然の如く3銭+7銭です。
因みに、この前葉書が出た、件のオークション、今回もひっそりと良い物が出ています。最低値は1000円でモノクロ写真、記事もきっちり?書いてます。キーワードは船、締め切りは11月20日、コピー請求、一杯来るでしょう。カラーコピー機を入れたばかりなので、喜んでやってくれるでしょう。

 2934(604KB)

1023 「これも速達」 0付塔20円貼航空便東京宛 大分発 櫛福岡26.10.25→櫛落合長崎26.10.25
8日間料金。 いわくつきというか、「ヤフー」に出た時のお話で、1本のでっち上げの面白記事が書けるのです。でも、直近のJAPEXでも見てしまいました。1フレームに出ていた「速達郵便発達史」に同じものがしっかり入ってました。しかも、カシェt付き・特印のFFCが。郵便物の種別としては、「速達でなく航空便」。去年のJAPEXの1フレに同じテーマで出した人がいて、完成度は抜群で、マテリアルも貶せる要素は全く無く、それでいて、賞はやたらと低かった。その理由は「審査員との対話」によれば、「速達」のテーマで有りながら「速達」でない「国内航空」の実逓便を入れていたから、大減点だと先生が「明言」してました。
今回の1フレ作品、賞は大金銀賞!マテリアルも○特、あかつき便も無かったし、時期と地域も去年の物が数段上、でも賞のランクが逆ということは、国内航空の位置づけが1年にしてひっくり返ったのでしょう。JAPEXの審査基準ならば、一夜にして大転換は有るとしても、オークションでの評価では、国内航空の最初の短期間適正実逓が、FFCより下に来る事はないと思いますが。

 1023(1.18MB)

2005年10月15日(土)

「制定シート」
18種の原版刷りの小型シート、残るは、愛国3種だけになりました。ポイントは、目打です。他は全て「全型」13x131/2ですがコレだけは131/2のピッチです。恐らく同じ時期に調整されたのに違いないのに、発売用のそれと見事なまでに一致させて作ってます。18種を分析すれば、1936.7.10~1938・2・11までに発行されたものに限られてます。逆に見れば、この期間の発行で、展示されなかったものは、関東局30年は内地発売がなく、昭和毛紙と昭白の田沢・富士鹿・風景は同一図案の用紙変更なので除かれた、年賀の2種がなぜ入らなかったいは解りません。逓信省における、ステータスが違っていたのでしょうか。
ここで、制定シートの在り処を示して置きましょう。決定的な資料は、切手趣味第18巻3号=1938年9月刊の記事です。PRAGA1938の概況 我逓信省の出品として図版が載っています。1次昭和5厘・1銭・4銭・14銭、昭白5円、愛国3銭、議事堂11/2銭・6銭、富士箱根11/2銭・6銭・10銭の11種です。出品目録から取った図版らしく、英文でシートサイズが116x163mm(これがちょっとしたミス)と書かれ、品目は日本語で印刷されてます。
「普通切手」 新五厘切手(御朱船 )、新一銭切手(収穫の図)、新二銭切手(乃木大将)、新四銭切手(東郷元帥)、新一四銭(春日神社)、五円切手、十円切手
「記念切手」 帝国議事堂竣功記念切手11/2、3、6及10銭、富士箱根国立公園11/2、3、6及10銭、愛国切手2+2、3+2及4+2銭。そして改行して、一番下に「此に航空組合せシート」と共以上十九種。
最初は、別口の情報で、制定の4面掛けを見たとか、余白の大きい芦ノ湖4種組みが有るとかで、色んな伝手を当たったのです。でも、原文をよく読めば、「18種の原版刷り小型シート」と「制定シート」。実際、1934・4・20日発行の制定を、新たに刷る必要も無いし、見てくれが、発売されたものと違うものが有るならば、図版に載せているでしょう。逆に表現するならば、「制定シート」こそが、日本で最初の、原版一枚刷りの小型シートなのですから。探しても出てこないし、まさか、「透かし無し・制定」は作られていないでしょう。思い込みで夢を見たのですが、単純な読解力の問題で解決できました。

