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2007年11月13日(火)

『まずはプレ総括』
日専2008戦後編に書いたコラム、「オークショ二アからのメッセージ」の舞台装置として企画演出した、JAPEX2007特別オークションが終了しました。未確定な要素を基にした記事を、確定した事実で検証したみたいと思います。 ただ、フロアでの競りとその後処理は終えてますが、現在不落札品の残品売りとクレーム返品受付期間中です。17日(土)午前9時で確定しますので、その後に回数を取って総括いたします。11月4日のフロア終了時での数字は、WD2点を除いて、出品点数1918・落札点数1565・落札金額50,054,400円=手数料除く(内フロアでの落札が659ロット・金額30,254,650円)・落札率81.60%になっています。何せ初めての東京でにフロアであり、基礎データが無かったのですが、不落札の即売で通例5%+の伸びが見込まれ、厳選ロットのフロアセールなので殆ど返品も無いでしょう。数字的には想定のMAXの成績でした。特に今回はメールビッドの出足が悪く、登録のビッド数は520件、何時もの5000ロット+のフロア・メール併催に比べて300件は少なくなってます。平常からメールセールのみに拘っての応札の方も100人以上はいますし、フロアへの出席が確定の方のビッドも控えめでその分、フロアでの競りに集中したようです。欠番なしの札数151は今までの記録ですし、スタート値のリストが230部出てますし、代行札での出席数マイナスと、見学のみで未登録を足し引きすれば150+が覘いてくれたかなの雰囲気です。95%は会員さんなのですが、弊社のフロアへは初めての方が多く、大阪では常識のマナーが守られず、ちょっとした行き違いが有ったと聞いています。弊社のロット数なら、最後までお待たせしての引渡し・清算は、待ち時間が長くなりすぎ、また一気に集中されてもパニックになります。それゆえ、途中でのピックアップも出来るシステムなのですが、数秒も待てず、お客は自分ひとりというマナーの方がいたのです。一人で引っかかると、次々玉突き、数珠繋ぎになり団子になってしまいます。事務的なミスが起きても、一瞬後ろで待ってくれれば、必ず解決するのですが、その余裕の無い方が想像以上に出てしまったのは残念なことでした。
メールで入れて、フロアに勝ったものもその場では受け取りは無理ですし、落札品の無い方の団扇を、落札品を受け取るが如く出されても物が存在しない為、探すスタッフがパニックになってしまうのです。次回は、子供でも、猿でも分かるような交通整理の標識を立てようかと言ってます。
実は、今やっている51回フロア・44回メールセールに於いても、同じような事象が発生してしまいました。私は勿論、一般の大多数の方には常識で分かるはずの出品者としてのマナー違反の要求です。保険商品や金融商品の取り扱いの目論見書なら、細かい字でありとあらゆる起こりうるケースを想定しての売るサイドでの説明をしています。訴訟になっても勝てるというか、売る側に責めが及ばないようにガードを堅くするのです。ただ、我が社のオークションの場合、当然ながら、社会通念上の常識が保たれてることを前提としての運営です。ポイントとなる要項は書きますが、何が起きても100%のリスクヘッジが出来るようには雁字搦めにはしてません。
具体的には、オークション誌発送後=意味としては印刷所に入稿して校了になれば同じ、に出品者からの出品の取り下げの要求が来たのです。1~2点なら、何とか丸く治めるテクニックも有るのですが、10点ともなると傷を負わずには処理が出来ないのです。弊社の場合は、出品記事が付いていても、全て一任で有っても、載せる前に掲載原稿を送ってます。私が書いた値段や記事に問題が有るか、やむを得ずに売れない場合はこの時点で申し出てくれれば淡々と処理が出来るのです。本来なら書面による出品者の同意を取れば良いのですが、トラブルは殆どなく現状ではギリギリまで記事を書いて即入稿なので、問題が起きそうな人の物を先に仕上げて問い合せておけば、常連さんや手の内に入ってる人の場合は原稿のチェックさえもしてないでしょうから何らの問題も起きないのです。
今回のケース、本に載るのが確定してからの10点程の取り下げ要求がなぜ拙いかを説明いたします。私やスタッフが無駄に時間を費やしたとか、無意味の印刷費の負担は些事なのです。問題は、オークション誌を見た会員さんが、取り下げられたゴーストのロットに真面目に入札した場合、予算の都合で他のロットへの入札が出来なくなる可能性が出てくるのです。損害賠償という程の関連性は薄いのですが、ルールを定めて、厳しくその遵守を呼びかけるオークショ二アとしては容認できない暴挙なのですよ。理由を聞いても、お前に何か言う必要はないわい!で済まされる行為では有りません。
結論としては、説得してルールを理解できる常識をお持ちでない方と判断しましたので、申し出が有ったロットに加えて、該当者の今回の出品物を全てセールから取り下げました。10点の申し入れを受けて、引き、残りをそのまま売りたてるという選択肢は、継続して非常識な要求が続く可能性を含んでおり、信頼関係を構築できない以上極めてリスキーですし、会員さんとしての一切のお付き合いは出来ないのです。当然ながら入札でもルールを遵守しない可能性も排除できないため今後一切の取り引きは致しません。除名ということです。オークションというシーンではこの程度のトラブルは一杯有るのです。でも、その処理には迷うことなく即決断して実行しています。多分、どなたもが支持してくれると思いますから。

