今しがた、フランスからメールが届きました。付き合いのない相手です。内容は、例のカバーのプラーベートオファーです。値段は25万ユーロなので3450万円位です。添付ファイルはJAPANESE PHILATELYの記事、其のものなので、このカバーの持ち主のオファーかどうか分かりません。直感ではボーカスだと思うのですが、兎も角面白いカバーです。もし本気でお入り用なら、何時でも連絡先をお教えします。
XRF=蛍光X線分析装置での精密偽造郵趣品の摘発ですが、近日中に事態を大きく動かします。私及び親しい人だけで知っている問題、という括りでなく、須らく情報を公開して、今後の行動を意義有る物にしたいと思います。何を優先するかはこれからの課題ですが、事実の解明=偽物の摘発・被害の回復=損害賠償請求・情報の公開と保存=再発防止へと、公に行動する準備しています。残念ながら、最後になった『日本切手専門カタログ』「2011=2012戦前編」の巻末に17ページの「記事広告」を書きました。『珍品カバーを検証する』のタイトルで、一人の異能な人物の長期にわたる悪行を告発したものです。私自身の実体験なので、事実に基づく告発です。対象が特殊で限られたテーマなので、一部では話題になったかも知れませんが、小説として読まれたに等しく、或はメディアとしての小ささ故に、少なくとも郵趣界の目に見えるコンセンサスとしては、私が望んだ結果は得られていません。最早、過去のエピソード扱いです。相手は反省して大人しくなるどころか、むしろ悪意の技がレベルアップして、仕事が巧妙かつ高額に進化して来ているのです。その凝縮が、本年1月の「日本フィラテリックセンター」のフロアセールの一連の珍カバーの出現でした。ちょっとやりすぎだし、異局差出しのカバーで、同じタイプライターを使ったという、足が付くチョンボが有ったので、結果として、該当の出品者の出品物は全品WDになりました。処理の仕方としては、それで一話完結、余韻なしです。そして、このケースでさえ、オークション誌の記事を見た時の違和感、不快感は、現物を手にすれば消え去ってしまうのです。一連・一群で、全てが初の、大量の珍品が並ぶことは有り得ない、だからそれは、奴が作った偽物だろうというのが、私なら直感で感じる拒否感ですが、グループとしては有り得なくても、単独のマテリアルとして見れば、どこがダメかが言えない物が多いのです。オークションの出品物なら、あいまいな理由で拒否できても、鑑定という立場でなら、ダメを出すのは相当な勇気がいると思います。今度の場合、余りにも極端だったので、スルーは出来ず対応策が取られたのですが、今までにやったように10回に分けて売られたなら、ストップを掛けるのは無理だったかと思います。それに、過去の数十倍の悪事の検証と、対抗しての未来に続けるべき措置は何も為されていないのです。郵趣界に於ける行動力とはこの程度のレベルなのです。
縁あって、XRFに巡り合い、それを使うことにより、現物に接する事が出来たなら、想像以上に結果が明瞭に見えて来ることが分かりました。しかし疑惑のマテリアルを手にすることができない場合は、印刷物で過去のデータを俯瞰しても、果たして、真なのか偽なのか、分からないケースも有るのです。「日専」の記事は、結構厳しいタッチで、正鵠を突いているはずですが、今となれば相手に優しすぎる部分が多いのです。悪意の輩に対して、私が推理した動機の部分が、ある種、そうであって欲しいという知的な挑戦でなく、単に金目当てに過ぎないことが分かってしまったのです。悪事の発端として、1通のカバーを書いています。画像でお見せする、竜1銭1版 横浜検査済 壬申8月18日 最初期データ更新カバーです。MSA183号 MAY 12 1997締め切り Lot 2011 最低値 270万、落札値 320万。何分にも、18年前の出来事なので、時系列の並びが正確かどうかは分かりません。ただ、複数のメディアで活字になっている事実を元に話を進めて行きましょう。1997年の8月か9月、私の前の事務所に、水口正春が突然やってきました。商売上の付き合いは殆ど切れていたし、オークションの会員でもなくなっていたはずです。因みに、私が関わったオークションに、彼は一度たりとも出品はしていません。嫌われていましたから。来訪の要件は、自分が編集を任されているMSAに、自分の所有物=竜1銭1版貼のカバーを出品したところ、金井宏之氏が320万で落札、その後偽造だと返品して、しかも全日本郵趣に偽物と断定して記事を書いた、その理由は消印のズレ=空間だけれど、切手を一度はがして貼り直した際にズレタまま貼ってしまったので、物は絶対に本物、剥がせば元から押された消印が、切手の下から出てくるので、金井氏の面前で剥がすから、その交渉をして欲しいというものでした。私に仲介の労をとる力はないので、当然断りました。時は飛びますが、MSA192号 JAN.22 2000 Lot1120 270万で再出品がそれであり、偽物として指摘された要因のズレは、水口自身により貼り戻されています。竜1銭1版のカバーは、500文2版に匹敵する希少性です。それ故に、初期使用のデータも、長期に亘って壬申=明治5年9月14日のままになっていました。水口のそれは5年8月18日です。専門家にとっては、この更新はビッグニュースで、金井氏の正面切っての告発も有り、水口のそれが、本物か否かが真剣に議論されたそうです。金井さんは「神」なので、出した結論を屈返すことは有り得ません。時を経てなら別ですが、出した結論を、即座に自ら訂正することは望めません。でも、手彫切手研究会の有史で真剣に議論され、「真正だろう」の結論になったと漏れ聞きました。本来なら、2007年発行の手彫切手専門カタログに、初期使用データとして水口が出品して、金井氏が落札・返品した5年8月18日が、採録される予定だったのですが、新カタログの発行以前の2000年頃に、タカハシオークションに7年7月12日の横浜検査済消しのカバーが出たのです。最低値5万で不落札なので状態は推して知るべしですが、データとしては生きるのです。MSA192にも、水口の出品で、同じ組み合わせで7年7月25日の物も記録されています。初期使用更新競争というよりも、データが少ない1銭1版で、横浜使用のエンタが3通ということは、松田1銭の横浜配給と絡めれば、面白いデータが見えるかも知れません。
