『旧小判5厘エスパルト』
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8月のオークション誌の編集も今が佳境、メールは2400ロット強の出品で、記事は書き終わり近日中に入稿できますから、これから2週間+はフロアのパートに専念します。今で1500ロットなので、最終のロット数は3500を超える位になるはずです。目玉は広告とオークション誌を見ていただければ分かりますのでここでは取り上げません。それ以外の、今現在にわたくし的に感性に響く物を書いておきましょう。1点はオークションの出品物、もう1点は海外のオークションでの購入品です。
オークションに出るのが、旧小判5厘E紙10 初期◎YOKOHAMA1879年2月の黒印が③の状態で掛かった物。最低値は5000円 「as is」 扱いで出しました。ごく普通の国内のコレクターから記事なしで送られてきたものです。付随する情報は皆無です。旧小5厘のエスパルトの使用済は、きっちりとその存在がオーソライズドされたものは無いに等しい状況です。でも、私のおぼろげ記憶では結構そそられる物が有るのです。澤さんの「小判切手」の記述でも輸出用の20ミリのリメンダーTOKIOはエスパルトと書かれてます。ただ、これは郵便使用とは繋がらない例外で、正規の使用済の存在の有無とは直接にはリンクはしないのです。ところが、それ以外にもう1枚、トビっきりの物が有るのです。金井スタンプが扱った、オーストラリア人のコレクター=ワイズブレムセールの旧小5厘の単片使用済のロットに「記番消=イ47号」が入っていて、見つけた2人が猛烈に競ったのです。時を経て、落札者=所有者から確かに見せてもらった覚えが有るのですが、印影・印色等何の嫌らしさも有りませんでした。記憶では紙は確かエスパルト・・、海外から来た、うぶいロットを2人が見つけて納得で競ったのは確かなので、真正を疑う要素は、1点切りで連れが無い、珍品過ぎる使用例という、理由にもならない状況証拠しかないのです。でもこの条件では客観的な物証が欠けるとして、戸籍には採用されてません。
今回の初期◎YOKOHAMA エスパルト、直感では記番の神奈川の連れという気もするのです。ただ、1点きりの単片で、掛かり方が③なら、オークションの出品物としても無論のこと、コレクターの自慢に耐えるマテリアルではありません。でも、記番のイ47号の話でも経緯を知ってる人が何人いるのでしょうか。競って買った人も切手展の作品に使ったかどうかは今直ぐには確認できない状態だし、今更好んで現物をオープンにはされないし、競って負けた人は今は遠くへ行ってるので、ここらで書いておかないと、存在自体が日陰の幻想で朽ち果てるかもしれないのです。真っ当に評価すれば大珍品のマテリアルが、ルート違いでの複数出現は後に続く人にとっての格好な道しるべになるでしょう。珍品の出現の事実を根拠の無い思い込みで排除するのでなく、冷静にアナライズすれば見えてくる事実も有るのですから。でも、この2点の5厘の使用済は「鑑定」には向きません。私がそれをする立場だったとしても、「意見無し」=資料不足・判断材料が欠如しており「判定し難い」という評価になってしまいます。直感では良い物、面白い物と思っても、踏み込みにくい場合があるのです。だから、オークションの記事としては「as is」 が正解で、後は買う人の評価に委ねたいのです。でも、もう1点はちょっと事情が違います。
『2011年の大金賞』
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5月14日に開催されたオークションの結果が届きました。スイスはGossauの Chiani-Auktion、キアニーと読むのです。欧州でのステータスはかなりの物ですが、日本では知ってる人は少ないでしょう。このセールに竜のカバーが3点出てました。
Lot2889が48文田型貼 桑名検査済 Ex. Levy
Lot2890が100文貼 西京検査済
Lot2891が500文3枚、48文2枚貼 神奈川駅検査済 Ex.Levy
そして落札値は上から、SFr.12000・13000・80000です。落札手数料がVAT抜きの海外へのExportで19%加算なので、支払いは邦貨では126万、136万、840万になるのです。何れもルックスは良好ですが、昨今の日本の相場では有り得ない数字でしょう。因みに私もビッドはしましたが、何れも掠りもしませんでした。この落札値は日本からのビッドの数字ではないでしょう。超強気の我々が承知していない海外の二人がガチンコで競ったのか、何か出品者サイドの裏が有るのか今の時点では分かりません。ここに書いておけばそのうち的確なレポートが来るはずです。もし計算が立つ、新規の真っ当なビッダーのお買い上げなら真面目に商売のスタイルを変えたい位の驚きの値段です。参考までに昨年のドイツのケラーに出た、坂東ラーゲルの2完のシート、落札値軽く1000万円超えは、日本の博物館やドイツの専門家でなく、北米の某コレクターの札だったそうです。