2007年10月2日(火)

「書くや、書かずや」
仕事柄、幾つもの機微に触れる情報が入ってきます。オークショ二アという立場ゆえに得られる情報には、職業上の厳格な守秘義務が課されてはいませんが、無原則に表ざたにはしておりません。ただ、公共の利益に重きを置けば、お知らせした方が役立てるケースも出てきます。差し障りの無い範囲で、幾つかホットの情報を提供いたしましょう。

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PA49の出品物、新楠公2銭に1次昭和1銭、7銭4枚貼り航空書留配達証明台北宛 櫛福井錦町16・10・14
知る人ぞ知る、ヤフーでの連続・大量出品された物の1点です。福井の道具屋さんが一山当てたもので、関東神宮鎮座貼りやら、随分魅力的な物も有り、結構な高値で落ちてました。余りに綺麗過ぎるものが多く、着印無しとかマイナス要素も有ったのですが、かなりのマテリアルが大川如水発ということも有って、郵趣家便だけれど、消印は真正、あとはルックスに惚れるか不自然な綺麗さを避けるかの価値判断だけという評価でした。弊社にも複数の人から何点か出品されてました。画像の物は思わぬほど競って高くなり、その結果、落札者から鑑定依頼のリクエストが出ました。
この程、財団法人 切手の博物館の鑑定委員会の結論が出て、日付印は真正、後押し=日付戻しで、郵趣マテリアルとしてはFAKEの判断です。オークショ二アとしての処置は、返品を受け付ければ良いのですが、このマテリアルには膨大な数の連れが有るのです。鑑定結果に対しての私見は差し控えますが、今後、このルートからの物は、少なくとも同じ局の日付印ならば実逓の証明がされないものは、出品物から除かざるを得ないのです。但し、同一の出所でも、他の差出人の物とか、明らかに性格の異なる物はこの結論にリンクはしないことも確かなことです。ただ、同種の物への鑑定は当然同じ結論になりますから、今後ヤフーや他のルートに売りに出た、兄弟カバーに関しては、入手並びに、コレクションとして使う場合、慎重な判断が必要になります。