前置きが長いのですが、論点は一つ、水口が出品して、金井さんが返品したカバー、本物か否かが知りたいのです。日専の記事で、私は本物と書きましたし、手彫研の意見も同じです。頭に来た水口がやったのは、MSA192号への再出品、記事を載せて置きましょう。結果は不落札でした。彼の評価は、『無地紙』の希少性を強調していますが、オンカバーの場合は、然したる意味はないし、初期使用というデータも、値段には影響ありません。私の評価では100万+かなと思っています。その後に、売られた記録がないので、本人が持っているかも知れません。XRFで調べて、Tiが出ないならば、扱ってみたいカバーです。気になる点が一つあって、東京の干支印に油の滲みが有るのです。この特徴は水口の偽カバーの共通点としてよく見られるのです。真か偽か、現時点では分かりません。私が、本物と信じた大きい理由は、水口が私に、金井氏との仲介を求めてきたことです。理屈は通ります。本物の自信が有るのでしょう。まさか、自分が作った快心の偽カバーで、この行動は無いだろう、と信じたのです。彼が悪事に手を染めたのは、この件が大きいきっかけ、重要文化財に指定されて後に偽物と分かって取り消された、「永仁の壺の加藤唐九郎」と通じるのではのニュアンスで書いたのです。でも、それは私の買い被り、大いなる誤解だったのです。改めて検証すれば、それ以前から、野別まくなくやってますから。金井マターが動機とか発端では無かったと断言できます。この時に彼が発した、「年寄連中の目が落ちている」の意味は、良いものをダメとしたという怒りでなく、偽物を見抜けずに、間抜けな高値で買っているという自信が元になっていると、今なら分かります。この時の文章で指摘した、彼の悪事に関しては、間違ってないと思います。でも、彼を信じて、字数を割いて、本物として例示した3点のカバー、500文2版貼 佐久山、河西務の欧文消の葉書、野戦郵便局の初日消カバー、再検証が必要だと真剣に思ってます。知れば知るほど、調べれば調べるほどに、彼奴の仕事の凄さが分かって来ているのです。機械抜きの1点勝負では、誰も太刀打ち出来ません。
ようやく、8月のオークション誌が入稿出来ました。引き続き、JAPEXセールと12月のPA/MAの編集にかかります。懸案のXRFの分析も随分進歩しています。文献の精読は終えたので、後は自分のテーマに必要なごく一部の要素を纏めれば良いのです。これからは現物に当たってのデータ採りなので、少なくても1000単位、実際は1万点ぐらいは調べます。基礎となるポイントを幾つか押さえれば、その後の分析の説得力が増すのです。この件は、回を改めて説明いたします。
しばらく前に、興味深い一群のマテリアルの分析依頼を受けました。「但馬国の初期消印」20数点でした。何点かは、ダメを承知で資料集めのために買っている。何れは、地元の郵便印の本を出すので、真偽の確定をしておきたいというご要望でした。XRFでの分析は、特定の一人が作った、極めて精緻なカバーや単片に限って、偽物の判断はできるのです。追々説明しますが、世の中に商業物質として存在しえない時代の元素が、その人物がマーケットに出した郵趣マテリアルから検出されれば、それは当時の正規な使用でなく、後年の偽物又は変造品に違いないという判断になるのです。その元素はTi=チタンであり、何時から正規の郵便印に使われたかを、月単位まで突きとめようとしているのです。印刷インキとの絡みや地域性でもう少し調査が必要です。でも、1920年以前には世界のどこにも無かったことは、あらゆる文献で等しく触れられています。確定している事実です。だから、現状でも竜から菊の時代にチタンが出れば、そのマテリアルはアウトです。この判断データはもっと後年まで使えます。ただし、Tiが出なければ、すべて真正になるかは確定できません。U小判2銭の後期12の、那覇ボタは偽印ですが、Tiは出ないのです。それを作った時代のインキに、Tiが入ってなかったからなのです。元より、私は最終の結論としての真偽の判定に関わるつもりは有りません。分析結果をチャートで提供するので、それを元にして、判断してくださいがスタンスなのです。この条件での分析をしたのですが、今回の一連のご依頼品からは、1点もTiは出ませんでした。
①は2010年1月の日本フィラテリックセンターのフロアオークションの出品物です。洋桜2銭チ貼 但馬大屋市場発、但馬竹田宛、消印は抹消印だけで、□但馬大屋町土田屋吉兵衛、出も受けも、実在の名前なのは、現所有者も確認済みです。但し、マーケットに売りに出た場所と、ルックスからして、本物の丁稚便に、本物の切手を貼って、偽消を押したとの疑念を持ったのです。局の沿革を言えば、大屋市場も土田(はんだと読む)も、7年12月16日の開局です。別の単片②の表示も、□但州土吉大屋だし、大屋市場か土田のどちらかで押した消印と考えても矛盾はないのです。出品者が誰なのかも分かりません。カバーとしては、情報が不十分なので、鑑定に出しても、意見は貰えても真実の保証は得られません。所有者の「照れ」でしょうか、駄目の証明が欲しいのニュアンスだったのですが、分析結果は「良し」になりました。このカバーの場合、Tiが出ないので、偽物とは断定できないという表現でなく、ポジティブに考えて良いと思います。その上に、立派な傍証が有ったのです。「フィラ関西・2010年5月号」③、高野昇郎氏の「最近のオークション誌から」です。2000年11月のKen Bakerさんのオークションに、2銭ホの単片に同じ(と思われる)消印の物が出ているというレポートです。この単片は上半分ですが、もう一点の単片と、同じ思想での作りになっています。偽物師がこの全てのデータを押さえて、偽カバーを作ったとは思えません。Ti無しが確認できれば、説得力も大いに増すのです。2004年・2008年に同じルートで入手された、但馬の初期のカバー類④⑤も、黒印からはTiが出ず、朱印からはHgが出ているので、XRF分析としては、全く問題は有りませんでした。地元印の場合は、偽を作る場合も、辻褄合わせの材料を見つけるのが容易ではないのでしょう。買う人がしっかり知識を持ち、データも押さえているのを偽物師も知っているのでしょう。
8月のオークションの入稿日が迫って来ました。ネタはたくさんあるのですが、本気で書けば4000文字コースです。今は時間が取れませんので短めで何度か軽めでやり過ごします。
ニセモノはだ~れ?