今年の初頭にスイスから情報を貰い、5月のセール、実際に落札して、プライベートで処理して、記事を書いてと随分楽しんで来ました。最初に思っていたことと、調べた事実での違いも出てきてます。決定版のパンフレットでも作ろうかとも思ったのですが、今でも解明できない点も有るのです。1次昭和の版式=原版は果たしてどちらを使ったのか?14銭はゲーベル原版です。此れが悩ましい。原版シートの縦寸は22・3ミリ、発売切手は0.5ミリ伸びるのです。ならば、他の4額面も原版シートと「ゲーベル」印刷の発売切手に0.5ミリの差が出ても当たり前。5厘・1銭は製版時期から考えれば「平台」でしょうが、2銭・4銭が伸びてるとするならば、「平台」と言い切る証拠は有りません。コダマ先生に、乃木を語らせれば、自信満々、2の字の特徴と印刷の雰囲気で「平台の最初期」のご判断ですが、彼のいつもの言い切りには、ちょっと眉に唾して見たほうが良い場合が多いのです。今回の「プラハの乃木」でも、彼の大著には、プラハ国際展がS12年10月に開かれたとなってるし、逓博の倉庫は地下と書いてるし、ヤマザキ先生ともどの、達者だし素早いけれど、物事の検証能力という点では、やや早とちりであることを否めないのです。18点の小型シート、何故か、愛国と議事堂は、我が社の金庫を出るのを躊躇しているのですが、それ以外は既に我が手を離れてます。最高で最適の新所有者により、敬意をもっての分析がなされると思います。私の文での表現は、これにて暫しの余裕を置きましょう。折があれば、何れは決定稿を上梓するかも知れません。

当コラム、印刷も出来ると思いますが、シートの鮮明度が如何なる程度か分かりません。画像に使った「原版刷シート」18点、ご希望ならば、鮮明なカラーコピーを差し上げます。メールのお申し込み限定で、無料です。10月中にお申し込み頂いて、発送は11月に入ってから、何せ今が、11月のオークションの編集の追い込みで、10月27日が入稿日、あと、2000程を12日で書かねばなりませんから。動けるのはそのあとです。

愛国切手(1.27MB) 

2005年10月14日(金)

「皇室切手展」
エッセイやプルーフの類の評価の基準など、定量的に量れるものは有りません。1点ものですから。切手そのものの場合は、その存在数や、カバーとしての希少性と重要性、他額面や他シリーズでの同種の物との比較で、有る程度の基準が出来てます。その物の「格」という表現で売り買いの場合の値段を評価するのです。それ以外の重要なポイントは欲しい人が複数いるかという「人気」をどう読むかで行くか止めるかを決めてます。
物がスイスに出た、5月の時点では、今持ってるほどの情報は入ってません。それに、資料で見るのと現物を手にして調べるのとでは、気合に雲泥の差が出ます。今回の場合は、直感の評価では@30万円、それが売りか・買いか、また需要と競争が有るか、といった人的な要因をそぎ落としての裸のマテリアルとしての評価でした。ビッド以前の段階で、「富士箱根」はガチガチに売れていて、しかも欲しいという人の思い入れは、私のそれの数倍以上に強かったのです。他のテーマも、1次昭和と記念なら、好みに合いそうな人は複数いましたし、1点ものの場合は買ってしまえば、その値段が一つの基準として通るのです。そうなると、ビッドは幾らまでで無く、実質的に、落ちるまでというか、誰かの一声上までで構いません。それに、色んな条件で、こちら以上に、強い人は出てこないとも読んでましたから。的確な前宣伝でも有れば、別ですが、ゲテモノに飛び込む人は多くは有りません。
記憶の片隅に有ったのが、もう随分前ですが、確か「サンケイホール」でやった、弊社のフロアオークション。物は、新毛?10円の試刷の無目打、台紙に貼って担当者の個人判が確認の為に一杯押してあったもの。印象的なのが「樋畑」の名前、サマーペックス2001の、見返り・月雁と同じようなつくりの物でした。あの時の出品者は、郵政関係か軍関係かは判りませんが、それなりの素性のものという印象を持ちました。最低値は安くして、カラーに載せても、実際相場が幾らかなど誰も判らないものなのです。でも、きっちり2人で競って、落ちた値段も安くはなかったと記憶してます。
落札者は、完成出来ない田沢のコレクターというか、波長に有った珍品を愛でる人。大将はいても、兵隊が居ず、3フレは無理、1フレなら騙しが効く程度のコレクションを作れる人。だから、今回の昭白5円・10円の原版1枚刷りは、きっちり好みに合うのです。でも、こんなものがスイスのオークションに出てるけど・・・、は野暮なこと。落とせたらどうヒネッテ、からかおうかと思ってました。
流石というか、予想よりも遙かに早くメールが来てました。こんなものが有ったよ、と載せた瞬間に「昭白5円・10円」をプライベートで欲しいとのこと。値段とかでなく、この前の試刷と並べて貼る為に、とだけ書いてました。値段は二の次で、この感性は判るので現物が届く以前に取引は完了してました。
18種の小型シートを並べても、一番気に入っているのが、この2種です。出来映えからして、くり抜けば、まず発売されたものとの区別は出来ません。透かしが無い事のみが違うだけ。現物は、早くもJAPEX期間中に、目白にて開催の「皇室切手展」に登場とか、眼にされたなら、この意味が判るでしょう。
「プラハの乃木」のテーマも、あと少しで終わりです。画像漏れは、愛国3種だけ、そして、「制定シート」の在り処も、発見出来ました。それの画像もお見せできるのです。