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出品物として送られてきた小判が4点、結論的には流通の場に、無批判に流れ出ることはないのですが、こういうものが有るということを記録に残しておきましょう。5厘の初期無地に朱色の記番、U5銭P13に小局KG⑩は理性が拒否しますし、現物を触れば、もっと確実に見抜ける要素も有るのです。同じルートから、竜48文東京検査済 頭消し、100文の3文字検査済の頭消しというのも、以前来てました。出品者は変な人ではないし、悪意も全くないので、連絡を取って出所を聞きました。事実としては、30年ほど前から、ずっと某氏がそれと承知で密かに持っていたものが、ご遺族から第三者を通じて前提情報無しで、流れ出た物という結論です。コピーやパソコンでなく、手押し印を押していて、そういう目で見れば、見抜ける特徴も有りますから、過度に怖がることは不要です。
③ 

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今回のオークション誌PA50回、JAPEX2007特別セールは、10月4日に冊子小包が呼び名を変えた、郵メールにてのお届けになります。郵政公社は民間の株式会社になって、今度は民・商法の世界での商行為になるのです。従来は、特殊扱い以外の郵便物は、郵便局の責による紛失、誤配や遅配でも、郵便料金の還付が出来ませんでした。郵便法・郵便約款で、還付の手続きに該当条項が無かったからです。民法の考えの不当行為への損害賠償の概念からは放置できず、10月1日からはこの概念を取ってます。詳細な具体例は把握できてませんが、真っ当な民間企業として果たすべき義務を果たしてくれるのでしょう。さて、弊社発の郵メールで検証してみます。結論に走りますが、遅延の場合の法的な賠償義務は、差出の翌日を起点にして3日後、但し特割の遅延承諾が3日加算されるので、4日発なら、10日を過ぎて着かなければ郵便法(郵便約款)違反になるのです。もっとも郵便のホームページを見れば、大阪中央局の集荷なら、八重山・礼文等の離島を除けばかなりの区域で翌日配達予定になってます。こちらの情報が、無責任な自己都合のコマーシャルでなく、責任あるものならば、一般郵便の配達想定日の5日(金)の3日程度後、日・祝を抜いても9日には届いているはずです。もっとも、弊社の郵便物には大阪中央郵便局の郵便部長命令で、員数確認と郵便番号ごとの束ねを厳格チェックせよの指令が出ています。こちらは、100%完璧なルールに基づきやりますので、落ち度の要素は無いのですが、以前、局のミスに強硬なクレームを付けたので、その意趣返しをしているのでしょうか。それはそれで構わないのですが、約定はきっちり果たして欲しいのです。実は、前回のオークション誌の発送でも、1件事故が起きてます。完全な宛名で、弊社が出したのは確かなので、101号でトレースを掛けたのですが、その結果をUPしておきます。探したけれど、不明・・、は予想通りなのですが、特割郵便の九州へ入るルートが、久留米東経由だと初めて知りました。関東は銀座局、北海道は札幌中央とか、入る局は決まってますから、その局の体制で遅延・事故が起きますので、付着・遅延が起きれば制度に添って、調査の請求を出すほうが良いのです。不信を感じたら是非ご一報下さい。

2007年8月10日(木)

「朝日新聞」

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後先になりましたが、7月1日付けの社会面37ページの記事を紹介します。著作物の2次利用に際しての朝日新聞社知的財産センターの承諾=番号 20071094に基づいての掲載です。題字・日付・本文以外の一切の記事は載せられず、組の編集も変えられませんので切り抜きスキャンになります。
趣旨は、金券ショップで切手の買取価格が「暴落」している。郵政公社が7月1日から、大口郵便物の料金を現金の代わりに切手で納付できる制度を廃止し、DM業者の需要がなくなったからだ・・。というものです。一般社会面の記事としては、間違いではないし、概ね正しい認識なのですが、取材を受けた人が別の立場なら、違った視点で論んじたかも知れません。特に公社が切手支払い拒否の理由に挙げている、「窓口での1枚1枚に消印するオペレーションの手間が大変」というのは、全く事実に反してます。収集家なら誰もが知っている通り、多分昭和41年7月1日の制度大改正と関連しているのでしょうが、別納料金で納付された切手は、「波消し・棒消し」で処理してますし、更に今は郵政役人の天下りの組織の一つ=郵便切手振興協会・旧全日本郵便切手普及協会が消え、使用済切手を収集家に還元してその給与等に充てる必要もなくなってるため、納付切手の最終処理は再利用さえ出来なくすれば良いのです。国が絡んでいる。各種保険や印紙・証紙で国庫に納付されているものと同じ扱いで裁断・溶解で構わないので、数千枚の切手を手作業で数千通の郵便物の如く捌く手間など、最初から存在してません。本音の部分は、別にあるのでしょうが、それを表には出せない為の、実態をしらない郵政公社の行政官が無理やり付けた理屈でしょう。この部分の論議は置いておいて、まずは記事をお読み下さい。