正解は、KAGOSHIMA君でした。お買い上げ額は80,000円、時を経て、最近別のオークションに出て来ました。善意でのディールなので誰も責められません。作った人物を除けばですが。2次流通が始まっています。
久しぶりに、チャートをお見せしましょう。K・Caは印刷用紙の元素なので除いて考えます。それ以外の元素も、灰色の印刷インキをかなり読んでます。でも、Tiは、消印に起因して、この時も正規の郵便印には使用されていないと思われます。だからこれはダメ。ほかの物は分析の機会を得ていませんから、コメント出来ません。全部がダメではないのでしょうが。罪な話です。
XRF による分析ですが、対象とする試料によっては、強力な威力を発揮します。恐らくは、人の目で必死に見ても分からない物さえも、機械が提示する冷徹な数字で、確定できてしまうケースもあるはずです。ただ、それが可能だからと言って、私は人様の懐に手を突っ込んで、黑い物を抉り出す気は毛頭ありません。真偽の判定が必要なマテリアルをお持ちの方で、私が開示した情報に接した方でも、大雑把に言って、四種の反応が有るのです。①は積極的に、事実を知りたい、結果は受け入れるし、公の益の為なら、その事実を開示しても構わない人。②は事実の検証には協力する、但し、嫌な思いは忘れたいので、結果はオープンにしないで欲しい人。勿論、それはご希望通りにしています。だから、20点+のNGマテリアルを押さえても、ほぼ半数しか表ざたに出来ません。この制限が有っても、説得力の有る論文を書けると思います。数の多さには然したる意味は有りません。様は、事実を提示して、第3者を説得できるかですから。ここまでの人の場合は、該当のマテリアルは、黙ってそのまま持っているか、参考資料ということで私に永久に貸与してくれるかのどちらかです。ずっと一人で収集して来て、今の状況をご存じなければ動きようはないでしょうが、今後も別のメディアを含めて更なる情報を出しますから、遠からず世間的にも周知の事実になるはずです。それでも、③知らないふりをしているのか、あわよくば、売り逃げを狙っているか知りませんが、何の反応もない人が、人数的には最も多いのが残念です。更には、④完全にお一人で収集をやっていて、世間の情報にも一切接する機会をお持ちでない方も結構おられます。その収集マナーは物凄く寂しいでしょうに。
MSA・ヤフー・日フィラと、外形的にはオープンなマーケットで売られたものが多いので、何れも資料はかなり残っていますし、人の記憶にもインプットされています。このルート以外の物でも、今改めて見つめれば、筆跡とか、消印の滲みとかで、顔つきに特徴の有る物は、今後は表で売り物にすることは出来ないでしょう。知っていて売るのは論外ですが、100%善意であっても、最終の所有者が切手展に出せば審査員のチェックが入るし、遺品としてオークションへ出品する場合でも、今度は数多くの人の目を完全にスルーは出来ないでしょう。私のポリシーは、まず情報を公開して、その上で何をやるべきか考えましょうなので、自分が得た事実は、前提条件として、直接当事者のキャップが被さっていない限り、独り占めする気は有りません。分析機械も、無料で提供しますし、アポさえ取ってくれれば、立ち会って、その場での解析も可能です。こちらでは日程的な都合以外の条件は付けませんから、必要と思われる方はお申し越し下さい。前回の同一額面異種貼の不統一カバーの1年後のセールでした。日本フィラテリックセンターの第67回フロアセールのLot1958 2次昭和27銭単貼速達です。昭和20年には不釣り合いな綺麗で上等な封筒に、達筆の墨筆書き、冷静に見れば、この字体、どこかで見たような気もするのですが、それは思い過ごしの因縁です。最低値は6万円、20~30万でフロアで落ちました。2人で競ってましたから、まずまず相場ぐらいでしょう。結論に進みます。封筒の部分の消印と、切手上の消印からTiが出ました。速達の朱印からはHgが出ませんでした。昭和12年以降に酸化チタンが実用化された可能性は否定できませんが、今までの実績から見て、昭和20年の郵便印にはTiは入ってないと思います。結論としてこのカバーは、真正でないと判断せざるを得ないのです。墨筆の宛名文字と中身の手紙からは、Tiは出ていません。この部分の真偽は分かりません。このロットにはフロアの競りの時点でエクステンションのリクエストが掛かってました。このオークションの場合、鑑定は自動的に日本郵趣連合に回ります。2014年2月8日の「真正」のペーパーが付いています。関係者と問わず語りで話をしたのですが、差出人も受取人も、実在の人物であることは確認出来ているそうです。それは最重要のファクターでは無いのですが、逆にこの消印だけをフォーカスして、真偽の判断を求められても、可否を決するのは困難でしょう。特にダメを断定する根拠が無いのです。この位の印影なら簡単に作れる輩を相手にせねばいけないのです。もし、運よく、上甲子園局のデータが有ったとしても、比べても、寸分違わぬ同じ物という結論になるでしょう。単片上の未発表の消印なら、資料不足で「意見なし」も有りですが、カバーの場合、判断材料は十分なので、この逃げも打てません。突き詰めれば、消印一つの真偽のみで全体像を語らねばならない鑑定は、極め付けの達者な悪意を前提にはしていないのです。だから、現時点では私の機械の出番も有るでしょう。あくまでも、結論に導くための参考資料の一つとしてですが。
