最も在庫の多い分野です。基本的な取り扱いは、引き受け部署で捨印を押して、配達部署に回し、倍額4銭を貼って未納で消印、拒否されて戻って来て2銭を追加で貼って、那須浄説さんに戻すのが正しい取り扱いの流れです。条例及び、取り扱いの規定遵守で紛れる要素は無いはずです。でも、結構面白い例が見つかりました。◎時代の付箋には、条例名の記載は全くないのですが、今回のカテゴリーには全て明示されています。在庫品の該当期間は22年10月23日~32年2月22日になりました。数が70数点有りますので時期を2区分いたします。未納(不足も)に局名が入らない27年2月20日までと、21日以降です。
未納・国名無しの内、京都郵便電信局管内便は【在庫35点】です。
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これ1点だけが旧小判4銭貼で、他は新小判4銭を貼、後の貼足しはU小判2銭です。五条・今出川宛は【在庫5点】です。
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本局内も支局宛も、全てのアイテムで、当初に21条前半の「此郵便物未納税二付郵便条例二十一条二依リ郵便税四銭集配人二渡サルベシ 京都郵便電信局」の付箋貼りで4銭切手を貼っています。最終段階で、21条後半の「付箋之通納税ヲ拒ミタル二付返却ス郵便条例第二一条二依リ郵便税六銭集配人二渡サルベシ 京都郵便電信局」で完結です。マイナーバラエティーですが、本来は局名入りで有るべき、27年3月1日と3月23日に、局名無しが使われているのが唯一のトピックです。
局名入りの在庫データは27年5月16日以降です。本局宛が【在庫24点】
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五条・今出川宛が【在庫6点です】。会計勘定としては、本局内も支局宛も、未納郵便物の扱いとすれば、条例21条の前半部で受取人が受け取れば倍額の4銭、拒否されれば3倍の6銭、拒否でない不在還付なら22条で倍額の4銭を局が受け取るので、当初の配達時に倍額の4銭を貼っておけば、還付不能を除けばとりっぱぐれは無いのです。だから事務処理はこの流れでやられます。後に出て来る、管外宛での損金の恐れは有りません。直配達であり、当然ながら普通はこの扱いをしています。
でも、違う扱いの例が見つかったのです。「試配達」です。
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五条・今出川宛が【在庫5点】、本局宛が【在庫1点】です。前述の、21条前半の「4銭渡サルベシ」付箋を貼っていません。その代わりに、徴税注意に類する付箋が有るのです。クールに考えれば、管内便では支局宛も含めて、会計的には試配達は不要です。未納の処理をせずに、受け取るか否かをわざわざ聞きに行っているのでひと手間余計にかかっているのです。五条と今出川は支局なのでまだしも判りますが、七条は本局その物の管轄です。なぜ試配達なのか、理由は判明いたしません。直配達と試配達、もっと区別が判りにくいのかと思っていたのですが、誰でも明瞭に分かります。直配達はしっかりと2種類の付箋を貼って、その意味も付箋に書いてくれていますから。試配達パターンは色々ですが、今回のグループの場合、直配達ならば、最初に21条前半が根拠の付箋を貼ってくれているので、それがない物が試配達だと思ってカバーを見れば良いのです。間違う心配は無いと思います。有る事による証明でなく、無いことが客観的に立証してくれています。
今回は、地味なバラエティーですが、次回以降は更に色んなパターンが出て来ます。22条・管外宛・試配達・3銭料金、想定の形式に収まらない使用例も幾つも有るのです。でも、強調したいのは当時の京都郵便電信局、きっちりと仕事をしています。多くの試料を分析できたからこそ分かった知識なのですが、那須さん対策を見事に取ったと見られるのです。
それでは本題に入ります。長期の連載になると思いますが、書きながらマテリアルを精査していきたいと思います。早速ですが予期しない物も見つかってしまいました。
郵便条例の期間は、明治16年1月1日~33年9月30日です。この期間中は基本的には条文は変わっていないと思います。前回までには書いていなかったのですが、消印で見れば、21年8月31日と9月1日で劇的に変わっているのです。勿論、ボタ・◎から丸一への変化です。条文が一緒なので、意図的に区分していなかったのですが、実例では顕著な違いが有るのです。20年4月1日以前の京都郵便局、以降の京都郵便電信局時代を含めてですが、ボタ・◎時代の付箋には、何条かが明示されていないのです。料金を考えて付箋の文面を読めば、21条か22条かは分かりますし、実務上は厳格に処理を為していたことも確かです。今はまだ、21年9月以前の物しか精査していないのですが、どのタイミングで、条文を明示したかを探りたいと思います。恐らくは、那須浄説さんの大量差し出しがきっかけになって京都郵便電信局が対処したような気がしてなりません。これは今後の宿題です。