2007年7月7日(土)

「郵税としての郵便切手」
郵便切手の持つ意味を、歴史を紐解いて解釈いたします。これはローランド・ヒル以来、本邦も含めて郵便制度を導入した組織は共通の認識を持っています。つまり、郵便役務の提供に対する支払い=郵税として、唯一、郵便切手を前払いの証紙として認め、実際の郵便物に直接貼付するのが大原則になってます。実務上は、創業時は封の裏に、最近は左肩にというように、貼付位置すら、法令で指定されているのです。
歴史的な要素として、ヨーロッパでの郵便制度における郵便切手の採用は、郵便物の料金前納と郵便差出箱への差出しを容易にし、そのことが郵便制度に飛躍的な発展をもたらす一大要因になってます。今日でも、郵便切手による料金前納が郵便料金納付の原則になっているのも、この効用の外、郵便窓口における金銭出納事務の簡便化に役立っていることによるのです。別納でも、切手での納付がオペレーションに過重な負担がかかるという郵政公社の言い分は、的外れだし、余りにも視野狭窄と言わざるを得ません。
郵税に限らず、登記費用や、自動車税、健康保険料等は、印紙を潰すことで国庫に料金を納付しているのです。別納郵便のB4版にきっちり、四角に同一額面の切手を貼った台紙を、無効にするのに、どれだけの手間が要るのでしょうか。まさか、一枚づつ、消印を押す義務が有るとは思ってはいないでしょうに。納付する方も、受け取って、即ルートに流したいはずなので、プロの大量の差出代行者は、一目瞭然で計算が出来るように収めるはずですから。
翻って、歴史上郵便役務への支払いに、郵便切手を直接貼付しない場合を探して見ました。創業当時の別段急便、明治16年以前の、郵便局これ無き土地への別仕立はユニバーサルサービス以前の、複雑な料金体系故に、あと精算でも已むを得ないでしょう。金子入り書状は、内国通運等の外部への委託なので、郵便切手は使えません。それ以外は、相当厳しく見ても、内容証明の謄本に貼付(封筒でなく)、官製はがき・郵便書簡等の切手でなく料額印面での支払い位しか見つかりません。これらは世間的には郵便切手での支払いと同じ意味になるでしょう。その後、大正8年になって、料金別納制度が出来ました。利用には幾つもの制限が掛かってますが、差出人にとっては、個々の郵便物への切手貼付の手間が省け、当局も消印の仕事をやらずにすむ、双方にとって労力軽減のメリットが生まれます。誰も損をしないし、郵税の納付は、切手を台紙に貼って収めるので、郵便切手の効力と、役務に対する納付手段としては、本質的な変化は生じてません。
観点を換えて論じます。郵便法等で規定されている、郵便に関する料金(法32等)を現金で特別に納付することができる場合は、次のケースに限られます。ネタ本が少し古いので、一部変更があるやもしれませんが、本質は変わってないと思います。
①  料金別納郵便物に関する料金
② 料金計器別納による場合の料金
③ 「料金後納による場合の料金。」この場合には、現金で納付することとされている。その意味は、後納=後精算と、郵便切手の持つ、前払い=差出と同時の支払いとが相容れないための制度かも知れません。
④ 転送料及び還付料
⑤ 料金未納又は不足の普通通常郵便物の不納額及び手数料
⑥ 料金未納又は不足の郵便物を還付の際の料金
⑦ 郵便法19条に違反して差し出された郵便物の還付の際の料金
⑧ 切手類の交換手数料
⑨ 第三種郵便物認可申請料及び第三種郵便物の題号等の変更認可料
⑩ 私設郵便差出箱の取集料及び郵便私書箱の使用料
で全てです。平成7年に或る特殊なシステムが導入されるまでは。それは、次回に論じますが、①~③は、料金額が高額になることが多く、現金での納付の方が利用者・郵便局双方に便利であるし、④~⑦は利用者に郵便切手の手持ちがないことが多いと考えられるし、⑧の葉書の場合は切手の手持ちがない場合があり、⑨~⑩も或る程度高額になる場合が多いと考えられているのでしょう。
なお、もとより、③の場合を除き、全てのケースで郵便切手で納付することも差し支えなく、その選択は利用者の随時なのです。郵便役務に対する支払い手段は、ひとえに、「郵便切手」であると郵便法は定めているのです。そして、実務規定である、郵便約款は郵便法の規定に反しないことが大前提なのですよ。
次回につづく。