次にお見せできるのは、有馬・切手博物館の所蔵品です。事実の公表の許可を頂いているので、包み隠すことなく書いていきます。今までの特別展示で、毎回話題に上っていたカバーの検証です。手元にあるMSAのオークション誌と、金井宏之コレクション集を対比して、4通のカバーの検証のオファーをしました。3通は、MSAの出品物、1点は、将来、別のカバーを調べるための比較データとして必須になるアイテムです。MSAの3通は、金井氏がご健在で、日本郵趣連合鑑定委員長在任の時の落札品なので、コレクションに入っているのは、鑑定書付と同意味です。179回 1996年5月18日締め切り。①Lot1126 竜500文貼 福山検査済 落札値220万、②Lot1127 竜半銭2枚貼 山形・和徳消 落札値65万、183回 1997年5月12日締め切り。③Lot2012 竜200文・2銭貼 西京検査済 落札値130万。姿からして、②半銭の山形は問題ないと思ったのですが、出所と時期ゆえに、分析に掛けました。抹消印2種からと、筆書き部分からはTiは見つからず、朱印からHgが出ました。問題ないと思います。①500文の福山です。福山検査済の封筒部、切手部、東京郵便役所印、十一月二日印、「未発表」タイプの郵便御用備後福山印からは、全てTiが出ました。墨筆からは出てません。封筒自体は真正か、白封筒の後書きかは、このケースでは不明です。消印は、全て偽物と思えます。念のためということで、福山の豊田陽則氏にお願いして、福山検査済のカバーと切手を3点見せて頂きました。何れも、当然ながらTiは出ていません。③200文・2銭です。西京検査済を世界で一番見ている人と雑談で話したことが有りました。正面切って聞いても、ストレートのご意見は聞けません。まあ、問わず語りの雑談でしたが、あれは駄目だよのニュアンスでした。西京の特有の針穴や、那覇ボタでも面白い話も有るのですが、こんがらがるので止めておきましょう。②ですが、西京検査済の封筒部分、200文上の消印部分、麹町郵便仮役所の消印部分から、Tiが見つかりました。干支印の東京郵便役所、墨筆からは、Tiは見つかっていません。朱印の西京郵便役所、午後便、朱筆書きからは、Hgが確認できました。この結果をアナライズして纏めれば、真正の使用済カバー=明治5年8月使用=西京・東京間400文料金の筆書き部分と、西京の証示印、東京郵便役所の中継印を生かして、切手2種を後貼りして、偽物の西京検査済で抹消、着印の麹町も偽印ということになります。出来はいいですよ。この人物の作品の特徴ですが、黒印の印油の滲みが有る物が多く、それが一つの指標になっているのです。このケースは微妙です。出来栄えからして見抜くのは無理でしょう。今から思えば、出来の良くない、500文の福山に、海外のコレクターからの依頼で私もビッドしていました。200万なので多分2番札でしょう。勿論エクステンションは掛けていません。まさか、カバーで偽物を作れるとは思っても見ませんでした。この機械と出会うまではですが。
スタンプショウ広島2015 「ドラフト」余韻の即売
先着順に即売します。
金額には消費税を含んでいます。送料サービスです。
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1 | 紅枠 半銭 イ 未使用 極小シミ | 18万 |
2 | 紅枠 1銭 ロ 竹ヶ鼻検査済 | 30万 |
5 | 八日市検査済 | 1万 |
6 | 改桜1銭 ホ 2枚貼り 不足税 | 3.5万 |
7 | ”封皮”長形2銭 イ KB2 加賀美川 | 6万 |
8 | ”切手”角形2銭 ホ KB1 新潟 | 3.5万 |
9 | 和桜 半銭貼 イヘ1号 | 2.5万 |
10 | 売約済み | |
11 | 黄2銭貼 税不足 | 2万 |
12 | 東京ボタ 鏡字 | 8.5万 |
14 | 売約済み | |
15 | 広島検査 | 5万 |
16 | ナ18号 | 3万 |
17 | ノ25号+上前板鼻宿 | 5万 |
19 | 洋桜2銭 ツ 早嶋 不統一 | 10万 |
20 | 洋桜2銭 子 吹屋検査 | 10万 |
21 | 改桜6銭 子 公用書留 | 6万 |
24 | 3種便 朝鮮仁川 空欄 | 5万 |
25 | 信濃御嶽山 | 2万 |
27 | 仏 船内印 | 2.5万 |
30 | 年2字 NIIGATA | 6万 |
31 | 売約済み | |
36 | 朝鮮字入 10銭 SEOUL | 30万 |
38 | 関東都督府絵葉 支菊1円貼 | 2万 |
39 | 売約済み | |
40 | 楕円紫満鉄印 | 5万 |
41 | 旧毛6銭 NAGASAKI | 2万 |
43 | 売約済み | |
45 | 台湾総督府 逓信局貯金台紙 | 4万 |
46 | 支毛20銭貼 | 4万 |
47 | 新毛7銭貼 FDC | 4万 |
49 | 売約済み | |
50 | 売約済み | |
52 | 売約済み | |
56 | 売約済み | |
58 | 売約済み | |
60 | 白抜 サ | 2.5万 |
61 | 小判連合往復葉書 返信片 | 2.5万 |
63 | 薄墨連合往復 HANKOW | 3万 |
64 | 支字桜連合 TSINGTAU 検閲 | 6万 |
67 | 菊軍事 櫛型 連奉間 | 3万 |
69 | 日露俘虜郵便 封上少裂 | 4万 |
70 | ウラジオ 軍事郵便物 | 1.5万 |
71 | チェコ切手貼 封緘紙貼 | 2万 |
73 | 売約済み | |
75 | バタアン・コレヒ2完貼 名古屋宛 | 3万 |
79 | 3昭 50銭他貼 OSAKA | 1.5万 |
80 | 秀山堂他貼 米宛 | 1.2万 |
81 | 売約済み | |
82 | 1新昭1円淡 田型貼 | 4万 |
84 | 2新昭2円ペア貼 OSAKA | 1.5万 |
85 | 豪宛 OSAKAHIGASHI | 1.2万 |
87 | TOKYO CPO2? | 1.5万 |
88 | TOKYO CPO3 | 1.5万 |
89 | 126円貼 英宛航空便 | 1.5万 |
92 | 印刷物 航空便 米宛 | 2万 |
93 | 印刷物 航空便 米宛 | 2万 |
94 | 538円貼 航空書留 米宛 | 2.5万 |
95 | 機関車500円2枚貼 | 3万 |
97 | 平等院30円貼 | 1.2万 |
101 | 青風神90円貼 書留速達 | 2万 |
102 | 発光7円貼 機械年賀 | 5万 |
103 | 絵はがき 米宛 サイズオーバー | 1.2万 |