ボタ・◎時代の21条後半の受け取り拒否ですが、16年後半から19年まで平均して有るのですが、【在庫は12点】で全てが管内宛でした。無切手封を差し出されても、そのまま受け付けて処理をしたのでしょう。引受部で捨印のN3B3京都を押して、配達部に流します。ここで料金の倍額の旧小判4銭を貼って、未納印を押して、宛所に向かいます。受け取ってくれればそれでケリ、拒否されればU小判2銭を貼り足して差出人に戻します。同一管内なので、先の旧小4銭+後のU小2銭=合計6銭が郵便局の収入になります。何れも、結構な枚数の付箋が貼られていて、最終的には受け取りを拒まれたことと、6銭徴収が明瞭に分かります。未納印には局名が無いのですが、理屈を考えれば、先に4銭・後で2銭というのが明瞭です。このジャンルの物に関しては、紛れも全くなく、捻れる要素も無いのです。条例遵守での扱いです。
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22条を解析いたします。局の扱いは同じです。捨印のN3B3を押して、配達部で旧小4銭を貼り未納消、不在か転居での差し出人戻しです。倍額請求ですが、同一管内なので最初に貼った4銭で完結しています。一般的には、完納便には殆ど受け取り拒否は有りません。意図せぬ不足便でも、受け取り拒否(21条後半)は配達不能での差出人戻し(22条)よりも遙かに少ないのです。でも、切手不貼付の未納便の場合には、発生率は逆転します。圧倒的に受け取り拒否が多いのです。今回の山でグループ分けすれば、同じカテゴリーの中で拒否12点に対して、戻しの【在庫は7点】になりました。何れのケースでも、全て直配達で試配達は見つかりませんでした。
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ここまでは、どうという事もないお話ですが、一点吃驚ネタが有りました。
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五条郵便支局宛ですが、墨×戻しが有るのです。捨印でN3B3京都、旧小4銭貼りで未納消、次がこの4銭を墨で消して、改めて旧小4銭+U小2銭を貼って、一発での未納消、このパターンは管外宛なら正解です。でも五条は同一管内なので、会計上からは、墨消しは起こり得ないはずなのです。単に、五条局の職員が間違えただけなのでしょうか。時代が下がった物を調べたのですが、五条と今出川宛は、管内として扱われています。ミスの起きる確率は高くないように思います。ちょっと気になったのが、五条局の成り立ちです。前回は全国郵便局沿革録・明治篇=日本郵趣出版刊を元に19年4月26日に京都五条橋郵便支局として開局、25年11月16日に五条に改称と書いたのですが、画像でもお分かりの通り、16年8月10日で五条郵便支局の付箋が付いているのです。別の文献を複数当たったのですが、そちらのデータでは13年12月25日に五条橋郵便分局として設置、16年5月23日に五条橋支局に改編、25年11月16日に五条支局に改名になっていました。郵趣出版の本の日付けにも何か意味が有ると思うのですが、現時点では解明できていないのです。ご存じの方教えてください。五条を調べていて気付いたのですが、ここと今出川以外にも、六条支局も管内局の可能性が有るのです。こちらは、14年7月27日に設置、16年5月23日に支局に改定、19年4月22日に廃止です。今回の在庫の内のボタ・◎時代の物には実例が無く、丸一時代には既に廃止されているので残念ながらどういう扱いだったのか検証は出来ません。この先の時代を経るに従っての、管内局の五条と今出川の扱いには注意を払いながら分析を続けて行きたいと思います。理屈に合わない物が見つかっても、例外でしょう、ミスでしょう、でブッタ切れる問題でなく、何か納得が出来る理由が隠れているように思えるのです。マテリアルに貼付された膨大な量の付箋を読んでみて、如何に当時の局員さんが真面目に仕事をやっているのかがはっきりと判るのです。ミスと見える現象にも、何かの理由が隠れているように思えます。
スペースに限りが無いので、諄いほどにしっかりと書いて行きましょう。カテゴリー分けから入ります。因みに料金は第1種2銭を前提として書きますので、3銭時代は機械的に置き換えて読んでください。