昭白5円・10円(869KB) 

2005年10月11日(火)

「国立公園小型シート」
目打の話を書いていて、面白い事実に気づきました。「プラハ・・・」やそれ以外の小型シートの1枚印刷や、年賀の4面掛けの場合は、一度の作業で穿孔が出来るように目打機を作ってます。区別するならH=全型目打を一度操作すれば完了です。
弊社第38回フロアのロット3523の写真です。記事を編集した時には、随分20銭がズレテいて、珍しいエラーだな程度の受け取り方でした。だから、モノクロでしか載せてません。でも、良く見れば、目打はズレタ20銭を追いかけて打たれているのです。この事実だけで、国立公園の4種刷りの小型シートの目打は、4種用にセットした、全型目打の一度打ちでなく、切手毎に、4回の作業をしたと判ります。一度の作業で1枚ずつでは無いでしょうが手間暇掛けた仕事です。そして、この作業のやり方は、戦後のものも同じです。吉野・十和田・阿寒で、日光と同じく、印刷がズレテ、目打がそれを追っているものが見つかっているし、重ねての穿孔作業でしょうから、反対に印刷が定位置で目打が一部の額面でズレテいるのも有るのです。
ここらの話を、最近、関東から関西に仕事の都合で引っ越して下見や、フロアに来てくれている人としてました。キャリアは長いし、一応ゼネラル、人と競って頑張ってオークションで落とすのが「国立公園」だけの人です。人よりも高くても買うということも重要ですが、自分でポイントを決めて、その可能性を求めて、即売やオークションで丹念に下見をするのです。値段は二の次で、欲しい物が有るか無いかが問題です。だから、オークションでは勝手にやってくれるし、値段で勝負して、他に強烈な人がいたら、その上で買うも、自分の評価でやめるのも、この人なら納得してできるのです。ベタベタのお付き合いは不要で何の手間も掛かりません。以前は電話で「疑問消し」のことを聞かれて、それは見知った消印だったので割りと簡単に答えられたと思います。
好みが判るというか、国立の分厚い紙のインパーフを、機会が有れば、全部買っていたと聞いてました。だから絶対的な素性が知れてなかった、変な小型シート、しかも、国立富士箱根の情報を貰ったならば、それなりにオファーを掛けるのです。オークションのディスクライバーは、20年前にプライベートで、「旧小4銭田型貼りの白抜けキ」の極美のカバーを買ったことの有るグレッグ・トッドくんで、特別のインフォメーションも貰ってました。彼の考えでは、出所から見て、在日米国駐留軍の高官が持ち出した、試刷のようなものでした。
調べたけれど、絶対の確証は得られずに、セールの日が近づきました。直感で「買うべし」と思って、エージェントも手配したのですが、問題は値段です。素性は定かでなくて、確信は有りません。@10万と言えば10万だし、@100万でも欲しい人がいるかも知れないし。売り方を考えれば、富士箱根・議事堂・愛国・昭白高額はセット売り、1次昭和はバラします。特に乃木は別格で、もし持って無ければ、幾ら高くても売れるでしょう。そこそこの数字を頭に入れて準備してました。昭和を一番高くして、次いで好みで欲しがるに違いない「珍品コレクター」にはまる、昭白2種・・、あとはセット売りが、かえって足かせになるのです。
ギリギリのタイミングで来てくれて、当然のように、「富士箱根」は欲しいとのこと。こちらの思っている数字を出したら、その程度でなら大喜び、どうしても欲しいので、値段は構わずお願いしますとのこと。確かにフロアでのビッドの遣り方を見てればその通りです。メールが相場以上に強いので、止めたらと思っても、最後まで行ってましたから。特に最近は、買う物が無くなって来ているとのこと、切手に限った予算でも賄えるし、車の買い替えを暫く延ばしても、こちらが欲しいとまで言うのです。値段はさておき、物に対するリスクは被ってくれるので、ならば後は落とすだけ。必要な手配をして、ビッドを預けました。不発行4完の未使用・みほん・特印付きの葉書がセットで買えるぐらいの数字です。昭和や他の物も、それに鞘寄せした数字なので、まさか負けないし、上で取られるならば、ノンリミットで来られた場合だけ。それならそれで、賑やかになって結構なことなのです。
でも、落ちた値段は安かった。拍子抜け位でした。前もっての話で、日本からのメールビッドが一杯有ると聞かされていて、一人だけかなり強いとか言ってましたけど、それは何時もの事なので、メールの場合は、参考値基準の数字でしかないのです。スイスのオークションで、目玉的な物をメールで落とすのは無理なのです。
富士箱根は、私としては完全なノーリスクのビッドでしたし、空振りの可能性も無い札なので、エージェントの費用も賄えるのです。この場合の売り値は、ハンマープライス+経費の1割増しで構いません。ビッドした値段より一桁安くても、それは勿論納得です。落ち値の3~5倍は覚悟をしてましたが、その差は、物に対する安心感の違いが大きかったのです。確証は無いけど、多分素性も正しいものだろう・・という意識でやってましたから。
「富士箱根」は一つの歴史的なマテリアルです。他のものと比べても、発売されたものと、少し違いが有るのです。この時は印刷局でグラビア印刷が出来なくて、実際の印刷は大日本印刷(株)でやってます。「プラハ・・」はグラビア用の原版で、スクリーン線は180線で共通ですが、多分内閣印刷局で刷られてます。だから、これこそが、日本で最初の「グラビア印刷の切手」かも。発売されたものとの細かい違いは、いずれ、「国立公園」のコレクションが展示される時に、タイトルページで表現してくれるでしょう。でも、残念ながら、今年のJAPEXではないのですが。