104 | 旧ふじ貼 | 1万 |
106 | 売約済み | |
107 | 売約済み | |
108 | KARUIZAWA | 1.5万 |
109 | 0付立山75円貼 エアフラ便 | 4万 |
112 | 0無塔25円貼 受取人払い 速達 | 1.5万 |
115 | 大仏80円貼 機械 TOKYO | 4万 |
116 | 日韓併合 資料とハガキ | 3万 |
117 | 1回国勢 神宮鎮座 貼 米宛 | 2万 |
118 | 2回国勢 貼 独宛 | 1.5万 |
120 | 教育勅語2銭他貼 書留 独宛 | 1.5万 |
128 | 日本平24円他貼 航空便 米宛 | 2万 |
136 | 売約済み | |
137 | 売約済み | |
138 | 紀伊国 不統一 | 3万 |
140 | 記番類似 大第壱号 | 8万 |
142 | 金沢ボタ 鏡字 | 2万 |
145 | 鹿児島ボタ | 3万 |
146 | 売約済み | |
147 | 盛岡ボタ | 1.5万 |
148 | シニ8号 | 3万 |
149 | 富山ボタ | 1.5万 |
151 | 金沢子ボタ | 3万 |
152 | 佐賀ボタ | 3万 |
154 | 白紙11L | 3万 |
155 | 長野ボタ | 3万 |
156 | 岐阜ボタ | 3万 |
157 | 墨点・みほん | 1万 |
160 | 佐賀ボタ | 3万 |
161 | 奈良ボタ | 4万 |
163 | 新小5厘 初日 | 2万 |
164 | 八重山島 | 2万 |
167 | 売約済み | |
168 | 菊50銭 丸二 時刻入り | 2万 |
171 | 目打ちズレ | 1万 |
172 | 支毛25銭 A欄三ツ星 | 1万 |
179 | 初日印 2点 | 1万 |
180 | イワテ 胆沢 | 2万 |
181 | 連続柵型 | 2万 |
182 | 1000円s/s みほん | 8万 |
183 | 完 銘付 | 3万 |
184 | ヤルート 海軍軍用郵便所 | 3万 |
185 | 創始10銭 版番号 | 5万 |
187 | 木津川分室 切手とハガキ | 1万 |
188 | 機械 + 標語 | 1万 |
189 | 売約済み | |
191 | 縦書ローラー 岡山 | 1.5万 |
192 | 群青 右にズレ | 1万 |
193 | 標語逆植 全国発売前 | 1.5万 |
195 | 左書き 復活Z型 | 2万 |
196 | 売約済み | |
197 | 売約済み | |
199 | 欧文機械 TOKYO | 2万 |
200 | 穿孔 山一 | 1万 |
去年末に受け取った、日本フィラテリックセンターの第69回フロアオークション誌を見て、ショックを受けました。また、奴がやっている、性懲りもなく恥知らずに5か所に分けて「作ったエンタ」を出品している。一瞥して、有り得ない珍品が30点+、競れば1千万位の被害になると見えたのです。年末年始の休みが明けてすぐ、確か8日に大阪駅前第2ビルの日フィラの事務所に行きました。西岡さんと1時間ぐらい話をして、大雑把に事情を説明、該当の出品物を預かり、カラーコピーをとりました。写真無しの並び記事だけで感じた、嫌らしい違和感は、現品を個別に単独で見れば消えています。状態の良い珍品・希品が売り物としてそこにある、単品で見るならば全て理屈は合っている。余りにも珍品が不似合いな場所に並んでいるという根拠薄弱な状況証拠に頼らざるを得ない、論理的には否定しにくい現(うつつ)なのです。特定分野だけの、コレクターなら受け入れてしまうでしょう。夢に出てくる珍品でも、出現の可能性はあるのですから。でも、並べると違和感が強まります。画像の3点を見て下さい。全てアルゼンチン宛のカバー、大阪東26.9.28、SHIZUOKA5.12.51、SHIZUOKA28.5.52。タイプ文字のブレ・掠れ・ズレ・欠損が完全に一致しています。特徴から判断して、同じタイミングで3通の宛名を打っている。でも、差出人も、場所も、日付も違います。考えられる可能性は一つです。悪意の輩が、同じタイプで打った封筒に、切手を貼って、自分の意志で適当な郵便印に似せた偽印を押したことになるのです。このポイントは、河原井一彦君が下見だけで気づいていました。一瞥での確認は物凄く困難だと思うのですが、大した眼力です。彼の好みの分野だから分かるのでしょう。タイプの使いまわしのミスは、今までも、時々襤褸を出していた、あやつの大チョンボの一つでしょう。今回はこの証拠が有るので、オークショニアに強気で交渉できたのです。誰もが、薄うすは感じていたはず。でも、西岡さんのオークショニアとしてのスタンスは、首尾一貫しています。いくら私や他の人が警告しても、自分は知識が無いので、彼の出品物は、彼が作った偽物かどうかは分かりません。落とした人が、エクステンションを掛ければ、日本郵趣連合の鑑定委員会に出して、その結果に従います。それが自分のオークションのルールです。今までに、何度かこのケースが有ったけれど、偽物の結論には一度としてなっていないのです。今回もそのパターンでやるとの事でした。だから、私は条件を出したのです。情報に疎いビッダーで事情を知らない人がいる。私がチェックして、疑問のエンタをピックアップするので、それに関しては、エクステンションの要求がなくても、自動的に鑑定に出すようにすればどうでしょうか、という言い方です。それでOKになったので、日本郵趣連合の鑑定委員会に根回しをして、依頼が一杯来るので、頑張るようにと言いました。手ぐすね引いて待っていたはずですが、私以外からのクレームも多かったのでしょう。該当の出品者の出品物は全ロットが引きになりました。極有り触れた平凡品も、100万以上になるかもしれない大珍品も一緒にです。