「法律の条文」では、郵便条例の21条の後半と22条に分かれます。条文は前回書きました。このパートはスタートに書くとちょっと複雑なので、最後に書くことにします。
「料金」としては、明治16年1月1日~32年3月31日が第1種2銭、32年4月1日~33年8月31日が3銭です。特殊要因として、菊切手=2銭・4銭・10銭の発行が32年1月1日で、この日から32年3月31日までの菊使用は特筆される珍品ですが、郵便史の観点で見れば、ステータスは高くないのです。菊切手のコレクションとして生きて来るのです。
「宛先」は管内と管外に分かれます。料金は同じなのですが、未納・不足便の場合には顕著な差が出るのです。京都郵便電信局の場合ですが、支局として今出川がM25年3月16日から、五条橋がM19年4月26日~25年11月15日、25年11月16日から五条に局名変更されています。丸一で五条橋の「橋削り」の五条という物も有るのですが、局名変更の日付けとはリンクしていないと思えます。支局としての開設されていた事実が会計上で重大な意味を持つのです。管内のポイントは、還付郵便物の料金処理を、自己勘定で出来ることです。支局も同じ会計です。宛地で料金を徴収して配達しても、拒否又は不在戻しで還付になって、料金を差出人から徴収しても、郵便局の会計とすれば、仕事を完遂できたことになるのです。那須さんの未納エンタで言えば、引き受け局の京都の担当部署で、捨印を押して、配達担当の部署で2銭料金の未納の倍額を貼って、未納印で抹消します。この時点では、21条の前半部の、未納郵便物を相手が受け取ることを前提にしています。受け取り拒否で21条の後半部に移り、差出人に還付して3倍を徴収するのですが、局のお財布は一緒なので、未納の消印を押した、2銭x2枚の料金は生きているので、追加の2銭を貼って、未納で抹消、合計6銭を那須さんから貰えば良いのです。制度に則った扱いです。管外の場合は違います。未納郵便物の料金徴収は、宛地で行います。切手を貼るのは宛地局です。京都局の捨印が有る未納エンタがやって来れば、配達局で2銭x2枚を貼って、未納で消印するのです。受取人が受け取ってくれれば21条前半でケリですが、拒否の場合が困るのです。差出局の京都に戻すのですが、配達局で貼った4銭切手の支払いが為されていないのです。差出局に戻しても、賠償はしてくれません。結論を書いてしまえば、配達局の損金になってしまうのです。消印を押してあるので、管轄をまたいでしまえば、有価証券=郵税の効果はないのです。受け取り拒否をされたなら、差出局に返すのですが、未納で消した切手代は、誰からも貰えずに、料金として死んでしまっているのです。涙を呑んで此畜生と筆でを書くのです。配達局の損金になるのです。筆の料金は、本来の料金の2倍に限られます。那須さんの元に戻るのですが、その際には、21条後半の受け取り拒否の3倍のペナルティーが新たに課されます。2銭x3=6銭に未納消しです。筆の4銭は那須さんから貰えません。よく聞く話ですが、受取拒否だから、筆では無いのです。「管外宛の還付便」だからなのです。21条後半の拒否でも22条の不在での配達不能戻しでも会計勘定が異なる「管外宛」だから筆なのです。これは次に書くことと関連して来ます。
「配達の手法」は2種類に分かれます。一般的には直配達です。未納分の2倍を貼っておいて、未納で消して宛先に持って行き、21条前半の倍額を受取人から貰うのが前提です。拒否されれば、21条後半の3倍を差出人から貰うのですが、管内便なら差出人が最終の支払いを拒まない限り、損金にはなりません。それをやれば、その後に響くので、那須さんは3倍払いを承知でやったと思います。未納で請求書を送り、郵便局員が対面で未納料金を徴収するので、書留便を無料で出せることになるのです。えげつないけれど、非常にクレバーなやり方です。郵便局も、それへの対応策を取りました。那須さん対策では無いのでしょうが、試配達をやったのです。未納(不足も)郵便物が来たならば、最初は切手を貼らずに、2倍の罰金を払って受け取るか否かを前もって問うたのです。「徴税注意」等の付箋ではっきりわかります。お尋ねをしてから、了承なら4銭を貼って未納を押して、倍額徴収で配達し、拒否なら差出人に戻しての3倍徴収をやるのです。郵便局は損をしないで済むのです。管内の場合は、問題ないのですが、管外ならば大いに会計に響きます。管外宛でも試配達なら、切手を貼ってないので、そのままで差出局に戻せます。つまり、管外宛の受け取り拒否でも、試配達をやったなら筆発生しないのです。筆=受け取り拒否でないことは、このことで分かるでしょう。実例が非常に少ないし、筆に比して地味なのですが、覚えておいて損は有りません。リーフに説明を書ける絶好のネタなのです。