その人はこのテーマでまだまだ買い意欲は旺盛です。 話を進めて、弊社の今回のセールの目玉はLot3420の改色1銭チ 未使用、Lot3444 和桜2銭イ 未使用です。この2点とも最初に掘り出されて市場に出た瞬間に声がかかっていたのです。1銭チは10数年前にアメリカで見つかって、Cherrystoneからプライベートのオファーが来ました。値段は十分買える数字でしたが、フレッシュで真の未使用の確信は有っても、右下の掠れが気になって飛び込めなかったのです。他のディーラーの手を経て、コレクターにプライベートで動いて、今のタイミングで弊社に来ました。カタログ値700万がベースなので良い数字で取引されたと思います。和紙2銭イは、極最近のE-bayでの掘り出しです。見つけた人が興奮状態でメールを送って来て、出品するのでギャランティーの数字を教えてくれとの話でした。ルックス良好なので、結構真面目な数字を教えました。ただ、お若いアメリカの弁護士君は私よりも随分と厚かましいセンスをお持ちだったので、アメリカの某オークションに出品したのです。私の出した数字を下支えにして、それ以上のリザーブドプライスを付けての出品だったのでしょう。結果は形式上はUS$8000、私の出した数字には遠く及びませんでした。だから必然的にUnsold、ペナルティーを払ったかどうかは知りませんが、日本切手の大珍品がアメリカのオークションで8000ドルで落ちて、それが落とした人により日本へ転売されました、というのは全く筋違いの話です。本来の持ち主がお馬鹿な寄り道をしたものの、結局は賢明なマーケットへの提示になりました。
この2点、出品者は違うのですが、何れも売り切り前提の最低値一任での出品です。クオリティーは悪くはない、でも今の日本の状況では1枚に700万・500万という型録値なら、グロスの値段が勝ちすぎて、オークションベースではかなりの足かせになるのです。物の実力と、2011年の国際展でトラディショナルの大金賞を狙う人の必要度を秤にかけての、売れてくれよのお買い得な値付けです。
このクラスのマテリアルを完全な一任で受け付けて、売ることが出来ないのなら、オークショニアは切腹でしょう。出品者の思惑も飲み込んでの設定した最低値、反応は悪くはないのですが、日曜日の午後5時に判決の時を迎えます。種のない手品の結果はフロアに来て体感して下さい。
『1次昭和10円貼日泰航空カバー』
時を経て、極当たり前に毎年の春と秋、多分1年に5~6回はヨーロッパのオークションハウスを回っていたのです。チューリッヒとハンブルグがメインで、届いたオークション誌を広げて、その前後にセールと場所を選んでのユーレイルパスで回っていたのです。アポ取りの下見も含めて、1週間の旅で7~8社はカバーできていた時代です。Japanが出ていることは確認済みだし、スイスのメジャーなオークションハウスはセールの日程を調整してくっつけてくれていたので、場への出席は無理でも、下見さえすれば、セールでも空振りはなく、1回の旅でJapanのみで500~1000万は買えてました。その時は何時もの想定のルートの予想外というか計算外のカタログが届いてました。
パラパラめくって、モノクロ写真のページで見つけたのが、「1次昭和10円、1円、4銭貼の航空便 ロールKOBE」、20通ぐらいの同種のカバーのExample、参考値は50マルクぐらいでした。Frankfurtの Rudolf Stelzer、A5サイズのオークション誌は結構分厚いけれど買った記憶はあまり無いのです。でも丁度タイミングの良い日程なので、フロアに出席出来たのです。ドイツのこのレベルのオークションハウスの場合、出席者はまばらです。エージェントを除けば10人いるかどうかで標準。ビッドするのは1ロットなので、英語のコールはリクエストせず、ドイツ語の読みでOKでした。落とす自信は有ったけど、それ以上のあっけなさ。確か85マルクで落ちました。発着が同一人の同系統のカバーロット、日泰航空でしたが、10円貼は1通だけ、料金で10円超と5円超は複数あったけど、それらは昭和の1円か昭白1円の多数貼ばかりでした。
このカバーの行く末は、最低値40万で出品して、西の国のベテランのカバー好きのコレクターの100万超のビッドを、わざわざフロアに来てくれた東の国の昭和切手のオーソリティが跳ね除けて、20年はコレクションとして、雑誌に発表して楽しんで、一昨年のJAPEXのフロアセールに再登場したのです。時の洗礼を経て希少性の裏付けもあり、まともに踏んで、200万位かなが下馬評でしたが、強い代行札を預かっていたので、最後の競争者に「コダマ!降りろ」と叫んだ甲斐もなく聞こえないふりをされて、随分と立派な値段で落ちました。私の評価は、買った時の雰囲気からして、日泰航空・・、一杯あるはず・・ですが兄弟カバーは出てきません。
フランクフルトのセールが終わっての出来事です。望外の結果で余韻に浸っていたら、人懐っこい若いインド人が声を掛けて来たのです。ワールドのロットに、Japanの初期の葉書がまとまって出ていた。なぜそれを買わなかったのかという問いでした。組合カタログを見せて話をして分かったのは、紅枠使用済が5~6通有ったとか。でも、Japanを強調してあるロットなら兎も角、ワールドワイドまでは見ないのです。