2007年7月6日(金)

「郵便法・郵便約款」

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より詳しい議論に入る前の前提条件として、郵便法・郵便約款の条文をUpしておきましょう。郵便法は基本は昭和22年12月12日の法165(我々にとって通りが良いのは施行日の23・1・1=所謂、新郵便法のこと)。最終の改正は平成17年11月7日で法121、但し、本年10月1日の民営化の時点で一部変更されることが確定しています。肝心の32条は28条になり、用語もお上から民間に移行することによる変更、「前納→前払い」、「あらわれた→現れた」、「納付→支払」に変わります。意味は全く同じなので議論の際は気にしなくて良いでしょう。また、郵便約款も現時点で生きている物を用います。
私と郵政公社・総務省郵政行政室との遣り取りなら、個別の条文の引用は要りません。また、一般的にもWebで簡単に読めるのですが、その手間を省く意味で、必要最小限の条文を載せておきます。解説というか私の解釈は後日開示しますが、まずはご覧下さい。読み方として難しい物ではないのですが、郵政当局はそれを、読み解く能力をお持ちでないのです。
郵便法は、料金支払いの32条、約款改正に絡む75条―2・75条―3。郵便約款は基本の1条、別納料金の支払いを定めた46条・52条、今回の改正の根拠に挙げている別表の郵便料金表の書留郵便の割引差出の詳細が議論できる材料になるのです。

2007年7月4日(水)

「郵政公社との往復メール」

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前回と内容的にはダブりますが、実際に日本郵政公社サービス相談センターに送ったメールを載せておきます。最初は6月14日に私が送った物、次が6月17日の先方からの返事、最後が6月18日の再質問。すでにこれに対する返事も得ていますが、話の流れゆえに、今日はその前段階に留めます。次回は、本題に入る前の法令の文章の解釈を書いてみます。

2007年7月3日(火)

「郵便法32条」

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7月1日から、郵便約款の改正により、「広告郵便・区分郵便」に関して、差出の際の料金別納の支払い手段から、「郵便切手」による支払いが出来なくなります。表面上の現象でなく、今後の郵便切手の法的な位置づけにも係わってくる変更です。噂、憶測が乱れ飛んでおりますが、法的な分析をすることから始め、何らかの行動を起こせればと思っております。情報自体は、昨年10月に一報を得ておりました。その後郵政公社から、12月14に各郵便局に通達が出され、利用者には本年1月に周知されました。
当局への質問とその回答をたたき台にしての議論になるのですが、情緒でなく、法に則して適法か、違法かを問うことになります。かなりの文章量になりますし、用語の引用も郵便法・郵便約款等になってきます。読むのに疲れますし、面白くも有りません。また、私が書いた文章も、過去のものをそのまま転載した場合、細かなミスや、主張の重複も数多く出てきます。お含み置きの上、お読み下さい。
本日は、郵政当局に問い合わせをする前の下書きを載せます。次回以降で実際に出した、問い合わせとその回答、それに対する考察に進みます。