これで終われば、私とすれば、何をしたか分かりません。悪魔がゾンビのごとく、場所を違えて出てくるでしょう。ほとぼりが冷めたころを見計らってですが。1回のセールでの出品物WDでは、火をつけたものの、ボヤにもなっていないのです。煙はくすぶってはいるのですが円満解決にはなりません。頭の片隅にずっと残っていたのが、故丹下甲一氏の、郵趣研究の記事なのです。上梓される前にも分析のレポートを貰っていたし、説得力の有る提言なので、誰かが追ってくれると思ってました。この記事の時に彼に頼んだのは、1回限りの無料での研究所の好意での検証でなく、有料で良いので、継続して分析が出来る組織を教えてくれのリクエストでした。実際、彼の記事の末尾には載っています。民間検査会社・例:㈱ミツワフロンテック(大阪市北区)の名前が出ています。今回、ここにメールを送ったのですが、『けんもほろろ』、さすがの丹下もこの件は又聞きの情報を書いていたのです。ミツワ・・は検査依頼は全く受け付けておりません。この会社は販売代理店だったのです。もし機械本体を買うならば、で聞いたのですが、XRFは民間の門外漢の一企業では手に負えない、鉛で遮蔽した管理区域を作って、液体窒素で冷やして、検査技師がやらないとダメですよの返事です。別ルートで持っていた、私の情報とは齟齬が有るのです。ここは相手にせず、改めてその気になって、ネットで調べれば、結構有望なデータも見つかりました。島津製作所の1000万の機械は無理、オリックスの中古を探せば、お手頃の物の可能性も有りそうです。ただ、メーカーの保証が付かず、アフターサービスにも危惧が残ります。幾つかの代理店を調べて、有望な1社にメールを送ったら、速攻で動いてくれました。メールの10分後に電話が来ました。日フィラのオークションが終わって数日で連絡を取って、同じ週に先方が東京から機械を持参でデモに来て、こちらが要求する条件をやれる確認をとって、それに対応するアプリケーションを決めて仮契約、行政への手続きは、天満の労働基準監督署への届け出だけ、管理区域も液体窒素も鉛の壁も放射線技師の資格もいらないのです。データの出力には、エクセルとPHOTO-SHOPが必須なので、運用にはそれなりのテクニックはいるのですが、放射線には疎い、大学の先生でも機械自体は使えます。弊社のパソコンおたくでもデータは取れるのです。カバーで5か所を計るにしても、15分でチャートでの結論が出るのです。現品を持参してくれれば、その場での回答ができるのです。最速で機械を入れて貰ったのが3月18日、数回の微調整を経て想定以上に稼働しています。やってみて、トライアル・アンド・エラーで見つかる結論が有るのです。つくづく残念だったのが、丹下君に報告できなかったこと。落ち着いてからと思っていたのですが、まさかの事態が起きてしまいました。でも彼の鋭い発想力を基にした、遺志は引き継ぎます。方向性は見えていますから。
現時点でもXRFの分析結果を元に、特定人物が作ったものに限っては、完全に偽物の結論が出せると思います。一人の人物が世に出した、カバーからのみ検出でき、それ以外の出所の物からは、欠片も出て来ない元素があるのです。伝手をたどって調べたので、まぎれの要素の無い、出現時期が限定出来たのです。今までにも書いて来たのですが、元素番号22=Ti=チタンの詳細が分かりました。同じチタンでも性質によって、2つに別かれてしまいます。「金属チタン」と「酸化チタン」です。根っこは一緒でしょうが、商業化の段階で、まったく別個のものになるのです。扱っている企業も、業界団体も違うのです。私が知りたいのは、消印のインキの成分におけるチタンです。自然界の物のままでは使えませんから、それが何時から、実用に供されたか分かれば、不存在確定時期にそれが有れば、確実に偽造の証明になるのです。インキには、酸化チタンが使われます。飛行機とかは金属チタンです。論文を読んでも、自分の分野のことしか書かないし、素人相手の文章ではないので、随分解釈に手こずりました。金属チタンはTiで、(社)日本チタン協会様が業界団体、日本での工業用の量産は昭和23年ですが、インキに使われる可能性は殆どないそうです。酸化チタンの業界団体は(社)日本酸化チタン工業会様で、会員会社数は6社、ネットで調べたお馴染みの名前が並んでいます。分子の構造では、TiOかTiON、今の主流の塩素法での製造は1974年から、ただし硫酸法ではそれ以前から有って、日本で最初のメーカーの、チタン工業の設立が昭和11年6月、生産は早くて翌年、最速で商業化できたとしても昭和12年です。更に実際に、消印のインキに使われたのが何時からかが重要なファクターになるのです。一般的には、チタン白=酸化チタンは、黒インキに使うとして、その目的は調色か隠蔽(下地を隠す)のためだそうです。原料メーカーの持っている情報では、その利用法は聞いたことがないそうです。それは本物の郵便印の実例で追わないといけないでしょう。かなり遅いと思えます。だから、挙証義務を物凄く厳しく課されたとしても、昭和12年以前のカバーに、チタンが検出されれば、一発でアウトです。(一部の例外は既に紹介しております。)そして、現時点でのXRFによる分析で、Tiが出ているものは、一人の人物からもたらされた真正でないと疑問を持たれるマテリアルに限られ、その数倍の、真正なマテリアルからは、時代を問わず、一切出て来ていないのです。手元のデータですが、Ti出現マテリアルを21ロットを押さえました。その内訳は、MSAが6点、ヤフーのtomopu0527が4点、日フィラが4点、福丸及びプライベートのディールが7点、落札値又は相場で評価して総額で1500万ぐらいの被害額になってしまいます。本人が戯言で豪語していた、創るとするなら、エンタは1本で100万かなは大げさではないのです。