そして、数ヶ月後にひょんなところのカタログに、それと思しき紅枠が纏まって出たのです。ベルリンに壁が有った頃の、向こう側で行われた、Wolfgang Jakbeckのセールです。私はフロアに出ないけど、エージェントに頼めるのでこの条件は大歓迎。限りなく安く全部買えたはずなのです。JakbeckはハンブルグのPoststrasse17に事務所があり、第一回のセールで、竜1銭2枚貼 KG越後高田のカバーがでて、それ以降一年に2回、ほぼ皆勤で下見に行っていた、相性の良いオークションハウスでした。オークショニアのポリシーでしょうか、出品物に品があり、安~い参考値に、下見して目一杯のビッドをして、それでも買えたり負けたりで、オークションハウスとしては、かく有りたいと目標にしていたのですが、どういう事情か分かりませんが、東ベルリンでのセールを最後にしていつしか業界から消えました。そして、フランクの駅の裏の操車場のそばのStelzer、2008年に破産してオークションが続けられないとの記事をどこかで見たのです。声を掛けてきたインド人は、是非家に来いと誘われたので、アムスの税関でトラぶりながら通関した、土産の「日本人形」を持参して、南ドイツにまで出向きましたが、ビジネスとしては完全な空振り、でも、CorinphilaでもRappでもFeldmannでもKoehlerでも必ずと言って良いほどに会うのです。私は全く近寄らないけど国際展にもブースを出しているし、仕入れの為にオークション皆勤というのはビジネスは上手く行っているのでしょう。死屍累々のオークションハウスに対峙するにつけ、逞しきインドのパワーには感心させられます。彼が今まで続いているのは、変にJapanに踏み込んでこないからかも知れません。
5月14日のスイスのセールで、竜500文貼のカバーがS.Fr80000=800万++で落ちました。詳細は次回に・・・。
『大正白紙25銭単線12 未使用』
J.& H. Stolow の名前にはほろ苦い思い出が付いて回るのです。どなたの文章だったかは忘れましたが、確かヒロユキ・カナイさんが、かの事務所を訪れた際、金庫から英領ギアナ1セント=世界一高価な切手を取り出して見せられたとかの記事を読んだ覚えがあるのです。ニューヨークの事務所主催でのフロアオークションは盛況で、弟はミュンヘンの一等地での店頭販売の店を持つ、当時はステータスの高い商売をしていたはずなのです。
私のこの会社との実体験は、矢鱈と暑い時期に見た、手彫の写真が数十頁続いていたオークション誌、洋桜2銭カナ揃いの写真が出て、不統一がチラホラと・・。その類が数百ロットはあったはずです。この当時でも、私は海外へのメールビッドで、小判以降は結構買えてました。ただ、手彫は落ちないし、このボリユ-ム大のセールにも然るべき人が場に出ていたのでしょう。手彫系は掠りもしなかったはずなのです。その後も極当たり前にオークション誌は来ていましたが、いい買い物をした確たる記憶はありません。そして、いつしかフロアセールが無くなって、或いは並立だったかも知れないけれど、GoldMedal Mail Sale の名前でのメールオークション誌に業態を変えたのです。
コレクションや高級品でなく、スコットアルバムを崩したような単品を写真入りで載せているセールでした。このパターンの場合、基本的に買い気がそそられる物はないのです。小売りと同じ意味なので、評価ミスで抜ける要素は少ないし、目が覚めるようなバラエティーなど1種1枚が分母の場合、普通は有り得ないことなのです。但し、白黒でも写真は非常に鮮明なので、物が有れば見落すことも有りません。そして、奇跡が起きたのです。 記事はSc.124 ヒンジの有無のマークが有って、スコットのカタログ値の記載だけ。今も昔もアメリカのオークション誌での単品の1点売りの当たり前のパターンでした。そして一目で分かる単線12、センターもフレッシュ度も何の問題も無いVFのコンディション。 オークションのカタログで見つけはしたものの、問題は完全なメールセール、テクニックの使いようの無い、ただ数字をビッドしての高い安いが全てのルールです。今なら、少し努力をするかもしれないけど、この時は売れる値段を踏んで、逆算で目一杯入れるだけ。25銭の単線12なら、使用済でもかなりの物、それのユニークな未使用なので、100万円をベースにした数字を出したはずなのです。その値段で落ちれば厳しいけど、人より上でなければ負ける。メールセールでもオークションなので、ゴミの値段で落ちる可能性も有る・・。コレクターは見てないはず、だからこの数字なら負けることはないはずでした。だけど結果は来なかった。即売誌の延長のメールセールなので、多分全体の落札結果表も出してないはずです。E-メールは勿論、FAXも存在してない時代です。電話をかける知恵も無く、ただ、○か×の結果を待つだけ。来ないというのは×なのです。
