『アンボン郵便局長印加刷切手』
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半年程前にここに書いた、蘭印旧女王121/2C封皮に航空30C、各アンボン郵便局長印加刷貼りのカバーのThe Royal Philatelic Society の鑑定結果が出ました。Philatelic Useの注記はありますが、間違いなく真正の結論です。
このカバー自体は、かのR.Boekemaのセールで随分と立派な値段で売られた記録があり、時を経て私の手元に来ています。何せ、 日専からは、全てが偽造として追放されており、それを検証できる資料も明瞭には示されてはおりません。私としても、あわよくばというよりも、もしかしての確認の意味で入手して、恐らくは世界で最も信用できる機関の判断を仰いだのです。このケースに於いては、RoyalのGenuineの結論が全てであり、否定するならば、説得力のある資料を開示していただきたいと思います。
日専からの追放の詳細は存じませんが、「日専」を読み解く「南方占領地」P123を読む限り、土屋理義氏が判断されたと推測されます。・・・現在ではこの加刷切手は、アンボン郵便局長の鄭忠孝が戦後になって作った偽造品であることが確定している。・・・とあります。偽物として同書に示されたのは赤加刷、私のカバーは黒加刷ですし、消印の印象も異なります。また、カバー上には鄭局長の名前も出ていません。出所が全く違うのなら、100余種の偽物の他に、少数の真正加刷が存在して、郵趣家便が残っているという位置づけになるのでしょうか。次回の日専・日本関連地域編の訂正されての採録を待ちたいと思います。
このカバーがきっかけ、という訳でもないのですが、オークショニアという立場の役得で、一般の世間の常識では情報不足ゆえに、色眼鏡で見られている郵趣マテリアルに関しても、真正さを証明するのに、結構説得力の有るデータを持っている場合があるのです。画像に出す資料を見つけるのは手間が掛かるので、オボロゲ記憶を文章で表現するしかないのですが、ちょっと書いて見ましょうか。理屈で考えれば、真正性には絶対に自信は有るのですが、説得力の有る資料を提示出来ていないマテリアル・・だから時として随分冷たい扱いをされることものです。オークションの出品物として来たならば、料理の仕様も有るし、現実には私以上にコレクター的なセンスで、飛び込める人達も複数います。
更には、もし持っているなら見せてよと、一声掛ければ、きっちり持って来てくれる人もいますから、最大限に敬意を表して幾つかの情報を出しましょう。
SPECIMEN+ULTRAMAR=UPU見本、消印では年2字SEOUL(局名下)IJPO逆向き・JN3上海日本郵便局、実際に私が扱った物なのですが、ちょっと時期尚早という評価になっているのです。「20銭リ」は、私の感性では、2枚目云々でなく、1枚目で挙証責任を果たせている、でも2枚目や、連れが有って始めて陽の目を見られるケースも多いのでそこらを書いていきましょう。
『現行切手即売』
第62回フロア他の3月のオークション誌の入稿が完了、12日に確実に発送できます。ちょっと時間が出来たので、次の即売品の整理に掛かっています。バザールの目玉は、現行切手の銘10、相当なボリュームで新規商品をお見せできます。
郵趣の2月号の現行切手シートの即売広告にも、予想以上の反応が来ています。10Bでなく、シートなので、ちょっと足が遅いかなと思っていたのですが、オークションでの10Bの落札データを基準にすれば、大いに割安感があるのでしょうか、高い物からかなりの勢いで売れています。中には現品限りの物も有りますが、大部分は10Bをベースにオークションでも後日ご案内できると思います。こちらは色々準備が必要なので、長期の仕事になるでしょう 。
11月のバザールと、2月の郵趣の広告に引続き、銘柄を変えて、シートの即売をゲリラ的にやりましょう。最初は2月13日(土)の「オール関西 郵趣家のつどい」・関西郵趣連盟主催=13時30分から16時30分まで、大阪駅前第三ビル17階で開催されます。
その次が、2月21日(日)、弊社オークションの東京下見会、目白の切手の博物館で、下見の時間中に行います。