情報の公開の了承を得たものに限りますが、順次、具体的に詳しく説明していきます。2014年1月26日開催の、日本フィラテリックセンター65回フロアセールのLot649です。房1銭、旧小判黒1混貼 未発表の不統一 ◎相川/淡路国郵便局消→KG淡路由良、淡路相川在住の中村重次郎差出、由良港喜宝丸銀蔵宛てです。近接した出品ロットに、中村重次郎宛ての駄物が出ており、一連の連続便=コレスポンデンスと思われます。中村宛と中村発が一緒にある理由とすれば、船が出港での戻し便なら辻褄が合います。淡路相川は10年5月の開局、6月には上灘に改称、極めて短期間の使用例になります。手彫と旧小の同一額面異種貼、未発表の短期間使用の不統一、ルックスはいまいちですが、見事な珍品です。最低値15万円、そのままフロアで落札です。お買い得です。売りに出す場所を間違っているのです。◎不統一と、KG由良から、Tiが出ました。だから、この2印は偽造です。朱色の○相川からは、Hgが出て、墨筆書きからはTiは出ていません。この部分は、総合判断して、本物でしょう。理屈に合う、切手のない封筒を使っての偽カバーを作り、一連の蔵出しを装って出品したものと思われます。このやり方は、彼の得意技です。福丸の道具市に出た、木箱入りのカバー、竜48文単貼 西京検査済を含む、桜あたりのカバーの初出しロットというスタイルでの出品、数年前にどこかで見た記憶が有るのです。折あらば調べたいと思います。簡単に結論が出るでしょう。この消印は、科奴の最も数が多い仕事なので、押さえた数は多いし、朱色の干支印からもHgを調べられるのです。因みに、西岡さんがいうには、彼からの出品物は、送ってきた順番で掲載しており、かつてはいつも最終の出品者、ここ数回は、複数回で別れてきている。取引はすべて郵送、10年ぐらいは会っていない、たまには事務的な電話があるだけとのことでした。
『スタンプショウ=ヒロシマ ’15 ドラフト ルール説明』
今年も6月27日(土)に、広島県立産業会館西館に弊社がブースを出展、会場にて、日本関連の郵趣品、200点を「ドラフトシステム」にて販売いたします。
(90%以上は、今回が初お目見えで、全て消費税込みの値段を明示した即売品です。)
販売は、直接会場にご来場の方に限ります。当日の10時10分頃から正午まで、エントリーを受付、エントリーシートにて、ご希望品を「指名」していただきます。
ま ず、エントリーの際に、抽選箱から、エントリーシート投票用紙を引いていただきます。「A~Z、あ~を」の記号の書いたがエントリーシート抽選箱に入って います。一つの記号に対し1~10の番号入り「A1、A2、・・・A10」(ご希望によりそれ以上も可)をお渡しします。展示しております200点の商品 の内、ご希望品ごとに1枚の用紙を使ってください、優先順位の高い物から若い番号にご記入下さい。投票締め切りは13時00分になります。
投 票を開き、各ロットごとに集計します。投票がお一人の場合は、無競争でその方にお買い求めいただけます。投票の順位(番号)は無関係です。もし、特定の ロットに複数の投票が入った場合は、①投票用紙の番号が若い方を優先します。1>2>3・・・>10になります。②同じ順位で複数の札が重複した場合は、 若い記号が優先です。A>B>C・・・・>あ・・・>をになります。
優先順位は記号が優先されますので、「A」を引いた方の1位は100%のパワーですが、「A」の2位よりも、「を」の1位の方が強いのです。他のメンバーの投票行動を読んで、賢く投票して下さい。
10時~13時00分まで下見可能です。
今 までの実績では、200点のエントリー品のうち、約半数が指名を受けており、上位指名はかなりの確率で重複します。1位~3位あたりは本筋から外した物の ほうが買える確率が高くなります。また、記号が遅い場合は1位チョイスでも安全ではありません。弊社は当ドラフト200点=即売品の抽選の結果には何らの 特別な意思も反映させませんので、是非、当日ご参加の上、運と頭を使ってチャレンジして下さい。残品は、投票後、発表の値段で先着順で販売いたします。
商品のお渡しは、14時30分より、行います。
ジャパン・スタンプ商会会員様は、現品先渡し、口座通し、後日送金にて結構です。
200点の画像は、準備でき次第順次、当ブログに掲載します。
今回の私の動きの最大の動機になったきっかけは、故丹下甲一氏の存在です。2010年の8月か9月、松原市の故大西二郎氏宅を訪問しての帰り道、やたらと暑かった記憶が残ってます。日曜日の夕方だったと思います。突然、携帯に彼からの電話、興奮しきった口調で、「チタンが出た。これでかなり進められる。」だったと思うのです。氏の名実ともに最後の論文になった、郵趣研究の2011年の99号と100号の「科学的な分析による、偽造・変造カバー解明への試み」に詳しいレポートが載っているので、ぜひご一読願います。最初の検査は同年の5月か6月、赤外線反応を使って、朱印の水銀の有無を調べたい、水銀中毒での自主規制以前の、朱印には辰砂=水銀と硫黄の化合物が入っている、もし水銀反応が出なければ、使用年代で疑問が出るという発想でした。協力を頼まれたので、朱印が押されているカバーを数点提供しました。偽と分かっている物と、たまたま手元に来た疑問品ですが、見事に水銀反応は出なかったのです。朱印が有れば、それで分かります。でもその確率は高くない。彼のことだから、問題提起では終わりません。その後伝手をたどって動いたのでしょう。考古学の研究組織で、物の時代特定がやれる機械を持っている、確かめたいので、明治時代のカバーを、出来るだけたくさん貸してくれ、特に色んな偽物が欲しいというリクエストでした。正にXRFによる元素分析です。今となれば、コリメーター5mm、測定時間180秒は古いけど、分析能力は変わりません。でも、試料を持ち込んだ時点では、判断できる基礎データがないので、蛇が出るのか虫が出るのかは全く不明。明治のエンタの真偽というカテゴリーで、結論まで持って行った、研究所の先生が偉いのか、丹下が鋭いのか今となっては分かりません。