目一杯のビッドで負けて、それならそれは仕様が無い・・。直ぐに気持ちは切り替わるのです。ところが、次号か次々号に全く同じものが再出品されたのです。まさにその現物が・・。記事は前のまま・・。目打云々の記載も無く・・。再チャレンジでも全く同じビッドを、今度は書留郵便で送ったはず。そしてその結果は、前と同じままなのです。
私のビッドのマナーは物凄くまとも。何の捻りも入ってない。持ち主は当然ながら、オークショニアそのものだから、1番札だから、絶対に買えるとは限りません。入った札を見てもっといい客にプライベートのオファーでも掛けたのでしょうか。落札結果表も出さないし、任意の即売ビジネスだと思って見れば、高く入れても買えないことも無くはない。ただ、再出品というのが分からない。そして、このものの行方は未だに誰も知らないのです。見違えるはずはなく、物は確かに有った。ナイト・メアーの結末は永遠に謎のままなのでしょうか。そして、GoldMedalMail Saleは何時しか消え、かのStolowの名前を最後に聞いたのは、その甥がオークションのRingの一員として刑事被告人として郵趣雑誌の記事に現れた時なのです。
気分を変えて、少し遊びの情報を出しましょう。豊中市在住の故山本義之さんから、かつおつり(目打あり)シート=現在逓博にある・・を預かったとき、幾つか面白いシートの資料を貰ったのです。琉球の100円加刷とかと共に、大白の完セット「みほん」のシートも有ったのです。逓信省の資料で、門外不出のメモがありました。その目打は、5銭が13×131/2、10銭が12×121/2、それ以外が全て単線12、今単片で残っている結果のままの資料でした。大白のみほんは、発行時の局への周知用というよりは、黒表紙の見本帳用に使われてますが、その何れもが目打はここに書いた一種しかないのです。25銭のL12の未使用を望むよりも、「みほん」でちがう目打が出てくれば、結構珍しいかも知れません。新小判3銭や他の額面のP12の「ひらがな・みほん」がそれに匹敵するバラエティーなのですから。
次は、「1次昭和10円貼 日泰航空カバー」、フランクフルトの駅の裏、電車の音がゴトゴトと・・・。
『菊50銭C12x121/2 未使用』
標記のアイテムは、あの当時は秘かにお持ちの方はいても、表面上は売買実績ゼロ、A先生も欲しいけどお持ちでないというパターンでの専門カタログの評価だったと思います。でも私としては、他の誰にも知られずに、何故か確信的にそこにあることは知っていて、絶対に落とせると思ってました。情報でも評価でも、取り扱うジャンルとしては菊あたりは結構自信が有ったのです。
ウエールズ=カーディフのWesternStampAuction、知る人ぞ知るレベルのオークションハウスです。何人かのブローカー的な日本人にとっては罪作りな、毎回連続して長~いディスクライブでのJapanの「コレクション」が出てました。このオークションハウスは最低値を指定しても不落の場合の5%のペナルティーを科さない、出品者にとっては有難い、応札者のとっては面白みの少ないやり方をしてました。長い目で見れば、オークションハウスとしては、このマナーは絶対に損するし、いずれは廃れるのですが。このやり方を認めるのは、当時のイギリスでは他にWarwickとGibbonsがそうでした。だから、この3社には、かのR.& S. S・・・・が腕によりを掛けて、売るために作った作品が毎回出ていたのです。もっとも、ここらの事情がはっきり分かったのは暫く先になってのことですが。
この時の少し後のロンドンのH.R.HarmerでのウッドワードのPostalForgeryを貼ったカバーの落札ちが、根回し、調整、談合一切無しのガチンコのビッドで、ほんの数百ポンド(下のほう)=スピロの偽物のシートよりも安かった・・事で分かるように、外国のオークションでは「菊」をまともに評価している人は皆無でした。しかも、50銭の目打は18完の一種として、完全に隠れていたのです。私の取り扱い品目はこの当時でもゼネラルなので、カタログをべースにはせずに、珍目打への評価は少なくとも日専++で平気に飛び込んでました。しかも、カーディフはウエールズ、ロンドンから数時間は掛かるのです。
この当時は、エージェントも使わずに、ただ単純にメールビッドをしてました。でも結構成果は上がっていて、Findでの掘り出しは極当たり前の如く、無競争のあっけの無い数字で落ちてました。だから当然、この50銭C12x121/2も幾らで買うかでなく、オークションの場に始めて売り物として提示したら、誰が幾らで買うのだろうか・・、確実に欲しがるであろう、A先生に誰がぶつかるのかが関心事でした 。