2007年6月13日(水)

『輸出用ステーショナリー』

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何回か前のバザールの売り物として、森下浩さんの200文腕落ち、松戸郵趣会の500文の逆刷、鰹釣りの銘10「透かし入り」=本物は目打有り・無し共に透かしは無い、月に雁・見返りの無目打シートなどと一緒に並べてました。いつ買ったか忘れましたが、多分アメリカからの大きいロットに入っていたものでした。一連商品だし、二つ折6種の余りにもシャープな印刷の顔つきからして、100%出来のいい偽物だと思い込んでました。今までの売れ行きを見たら、幸か不幸か、他の物は殆ど品切れなのに、葉書は丸々残ってました。誰もが、まさか・・としか思わなかったのでしょう。
そういう目で検証すれば、手彫で凹版刷り、原版の発売用(脇なし半銭ト・1銭ヌ)、郵政当局が公式に調整した官製模造(紅枠・脇付)と同一の版ということは、当局の意図での製作なのでしょう。自然な流れで「輸出用」という評価になりそうです。同じ紙質の発行されたステーショナリーは、葉書には存在しないのですが、強いて言えば、封皮、封嚢なら同じような物が見つかるかも知れません。
輸出用と言えば、切手なら、和紙半銭政府、青一見本印刷26版、和紙2銭タ、洋紙6銭ル ポーラス、洋紙10銭ハ ポーラス、改色1銭カ ポーラスが有ります。目打が9s、11s、紙質、糊から判断して、明治8~9年の印刷でしょうか。旧小判よりは前の製造のはずで、半銭、6銭、10銭には少し後の時代の横浜を中心として南関東の実際の使用例が残ってます。6種の二つ折葉書とは、製作思想が違います。
ステーショナリーは沿革志をメルクマールと見れば、明治27年以降なので、窓口には並んで無いでしょう。大正5年と思われる、立太子礼皇室贈呈用沿革志には、紅枠半銭ロ、1銭イ、封嚢2銭イが墨点、脇付半銭二、1銭イ、書留新聞紙(カット)は沿革志と同じ官製模造を、竜1銭、2銭は本物を貼ってます。脇無半銭は二、1銭はムで勿論本物です。
今回見出された6種のステーショナリーは、沿革志(明治29年)、皇室用(大正5年)には全ての要素で、ぴったりはリンクしないのです。そして、もう1種、輸出用と思しきステーショナリーが有るのです。20年前に、アメリカからもたらされ、私が世に出した、「書留新聞紙」の異タイプです。発売品とは、右枠に切れがないなど、明らかに図案が違います。タイプ2としてますが、官製模造とも図案は違います。そして使用済は存在しないでしょう。広告に出したとき、某著名収集家から強烈なクレームが来ました。自分が昔から、複数同じものを持っている、使用済が存在しない、紙が違うし、絶対に偽物だという申し入れでした。この品物はかなりの枚数がアメリカから出て、同時に封皮か封嚢の1銭、新聞帯紙、定時印刷物帯紙も、折れ無の束でのロットだったのです。書留新聞紙も紙質がパリパリだし、刷りもシャープです。でも、出所と出方から判断して、偽物では有り得ない、輸出用だと思ったのです。電話で1時間以上話したでしょうか、知識に自信の有る、思い込みの強い方が断定的に決め付けてくるのですが、こちらも負い目は無いので頑張れるのです。結論的には、日本郵趣連合の鑑定に委ねることにし、その結果は「真正」になってます。漏れ聞いた話では、澤先生の意見、「輸出用」だろうというのが結論でしょう。最近になって、同じものがドイツからかなりの数がもたらされてます。大本はアメリカの物と一緒でしょう。鑑定に出せば、問題なく通りますが、持つ人はタイプ2という認識で買って欲しいのです。窓口発売のタイプ1(日専・さくら)、タイプ2(組合・手彫専門)の図版を参考に、タイプ1の未・済、タイプ2の未=鑑定は意味がないので不要、でこそ生きてくるものです。
さて、今回、善良な「ウーロン茶・割り勘」さんの示唆で戸籍が付いた、「輸出用の二つ折葉書6種セット=紅枠半銭ニ、1銭イ、脇付半銭ニ、1銭イの官製模造、脇無半銭ト、1銭ヌの異種版」を即売いたします。送料共で35000円、序に書留新聞紙タイプ2(ご希望なら日本郵趣連合の鑑定書を費用5000円で付けます)=輸出用に、おまけの新聞帯紙、定時印刷物帯紙の折れ無を付けて60000円で即売します。大量には在庫は有りません。今までにも発表はなかったはずの「使えるステーショナリー」、お早めにお申込み下さい。画像で、該当品を載せておきます。