彼が物にした論文の結論では、①黒印で、日本で酸化チタンが抽出されていない19世紀のカバーに、Tiが有れば、それは偽物、但しTiが無くても本物とは限らない、②朱印で一応昭和30年頃以前の物として、Hgが検出出来なければ偽物、Hgが出ても、意図的に使った可能性も排除できず、真正とは断定できない・・です。着眼点は見事だけれど、ある意味、私が提供した試料がちょっと偏り過ぎていたし、何分1回だけの検証では、他の可能性を示す、異常データが出て来なかったのです。チタンの場合、インキに含まれるのは酸化チタンに限られます。金属チタンは無視して構わない。その成分が何時から日本で実用化されたがが、重要なので、今それを調べている真っ最中。話はそれるのですが、「佐伯佑三の雪景色」が偽造か否かで名誉棄損の裁判が起き、偽造の判断した、中島誠之助氏と二見書房が被告になっています。ポイントは、ルチル型チタン白が、佐伯がパリにいた時に現地に存在していたかの判断にかかってます。「雪景色」からTiが見つかったのは、まさにXRFでの分析によるのです。それだけでは無いかもしれませんが、商業的Ti不存在時期のTi存在を根拠に、偽物の判断をして訴えられるのでは、他人事ではないので、Tiの使用時期の確定を興味津々でウオッチしています。幾つかのしっかりした論文を読んだのですが、本邦での商業化は昭和12年を遡ることはないでしょう。竜から田沢までのカバーで、Ti出れば偽物です。機械を入れる際に代理店の担当者に、しつこく聞いたのです。誤読みの可能性と、検出精度についてです。誤読みはAs=ヒ素では、微量の場合、起きることが有る。土壌モードで、有害物質を探る場合は要注意、でも御社の場合は大丈夫でしょう。能力に関しては、ここ数年で、大学や研究所を中心に、300台ほど入れているけど、想定のデータが読めないという苦情は1件だけ、たぶん大丈夫でしょうという話でした。あくまで、現時点での結果ですが、弊社の場合は、読みたい元素はTiとHgだけと言って過言ではないのです。これはしっかり出ていますから、あとは誰がどういう風にチャートを判断するかということです。
丹下氏の出された結論の内、①にはちょっとした追加が必要です。弊社のデータ取りで、大正4年の本物の葉書にTiが出たのです。不存在時期にTiが出てしまいました。有り得ないデータなので、メーカーへの問い合わせを考えたのですが、弊社の分析担当の浅羽博が正解を見つけました。この葉書のポイントは、朱印に水銀が出るか否かのデータ取りのために、朱色を2か所読んだのです。Hgは1か所から出て、他は出ずですが、Tiが2か所から出たのです。何それで、いろいろ弄ってたら、どの箇所からもTiが出るのです。朱印からTiでなく、葉書からTiです。表も裏もです。それならば解決です。保存の際のビニールか、アルバム、他の絵葉書にくっついていた等の、大正4年の消印が原因で無い、ずっと後年の保存状態が原因でしょう。ひとつ勉強できました。だから、明治のエンタを見る場合も、消印だけでなく、複数の箇所を計って、消印からTiが出ても、他からは出ないことを確認しています。②の水銀はもっと多くの例外が出ています。偽カバーに昔の朱印押しというケースは無いのですが、本物でもHgが出て来ないケースも見られます。また、Hgの出現も、朱印だけでなく、竜の200文の印刷インキとか、場合によっては、黒の消印でも出ることがあるのです。私の手元にある、結論としてダメなカバーの朱印で、HgとTiが共に出た物もあるのです。この場合は、Tiが優先、Hgは朱印以外の混じりかなと思っています。ここらの想定外のデータは、機械が手元にあり、試料も時間も無制限に使える、標本の数も年代も幅広い、弊社だからでてくる現象ですが、今のところは、矛盾は十分にクリアできていると思います。例外としての、そのままでの放置では先には進めませんから。
2010年5月の後半、弊社のオークションの東京下見会で、一人の若いコレクターを捕まえました。大阪弁で言えば、「お前、あほちゃうか、ヤフーであんなもんを120万で買って!!」2008年夏頃に、突然現れた、父の収集品を出品します・・のtomopu0527、ある人物のにおいがプンプンしていました。お調子者の、yoshi・・・・が調べていて、妙齢のご婦人、お住まいは墨田区だったかな、不思議な大珍品が途切れなく出るので、話題沸騰、当然疑う人がいるので、質問欄には、偽物なら返品できますかの問い合わせが来ていました。答えはイエスなので、お兄ちゃんに言ったのです。鑑定に出してやるから、物を送れ。このボンボンは、自称プロ、集めているのは竜と飛信逓送、ヤフーの出品で荒稼ぎなので、高いものも買えるのです。2010年5月13日頃の締め切りの、「竜48文単貼 西京検査済 市内便」一瞥して、NG、鑑定も絶対にダメと思って、日本郵趣連合に送ったのです。5月31日付の請求書が現物とともにやって来ました。このカバーは真正です、鑑定料50000円、再審制度は無いので、黙って握りつぶして、従うしかありません。誰にも言えないのです。ところがもう一枚の鑑定書が有るのです。2010年10月17日付、切手の博物館、このカバーは偽物です。ただし貼付された竜48文Pos33真正です。5か月のタイムラグ、きっちりと時系列に書けないのですが、この現物が、丹下氏の記事、郵趣研究100号に正に出ています。私が見せたと書いてあるのでそうなのでしょう。博物館の鑑定に出して、丹下の最初の水銀鑑定に協力するという流れにたまたま乗ったのでしょうか。連合の鑑定結果を握り潰して、いらいらしながら待つ身の5か月は長かったのです。結論が出て、依頼人に送って、則返品、tomopu嬢は何も言わずに即返金してくれたそうです。私も、2か所の鑑定料を頂けて、ハッピーエンディングになりました。博物館の鑑定が終了した、2010年10月頃が、彼女の最後の出品になったのです。突然にヤフーから、取引停止の扱いです。データは今でも残っています。
このカバー、XRFには掛かっていません。西京郵便役所の干支印に水銀が無いことが鑑定の決め手の一つになったようです。もし今、機械に掛けたなら、西京検査済と箱場の〇丸からは、Tiが出るはずです。墨筆の宛名も後で書いた物でしょうが、これからは、Tiが出るか出無いかは、5分5分です。筆耕屋さんを何人か使っていて、特定の人物の仕事ではTiが出るのですが、違う筆跡の偽カバーからは出ないのです。消印は、依頼人本人が同じパターンで作業をするので、間違いなく足跡を残しています。