「条文」の説明に入ります。21条の後半部は受け取り拒否での規定です。単純に3倍徴収です。22条は拒否で無い還付=転居先不明等での差出人戻しです。罰金は当初の料金の2倍です。切手を貼った郵便物の還付はよくあるのですが、未納便のそれは滅多に起こりません。那須さんエンタを除いてですが。そして那須さんの場合でも、21条後半の拒否よりは格段に少ないのです。管内のそれは何の問題は有りません。2倍徴収でケリです。そろばん勘定で言えば、試配達の必要性は有りません。受取人か差出人の何れかから4銭を取れますから、郵便局とすれば美味しい仕事です。管外の場合は、試配達をやっていれば、那須さん戻しで4銭徴収ですが、直配達の場合は、4銭を貼って配達局で未納消しで配達未完了での戻しになるので、このケースでも筆が為されるのです。郵便局的には此畜生です。受け取り拒否でないのに筆で損金の計上になるのです。
4項目でそれぞれ2区分なので、2の4乗=2x2x2x2=16パターンに分かれます。「2銭と3銭」「管内と管外」「直配と試配」「21条と22条」の組み合わせです。追加して、未納印に局名が入るのが明治27年2月21日です。管内支局の確認と直配と試配の区別の際に有効なデータになるのです。次からは、実例をお見せいたしましょう。合わせて手元にある数も書いて見ます。
理屈上の計算式では、2の4乗の16ですが、実際はそれは無理、だけど◎時代を独立させ、不足消しを局名無しと局名入りに分け、付箋のバラエティーを加えれば、結構な数になりました。エンタの情報では、直配達と試配達の区別が無理な物も有るのですが、殆どの物は理屈がきっちり立つのです。次回からは、画像を添えて解説していきたいと思います。
2015年の事でした。ダンボール50~60箱位の、初いエンタのロットがやって来たのです。出所は京都堀川六角の金融業者の御屋敷で、そこを解体するに当たっての費用とバーターで、都の旧知のブローカーさんが手にした物でした。相談されたので、オークションで生きる物は抜いてオークションに出し、残りは一括で買い切ることでまとまりました。年賀状は一切無し、年代的には旧小判から田沢で、見るからに初出し、状態も概ね綺麗な物でした。こちらで人を使って物をピックアップ、オークション分だけで想定に金額に達しました。雑多な嵩張るジャミは、箱単位で潰しました。残した物は一括りの、U小判から菊の時代の、同じ性質のエンタだけになったのです。見るからに面白そうなので、この山だけは、時間を掛けて料理することにしたのです。状態が今一な物は、ロットの餌にしています。だから残した物は、台も消しも十分に単品売りに耐える物だけになりました。200~300通の、金融屋さんが切手を貼らずに差し出した貸金の返還請求の戻り便なのです。郵便条例時代=明治16年1月1日~33年9月30日に完璧に区切られるし、郵便の制度としても、紛れる要素が消えて、説得力の有る運営が為されていた時代の物なのです。ボタと◎時代=明治21年8月以前は、数も少ないし、使われ方も面白い物は少数です。だけど丸一の時代になってからは、あらゆるパターンが揃っていたのです。想像以上の面白い山だったのです。幾分かは、オークションで売りましたが、残りをじっくり料理したので、その報告を書いてみたいと思います。
切手を貼らずに差し出した借金返せのお手紙です。未納の倍額を払って、名宛人が受け取った物はここには有りません。受け取り拒否と配達不能で那須さんに戻された物ばかりなのです。まず、根拠法令を書いておきます。郵便条例です。
第21条 「未納又は不足の郵便物を受け取る際には、受取人よりその額の2倍を徴収する。受取人が郵便物を受け取る際には、その納税を拒んではならない。」「受取人が郵便物を受け取らず、差出人に還付する時は、差出人よりその額の3倍を徴収する。」
第22条 「未納又は不足の郵便物を配達できず、差出人に還付する時は、その額の2倍を徴収する。後略。」
実際上は、切手を貼らずに差し出すことは極めて稀だと思います。未納・不足で括っても、圧倒的に不足が多く、結果としての未納でも、意図的な無切手差し出しは一般人には出て来ない発想だと思います。マーケットに有る未納便も、このパターンでなく、法規を取り違えたミスによる物が多いのです。那須エンタの、未納郵便=受け取り拒否便には、目から鱗ネタが一杯含まれているのです。当時の京都郵便電信局が、那須さん技対策としてわざわざ最初は21条の付箋を印刷して、後には22条のそれも作ったと思える節が有るのです。郵便条例時代の受け取り拒否=21条後半部分と、22条の未納の還付はほぼ完璧にアナライズできるのです。京都発なので、管内局のバラエティでも「一ハン」プラスになるのです。ここらは、後ほどのお楽しみです。数回にわたって書きますが、お二人から貴重な示唆を頂きました。片山七三男氏の「差出人戻しの料金徴収方法」のリーフと、古家美和氏の新大門会資料「郵便条例時代に未納郵便物について」です。