今と違ってビッドの結果は知れるのは、インボイスが郵便で来るのを待つしか有りません・・・。そしてこのロットに対する数字の記載はなかったのでした。暫くして、風の便りが聞こえて来て、当時有った銀座のサンフィラの店頭に、50銭C12x121/2の未使用が並んでいた。値段は・・・、一瞬で消えた・・とのことでした。問わず語りの情報では、キタゾノ君が、日本への帰国の前日に、たまたま「ロンドン」で開催されたWesternのセールに出て、そこでメールビッドと強烈に競って買ったロットの一枚だということです。実際、Westernがロンドンでセールをやるなんてことは有り得ないケースなのですが。普段の通りにウェールズでやっていれば、単なる未使用セットの値段で私の手元に来たはずなのです。切手に対する相性が有って、50銭のC12x121/2未使用には未だに縁がないのです。勿論掘り出し前提ですが、他額面は一揃い、多分2セットは只で手にしているはずですが、50銭に関しては最初の強烈な経験がずっと邪魔をしてくれるのです。
このオークションハウスでは、この直ぐ後、多分次回か次々回のセールに、葉書の書留年号2字AIKOKUMARUが出て、こちらはきっちり買えました。プライベートで収めた相手は既に逝り、現品はご健在な時点で引き継いでくれる方に渡ってます。50銭は時を経ずして、サンフィラのフロアセールにでて、A先生が大願成就、菊のC12x121/2を未使用で完集され、めでたく日専の評価も大いに改正されました。その後も私は掘り出しの経験はないのですが、プライベートの取引や、オークションへの他の方の出品物としては4~5回は扱ってます。世の中に結構な枚数は有るのですが、まだ欲しくてウエーティングリストが長いので、何れは掘り出し記録に載せられると思ってます。単なる記憶上の拘り以上の意味はないのですが、これだけ1枚抜けはシャクですから。
因みに、このWestern、その後の20数年の取引で、実際に買ったのはほんの数回、というよりも欲しい物が出たのが一度だけ、改色1銭ブッチの未使用が数十枚の桜切手のリーフに混じっていたときだけ。ただこの時は写真版に載ったので、セールへのビッドとしてはちょっと別のパターンになったのですが。そして時を経て去年のこと、P.A.Wildeから手紙が来て、WesternStampAuctionは消えました。
次回は大白25銭L12 未使用、面妖なメールセール、New Yorkの英領ギアナ1Cにも繋がる会社での出来事でし
『ノスタルジー』
最近イギリスから届いた手紙を開いたら、オークションの廃業連絡、支払い済みのカタログ購読料の返金のインフォメーションでした。「Bonhams」というよりも、サザビー、クリスティーに続くステータスのオークション企業、Phillipsの切手部門のオークション業務を行っていた会社です。私にすれば、Phillipsの名前でオークションをやっていた時代のNew Bond の古~い建物、迷路状態の建物で、一人では切手部門には辿り着けないオフィースに強い印象が有るのです。オークションとしては、Japanの大コレクションの売り立てや、記憶に鮮明な大きい掘り出しはないのですが、カタログの編集方針が、全世界のコレクション・アキュムレーションをトップに並べて、しかも参考値の高い順にロッティングをしていて何時も同じスタイルの編集手法の印象が強いのです。押しなべて値段の設定は割安で、売りきりが前提なので、ここに出ている全世界のぶ厚いアルバムを買って、ページをちぎって国別に売れば結構商売になるので、イギリスを中心に世界中のゼネラルディーラーや、中小のオークションハウスの効率の良い仕入れのソースになってました。
売りの需要は引続き幾らでも有るはずなのに、買いの意欲が追いつかずに、ビジネスとして成り立たないとしたならば、業界にとってはいい話では有りません。
イギリスの切手部門のクラシカルな4大オークションハウスといえば、ギボンズ、ハーマー、ロブソン・ロー、フィリップスで誰も異論を唱えません。でもギボンズは出版・アルバムは残っても、オークションはWebが主体です。去年の旧小20銭貼りカバーの出品など奇跡的な出来事でした。ハーマーは経営がイタリア人だし、ロブソン・ローも2度名前が変わってます。そして最後がフィリプス・・・。
Bonhams=Phillipsに限らず、最近はオークショニアの永久的な廃業の連絡を貰うことが多いのです。私の経験を踏まえて、思い出深い経験を幾つか書いて見ましょうか。買った物、買えなかったものを含めて、殆どどこにも書いてないはずのお話です。
今回の弊社のフロアに出ている目玉が旧小30銭の11L、チューリッヒでのRobson Loweでのアレン大佐のコレクションに有ったものです。私はまだ、動いてなく、カタログをライブでは見ていません。でも、当時の新進気鋭のコレクターがメールビッドで落として、どこにも出さずに秘かに持っていて、直近にE-bayでもっといい状態の物を手に入れて、ダブったからと出品してくれたのです。何人かに聞きましたが、この直近の掘り出しに気づいた人はいないようです。
私の経験でも、30銭11Lは多分7~8枚は扱ってます。その内の3回は海外での掘り出しです。まだ直接外国に行く前に、メールで落としたロットに入っていたことも有るのです。確か1980年代の前半、最初に11Lを手にした頃、偶然にも他の目打の珍品の入手のチャンスが来たのです。目打の珍品で、当時はまだ表で売られた記録がなかったもの。菊50銭C12x121/2 未使用、大白25銭L12未使用、小判・菊・田沢を3枚オークションの表紙に並べて売ろうかなと思ったのです。1枚は既に手元にあり、後の2点も手を伸ばせば届く所に有りました。