何れも、全て新規商品で、目打形式をベースにしたシート限定です。郵趣の広告の値段を基準にして、ありふれたオシドリ5円なら@2000円、桜10円なら@3000円程度になる予定です。おおもとの出所が、著名な目打形式に力を入れた製造面バラエティーの収集家の物なので、非常に歩留まりが高いのです。まだ、細かくは見ていませんが、CMでは、50円緑は圧倒的にコンベが多く、200円赤は、電子よりも暫定の方が多いような初期に強い内容です。松20円のA1や、逆櫛A2と思えるものも見つかってます。
今回のシートの即売は、目打形式ではまず見落としはないし、1次円単位のスクリーンも調べています。ただ、版は殆ど手付かずなので、それに価値を見出せる方には絶好のハンティングの機会になるでしょう。シートで売りに出しても、残れば10Bと額割れにしてしまうので、興味をお持ちの方は、是非チャレンジして下さい。この2回の機会なら、競争相手も少ないと思いますから。
『現行切手』
この程、数年越しの交渉の結果、「知る人ぞ知る・現行切手・目打形式」の膨大なボリュームのコレクションの処分の依頼を受けました。アルバム、ファイル、特注のバインダーから切手をはずして、セロケースに移す作業だけでも数日間かけましたが、著に付いたばかりであり、全貌は殆ど確認できておりません。長期に渡り、あらゆる手段を用いての売り立てになりますが、量も半端でなく、内容も空前絶後と言って大げさでは有りません。1次円単位は発行初日からライブで集め、末は国立銘まで入ってます。ただ、分類手法は昔のままで、目打形式をメインにして、糊と紙を組み合わせての収集です。切手の保存にはブロック、単片でもマウントは一切使わず、古いところはグラシン紙を折り曲げて保存、4次R次以降は、4角をヒンジで貼ってます。今の30倍ルーペの知識で言えばちょっとはズレが有るのですが、目視できる糊・紙違いで異種を集めることにより、結果としてのスクリーン線数違いも集まっているのです。
円覚寺30円の普通全型を発見して、当時お付き合いの有った方に額面で分譲され、巡り巡って、私が今までに扱った関西の大御所中心の4~5点は全部この人の物が出所です。極美のシートも残ってました。スクリーンも定量の数値で集めてはいないはずですが、桜10円逆櫛180線、弥勒50円逆櫛200線も有るのです。正一連1はオシドリ、桜は当然あり、南天は非常に微妙です。4段抜けは充実しており、連柵は抜け段違いで集め、横波と正四(逆四も)も良く揃ってます。ここらの目玉は数が限定されており、慎重に値付け致しますから、売りにだすのはまだまだ先になるでしょう。ただ、確実に無かったのが、新藤と松の正二連1、オシドリ3版、八橋の定変です。CMも、熱心な分類手法ではないのですが、出現初期から集められており、350円のコンベ、各額面の暫定、複合などが相当量入ってました。何れ基本パターンで分類して即売でご案内出来るでしょう。
今回の第24回大阪駅前第三ビルバザールでも、大急ぎで値付けした分を特価で提供いたします。初日の土曜日は、「シート」限定です。青風神90円は20万、平等院30円は15万、1円普全は5万、松20円下全6は3万、貝4円CM淡は1万、オシドリ5円、桜10円の平凡品は@2000です。4次R次、慶弔、財務省のシートは、殆どが額面売りになってます。CM付も画像80円、イヌワシ90円、棟飾り150円あたりで額面の1000円増しです。シート故に割安の値段設定になってます。
「銘付10B・CM付10B」は2日目の日曜日に店頭に出します。即売値としてはかなりのお買い得値になってます。量は相当なボリュームで、全てが即売に出すのは始めての初心い商品です。ヒンジ跡有りも含んでますし、ルーペも自由に使っていただいて構いませんが、全部を見切るには相当な時間と根気が必要です。混雑回避の為に、両日ともに開場は10時厳守です。取り置き、予約、業者割引は一切適用いたしません。同じルートでの新入荷の記念切手、PR・ふみの日・緑化のシートの額面売りも大幅に増やしました。こちらも楽しんで頂けるでしょう。
『国際切手展規格 展示用アルバムリーフ 完成しました』
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第61回フロア(通算112号)にてお知らせしました、上記アルバムリーフが入荷しました。店頭でご覧いただけますし、通販でもお求めいただけます。