2007年6月12日(火)

『官製模造のバラエティー』

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画像はLot4753と4754及び沿革志用官製模造4種
同じくLot4753と4754は、正に沿革志用の脇付半銭の官製模造が2点並んでました。昔から型録評価は高く、4~5万ですが実勢価は1万位のものです。残っている数とお入用な人の数のバランスで値段は収斂するのです。今回は、4753が1万、4754が7000と付けました。状態の差故の値段です。本来、売れるか、売れないかだけで、それ以外には紛れの要素のないロットです。
でも、「丸ビル・・1000円引き」君は、これに価値を見出すのです。印面と枠・脇文字の間隔が違う。その原因は・・と来るのです。官製模造は、竜1銭・2銭、紅枠2種、脇付2種、封嚢長形2銭イ、飛信逓送2種、書留新聞紙カットの10種です。何れも、正規発行の物とは違う図案を新たに調整し、手彫の凹版で刷ってます。必要最低数は500枚、使用目的の意思はきっちり統一されてます。また、沿革志に於いては、官製模造と、正規品は一切混用されてません。10種の内、紅枠は2色刷り、明治27~29年の調整なら、当然2度刷りになってます。飛信逓送もそうでしょう。竜、封嚢、書留新聞紙は単色の一度刷りでしょう。では、脇付はどうでしょうか。画像は4753・4754です。目で分かる位に、印面と枠の間隔が天地共にずれてます。明瞭に2度刷りだと分かるのです。
500枚(一応は)の調整数なので、どの位のバラエティーが出てくるか分かりませんが、紅枠と脇付は数を並べて比較する価値が有るのではないでしょうか。版の違いでなく、刷りの段階での変化なので派手さを並べるしか手はないのですが、それでも、官製模造でも新たな楽しみが見つかるのです。
この前提で、彼がやって来るのを待ってました。手持ちの沿革志剥がしのステーショナリーと幾つかのコピーを揃えて、先方も当然、手持ちの物を持ってくるはずなので、そこそこのデータの集積が出来るでしょう。脇無半銭トが3版流用の異種版、1銭ヌの兄弟、沿革志の脇付半銭ニが2度刷りであるのは簡単に確認できました。でも、先方が持ってきた「官製模造」と私が準備した「官製模造」の雰囲気が違うのです。紅枠も脇付も半銭はニで1銭はイ、1銭は桜の芯に小さい点が有る。印面も、規則書も全て一緒、でも、並べると違うのです。紙質は同じだけど、刷り上りの色が違う。私の沿革志のものは「クリーム色」、ウーロン茶君の物は、少し黄みおび、だがより白さが勝り、刷り上りは鮮やかで、半銭トと1銭ヌの物にそっくりです。紅枠・脇付・脇無を6種並べると、見事なまでにと統一性が見て取れます。同じ時期に同じ目的で作ったものでしょう。
半銭イ、1銭ヌが輸出用なら、他の4種もそうなのです。原版が沿革志と共通の手彫なので、まやかし物ではないでしょう。でも、紙が違うので、沿革志そのものでないはないし、印刷時期も後のはず。ここまで考えて、甦ってきた記憶が有るのです。つい最近、同じ物を自分の在庫で一杯見た。6種セットで値段を付けてバザールで○千円で売っていた、「模造の二つ折の6種セット」です。随分前にアメリカから買ったロットに束であった物、迷うことなく模造として評価していたものでした。大急ぎで探さなくては。  次回に続く・・・。