明日・明後日のフロアセールの準備完了です。フロアのスタート値もUpしています。今回は、当初からメールの札の来方が好調で、今の時点での受け付け番号が600になりました。何時もより30~40件は多いと思います。今見られるデータとすれば、フロアセールのみなのですが、出品点数3338、最低値合計42,291,400円が、ビッド有りのロット数が2123、スタート値の合計が52,780,750円になりました。この計算式は、未入札とビッド1は最低値、ビッド数が2以上は2番札の一声上の場でスタートする数字の合計です。現時点でビッド有りは63.60%なので、フロア終了直後の暫定落札率で70%、不落札の即売と返品を処理して72~73%だと思います。メールセールのデータは、今は全く取れないのですが、フロアとそれ程大きい差は出ないと思います。
フロアのスタート値と最低値の差、1000万円+が、現時点での値段の伸びの数字です。未入札で場で売れる物の金額と、場で手が挙がって競り上がる数字の合計がオンされますので、不落札の最低値を差し引いて、結果としては、フロアセールでのスタート値の合計額近辺に、ハンマープライスの合計が収斂すると思います。目玉品にもそれなりにビッドが有りますのでセールトータルとしては賑やかになりそうです。
直近のニュースをお知らせしましょうか。よく聞かれるのが、今年の年賀の小型シートが無いか?です。去年の11月の時点で分かっていたことなのですが、JP(日本郵便)が、年賀状販売のノルマを一切やめたのです。言葉を変えての、ノルマでなく、到達目標としてやってくれ、という変な逃げも打っていません。それ以上に、年賀はがきが発売されて、翌日に金券屋で安売りされることを報道されるのが嫌なのでしょう。相当にキツイ通達を出して、4000枚の葉書の外箱のくじの番号を記録して、トレースして実需で無い流れを見つければ、コンプライアンス違反で処分するとまでやったのです。その見返りが、ノルマ外しなので、今年の年賀はがきの流通は、劇的に変わったのです。私がお付き合いしていた局員(正確にはより高い立場の人)は、一切頼んで来なかったのです。売り上げがどれだけ落ちたは、情報が無いのですが、半端な数字ではないでしょう。実際に大阪の金券屋の相場では、額面62円の年賀はがきに買い入れ値が59円、売りは必然的に60円か61円だったのですが、玉は全く集まって来なかったと聞いています。
必然的に影響を受けるのが、当たりの小型シートなのです。初日に必要な人は、目を瞑って葉書を買うので手に入るのですが、年賀はがきの局員ノルマ達成のためのお付き合いで生まれていた物がゼロになったのです。私の方は早い時期に、供給不可の情報を流したのですが、皆さん甘く見ていたのでしょう。今になって探しているニューイッシュー屋さんもいるようです。30年ほど前には、海外からの注文を満たすために、交換開始からの期間限定で随分高い数字の買い入れ相場が有りました。最初は高くて、遅くなれば額面に近づくのです。オークション屋さんも誰もが情報を出していたので、随分と高いプレミア付きの需要が有ったみたいです。何時の間にかこのパターンは消えたのですが、余程年賀はがきが余って、当たりも手に入れやすくなっていたのです。来年以降も今の情況が変わらねば、小型シートへの買い入れ広告が堰を切って氾濫するかも知れません。まさに需要と供給のメカニズムでの現象です。
直近に手元に届いたのが、ルイスカバーの特集号のオークション誌です。プライベートでの一括での取引の可能性も有ったのですが、香港のセールで売られることになりました。日本がメインですが、諸外国のそれが必見です。日本は、乃木の10枚貼りと、台湾の次高タロコ=牛車図案と国立の小型シートは有りません。375ロットのコレクションにも、無い物は無いのです。
ちょっと寂しい気持ちになるのですが山デブ君が生きていればどんな反応をしたのかな。ルイスといえば、数年前のヤフーでの一大ブームが有ったのです。その時に上手に煽って、大儲けした人たちが、2匹目の泥鰌を狙ってビッドするのでしょうか。ケガをしないように注意した方が良いのです。私はギャラリーとして楽しみたいと思います。満州・シャム・トンガ・パプア以外の物など、本当に少ないというのですが、ヤフーの転売屋さんが儲けるには難しいテーマなのですよ。

PA106回=通算198回の表記の出品物ですが、複数のルートからご指摘を頂き、調査の結果、変造品だと確信いたしましたので、セールから取り下げます。