10年程前に、FRANKGODDEN社に委託して大英博物館仕様の中性紙=斤量約200~220キロで特注のサイズで製作しておりましたリーフは、品切れになり、再発注をしたものの先方の経営上の都合で同一の紙が入手不可能になっておりました。
仕様は230ミリx289ミリ 角丸 パンチ孔無 ホワイト(極淡いクリーム色) 片面方眼(3・5mm)印刷 逆面無地 中性紙で、展示目的限定のリーフの為、適応するバインダーはございません。 この程、国内の製紙メーカーに調査を依頼したところ、希望に合致した良く似た紙質の物が見つかりました。「竹尾」の「ロベール」で色目の呼称は「ホワイト」=実際は淡いクリーム色、四六判、Y目、斤量180KG、中性紙です。FRANKGODDENの物よりは若干薄く、色も並べるとほんの僅かにクリームが掛かっております。それ以外の仕様は前回の物と全て共通です。色合いと厚みが微妙に異なりますから、併用はお勧めしませんが、印刷機での対応は以前よりは容易になっております。
価格は、100枚4000円・保護ラップはOPP#50で100枚500円(この分だけの別売りも可能です)、送料は数量に拘らず500円(お持ち帰りなら無料)です。サンプル=保護ラップ付は、送料共で200円です。店頭に常時在庫しておりますし、全て国内で手配できますので品切れのご心配は無用です。オークションの下見、大阪駅前第三ビルバザールの際にお申込下さい。
『伝説の男になれなかった』
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10月18日(日)の東京下見会の会場では、3人から声が掛かり、19日(月)には別の3人から画像つきのメールが来ていました。昨日あたりでは、まだ進行中で取引が未完了、チョッカイが入る可能性が有ったのですが、どこからも、その後の連絡も無いので取引自体は恙無く確定したのでしょう。
物は「改色20銭リ」、18日深夜終了のE-bayに出品されて、話題になる値段で落札になりました。現時点では、出品者の素性も聞けておらず、落札者の本来のIDも判っておりません。画像でもステータスは良くわかり、当然ながら、ポーラス・9s・鹿児島ボタ=印の外枠に滲み有り・柱の6~7の秘符が有り、彫り手の特徴とも言える、「チ」よりもやや短めの桜の花芯の癖も、1991年1月27日に出現した1枚目とピッタリ一致しています。物の真偽自体は、最初に出た時から、現物を見せた誰もが、本物に違いない、ただもう一枚出て欲しいなと言っていた、おとぎ話が実現したのです。 私の場合は、時満ちるまで17年掛かりましたが、今年の7月14日に切手の博物館の、7月28日に日本郵趣連合の鑑定で「真正」の結果を貰ってます。今回の物も、当然ながら議論の余地無く「真正」の結論になるはずです。無責任な雀が、数ヶ月前から皆が知っていたお話と囀っていたやに聞きましたが、それはガセネタ、出現の流れとその後の私が得られた情報の雰囲気では、正にびっくり仰天のE-bayでの掘り出し話と見て良いでしょう。
日曜日の深夜の終了、午前中~が弊社の東京下見会、このタイミングで、山口充さんが遠からず「JPS田沢菊切手部会報」に載せる予定原稿をくれました。的確な表現ですし、事実を公に周知する文章としては完璧な出来栄えです。オークションの結果という公知の事実を活字にするのであって、影響を受ける人がいる可能性は有っても、公表すること自体は何らの問題もないと思います。下世話な話で、落札額をオープンにすることに抵抗を感じる人もいるやも知れませんが、隠しおおせるものでもないでしょう。2番札$50000の上で、$50100の落札です。
貰ったメールの中で、「負けました。伝説の男になれなかった。」というのが有って、彼が$50000の札を入れたのです。グロスの数字の5万ドル=450万円はそれなりに良い値段では有りますが、私の感覚では、メチャヤス!朝一に情報を貰った人との間でも、10万ドルは誰も絶対に入れないけど、5万なら微妙、それにコレクションにするのでなく、落とせば100%弊社に扱いを一任で売るつもりだったとのことでした。山口さんの記事で落ちた値段を知った時点で、5万で負けたな、は読めてました。本来ならば、ビッドの前に連絡が有ったら、相手をノーリスクにして、その上で落としきる数字を教えられたはずですがE-bay、ヤフーの場合は止むを得ないのです。誰もが自分しか見ていないことを期待してやってますから。