『菊50銭・・・に続く・・・』
『スタンプショー=ヒロシマ‘09 ドラフト詳細』
5月16日―17日に開催されます、標記催事に本年も弊社は出店いたします。一般販売品としては、小判切手の未使用・使用済みの新規商品を大量に増やしました。それ以外のジャンルでもカバー・単片類でOPP入りの新商品を1万点以上追加しております。
特別企画として、200ロットは「ドラフト制」で会場にお越しいただいた方なら、平等のチャンスでお求めいただけるように展示即売いたします。
初日=16日の10時~11時30分に、ご希望品に1点~何点でも投票していただき、第一位投票の方~から優先的にお求め頂きます。投票NOの若い札が優先になります。登録は10時~投票締め切りの11時30分を目途といたします。受付はご記名登録の後、抽選箱に「あ~ほの記号(30名分)++で各記号に1位~10位+の順位を明記した投票用紙」を入れてありますので、1回だけ引いて頂きます。ある品物にご希望のランクが同一順位の複数の投票が重なった場合のみは「あ>い>う・・・>ほ」の優先順位になりますが、通例は単純順位の若い投票が優先です。あ1位は全てに優先しますが、あ2位は、ほ1位に負けます。昨年の場合、あ1位と、い1位がかぶってしまい、い1位の方はご希望品が買えませんでした。上手な駆け引きで投票して下さい。
今回は特に、大量のU小判の未使用の即売の優先権を4ロットで出品しています。このロットに限り、複数の方にご覧いただけます。勿論若い投票をされた方がチョイスした後に2番手~3番手・・の方に見ていただきます。1ロットを15分程度の考えております。
商品のお渡しは、11時30分に投票を締め切って、落札者確定の発表は13時を予定しております。出来れば当日にお引取り下さい。何時もの通り、ジャパン・スタンプ商会の会員の方は代金後払いでお渡しします。次回に一部の対商品をUpいたします。
『非課税・無税・免税』
本年2月16日から輸出入に関しての通関手続きが変わり、輸出も輸入も20万円を超える物品を国際郵便で送るか受け取る場合は、全て通関手続きが必要になりました。概略を説明すれば、従来は賦課課税方式で税関が手続きをしていた物の内、20万を超える物は本人(実際は委任を受けた代理人)が手続きするように変わったのです。実務上は、輸入(納税)申告を必要とする可能性がある国際郵便物=価格が20万円を超える物が届けば、税関でなく、郵便事業会社からその旨の連絡が来るのです。まず最初にやることは、迷わずに代理人選任の委任状をFaxで送ること。自動継続で半永久に有効です。同時に荷物の説明も事業会社の該当部署にFaxですれば良いのです。
内容物に関しての説明の仕方は、以前の税関や通関業者=乙仲さんにしていたのと同じです。違うのは書類を出して説明する相手が税関直接でなく、委任状を出した乙仲の郵便事業会社になるだけで、税額とかの実質面は変わっておりません。ただ、当局の周知が不十分な為、予備知識がない人にとっては、今までは無縁だった予想外の手紙の文面に戸惑われる方が増え、私に対してプロ・アマ問わず既に7名の方から手続きに関してのお問い合わせが来ております。その回答は極めてシンプルで、電話で空で返事ができるのですが、過度な心配をされる方も結構おられるのでここに簡潔にまとめておきましょう。硬直した法律用語を用いた堅苦しい法解釈でなく、実務に即して書いていきます。私の数十年の経験で、散々税関や乙仲と遣り合って、あくまで日本切手を中心とした郵便切手の輸入に関してですが、最も効率よく通関できる方法も把握できております。ただ、私自身が実践的に実務で用いる判断を主としますので、厳格に分析すれば一部法解釈では不適当な表現になる場合もあるのですが、それは聞き流しておいて下さい。例えば、新小判1円の未使用は郵便法上は1円として使えるものの、ここではその判断を用いてはおりません。それを強弁することに意味は無く、話を複雑にするだけなので、如何に楽にかつ費用を掛けずに通関するかを論じます。
まず、本邦に郵便切手を輸入するに際して課税される可能性の有る税金は「関税」と「内国消費税=5%」の2種類ですが、日本切手に限定すれば、一切税金は掛かりません。ただ、税金が掛からないという同じ事実でも、法的には3種類に分かれるのです。「非課税・無税・免税」です。結論としては何れも税額はゼロですが、完全に意味は違います。