38回フロア Lot 3523(1.91MB) 

2005年10月8日(土)

「全型目打」
この小型シートの場合、 目打形式の分類で言えば、可能性の有る物は、単線(4周を1辺ずつ打つ)か全型(4周を一度に打ち抜けるように設定した器具を用いる)の何れかに限られます。ここでの「全型」とは、平版・平台なら櫛型、平版ゲーベルなら全型と表現されるものとは意味が違います。実際、日専等でも、小型シートの殆どは、一度に打ち抜くという点で、「H=全型」という分類表現を採っており、ここでもそれに従います。
「プラハ・・」の目打形式は何だったのでしょうか。一見して、4隅がきっちり揃っているので「単線」でなく「全型」と見られます。でも、菊切手や田沢や新高額においても、4隅が揃っていれば単線を櫛型と見誤ることも有り得ます。数が少ないロットの場合、慎重に1辺ずつ打ち抜けば、飛び出したり、ずれたりせずに揃えることも可能でしょう。現物を慎重に見ましたが、1次昭和の5種と昭白高額2種の計7種は全く同じ目打器で打たれてます。単線で1点ずつ打ったのでは有りません。但し、7枚を重ねて一度に作業した可能性も残ります。この場合は、単線目打を慎重すれば4隅揃えも出来るでしょう。でも、別の資料が現れて「全型」で打たれたことの証明が出来ました。記念・国立の大型サイズの方は、富士箱根4種・議事堂4種の計8種が同じ目打器で打たれてます。当然ながら、4隅は揃っているのですが、重ね打ちの可能性が残るので、全型とは断定出来ません。
昨日の画像を見てください。郵趣2001・7月号から引用の「逓博所蔵」の議事堂10銭、原版刷で目打有り、透かし入り用紙に刷られて、多分糊も有るのでしょう。4周の白耳をくり抜けば、発売された物との区別が困難なように仕上げてます。そして、その目打は13x131/2、この目打を打った器具で、「プラハ・・」の8種も打ってます。議事堂の発行はS11年11月、このシートはその少し前に作られていて、プラハのシートはS13年年初あたりの印刷でしょうから、1年以上もズレテます。単線で打って、1年過ぎて同じ仕上がりにはなりません。だから、11年の議事堂を打った「全型」仕様の目打器をそのまま保管して置いて13年にプラハの為に引っ張り出して来たのでしょう。1次昭和とは器具のサイズが、愛国の場合はピッチも違いますが、何れも「全型」仕様で打ったと判断して間違いないと思います。
次回は国立公園小型シートのお話です。

議事堂竣工(1.56MB)