5万ドル≒500万がMaxは心理的にもよく判ります。最初の1枚を見つけた時の私の競って負けて降りるつもりの値段がピッタリこの数字でしたから。あの時は自分でビッドが出来るし、相手の顔も見えるという好条件、でも絶対的にas isであって、誰も保証はしてくれません。ただ、現物を手にして、ステータスを納得できれば勝負できる数字なのです。今度の2枚目は、耄碌した爺さんならば無理でしょうが、普通に情報を持っていて、冷静に事実を分析できる人ならば、真偽で迷う必要は無いマテリアルです。コンディションの怖さは有っても、表つらが良ければ後は何とでもなるのです。でも、1000万にはなり得ません。耳学問ですが、売れるであろう値段を1000万と読みますから。
手彫の珍品の御三家と対比して「リ」を分析しましょうか。政府印刷20銭縞は20数枚有る、「リ」の立ち位置は、秋田調⑩か、真っ赤なマ23号に匹敵するでしょう。20銭イは墨点なので、正規発売の「リ」の方が下になることはなく、数比べでも劣後しません。だから結論としては、玉六ヨ、しかもその内の白抜十字消とイーブンかなと思ってます。今度の物は、数箇所裂けの雰囲気も有るのですが、カナ「リ」が見えるのが素敵です。私自身は存在が2よりは1の方が価値があると思いますが、複数出て来て戸籍が付いた方が、日本切手完集を目指す人の需要が起きるので業界にとっては明るい話題と言えるでしょう。
さて、1枚目の居場所ですが、鑑定に通ったことを殆どしゃべってないからですが、皆さん露骨には聞いてこないけど、結構気にしてくれるのです。2枚目が出たから、真正と認められ、1枚目も大手を振って表に出せるので良かったねが、Aパターン、物の良し悪しは既に勝負が付いていることが前提で、2枚目が出てきて価値が落ちてご愁傷様が、Bパターン。ただこのカテゴリーはアマチュアに対するものなのです。こちらは遊びで切手を弄ってる訳では有りません。17年掛かったのは、時の流れが自分に向くのを待っていただけ、条件が充たされれば、動くのに躊躇はしないのです。2組織の後の鑑定書が届いたのが7月末のこと。2枚目が出現するまでに2ヶ月強の日が経ってます。必要条件が先にあって、十分条件を得るためになら、17年は平気で待てるのです。最後のピースが揃ったなら、プロは躊躇はいたしません。無為に2ヶ月を虚ろに浪費はしませんし、ディールには2日の時間も要りません。2分で決着を付けますから。
さて2枚目、どうなるのでしょう。何れは詳しい情報も入るでしょうが、弄って見たい気は大いに有るのです。「伝説の男」が誰にも知られずに誕生していたら、きっちりケリを付ける自信が有ったのですが、今はちょっと未確定な要素がクリアできてないのです。昨年の11月の郵趣に1ページの記事を書きました。書き飛ばしていたら2ページ強になったので前と後ろをカットしたのです。プロローグは、「リ」の少し前に、スイスの不足税切手で、新発見が見つかって、デーヴィド・フェルドマンのオークションで2~3億円で売れた話、それに比べて日本切手は一桁安いかなという切り口です。プロローグは有名な逸話だし、古屋厚一さんの世界珍品切手物語=英領ギアナ1C(世界で最も高価な切手)の詳しく書かれているエピソードです。所持していた当時に、アーサー・ハインドが2枚目を手に入れて、金を払った後で、葉巻で燃やして「これで英領ギアナ1セント切手は1枚しかない」と言ったのです。だから、私の「リ」の記事の本来の末尾は「もし2枚目が現れたなら、それを破って捨てるかも・・」だったのです。残念ながら、この伝説を作りうるワンチャンスも既に消え去ってしまったのです。
『韓国と台湾と』
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去年から今年にかけてのオークションシーンでの話題の一つは、釜山(鎮海)の李昌性さん。著名な収集家宛のカバーがトラック一杯、ソウルの切手商の手元に来たのです。マジで丸ごと弊社へ出品という話も有ったのですが、戯れに出品したE-Bayが燃え上がり、後はご存知の通りです。でも、E-bay経由とソウルと東京で動いた物を含めて、10人以上から弊社に出品物が来ています。もし弊社にストレートに来ていれば、表に出すのは100分の1、後は剥がすか煮潰してしまったでしょう。その方が平和だったかも。AOPUの重量便とか、私製エログラムなど、収集家でないと使わない使用例が雑多な売り方がされているのが残念でなりません。