本邦に於いて郵便切手として通用する物は、有価証券であり、税番は49.07で資本の移動と同じく「非課税」です。この場合の有価証券の定義は、郵便法上の効力の解釈でなく、プレミアの付いてない時代の額割れ切手が該当します。貨物の全てが、これに該当するなら、税番を言う=未使用の新しい日本の切手です、で問題なく通関できます。時として額面合計を問われるのですが、これは後述します。郵便料金納付に供せない、使用済の日本切手及び外国切手の場合は、収集品・骨董品で、税番は97.04に変わります。この税番は、関税は「無税」=料率がゼロですが、内国消費税5%が掛かります。外国切手の場合、この消費税は税関がミスをしなければ、本来免れることは出来ませんので、申告の上支払って下さい。但し、日本切手の場合は、更なる最重要のファクターが有って、「日本」の使用済の場合は、関税定率法14条―10の、「本邦から輸出したのち、形状を変えずに再輸入した物品は無条件で免税にする」という規定があり、これで消費税も「免税」になるのです。このケースは知識に基づいて、強く主張しなければ結構揉めるし、海外のオークションハウスの場合、グリーンラベル上のdeclareおよびorigin=原産国を悪意がなくても「Japanese stamp only」と書いていないケースが多いのです。この申告が有れば、見落とす税関が悪いので、幾らでも強気で話せるし、かなりのケースで異議申し立ても効くのですが、リスクヘッジをする意味でも送り主に「Postage stamps ; origin Japan」の申告をするように要求して下さい。これをして、税金が課税された場合、クレームを付けるのですが、申告書に書いてない場合は、乙仲さんの出来によっては、例えばUPSヤマトの場合など、かなりの上の立場の責任者でも、社のポリシーとして、小口の貨物などいちいち調べる程の料金を貰ってないので手間が掛かる仕事はしない、貨物の表面の情報を基にして、自己判断で通関して何が悪い・・等の暴言を吐く輩もいるのです。この考えには与しませんから、私は如何なるケースでも国内外を問わず、ヤマト運輸は使いません。
FedEXやDHLの場合は、一般的には現品のチェックもするし、慣れているせいも有って、証明書類さえ有れば手続きで間違うことは少ないのですが、貨物の特性で、同じ性質の同じ形状の商品の反復・継続でなく、1回毎にまちまちで複雑な内容の輸入なのでケースバイケースで対応せざるを得ないのです。送り主や乙仲はそれを想定してませんから、私でさえ、今までに2回は通関できずに差出人戻しになりました。前述した通り、日本切手の場合、どう転んでも税金は掛かりません。但しそのことと、正しい書類を出さずに済ませられるというのは別問題なのです。特に困るのは、明らかな過少申告です。こちらは口を酸っぱくして、Full declareで Fullinsurance の要求を出すのですが、守ってくれない場合が多いのです。額面100万円の未使用切手のインボイスで、US$100の申告では説明が通りません。税関は税額ゼロならそれでOKですが、頭の固い乙仲は、何故過小申告をするかのかを聞いてきます。確実に内容が把握出来ている場合は、事情を説明したり、先方に正しいインボイスを訂正で出させるのも可能なのですが、オークションの出品物を始めての相手が送ってきた場合などは、何が入っているか全く予想も付かず、かなりのトラブルの可能性も有るのです。大阪税関の外郵出張所が大阪中央郵便局に有った時は何度も直接出向いて、税関職員立会いで開封確認ができましたが、関空や成田ではそれも出来ません。それでも、郵便ルートで来る場合は、従来の場合、説明をする相手が、正に「税関」其の物なので話がすんなり通ったのです。ところが、乙仲通しの場合は、FedEXでもどこでも、お上の名前を使って自分でなく、「税関がこう言っている・・・」の一点張りで、インベントリーリストの提示や、詳細な切手の枚数の確認を要求してくることも有るのです。税関が書式を整えろと言っている、それをそのまま伝言しただけだというのが乙仲の言い分ですが、これは100%嘘で、税関内部の職員に聞いたところ、税関はその種の要求は絶対にしない。密輸や脱税の可能性がなければ、すんなり通すのが仕事だからという返事です。このケースの場合、近ければ自分で行って説明できるのですが、それが無理ならば形式上は相手に理があるので、乙仲と遣り合って喧嘩をしても無駄なので、私の場合は専門知識のある第三者の「相談官」を使うのです。全ての税関に必ず一人います。そして確実に話は聞いてくれるのです。税関と税額で揉めるケースはゼロで、あとは書類が整っているかだけ、それも税関の名を騙った乙仲が無意味な要求を出しているケースをクリアするのに頼むのです。5回はお世話になってます。相談官とは連絡が取れれば冷静な会話が成立するので困ったときには是非使って見て下さい。乙仲では相談官の存在自体を秘匿し、連絡先を知らないと嘘をついてまで教えない場合が有りますが、直接税関に聞けば分かります。
細かいことを言えば、スコットアルバムのJapanのコレクションの場合、琉球や満州、南方などが1割位は混じっていると思しき場合など、印刷が日本だからとか、かつて=当時は日本領だったから日本製だと、理屈で強弁するよりも、幾許かの日本以外の外国切手も有ります、その部分は消費税を払いますの方がすんなり行くかも知れません。案分比例での正確な評価など誰も出来ないので、阿吽の呼吸でやるしかないのです。私の場合は、消費税が本則課税なので、払っても払わなくても確定申告で精算になるので、何時払うかだけの差しかないのです。ただ、簡易課税の人や、消費税の申告義務のない人の場合は、払うと損、払わなければラッキーなので努力のし甲斐が有るでしょう。