2007年6月9日(土)

『澤まもる氏 論文を読み解く』

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たんぶるぽすと5月号に、澤さんの興味深い論文が出てました。そのままの転載は問題があるので控えるとして、要約いたします。
二つ折葉書1銭ヌに紙質や刷りの感じが違う物が有り、原版は正規発行の3版と同一ながら、それ以外の要素で正規発行の物とは異なる「異種版」であり、明治27年ごろに印刷された「輸出用」ではないかという問題提起でした。特徴として紙が黄味帯び、つるんとして印刷はきわめて明瞭、更には「規則書」が大日本帝国郵便切手沿革志の「官製模造」と同一というものです。1銭に有るなら、半銭にも有るのでは・・、締められていました。
最初記事を読んだときは、何の反応もせずにスルーしていたのです。ところが、今回のオークションの数日前に、下見に来人から親切な示唆を貰いました。メールのLot4755が同じもの、見てご覧というものでした。言われて記事を読み直して、現物に当たって、なるほど納得、まさに記事で指摘されていたそのものでした。
記事は 模造品 紅枠半銭イ、脇無半銭ト、脇無1銭ヌ 最低値 3000画像でも分かる通り、紅枠には印面に模造と入っています。ただ、素性は、戦後の官葉研究会や戦前の小早川で無い事は分かったのですが、和田の沿革志模造か別物かは確認できてません。さらに脇無の2種は、刷りと紙の違いゆえ、私は瞬時に偽物と判断したのです。この時点では、当然ながら、印面も規則書もそういう目での検証をしてません。
結論を言えば、半銭トも偶然ながら3版です。発行されたものと同一の原版で印刷されており規則書は鮮明印刷の沿革志仕様でした。澤さんの提示されたものの出現です。オークションの結果はビッドは2人、落札値は9000円、高いような、安いような、それにこのお二人は誰と誰?登場したお二人がきっちり入れて、他の人は全くの無反応・・・。お買い上げは、真面目が服着て歩いている、「丸ビルでウーロン茶・割り勘1000円引き」さんです。でも、私に教えてくれるのは、害が無くて益のほうが期待できるのですが、話す相手が悪ければ、せっかくの誰も知らない掘り出しも、水泡に帰すこともあったりして・・。人の良さも程ほどの方が良いでしょう。
実は、昨日まではこういうタッチでFinのはずでした。でも、今日、ご本人が現れて、見せてくれた別の資料が私の記憶を呼び起こしてくれました。この現物は、1971年にJOHNYUMOTO(湯本正幸)さんが、気付いていて、あの時の国際展の展示作品に入ってました。縁あって、13年前に私が買い取ったコレクションに、規則書=稀なほどの鮮明さ、として裏向けで使ってました。現物が見当たらないので半銭か1銭か不明です。それにどこかに紛れて出てきません。湯本さんのことならば、やはり版に気付いて共通性で本物のバラエティーの評価をしていたのでしょうか。
更に楽しいデータも分かりました。目から鱗の新発見、「沿革志」「輸出用」のキーワードで戸籍が出来たステーショナリーが複数出現したのです。詳しくは次回に画像付でお見せいたしましょう。澤先生なら、既にご存知だったりして。