この口は私とすれば過去の事、今更どうにもなりません。ただ、別口の台湾からの山の方が現在進行形だし、まだまだ続くので将来的に面白みが有るのです。ここ数回、現地のディーラーから、素晴らしいマテリアルが届いてます。台湾楠公使用済や第十三軍事は、流石に次は来ないでしょうが、台湾速達や、航空便、旧植民地宛の例外料金、第一地帯宛の航空便というテーマでは、早い者勝ちでなく、選んで買えるよ、の状態になって来るかも知れません。現状では、1回のセールにEMSがひとつ来る程度ですが、中身は中々に魅力的なのです。台湾ヤケは、やむを得ないと我慢してもらうしかありません。
相手はプロだし、JAPEXにも毎年来ていますから、それなりに日本物の知識も持ってます。ただ、オークションの出品物としての際どい値付けは、彼の場合は無理なのです。完全なリストなしの最低値一任なら、こちらのアレンジで綺麗な並びに出来るのですが、全部記事と値段付、必要なら訂正は差し支えなしというスタンスです。状態で不十分な物とかは遠慮なく直しますが、物が見たままのものならば、最低値の修正は殆どのケースではやりません。オークションだから、最終的にはビッドする人が決めてくれる。オークショニアはその為の必要な情報を提供すれば良いというのが私の基本的な考えですから。
Lot2527 台湾速達郵便区市外30キロ超4キロ加算25銭
最低値22万は出品者の記載です。直感では他の物とのバランスでは大分高いと思うのですが、この実例は記憶に無いし、現地のプロの評価を認めて罰は当たらないでしょう。判っている人しか買えない値段ですし。
Lot2543 日本平24円、きじ16円貼航空便台湾宛
最低値1000円、日本平が表へゲ、消印が和文、全体に薄汚れ・・でも希少性と人気を加味すれば、10万円でも黙って載せたと思います。最低値を上げても怒られないけれど、出品者の記事と値段のままで書いて、オークショニアのメッセージは、チョイスして裏表紙に載せているということで十分に理解してくれると思うのですが。最低値にも色んなケースが有るのですがその解説は個別にはいたしません。
『完全木綿紙の確認法』
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「三山紙」の方は、ウッドワードの分類のみが唯一の基準なので、今となっては緑1銭のKG備中三山の消印を持つ物以外は推測以上の説得力がないのかも知れません。それを承知でコレクター自身が基準を定めて分類すれば良いのでしょう。オークションの記事の表現は、弊社では100%私の基準で責任を持ってやっています。出品者の分類記事を盲目的に書き写すことはやりません。例えば、ここ数回ハイグレードの出品が続いているU小判のマテリアルには、これでもかと言うほどの珍品が続いてます。藁紙や白紙のコンパウンド目打は出たとこ勝負で、買ったもの勝ちなのです。今ほどの入手機会は今後も無いかもしれません。今回のセールでも、「完全木綿紙」の表現をしたものがかなり有るのですが、これも今だからという特殊な状況でも有るのです。そして、この表現は私の場合は、旧小判茶1銭・緑4銭の木綿粗紙と同一の紙質に限って使ってます。かなりのハードルの高さです。木綿という表現で、対極に位置する藁混木綿は、むしろ否定的に書いてます。分類上は木綿紙だけれど、典型的な粗紙でない場合は「完全」の文字は使いません。この区別は下見で比較してくれれば簡単に判るはずです。
オフカバーなら、肉眼で容易に区別が出来るのですが、カバーの場合はどうでしょうか。今回の場合、出品者がその表現をしてきて、やり取りの末、全てこちらに任せるのでヨキニハカラエ、になったのです。この条件なら、客観的に証明できる手段が有るのです。水につけて剥がしてしまえば誰でも判る、ただその手段は一般的には取れません。ましてやオークションへの出品物なら、手を加えることはご法度です。ただ、出品者の了承が有れば、それに近い状況は作れるのです。