今回の制度の変更の場合、親切この上ない郵便事業会社が一切無料で通関手続きをしてくれるのです。これは使わない手はないのです。ただ、制度が始まって慣れてないし、今だけのイニシャルな手続きもあるし、結構手間取っているようですが、将来的には慣れてくるし貨物ベースの乙仲に説明するよりは楽だろうと思います。切手の場合、税番の49類と97類、関税定率14条・・を滑らかに説明できれば事はスムーズに進むのです。このケースは知識をひけらかして何らのマイナスにはなりません。
次回もこの関連ですが、輸出に使うEMSの裏話を少ししましょうか。国際郵便約款を熟読して、ネットを使えば効率よくこのサービスを利用出来るのです。
『追加情報』
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今回のセールのLot3093に関し、当コラムに記事を書いたところ、4名の方から貴重な情報を頂いたので、ここに訂正記事を掲載いたします。
まず、結論的にはこのマテリアルの正しい記載は、「菊10銭8枚貼書留11倍重量代金引換墺太利宛」になります。内訳は外信第1種基本料金10銭+割増し10倍=6x10銭・書留10銭であって、代引き書状の場合は郵便物の上に手数料等は貼付しません。
このポイントで、「りす」氏より、代引きは取り扱い料だから切手は貼らず、差出し時に窓口で現金で納めるのではという意見を貰いました。同氏が菊10銭2枚貼のドイツ宛の外信代引き書留を所持しており、また金子入り書状(内国通運会社等の外部に委託のため)、別段急便・別仕立(ある種の後納・後精算)等では同様に郵便物上には切手貼付という形式では納付しないケースもあるという指摘です。現象面ではその指摘は正しいのですが、代引きの場合は制度的に明記された、より説得力のある根拠があるのです。
「とど」氏からは、明治36年の郵便便覧から情報を見つけてきて、一般の書状の代引き料は4銭で均一、価格表記が必須で14銭、つまり8倍重量書留=10銭+42銭+10銭+4銭+14銭の80銭ではという指摘でした。郵便便覧の数項目を追いかけての解明で着眼点はいいのですが、噛み砕いた表現でないため、ちょっと解釈に迷う表現もあるのです。但し公文書なのでデータは正確に載ってます。この制度は、UPUの包括のサービスでなく、2国間で締結した条約で、かつ国際為替の手続きが可能な相手国に限られます。多分アメリカは無理ですし、欧州及び同属国に限られますが、勿論一覧表も出ています。ただ、料金の解明に使うと、プロ級のアナリストでも間違ってしまうこともあるのです。
東京の下見会で、「馬渕直人」氏がコピーをくれました。明治42年の坂野鉄次郎(東京郵便局長・法学士)著で、後藤新平(逓信大臣)が題字を書いた、「通信要録」=三省堂書店発行の該当のページです。他のケースでも、郵便規則や法令の原文は中々読みづらいのですが、「郵便読本」「郵便法概説」といった解説書なら随分わかりやすく説明してくれてます。「要録」の根拠は明治33年の旧郵便法及びその細則や付随する規定なのですが、見やすい表と、カナ雑じりでない文体で解説してくれています。
代引き料金は1899.9.1、1922.1.1、1938.5.1に変わっている(リス君の情報)ですが、今回の出品物の場合、最初の料金体系と手続きが適用されているはずです。別項に記事を載せますが、外信便で代引きに出来るのは、「書留通常郵便」「価格表記書状及び箱物」「小包郵便」です。価格表記は必須の併合要因でなく、差出人が望めば物品保証を付けられるという意味でしょう。ここでは代引きに絞りますが、書状と小包では大いに扱いが違います。通常郵便(書状)は代引き料は4銭=10サンチューム均一で取り立て金送付の為替料と共に差し引いて、差出人に為替金を証書で送付する。小包は代引き料は差出人より徴収し、為替料は要しない=代引き金額8円まで毎に8銭という高額のための別ルールでしょうか。小包に関しては、この表現以上の解説はないので、現金納付でなく切手を貼付しての支払いだと解釈しています。
この解説本で結構実務的な要素はわかるのですが、国際郵便での扱いなので、元になる条約文は万国郵便条約に拠るのです。「730」氏が送ってくれました。明治40年万国郵便条約第6号、同細則規則・逓信省告示第555条です。
詳細は別記で間違いはないのですが、「Remboursement」の文字は筆書き又は印刷で、名宛国の貨幣で代引き金額をローマ字及び数字で記載、訂正不可、差出人の住所氏名、差出地及び差出日付を均しくローマ字で記載・・・。等と定められています。特徴のある柿色の△ラベルは絶対の貼付義務ではないようです。
あくまで私の知る限りではありますが、このアイテム以外の外信代引きは、小包のフロントが2点、満州地区差出の封書が1点(切手脱落)、りす君の持ってるカバーあたりでしょうか。料金面もクリアできましたので今回の落札者及び人知れずにお持ちの方は是非ご利用下さい。