画像の3点の内、左部の2点は今回の出品物です。ルーペで見ても、黄緑・黄色・茶色の3色の痕跡は有りません。但し、黒で印刷された塔の図案の一部にカスレが見られます。情報としていただいた、プラスチック消しゴムでの時間を掛けての変造の可能性が強いと思われます。
右端の物は、直近に、自分が作った物だとして送ってくれたものです。若干の疲れと汚れが有るのですが、比較的容易に手に入る、有機溶剤に浸したらこうなったとの事です。この溶剤は、糊には影響を与えません。紙が少し影響を受けたように見られるのですが、グラビアと凹版印刷が組み合わさった場合、グラビアは抜けて、凹版は残るとの事です。グラビア印刷の場合は、全部が抜けて真っ白になるのかも知れません。

同種の物が現れた場合の参考としての情報を開示いたします。
今年も押し迫った来ました。年が明けての2019年のオークション業務の年度計画も確定しています。原稿の入稿日を決めれば、リンクして自動的に発送日が確定します。次は1月25日が入稿日で2月7日が発送です。それが終われば、突然の思い付きで決めてしまった、5月のオークションの出品受け付け停止期間に入ります。フルに3か月あるので、溜まりに溜まった塊を一気に解しにかかります。3か月のフリーハンドをやりたいことに最大限利用したいと思います。その後は12月のセールまで普段のペースに戻ります。2020年からは、オークション誌の発送を1週間早めます。業務は一定の流れで来ているので、突然の変更は無理なのですが、全てのスタートの出品受け付け締切を1週間早めれば、その後の作業が全部1週間早くやれるのです。オークションの業務は行き当たりでなく、デッドラインを決めての逆算です。発表すれば必ずやり抜ける物なのです。
最近とみに感じるのですが、色んなケースで矢鱈とトラブルが多いのです。12月のセールで、発送したオークション誌が届かない事案が起きました。不着の連絡を貰えば、則事故調査の申請を出します。弊社の発送は、「特約ゆうメール」です。遅延承諾が掛からない、第1種定形外扱いです。北海道と沖縄は飛行機で、東京は銀座でなく新東京に入ります。普通は3日で付くのです。連絡を貰ったのが郵便番号36・の人、この番号なら新大阪から熊谷局に流れます。1キロ位の冊子なので、36・に該当する方が10名です。5名で一束で出すので、纏まってどこかに消えている可能性を危惧したのです。名簿と電話番号の一覧表を添えての事故調査を依頼しました。結論は、お申し出のあった方お一人だけには着いていない、他は問題ないとの事です。昔は調査して分からない場合でも、書面で報告が来たのですが、最近は電話でケリになっています。ここでもJPの仕事のレベルの劣化は著しいのです。このケースは、該当の会員さんからギリギリに間に合うタイミングで連絡を貰ったので、再発送が間に合いました。弊社の場合、タイムテーブルを発表しており、それを必ず実行するので、おかしいと思った方は是非連絡が欲しいのです。
逆のケースで、弊社宛の郵便物で不着が起きました。12月14日と15日の私書箱宛ての郵便がゼロだったのです。オークションは終わっていますが、普段のペースなら毎日5~10通は来るのです。そして、事故の確証も掴めました。「ゆちょ銀行振替口座」の報告書の連番が1件飛んだのです。12月12日付で25件の入金の報告書です。このケースは、貯金事務センターに連絡をすれば、再発行して貰えるのでご迷惑を掛けることは有りません。でも、私書箱へ入るべき手紙の束が、別の人の箱に入ったか、郵便課から私書箱へ移す段階で纏めて消えている可能性が有るのです。特に気になるのは、2019年のオークションの会費を切手代用で送金されている方の手紙です。振替の報告書が消えているのは確実なので、一緒に無くなっている可能性は大いにあるのです。近日中に、会費未納の方へは再度の連絡を出しますので、12月12日~14日に差し出された方でそうなっていれば至急のご連絡をお願い致します。大阪貯金事務センターは天王寺です。弊社の私書箱は大阪北です。この間というか、恐らくは大阪北の中での事故だと思うのです。10日前に101号の調査請求を大阪北局宛に出したのですが、未だに連絡が有りません。
12月のオークションで、ビッドに関して何件かのトラブルが起きました。宮城県岩沼局の駅前のポストに投函した封筒が、投函日の5日後の引き受けの消印で届いたのです。随分と強いビッドで余裕で落ちるはずだったのですが、締め後到着で無効になりました。ポストから、自動取り揃え押印機に順調に流れなかったのでしょう。残念でなりません。物流以外の通信のトラブルも良く起きるのです。Faxの送信で、裏表逆送が毎回3件位はあります。また、2つに切れたり、判読不能のケースも有るのです。ヘッダーに発信者の番号が出ていれば、気が付いた時点で連絡をしています。でもこれが無いとどうにもならないのです。エラーは起きるのは常連さんが多いのです。ヘッダーに番号表示か、然るべきタイミングでの到着のお問合せをお願い致します。