LINDNERの郵趣品にStampRemover という溶液が有って、カバーの状態で、貼られた切手に刷毛で液を塗れば数十秒で糊を残したままで、液を塗った部分だけ封から浮かして紙質を裏から見ることが出来るのです。一部を封にくっつけて・・というのは単に拘り以上の意味も無く、完全に剥がすことも勿論出来ます。ただ、一度剥がして、元の通りに貼りなおすというのは、昔から結構抵抗があるのです。完全に剥がすか否かは些事ですが、その行為をやったことによって正しい分類が出来ても、品物に悪しき影響が残っては駄目なのです。大昔は竜の無地・縞が重要だったこともあり、かなりのケースで水で剥がして調べたことも有ったと聞いています。でも、今はその分類は無意味だし、竜銭の紙は表でわかるので剥がすことは有りません。だから、剥がすか浮かして紙質を見るのは、旧小判10銭の薄紙、U小判の木綿紙、産業か透かしなしかの区別が困難なケースに限られます。旧小判でも3銭。4銭は表で容易に判りますから液を使うことは有りません。
20年ほど前に買った溶液を今も使っているのですが、実際問題では、年に数回自分のカバーを調べるだけなので、殆ど減らずに残ってますし、全く劣化もしてません。揮発性ではないので、塗って浮かす時点で液が多少ははみ出すのですが、和紙の封筒は全く問題は無く、洋封筒でも普通の用紙ならば乾けば痕跡は残りません。ただ、最近の表面につるつる加工を施した絵葉書の場合は、引きつりあとが残るかもしれません。
郵趣目的に用品メーカーが作ったので、「ハガロン」とは比較にならない位に有用に使えてます。オークションへの出品物に関しては、出品者の依頼を受けての作業に限ってますし、表面目視でかなりの確度も保てるのですが、切手展の作品に使う場合はより厳格な調査が必要になるし、10銭薄紙カバーを鑑定に依頼した際には半分浮かして見やすくして出したのです。そのリクエストをされましたから。
手元にある20年前のLINDNERの画像を出しておきましょう。同じような目的で、STUARTとUHUも作っているし値段は非常に安いのですが、私が実際に使っているのがLINDNERStamp Remover8060(最新の型番)です。125mlで定価は8ポンド、ご希望ならば送料共で2000円で取り次ぎます。ご希望の方がおられればこれから発注して取り寄せます。まずはメールでお問合せ下さい。実際に使う場合は、何に使うかはひとえに自己責任なので、安い物で試してから理解した上でやってもらうしかないのです。
『何これ?』
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先日ブログに書いた、旧小判5厘エスパルトの使用済=Lot1211は、幾つかの情報が来ました。沢さんの小判切手の初期使用の欄に、明治12年紫◎YOKOHAMAの記載が有ります。今回の物は1879年FEBだし、色は黒だけれど、他にも黒の実例もあるので印象的にはかなりポジティブで良いと思います。だから表紙に使ってます。このブログをきっかけに、出品者からも連絡を貰いました。昭和48年~50年の間に、東京の切手商から通信販売で買った、単なる使用済だということです。当時に然るべき専門家に消印を見てもらって、その際にも、見た人がいい反応だったとのコメントを貰ってます。もう少し掛かり方が良ければかなりの物なのですが、次回の出現を期待しましょうか。
Lot1287 1次昭和4銭3枚貼速達樺太宛
第1種4銭+速達8銭で当然料金は合ってます。ただ表で見える以上のプラスの情報がないのです。着印無しは止むを得ないにしろ、やはり飛び込みづらくなるかも知れません。確かこの現物はヤフーに出ていたものでしょうか。その時から何人かから同じ意見を貰いました。樺太の速達制度を整理すれば、山下精一さんの本に、昭和14年6月16日から取り扱いが開始されたという記載があります。ただ、内地からでも出せたのか、区域は全域なのかなど詳しいことは判らないし、実例も見つかってないのでは。昭和18年4月1日の内地編入の後は、「速達で内地は何処へでも」に含まれるので制度としては同一料金で存在したと思われます。今回のマテリアルは、料金相応の特殊扱いが為されたかは誰も判りません。ただ、否定できるデータもないので十分に使えるものだと思うのですが。
Lot2120 無切手葉書 N3B3東京19.6.5
図に示した左側の説明は、元の所有者?=漆畑さんのメモです。形態は小判1銭紙幣寮葉書と同じ感じの用紙、消印は問題は有りません。ただ、印面や表題などの有るべき印刷が消えてます。全体に疲れもあり、青色の印刷を薬品で消去したかもと思いましたが、果たしてそれが可能か否か判りません。ただ、漆畑説の「公然と許された無税葉書・・」というのも私の知識の中にはないのです。ご存知なら、オークション終了後にでも教えて戴きたいのですが。
Lot3356 竜1銭2-14 未使用 強靭紙
1枚の切手の説明とすれば、この書き方以外はないでしょう。ポイントは勿論紙質であって、もしこの表現が正しければ、公の場に売りに出た初めての1銭強靭紙の未使用ということになるのです。はっきり言えるのは、最もありふれた脆弱紙ではなく、また半透明無地のぺルアー紙でも有りません。ただ、所謂典型的な「強靭紙」=2銭と5銭使用済の分厚い毛羽立った黄色い紙とも異なります。必要十分な繊維質はあるので、敢て三椏・・と書きましたが、薄手で格子縞が見えるのです。識者のお話では、1銭2版と半銭2版に全く同じ印象の未使用があるそうです。竜銭の紙は言葉の表現手法としては、脆弱無地・脆弱縞・ぺルアー・強靭紙(無地・縞)で収まっているのですが、実例としてはちょっと微妙なものが有るのです。今回の出品物、議論の材料になれば幸いです。本来なら、このステータスなら表紙に載せても良いのですが、目打=12×11の横目打が気になって・・竜の12というよりはマージンの狭さも相まって、リパーフかなと見えるのです。それ加味した扱いをしています。
Lot3238U小判2銭 三山紙 使用済
言葉としては、誰もがご存知の、かのウッドワードが名付親のU小判=本来は1銭の薄手白紙漉き目が明瞭な縦紙です。1銭に有れば、当然2銭にも有っていいのですが、「三山紙」と銘打って売られた記録も殆どないかも知れません。オボロゲ記憶としては、1銭のKG備中三山を一度だけ扱ったかも知れませんが今や確認も出来ません。1銭・2銭の薄い白紙なら、それなりには有るのですが、「三山紙」と記事に書くには相当蛮勇を奮わねばなりません。今回のこの記載は、出品者が恐らくは日本で最も数の多い赤二を持っていた?という彼の自意識を評価しての記事なのです。ビッドにエクステンションで他人の評価に委ねるのは野暮なので、現物を確認して、納得の上で競ってもらいたいのです。オークショニアはこの程度までしか面倒は見ませんから。
『知的好奇心』
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8月号の原稿は既に校了、11日に納品になり12日に発送します。Webで情報をご覧の方には5日から下見可能です。それに先立ち、オークション誌には書き切れない情報をチョッと書いておきましょう。まずは、知的好奇心が刺激される、ひねった情報からです。
Lot 1924 大型小包送票(乙)
根拠となる告示を探せませんでしたが、明治31年の時点では、大型の乙は、受取人に一定の期日内に配達できなかった小包の事後の取り扱いに限って使われた物なのでしょう。中央部に「転送・還付」の2要因が書かれ、扱いを問うてます。当然ながら初めてお目にかかりました。想像だに出来なかった珍しいマテリアルです。
Lot1412 着印 季節局 信濃御嶽山
田中寛さんの「丸一印の分類と楽しみ方」P57に載ってます。山岳季節局=富士・御嶽・浅間の三局に共通ですが、その業務は「普通郵便及普通小包郵便物ノ引受並二交付二限リ・・・」と有るのです。実例も、圧倒的に葉書の「引受」に限られ、封書はかなり少ないでしょう。それ以上に可能性として、有り得るけれど少ないのが、「交付」です。留置で出頭を待って手渡すサービスということです。今回の物が正にそれ、御嶽郵便局止めできっちりその役目を果たしたのでしょう。
Lot2126 鳩郵便 新宿三越展
鳩郵便で有名な物は、白木屋の満蒙展、これはかなりの数を見かけます。それ以外にも、毎日や読売が企画した同様な物も時々見た記憶が有るのです。でも、今回の鳩便には見覚えがありませんでした。消印が不鮮明、かろうじて読めたのは一文字で「浮」、裏の書き込みは大島にて・・。だから、この消印は「東京波浮湊」伊豆大島から伝書鳩が新宿三越に手紙を運んでくる。なかなかの良い光景だと思うのですが。
Lot1861 ゼロ付立山125円絵葉書航空便ドイツ宛 TOKYO19.ⅵ.52