E-メールの事故も起きるのです。当方には確かに届いています。この場合、営業時間中に速やかに、Reで到着の連絡をするのですが、このReが届かないことが結構多いのです。特に、プロバーダーがaolは、ほぼ例外なく戻って来てしまいます。それ以外も、気まぐれに届いたり、届かなかったり、機械的に100%駄目な人もかなりの人数でいるのです。一番まずいのが、ビッドを送ったのに、返信が無い、この問い合わせを同じメールでやる人です。こちらは、Reで返し、それが戻って来てしまい、お怒りの問い合わせがやって来る。またReで返し、届かない、「山羊さんのE-メール」になるのです。ひと手間掛けてFaxか電話でお問い合わせください。
アメリカからの出品者でした。物を送って、Webで当方が受け取っているのは判っているのです。でも、Eメールで着いたか否かを聞いて来るのです。当然こちらは返事をします。Reで返すけれど、aolなので届きません。次の日も、その次の日も同じことの繰り返しです。毎日、何回目の問い合わせだが返事がないと数字を入れてくるのです。怒りの度合いが増してきます。Faxも電話もわかりません。ついにこっちも切れて、FedExで送りました。戻って来たEメールの通信記録をです。返事したけど戻って来たことを証明せねばなりませんから。
オークションでは色んな事が起きるのです。言っても無駄だとは分かっているのですが、メールの締め切り日当日のビッドの嵐、何とかならないでしょうか。平均でメールビッドは600件ぐらいですが、200件は最後の1日に集中するのです。作業は十分に出来るのですが、トラブルが起きても、救いようがないのです。何日が余裕が有れば、連絡の仕様も有るのですが、タイムリミットが来れば、一切の救済の手続きは取れないのです。早めのビッドのアドバンテッジも同値先着しかないのですが、遅めのビッドには何の利益も有りません。ビッドの秘密は、早くても遅くても守れる確度には何らの差も付きません。想像力を働かせてオークションをお楽しみください。
既にご存知の方が多いと思いますが、明年1月1日から、郵便法=昭和23年12月12日;法律第165号に定められた、郵便物の料金の内、「割引が適用される郵便物」の支払い手段から、「郵便切手」が除外されます。この件に関しては、郵便法28条・内国郵便約款42条の規定があり、今回の決定はそれに反していると考えておりますが、その件に関してはここでは触れません。もっと現実的な事象を検証してみたいと思います。ここ数週間で、マーケットでの額割れ切手の歩率が目に見えて下がって来ております。月が替われば、更に顕著になると想像できます。
現状の最高値は、1000円富士と、82円さくらで、シートなら96%で売れます。1000円切手の場合は、5円の手数料で、どの額面にも代えられるという意味での高値です。この分の需要のメカニズムは、郵便局で買えば100%の物が、金券屋で若干安く買えるというマケットの原理に依ります。この事実は、1月1日からの、JPの変更の影響は受けません。若干安くなるかも知れませんが、買い入れ値ベースで、93~94%位で下げ止まると思います。
問題は、記念切手と、台紙貼の別納用の相場です。直近までは、大手業者なら50円額面以上のシートなら、需要に比して品不足気味で94%位で動いていたのです。本来のエンドユーザーさんも、DM発送屋さんも、2%位の鞘でも十分やる意味が有ったのだと思えます。割引郵便からの切手支払除外のプレスリリースが有り、期日が迫ってきたことで、ここに来て一気に相場が下がりました。85%がMAXです。この先どうなるかは読みづらいのですが、50円額面以上のシートに関しては、80~84%で止まるかと思います。その根拠は、1枚に5円払って交換すれば、1000円なり82円なりに替わるということからです。1000円切手が94%で売れるなら、50円切手に5円払い、1割コストをかけて、1000円に替えれば良いのです。大量差し出しの、割引料金での郵便物で無い、一般の実需は需要として残ります。低額切手も書損交換手数料に100%で使えますから、悲観する必要はないのです。
実際のところ、DM発送代行業者が、どれ位の金額を割引郵便の支払いに使っていたかは分かりません。JPが、法的な解釈で言えば、かなりの無理筋でやって来たのですが、民営化に伴っての引継ぎ債務=郵便切手で、今の仕事の代金を支払われる不快感と、現場での切手別納を使っての頻出する不祥事、それ以上に、員数チェックにかかる手間を何とかしたいという事で押して来たのかと思います。エンドユーザーが有って、DM屋さんがいて、金券屋が玉を集めての額割れビジネスですが、今後の数字を予想すれば、現金納付での割引率と、料金体系とすれば、割引は無いけれど、額割れで買えることによる経済的なメリットを秤にかけて動くことになるのでしょう。50円+の記念のシートですが、瞬間的には、オーバーシュートで80%に近づくかも知れませんが、居心地のいい数字は85%位かなと見ています。それ以上に、プレミア物、特に小型シートは悲惨で、カタログ値の10%を覚悟せねばならない位の底抜け状態ですが、引きは末端の需要が有るので、暫くすれば落ち着くと思います。今までがそうでしたから。