ゼロ付立山の消印収集ポイントの一つは、ゼロ無発行前が必須、これは誰でも知ってます。発行日はゼロ付が1952.2.11、ゼロ無が1952.7.1、この条件で欧文印を探せば、必然的に櫛型がスタンダードになるのです。ところが、1952.4.10に重要な告示が出ています。交換局6局に限定ですが、この日で櫛型から三日月に切り替わっているのです。切り替え遅れも有るし、大局であっても、2ヶ月と3週間の期間での欧文三日月消は理屈の上からも高いステータスを与えても良いでしょう。立山航空の場合、欧文櫛でよく見かけるのは、商社や企業関係の差出郵便物が非常に多い東京と大阪の市内局の数局です。
OSAKAHIGASHI,KITAHAMA,NIHONNBASHI,SHIBAですが、この4局は三日月への切り替えが遅れてます。その意味でも、1952.4.10~6.30のゼロ付立山・三日月は非常に難易度が高いのです。今回のマテリアルは、ヨーロッパ宛でしかも葉書=封書と同一料金というおまけ付、何だ、TOKYOかと見過ごして良いものではないのです。反応できる人が2人以上いるなら、オークションはにぎやかになるでしょう。
『再審請求』
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2005年版以降の日専日本関連地域編では6N1~116のアンボン郵便局長印が「偽造印」と確定された旨で削除されています。その根拠は土屋理義氏の「日専」を読み解く「南方占領地」の123頁に書かれてます。アンボン局長の鄭忠孝が、作ったとしてその見分け方の情報も開示されてます。この記事を読まされれば、少なくとも日本国内では、誰も反論は出来ません。元になる情報量に比較が出来ないほどの差があるからです。
ところが、極最近、オランダのオークションで1通のカバーを手に入れました。駄目を承知で参考品として買っておきたかったのです。元はといえば、世界的にも最も著名な南方切手の専門ディーラー、Boekema 75回セール ロット4196=落札値5250ギルダー・多分手数料込みで25~30万円で売られた現物です。私は持ってないのですが、Roelf Boekema の1980年の著作に記事が出ているそうです。落札した現物を見ましたが、普通の郵便使用ではないようですが、上記の鄭局長のカバーとは顔つきが違うのです。
このケース、いわば「死刑宣告」を受けたマテリアルの罪を改めて確認しようとしているのです。ここは、判断をする組織の河岸を変える必要があるでしょう。躊躇無く「The Royal Philatelic Society London」の門を叩きます。今までも、何度も日本国内では判定が無理なマテリアルを、ここを使うことによって生かして来たのです。小判・菊・冠の「SPECIMEN」加捺も日本では駄目にされかけたのですが、Royalでは日本切手でなく、英連邦切手=Natal・BechanalandのUPU見本で真正との判断をしてくれました。蘭印関係の日本占領地をどなたが判断するか判りませんが、座して死刑執行を待つのでなく、「再審請求」にトライしょうと思うのです。Royalの鑑定のミーティングは年9回で、日付も完全に公表されてます。今回のアンボンカバーも白黒は付くと思います。結果が出ましたら、ここで公表いたします。南方の場合、アンダマン・ニコバルは多分実逓はないでしょうし、幾つかの地区やテーマでも素性のはっきりしない物も残ってます。貴重な物、胡散臭い物が結構入り混じったオークショニア泣かせのカオスの領域なのです。 確か昨年だったのですが、人を通じて、多分未発表と思われる、「フローレス」の切手貼の郵便使用のカバーと葉書のカラーコピーを見せられたのです。売るとしたらの評価のお尋ねでした。瞬時で良い物と思ったので、琉球の100円加刷貼のカバーか、竜500文のシート並の数字を出したのです。ただ値段がどうこうで無く、まさにタイミングが合わずというか、縁が無かったのか、この2点の大珍品は、故人が生前お世話になったという、海外の郵趣団体へ無償で寄付されたというのです。今手元にある、「アンボン」はもしオーソライズされたなら、「フローレス」や「アンダマン・・・」と比肩できる可能性が有るのかなとちょっとは夢を見てもいいでしょう。或いは、ナイトメアーに終わるかも知れませんが・・。