今しがた、PA104回=JAPEX会場での特別フロアオークションのスタート値をUp致しました。メールビッドの応札数が435名、ビッド有りのロット数は約62%です。場での競りで70%近くには行きますし、不落札の即売を終えての最終のデータでは、72~73%位を想定しています。物は抜群ですが、優先順位で劣後して、札が入っていない物が沢山有ります。絶好のお買い得品をお見逃しなくご参加いただければと思います。
恒例の、一日限りの即売は、今回も17日の土曜日にJAPEX会場の台東館8階第2会議室にて行います。マジで新規に値付けしたエンタが15000点は増えました。時間の許す限りお楽しみ頂けるでしょう。17日土曜日と18日日曜日の両日ともに、PA105・MA92の全ロット(文献以外)を下見して頂けます。オークション誌は13日水曜日出しなのでお手元に届いているか微妙です。勿論会場にて進呈いたします。
このセールでも、面白い物が目白押しです。1点だけ紹介しておきます。PA105のLot5020【郵便切手に関する対総司令部関係書類】です。もろの郵趣マテリアルとすれば、2次昭和~3次昭和のみほん・見本を9種貼ったページですが、綴じられていた書類の文面が秀逸です。切手のコレクションには使えないでしょうが、歴史の資料として、表に出したいものなのです。コピーは不可なので、使える方に買っていただきたいと思います。
ご出品者から、「宣明書」を頂いています。実名はここでは伏せますがここでは、署名・捺印付きです。宣明内容は、
別紙の資料が妻の父(平成22年11月没)の遺品中に見出された物であること。妻の父が次の経歴を有する事。
昭和22年5月 連合軍 民間検閲部(初級検閲官)・11月 検閲翻訳官(検閲部本部:在東京)・23年3月 上級検閲翻訳官・昭和23年11月 逓信省入省 郵務局業務課(切手係・切手普及係)名称変更等により、昭和39年7月からは、郵政省郵務局管理課切手係、昭和42年8月 切手係長。
奥様は、弊社他ののオークションに出品された、素晴らしきFDCの宛名でお馴染みの、セキジュンコさんです。カシェ無しの白封を使われるセンスは大したものなのです。私はご本人がご健在中からのお付き合いで、30年近くお世話になってきた方です。中々に、書けないお話も有るのですが、差しさわりの無い範囲でちょっと情報を出しましょう。
平成24年頃だったと思うのですが、日本平24円シートを1枚入れた、贈呈用の茶封筒を出品してくれたのです。見るからに、パリパリの状態、シミ・シワの全くない完璧品だと見えました。完全密封なので、状態を見ることは出来ません。でも雰囲気でVF・極美と思えました。フル型以上の良い値段で売れた記憶が有るのですが、ビッドの際に条件を付けられました。封を切って、状態が悪ければ返品する、だったのです。こちらも自信が有ったので、拒否せずにそのまま受けました。返品されていないので、想像通りだったのでしょう。東北のお金持ちでしたが、風の便りで、ご逝去されたと聞きました。日本平24円のシートなど、マーケットに出て来ても足は付かないのです。でも、このマテリアルには、秘符が有るのです。
1958年と1959年を境目にして、記念切手の目打が抜けている方に、綴じ穴が有ったのが無くなったのです。私の見る限り、例外はないと思います。唯一の異常データが、100シートの完封=窓口で売られた物でない、1シートの贈呈品には、1958年以前の発行の物にも【綴じ穴が無い】のです。日本平24円を未・済で、目打の抜け方違いで4点お持ちの。「美封堂」さん、知ってたかな。頑張って探してくださいよ。
この事実のヒントをくれたのが、国体切手のコレクター、Dr.K.Inoue氏です。郵政省の高官の、膨大な未使用とみほんのコレクションが、横浜の解体屋さん→横浜の中国人のディーラー経由で今もヤフーに出ているのですが、水色勅額、茶摘みのシートに挟まれて、6・7・8・9回辺りの国体のシートが出たのです。勿論、袋入りとかの贈呈品で無い、単なる裸の1シートです。それを見つけて、綴じ穴がない!!を根拠にして落し切ったそうです。私の意見では、関さんから出た、日本平の贈呈シートと同じ出所だと思います。誰も知らなかった、珍品の出現でしょう。